日本の伝統工芸『益子焼』の魅力を解説。好みの陶器で食卓を彩ろう

2019.07.06

益子焼は、土の質感を活かした素朴さと渋い色味が味わい深い、人気の陶器です。産地の益子町には多くの作家が集まり、陶器市や陶芸体験などのイベントも常に活況を呈しています。益子焼の基礎知識と、おすすめ作家や商品を紹介します。

益子焼について知ろう

益子焼はいつから作られ、どのように発展してきたのでしょうか。まずは益子焼の歴史と特徴を詳しくみていきましょう。

益子焼の歴史

益子焼が初めて作られたのは、江戸時代の末期です。益子の隣の笠間藩(現在の茨城県笠間市)で、『笠間焼(かさまやき)』を学んでいた『大塚啓三郎』が、益子の土が焼き物に向いていることを知り、窯を築いたのが始まりです。

土鍋や水瓶などの日用品が中心のごくありふれた焼き物だった益子焼は、大正時代に陶芸家『濱田庄司(はまだ しょうじ)』が益子に定住したことで、一躍有名になります。

濱田庄司は、民衆が使う生活道具が持つ価値や美しさを世に広める、『民芸運動』の中心人物でした。このため益子町は民芸運動の拠点の1つとなり、多くの陶芸家が集まってきます。

彼らは自由な発想で益子焼をさらに発展させ、1979年には国から『伝統的工芸品』に指定されるなど、現在の益子焼人気の基礎を築きました。

益子焼の特徴とは?

益子焼の魅力は、粗目の土の質感がダイレクトに伝わってくる、素朴な雰囲気にあります。民芸運動の影響で、形式にとらわれない自由な空気の中で製作されたこともあり、陶芸家の個性が強く感じられるのも大きな特徴です。

同じ益子焼でも全く味わいの違う作品がたくさんあり、選ぶ側にとっても非常に楽しめる工芸品と言えるでしょう。

益子陶器市に足を運ぼう

次は、益子町で年に2回開催されている、『益子陶器市』について紹介しましょう。

陶器市は掘り出し物を探したり、人気の作家や窯元の職人と直接話したりできるなど、益子焼の世界をとことん楽しめるイベントです。陶器市の特徴と、上手な楽しみ方をみていきましょう。

陶器市は益子町最大級のイベント

益子陶器市は、1966年から毎年春と秋に開かれている、益子町最大級のイベントです。例年、春はゴールデンウィーク、秋は11月初旬に開催され、春夏合わせて60万人もの人が訪れ、好みの益子焼作品を買い求めていきます。

町内には益子焼の販売店や作家のテントが500以上も並び、日用品から鑑賞用の美術品まで、さまざまな益子焼の作品を、通常よりも安い価格で購入できます。

期間中は農産物直売や特産品のブースも出て、まるでお祭りのような熱気に包まれます。

人気作家ねらいなら初日早めの参加を

陶器市は、人気作家の作品をお得に入手する絶好のチャンスです。もし気になる作家がいるなら、ぜひ初日の早い時間に訪れましょう。前日には益子町に到着し、開場前から並んでいる常連客もたくさんいます。

どこも同じくらい並ぶ覚悟で行かないと、売り切れてしまうことも珍しくありません。作家の出店場所は、開催が近づくと益子町観光協会のWebサイトに掲載されます。着いたらすぐに向かえるよう、事前にチェックしておくとよいでしょう。

また、重くて割れやすい陶器を持ち歩くのはとても疲れます。車で行く方は、できるだけ近くの駐車場に車を停められるように、時間に余裕を持って出かけましょう。

電車やバスで行く場合は、手荷物預かり所やコインロッカーの場所なども事前に確かめておくことをおすすめします。

益子町観光協会

堪能したいなら泊りがけ

益子町へは首都圏から日帰りでも充分行けますが、泊りがけなら、もっと益子焼の世界を堪能できるでしょう。益子町には有名作家のギャラリーや美術館、陶芸体験教室など、益子焼に関する観光スポットがたくさんあります。

陶器市で買い物を楽しんだ後は、郊外のギャラリーを訪問したり、ろくろ体験や美術館巡りをしたりして、ゆっくり過ごすのもおすすめです。笠間焼を買いに、隣の笠間市まで足を延ばしてみてもよいでしょう。

益子焼の体験教室に行こう

益子町には、陶芸の体験教室を実施している施設もたくさんあります。土の感触や、物を作る喜びを手軽に味わえる陶芸体験は、デートや家族サービスにもぴったりです。陶芸体験の魅力とおすすめの教室を紹介します。

陶芸体験のすすめ

陶芸体験は、子どもから大人まで、まったくの初心者でも気軽に参加できる点が大きな魅力です。電動ろくろを回して本格的な作品にチャレンジしたり、手びねりで自由にデザインしたり、さまざまな楽しみ方があります。

普段何気なく使っている焼き物がどのように作られているのかを知ることは、よい社会勉強にもなるでしょう。また、指を動かして無心に土をいじる作業は集中力を高め、脳を活性化すると言われています。

土の感触によって童心に返ることで、ストレスも軽くなるかもしれません。気に入った作品は焼き上げて送ってもらえるので、帰宅後に待つ楽しみも味わえます。

益子焼窯元 よこやま

『益子焼窯元 よこやま』では、電動ろくろと手びねりを一度に体験できるコースや、お得なカップルプランなど、さまざまな体験教室を用意しています。

ろくろ体験の工房は冷暖房完備で、1年中快適です。記念写真用に、プロの陶芸家のような作務衣も無料で貸してもらえます。ろくろ体験では好きなだけ土を使えるので、時間内なら失敗を気にせずに、何度でも挑戦可能です。

手びねり体験は、ろくろでは作れない形状の器やアクセサリー、箸置きなどを作れます。用意された絵の具で、好きな色に彩色できるのもポイントです。

また、敷地内にはレストランやベーカリー、益子焼のショップもあります。陶芸体験のついでに食事をしたり、買い物をしたりして、ゆったりと過ごしてはいかがでしょうか。

  • 店舗名:益子焼窯元 よこやま
  • 住所:栃木県芳賀郡益子町益子3527-7
  • 電話番号:0120-696-864
  • 営業時間:9:00〜17:00(最終受付15:00)
  • 定休日:毎週月曜日(月曜が祝日の場合翌日)、第4火曜日、年末年始等
  • 公式HP

益子焼窯元共販センター

『益子焼窯元共販センター』は、益子焼のショップのほかに、レストランやギャラリー、陶芸教室、土産物店などが揃う大型店舗です。

正面の入り口では、大きな焼き物の狸が迎えてくれます。電動ろくろは45台完備され、手びねりは最大100名まで同時に体験できます。駐車場が広く、元日以外は無休で営業しているので、益子観光の拠点としてもおすすめです。

  • 店舗名:益子焼窯元共販センター
  • 住所:栃木県芳賀郡益子町大字益子706-2
  • 電話番号:0285-72-4444
  • 営業時間:9:00〜17:00
  • 定休日:元日
  • 公式HP

陶芸体験の準備をしよう

誰でも気軽に参加できる陶芸体験ですが、より素晴らしい時間を過ごすためには、ある程度の準備が必要です。陶芸体験に行く前に、押さえておきたいポイントを紹介します。

ろくろと手びねりの違いを押さえる

陶芸体験には、『絵付け』『手びねり』『電動ろくろ』の3種類があります。このうち、絵付けは完成した器に絵柄を描いて焼いてもらうだけなので、自分で器を成形することはできません。

成形したい場合は、手びねりか電動ろくろのどちらかを選びましょう。滑らかな円形の茶碗や湯呑、マグカップなどを作りたいなら電動ろくろ、四角や楕円、模様を入れた器を作りたいなら手びねりがおすすめです。

ただし、手びねりと電動ろくろは、体験の所要時間や料金、焼き上がりにかかる時間などが異なるので、事前によく確かめておくようにしましょう。

服装に気をつけよう

陶芸体験をするときは、服装にも気をつける必要があります。手びねりも電動ろくろも、土と水を使う以上はある程度の汚れは付きものです。エプロンを貸してくれる教室も多いですが、全身をカバーすることはできません。

汚れが気になって体験に集中できないということのないように、当日は汚れても構わない服を着ていきましょう。足元も汚れやすいので、靴も水洗いできるものがおすすめです。

また、ろくろを回したり、手で成形したりするときは、マフラーや帽子、袖も意外に邪魔になります。できるだけシンプルで、動きやすい服装を心掛けましょう。

爪を短く切ろう

体験前には、爪を短く切っておくことをおすすめします。爪が長いと土の細かい粒子が入り込んで指先が汚れるだけでなく、きれいに出来上がった作品に傷をつけてしまいます。最悪の場合、体験を断られてしまうケースもあります。

とくに女性は、爪を伸ばしていることが多いので、デートなどで一緒に行くときは、ネイルを落として爪を切るように、一言声をかけてあげるとよいでしょう。腕時計や指輪なども作業の邪魔になるので、事前に外しておきましょう。

現地でおすすめの益子焼ショップ

益子町にはたくさんの益子焼ショップがあります。限られた時間で効率よく回るなら、陶器の販売だけでなく、有名作家の作品を鑑賞できるギャラリーや、カフェレストランが併設されたショップがおすすめです。

有名な作家の作品で、おいしいお茶を飲めるショップもあります。益子に行ったらぜひ訪れたい、おすすめのショップを3店紹介しましょう。

やまに大塚

『やまに大塚』は、益子町の中心部に7店舗を構える大型ショップです。日用品やギフトが揃う本店のほかに、人気作家の作品を集めた姉妹店やギャラリー、陶芸教室、カフェや土産店まであり、1日のんびりと過ごせます。

本店では、益子焼の湯呑に入れたお茶を無料で頂けます。どの商品を買うべきか迷ったときは、お茶を飲みながらじっくり検討してみましょう。

本店2階の『ギャラリー緑陶里』では常設展のほか、注目作家の個展やオークションなどの企画展が随時開催されています。

また、姉妹店『クラフトやまに』の展示室では、濱田庄司を始めとする、益子焼の巨匠と呼ばれる作家の作品を鑑賞できます。もちろん実際に購入できる商品もあるので、有名な作品が欲しい方は足を運んでみるとよいでしょう。

  • 店舗名:やまに大塚
  • 住所:栃木県芳賀郡益子町城内坂88
  • 電話番号:0285-72-7711
  • 営業時間:10:00~17:00
  • 定休日:なし
  • 公式HP

益子焼窯元つかもと

『つかもと』は、益子町の郊外に建つ、益子焼最大の窯元です。豊かな自然に囲まれた広大な敷地の中に、本館と作家館の2つのショップのほか、美術記念館やそば処、釜めしを食べられるレストハウスなどがあります。

明治時代の建物を活用した美術記念館では『棟方志功(むなかた しこう)』の版画や、濱田庄司など益子焼の巨匠の作品、当時の塚本家が使っていた家財道具などを鑑賞できます。

鑑賞後は併設のカフェで、有名作家の器で供されるコーヒーや抹茶を楽しみましょう。

  • 店舗名:益子焼窯元つかもと
  • 住所:栃木県芳賀郡益子町益子4264
  • 電話番号:0285-72-5151
  • 営業時間:9:00~17:00
  • 定休日:木曜日
  • 公式HP

もえぎ城内坂店

『もえぎ』は益子焼を中心に、ガラスや木工製品、染め物などを広く取り扱っているアートショップです。本店にはおしゃれなカフェがあり、益子に行ったら必ず立ち寄るというファンもいます。

ただし、本店は益子の中心部から離れた山の中にあり、砂利道や急な坂を通らないとたどり着けません。交通手段や時間の都合で本店に行くのが困難な方には、中心部にある城内坂店がおすすめです。

  • 店舗名:もえぎ城内坂店
  • 住所:栃木県芳賀郡益子町城内坂150
  • 電話番号:0285-72-6003
  • 営業時間:10:00~18:00
  • 定休日:金曜日不定休
  • 公式HP

お気に入りの作家を見つけよう

益子焼には、人間国宝となった巨匠から、モダンな作風で人気の若手まで、さまざまな作家が存在します。自分の感性に合うお気に入りの作家を見つけることで、益子焼の世界をもっと深く楽しめるでしょう。

益子焼の人間国宝

国宝には、建造物や工芸品などの『重要文化財』と、歌や踊り、工芸技術のような『重要無形文化財』があります。『人間国宝』は、重要無形文化財の技術を高度に身に付ける人物を指しています。

益子焼における人間国宝は、濱田庄司と『島岡達三(しまおか たつぞう)』の2人です。濱田庄司は益子焼発展の立役者であり、島岡達三も濱田の弟子として、益子焼の発展に大きく関わりました。

2人の作品は、今に続く益子焼の原点とも言えます。クラシックな益子焼をお探しなら、一度は手に取っていただきたい作家です。

個性ゆたかな男性作家

男性では、独自の技法や特徴のある絵柄など、個性を感じられる作風の作家が人気です。

人間国宝、島岡達三のもとで修業した『岡田崇人(おかだ たかひと)』さんの作品は、グレー地に植物の柄があしらわれた北欧風のデザインで、洋食メニューにもよく似合います。

多くの工芸展で入選を重ねる『西村俊彦(にしむら としひこ)』さんの作品は、歌舞伎や浮世絵のスタイルを参考にした、粋な和のスタイルが特徴です。

釉薬(ゆうやく)を活用して美しいデザインを描き出す『中園晋作(なかぞの しんさく)』さんや、伝統を守りつつ現代の暮らしに合う作品を作っている『寺村光輔(てらむら こうすけ)』さんも、ぜひチェックしておきましょう。

便利とおしゃれを両立させる女性作家

おしゃれで普段使いに便利な器を探すなら、女性作家がおすすめです。デザイン性と実用性を兼ね備えた、使いやすい作品が見つかります。

『山野辺彩(やまのべ あや)』さんの作品は、一見すると益子焼には見えない、緻密で繊細な絵柄が特徴です。花や動物が全面に描かれた可愛い器を並べたら、食卓が一気に華やかになるでしょう。

子育てしながら活動中の『松崎麗(まつざき うらら)』さんは、子どもが自分で上手に食べられるように工夫された『子どもの器』や、パンやスイーツにも合わせやすい、モダンなデザインの器を多く作っています。

『広瀬佳子(ひろせ よしこ)』さんは、陶器市で整理券が配られるほどの人気作家です。自分で調合した釉薬を使ったアンティークな作風が、高く評価されています。

ネット通販のおすすめ商品を紹介

益子町まで出かける時間がない方や、好きな作家の作品を自宅でゆっくり選びたいという方には、ネット通販がおすすめです。最後にネット通販で購入できる、おすすめの益子焼を紹介します。

つかもと コーヒーカップ&ソーサー

『つかもと』のオリジナルブランド『利平』のコーヒーカップ&ソーサーは、日常にも来客用にも使える小ぶりなカップとソーサーのセットです。

ソーサーにはカップ用のくぼみがついていないので、単体でケーキなどを取り分ける小皿としても使えます。

カラーバリエーションは全部で6色です。同じ色で揃えても、色違いを買って、カップとソーサーを入れ替えて使っても楽しめます。一見どっしりしているイメージですが、意外に軽く、使いやすい商品です。

  • 商品名:つかもと コーヒーカップ&ソーサー
  • 価格:1890円(税込)
  • 楽天市場:商品ページ

中村哲雄 ドット柄 丸小皿

若手の人気作家、『中村哲雄』さんの丸小皿は、ぽってりとした厚みと優しげな雰囲気が魅力です。

縁にあしらわれたドット柄がかわいらしく、つい並べてみたくなります。直径10cmと小さめなので、和菓子や素朴な焼き菓子などに合いそうです。

電子レンジやオーブンにも対応しており、温かい料理を取り分けたいときにも適しています。色は白、黄、青、緑の4色です。

  • 商品名:中村哲雄 ドット柄 丸小皿
  • 価格:936円(税込)
  • 楽天市場:商品ページ

kinari ストレートマグカップ

『kinari』は、益子焼の窯元『わかさま陶芸』の人気シリーズです。『しのぎ』と呼ばれる筋状の模様とマットな質感が、シンプルなフォルムによく似合っています。ベージュがかった白い色はどんな料理にも合い、飽きずに長く使えるでしょう。

こちらのストレートマグカップも、シンプルで持ちやすい形状が魅力です。しのぎのおかげで手に馴染み、口当たりも優しくなっています。こんなマグカップなら、一段とくつろげるティータイムを過ごせそうです。

  • 商品名:kinari ストレートマグカップ
  • 価格:1620円(税込)
  • 楽天市場:商品ページ

知って体験して、益子焼の味わいを楽しもう

土の素朴な質感と、日用品から発展した歴史を持つ益子焼は、とても親しみやすい工芸品です。和食はもちろん、洋食やカフェメニューにもしっくり馴染んで、食卓を豊かに彩ります。

益子町ではいろいろな作家の作品に触れられるのはもちろん、オリジナルの器作りも体験できます。ぜひ一度、益子焼のふるさとに足を運んで、お気に入りの作家や器を探してみてはいかがでしょうか。

その他のテーマ

ART

CULTURE

CRAFT

FOOD

TIME