紅茶は比較的簡単に入手できるとてもポピュラーな飲み物ですが、たくさんの種類があり、それぞれ異なる味や香りを持っています。今回は、紅茶の歴史や紅茶が持つ効果、そして主な紅茶の種類について詳しく見ていきましょう。
紅茶の歴史
カフェや家庭でも手軽に飲める紅茶はとても身近な飲み物で、世界で作られるお茶の約7割以上が紅茶というほどです。そんな紅茶の歴史を紐解いてみると、意外なことにその発祥の地はアジアということがわかります。
中国からヨーロッパへお茶が伝わる
紅茶の歴史をさかのぼると、中国で作られていた緑茶にたどり着きます。不老長寿の霊薬として用いられていたお茶が飲み物として定着したのは、6世紀頃だといわれています。
17世紀になると、オランダ商船によって、中国からヨーロッパへ初めてお茶が伝わりました。
イギリスの貴族社会で広まったのはそれから約50年後のことで、その後イギリスから日本に紅茶が伝わったということですから、いわばヨーロッパからアジアのお茶が逆輸入という形になります。
そして日本でも紅茶が生産されるようになり、それまで舶来品で高価な飲み物だった紅茶が手頃な価格になり、お茶の間に広まっていきました。
お茶の発酵を進め紅茶が誕生したといわれる
当初中国からヨーロッパに伝わったお茶は、緑茶と半発酵茶である烏龍茶でした。当時のヨーロッパでは、緑茶よりも烏龍茶の方が人気が高かったようです。
そして、ヨーロッパの製造業者が人々の嗜好に合わせて発酵を進めたお茶を作り出し、現在飲まれている完全発酵の紅茶が出来上がりました。
紅茶を飲むとリラックス効果が得られる
紅茶は、ほっと一息つく時に飲むこともあるでしょう。一休みしながら紅茶を飲むことは、実はたいへん理にかなっているのです。紅茶のリラックス効果について解説します。
テアニンにより副交感神経が優位に
紅茶には、アミノ酸の一種『テアニン』が含まれています。このテアニンには副交感神経を優位にする効果があるといわれており、緊張を和らげたり興奮を抑えたりするリラックス効果が期待できるのです。
香りでアロマテラピー効果も
紅茶に含まれる効果は、テアニンだけではありません。紅茶には独特の香りがありますが、その成分として『ゲラニオール』や『リナロール』などが含まれています。これらの香気成分にもリラックス効果があるといわれています。
つまり紅茶にはアロマテラピーのような効果があるといえるのです。
寝る前に紅茶を飲んでも大丈夫?
紅茶に含まれるカフェインは眠気を覚ます効果が有名なので、寝る前に紅茶を飲んでしまうと、逆に眠れなくなる心配も出てくるでしょう。寝る前に紅茶を飲むのはNGなのでしょうか?
カフェインで眠りにくくなる?
前述のように、紅茶にはリラックス効果がありますが、一方で紅茶にはカフェインも含まれています。
カフェインを摂取すると本当に眠れなくなるのかというと、結局のところ個人差が大きいです。1杯程度の紅茶に含まれるカフェインなら睡眠に影響がないという人もいれば、少量のカフェインでも眠れなくなる人もいます。
紅茶に含まれるテアニンを摂取すれば、テアニンの効果によってカフェインの興奮作用が抑えられると考えられていますから、他のカフェインが含まれる飲み物よりも眠れなくなる影響は比較的少なめともいえるでしょう。
しかし、少量のカフェインでも効果が出てしまいがちな人は、就寝前のカフェイン摂取は控えることをおすすめします。カフェインを抑えた『ローカフェイン』の紅茶も販売されていますので、試してみると良いかもしれません。
以下では、おすすめのローカフェイン紅茶を紹介します。
ルピシア DECAF APPLE TEA
ルピシアの『DECAF APPLE TEA』は、カフェインを99.9%除去したローカフェインの紅茶です。まったくカフェインが含まれていないわけではないものの、ごく少量の含有率なのでカフェインによる影響を受けにくい紅茶です。
- 商品名:ルピシア DECAF APPLE TEA
- 価格:759円(税込)
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クリッパー アッサムブレンド カフェインレス
クリッパーの『アッサムブレンド カフェインレス』も、カフェイン残留率が0.2%以下のローカフェイン紅茶です。
オーガニックのアッサムティーを使用しているので、味とローカフェインどちらにもこだわる人に適しています。
- 商品名:クリッパー アッサムブレンド カフェインレス
- 価格:833円(税込)
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OPやBOPFなど紅茶の等級の名称の意味
紅茶のパッケージを見ると、『OP』や『BOPF』などの表記を目にすることがあります。これらは、茶葉の等級を表しています。この表記の意味を知ってみると、より紅茶選びが楽しくなることでしょう。
オレンジペコ、スーチョンとは
OPは『オレンジペコ』の略です。新芽のすぐ下にある茶葉を使用していることを意味します。オレンジペコという名前から、オレンジの味や香りがついていると想像する人も多いかもしれませんが、果物のオレンジは一切含まれていません。
OPは葉っぱが砕けることなく、形がそのまま残った『フルリーフ』と呼ばれる形状です。茶葉が丸まって針状の長い茶葉になっています。
Sは『スーチョン』といって下の方にある大きい茶葉を使用していることを意味する等級です。燻製茶などに使用されます。
以上に紹介したのは何番目の葉かを表す表記ですが、その頭に『B』がついて『BOP』などの表記をする場合があります。
Bは『ブロークン』の意味で、フルリーフではなく、茶葉を砕いたものであることを意味します。
ファニングス、ダストとは
ブロークンの茶葉の中でも、更に細かく砕いたものには『F』(ファニングス)や『D』(ダスト)と表記されます。
例えば、BOPの茶葉をさらに細かく砕いたものを『BOPF』(ブロークン・オレンジペコー・ファニングス)と表記します。
ファニングスは、ダストよりは少し大きいサイズです。すぐに抽出できるため、ティーバッグ用などに使われます。
ダストは最も細かく粉砕された粉末状の茶葉で、他の等級を生産する過程で出る細かな茶葉を集めたものです。ダストという名称から質が悪いと思われがちですが、香りと色が出やすいため、上級品になると高値になります。
世界三大紅茶の種類
紅茶にはさまざまな種類がありますが、その中でも『世界三大紅茶』と称される3種類の紅茶について解説します。
世界中で人気の高いダージリン
インド北東部、東ヒマラヤ山麓にあるダージリン地方で作られているのが、『ダージリン』です。
爽やかな風味とマスカットのような香りが特徴で、『紅茶のシャンパン』といわれています。その特徴的な香りを楽しむため、ダージリンはストレートで楽しむことが多い紅茶です。
ダージリンは春・夏・秋と3シーズンの収穫時期があり、それぞれの時期によって味が異なるので、収穫時期によって味の違いを楽しむことができます。
ダージリンは茶葉の種類によって水色や香りが異なり、ダージリンのみで飲み比べができるほどです。
キーマンはストレートで飲もう
中国の安徽省(あんきしょう)にあるキーマン地方で生産されている紅茶『キーマン』は、果物や蘭、糖蜜のような甘い香りとコクのある風味、エキゾチックなスモーキーフレーバーが特徴です。
独特の味と香りから好みが分かれる紅茶ですが、渋みがほとんどないため、ストレートで飲むのがおすすめです。
またマイルドで飲みやすい味なので、紅茶の渋みが苦手な方も抵抗が少ないかもしれません。
爽快感や渋みが味わえるウバ
スリランカ南東部のウバ地方で生産される紅茶『ウバ』は、バラのような香りが含まれた独特の爽快なメンソールフレーバーが特徴です。この個性的な香りは『ウバフレーバー』と呼ばれています。
ウバは味や香りの特徴が強い紅茶なので、好が分かれる傾向にありますが、濃い目に淹れるとコクが強くなるので、ミルクティーとして飲むのに適した紅茶といえます。
ミルクティーに合う紅茶の種類と特徴
紅茶にミルクをプラスしてミルクティーで楽しむ方も多いと思いますが、紅茶の中にはミルクティーに合うもの、合わないものがあります。
ミルクティーを楽しみたい時には、以下に紹介する3種類の紅茶で作ってみるのがおすすめです。
アッサムの濃い味がミルクと相性抜群
インド北東部にある世界最大の紅茶の産地・アッサム平原で生産される『アッサム』は、ミルクティーに使う紅茶として代表的な銘柄です。
その理由は、濃い茶褐色の水色とコク深い味を持つからで、香辛料を加えたインド式のミルクティー『チャイ』にも適しています。
収穫時期は3~11月で、6~7月に収穫されるセカンドフラッシュが、特にアッサム特有の強いコクと水色が出る上級品とされています。
また、茶葉を細かく刻み、紅茶の成分を抽出しやすい形状に加工した『CTC』は、アッサムの濃い味わいを引き出しやすいといわれています。ミルクティーを作るときはこれらの紅茶にチャレンジしてみてください。
深みのあるラプサンスーチョン
正山小種(ラプサンスーチョン)は、中国を代表する紅茶の銘柄です。中国・福建省で生産され、紅茶の元祖といわれています。
ラプサンスーチョンの特徴は、松の薪で茶葉を燻製したことによって生まれる独特のスモーキーフレーバーです。
香りが強い紅茶なので、ミルクティーにして飲むと香りが和らぎ、深みのある味わいが楽しめます。ラプサンスーチョンは硬水でいれるのがおすすめです。強い香りが抑えられて飲みやすくなります。
マイルドなコクのあるケニア
『ケニア』はその名の通り、東アフリカのケニアで生産されています。ケニアで生産されている紅茶は基本的にアッサムの交配種といわれています。
マイルドな味わいに濃いめの水色、コクと甘みが強いという特徴があるため、ミルクティーにするとおいしい紅茶です。渋みも少ないので、ストレートティーでも楽しめます。
ブレンドティーの種類と特徴
紅茶には、1種類の茶葉だけを使用したもの以外に、複数の茶葉をブレンドした『ブレンドティー』も多く市販されています。ブレンドティーは、同じ茶葉をブレンドしていたとしても、紅茶店によって比率が異なるので味わいも異なります。
ブレンドティーの中には、定番ブレンドがいくつか存在し、その代表的なものが以下の3種類です。
定番のロイヤルブレンド
ブレンドティーの定番である『ロイヤルブレンド』は、アッサムとセイロンなどをブレンドしたものです。強めの風味を持つアッサムと甘いコクを持つセイロンのバランスが絶妙で、ストレートでもミルクティーでも楽しめます。
世界中で多数のロイヤルブレンドが市販されていますが、中でも1902年にエドワード7世のために作られたことで知られる、イギリスの老舗百貨店『フォートナム・アンド・メイソン』のロイヤルブレンドが特に有名です。
イングリッシュブレックファースト
『イングリッシュブレックファースト』は、紅茶文化が盛んなイギリスの伝統的なブレンドティーで、多数の紅茶ブランドが販売しているブレンドでもあります。
アッサム、セイロン、ケニアなどをブレンドしています。いずれの茶葉のブレンドでも香りとコクが強いものが多く、砂糖を入れたミルクティーでおいしいく飲むことができます。
まろやかで飲みやすいアフタヌーンティー
『アフタヌーンティー』は、アッサムとダージリンなどをブレンドした紅茶です。濃く強いコクを持つアッサムにダージリンを加えることで、まろやかで軽やかな味わいに仕上がっています。
ブランドによっては、セイロンとダージリンをブレンドしたものもありますが、いずれのブレンドも飽きのこない飲みやすい味で、ミルクティーにも適しているものが多いです。
フレーバーティーの種類と特徴
紅茶には、茶葉をブレンドしてできるブレンドティー以外に、茶葉に香り付けをした『フレーバーティー』もあります。定番フレーバーやちょっと変わった珍しいフレーバーまで、バラエティ豊かな味と香りを楽しめます。
香料を吹き付け、着香された紅茶
フレーバーティーとは、香料を噴霧して香り付けしたものです。香料だけではなく、花びらや果皮で香り付けをしたものもあります。香り付けをする原料により、フローラル系やフルーツ系など、香りは多岐にわたります。
アップルティーやアールグレイが有名
フレーバーティーの中でも人気が高いものといえば、『アップルティー』や『アールグレイ』が挙げられます。
アップルティーはその名のとおり、りんごの香りを付けた紅茶です。爽やかなりんごの香りと紅茶の渋みがマッチし、ホット・アイス両方で楽しめます。はちみつをプラスして、はちみつアップルティーにしてもおいしく飲めます。
『アールグレイ』は、茶葉の銘柄と勘違いされる場合がありますが、フレーバーティーの一種です。
セイロンやキーマンのブレンドにベルガモットなどの柑橘系のフレーバーを加えた紅茶です。この紅茶をイギリスに伝えたとされるグレイ伯爵の名前が由来となっています。
アールグレイはストレートでもミルクティーでもおいしく飲めます。香り付けに使用されているベルガモットは冷やしても香りがわかりやすいため、アイスティーにも適した紅茶です。
珍しいフレーバーティーも
フレーバーティーは、茶葉にさまざまな香りを付けられるので、ちょっと変わった珍しいフレーバーを見つけることもできます。
たとえば、チョコレートの香りやミルクキャラメルの香りを付けたフレーバーティーも市販されています。このような甘い香り付けがされた紅茶は、ミルクと砂糖を加えてスイーツ感覚で飲むことができます。
京都の街を歩いていて感じる香りをイメージしてローズとジャスミンをベースに作られた、『京都四条の香り』というフレーバーティーもあります。
紅茶店ごとに様々なオリジナルフレーバーティーを販売している場合が多いです。紅茶店巡りをしてお気に入りの香りを探すという楽しみ方も良いでしょう。
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花の香りに癒されるローズティー
花の香りが付けられたフレーバーティーとして、『ローズティー』があります。バラの優雅な香りによる癒やしやリラックス効果が期待できる紅茶です。
ローズティーは、バラの品種によって香りも様々です。様々なローズティーを飲み比べてみて、お気に入りを見つけてみましょう。
飲み比べを楽しめるのが紅茶の魅力
紅茶は、茶葉の種類やブレンド、フレーバーなど、好みによってたくさんの種類の中から選ぶことができます。いろいろな種類の茶葉の飲み比べも楽しめるのが、紅茶の魅力といえるでしょう。
今回紹介した紅茶の種類を参考にして、いろいろな紅茶を飲み比べてみてはいかがでしょうか。
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