一度は読んでおきたい歴史小説12選。選び方のポイントも解説

2019.07.05

歴史小説と聞くと、堅いイメージや古臭い印象を持ってしまう人もいるのではないでしょうか。しかし、歴史小説は学ぶことが多いだけではなく、面白いエンターテイメントでもあるのです。歴史小説の選び方と、おすすめの歴史小説を紹介します。

歴史小説選びのポイント

歴史小説を選ぶとき、面白い小説に巡り合えなかったり毛色の合わない本にあたってしまったことから、苦手意識を持っている場合も多いかもしれません。おすすめ小説を紹介する前に、歴史小説選びのポイントについて解説します。

好きな人物や時代

歴史小説を選ぶときの最初のポイントは、好きな歴史上の人物や興味のある時代から作品を選び取るのがおすすめです。

織田信長が好きなら戦国時代の歴史小説を選んだり、土方歳三が好きなら新選組の歴史小説、といったように「好き」「興味がある」分野の小説から入ってみましょう。

好きな小説家

好きな小説家の作品から選ぶのもいいでしょう。ミステリーの巨匠である宮部みゆきも歴史小説を書いていますし、何度も映像化されている「燃えよ剣」を書いた司馬遼太郎の別の小説を読んでみるのも面白いでしょう。

ハードボイルド小説の北方謙三、ヒューマンドラマを描く天才井上靖も歴史小説を手掛けています。読書家ほど特定の文体を受け付けない現象は起こりやすいものですから、すでに知っていて好きな文体から入るこの手法を取るとよいでしょう。

著名な作家

まずは人気の高い歴史小説家を3人紹介します。併せてオススメ小説も紹介しますので、気になる小説家がいたらぜひ今回紹介した一冊から始めてみてください。

どの本もそれなりのページ数がありますが、一晩で読んでしまうほど面白いものばかりです。

言わずと知れた司馬遼太郎

歴史小説家といえば、やはり何と言っても司馬遼太郎を外すわけにはいかないでしょう。彼の著作は多く映像化されており、コアなファンも多いのが特徴です。

多くの名作がありますが、ここで紹介するのは『峠』です。幕末の動乱期の越後が舞台となっており、河井継之助という長岡藩士を描いた作品です。学問を単なる知識ではなく、物事の本質ととらえる主人公は、現代でも十分生き方の指標となるでしょう。

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作品数の多い吉川英治

吉川英治は生涯にわたり、短編を合わせて240作もの作品を書き、数々の作品がドラマ化、映画化されてきた多作の小説家です。

代表作は『三国志』『宮本武蔵』といった超長編歴史物語で、エンターテイメント性の高さや読者に勇気を与える前向きな文脈が特徴です。

特に『宮本武蔵』は朝日新聞に1935年から4年間にわたり掲載された大長編です。人気マンガ『バガボンド』の原作として、現代でも多くの人に愛される名作となりました。

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初心者にも入りやすい山本周五郎

山本周五郎は、名もなき人の優しさを描き続けた小説家です。自分が貧乏だったことから、山本周五郎の描く世界は英雄伝ではなく、世間から虐げられてきた人たちをテーマにしたものばかりです。

山本自身、数々の文化賞を授与されてきましたが辞退し、名声を求めることを拒んだ作家でもありました。人間にとって何が大切なのかを問いかける『さぶ』を筆頭とし、優しい文体で書かれている作品が多数です。短編集も多いので、とっつきやすいのもポイントです。

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戦国時代の歴史小説

ここからは、人気の高い戦国時代をテーマにした歴史小説を3冊紹介します。比較的新しいものばかりで、文体も読みやすいものが多く、初めて歴史小説に触れる人も楽しめるのではないでしょうか。

和田竜「村上海賊の娘」

『村上海賊の娘』は2016年に発売され、本屋大賞を受賞した和田竜の作品です。テレビなどでも多く取り上げられたので、耳なじみのある人も多いのではないでしょうか。

戦国時代の村上海賊を描いた作品で、木津川合戦の史実に基づく壮大な歴史巨編です。歴史小説ながらストーリーがわかりやすく、歴史小説になじみのない人も、冒険活劇として読みやすくなっています。

  • 作品:村上海賊の娘(一)
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井上靖 「風林火山」

戦国時代の英雄である武田信玄の軍師、山本勘助を描いた『風林火山』は何度も映像化されるほどの人気作です。

実在を疑われる人物をテーマとしていることもあり、エンターテイメント性が高いのが特徴です。合戦の描写などが豊かなこともあり、時代小説に初めて触れる人にもおすすめです。

  • 作品:風林火山
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武内涼「敗れども負けず」

どんな作品でも勝者に注目しがちな中、敗者に目を向けた歴史小説が『敗れども負けず』です。敗者にも敗者なりの生きざまがあったことを鮮やかに描き出した名作で、5編の短編集となっています。

歴史小説を読みなれている人ほど読んでほしい一冊で、いつもの固定観念を捨て、違った視点から歴史を眺めることができるはずです。

  • 作品:敗れども負けず
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江戸以降の歴史小説

ここからは、江戸時代以降をテーマとした歴史小説を紹介します。映画化されたものも多いので、タイトルだけなら聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

映画をきっかけに小説を読むのも入り方としてはおすすめです。内容を知っている分、比較的すんなりと読めるはずです。

司馬遼太郎「坂の上の雲」

NHKでドラマ化され、一躍人気になった大長編の歴史大作です。明治維新ののち、開国した日本が置かれた過酷な状況の中で必死に生きる人々を描いた名作と言えます。

小説として誇張表現されているところもありますが、巨星たる司馬遼太郎の表現力がひとつの『あったかもしれない真実』を見ているような気分にさせられます。

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童門冬二「上杉鷹山」

上杉鷹山という名君をテーマとした作品が、その名を取った『上杉鷹山』です。米沢藩を立て直した彼の政治手腕は日本人だけでなくアメリカ大統領のJ・F・ケネディも真似したと言われています。

そんな彼をテーマとして童門冬二が1995年に書き上げた本作は、現代の我々にも理解しやすいように当時の背景も分析・説明されているだけではなく、読みやすい筆致で描かれているので最初から最後までも心地よい爽快感を感じながら一気に読むことができます。

  • 作品:全一冊 小説 上杉鷹山
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百田尚樹「海賊とよばれた男」

百田尚樹作品の中でも、「永遠の0」と双璧を成す代表作です。筆致は多少フィクションテイストではありますが、天性の商売人である出光佐三の生涯をドラマチックに描き、心を打たれる経済歴史小説となっています。

映像化もされたことから知名度が高い小説ですので、歴史小説の入り口としてもおすすめです。

  • 作品:海賊とよばれた男 上
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海外が題材の歴史小説

最後に紹介するのは、日本の歴史ではなく海外の歴史をテーマとした歴史小説です。300ページ越えの大作や、200ページ程度の比較的サクッと読める小説まで紹介しますので、気になる一冊を見つけたら購入してみてください。

北方謙三「三国志」

『三国志』は、北方謙三が中国の三国時代を描いた長編歴史小説です。特定の主人公を作らない群像劇形式でつづられた本作は、あまり日の目を見ない人物も細かく描いており、さまざまな信念をもった漢たちのストーリーを見事に描き上げた傑作です。

文体は読みやすく、歴史小説的なくせがないため三国志の入門書としてもおすすめです。

  • 作品:三国志 (1の巻) (ハルキ文庫―時代小説文庫)
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浅田次郎「蒼穹の昴」

清の歴史を舞台にした歴史小説『蒼穹の昴』は、浅田次郎の生み出した名作です。

テレビドラマ化もされていますが、浅田次郎ならではの優しい筆致と繊細な心理描写が美しい一冊ですので、歴史小説が初めての方にも手放しでおすすめできます。

  • 作品:蒼穹の昴(1)
  • 価格:617円(税込)
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塩野七生「ローマ人の物語」

塩野七生のライフワークと言うべき『ローマ人の物語』は、単行本全15巻、文庫版は全43巻と超大作です。ローマ史はなじみが薄い人も多い中で、非常に明晰で軽快な言葉遣いを用いて読者を物語に没頭させてくれます。

  • 作品:ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上)
  • 価格:529円(税込)
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好みの1冊を選んで歴史小説を読もう

歴史小説と一口に言っても、近代的なものから、古典を守ったもの、時代背景をもとにした新たな歴史小説や、史実に基づいて事実を解説するものなど、たくさんの種類があります。

星の数ほどある中から、人生を変える一冊に出会うのは大変ですが、今回紹介したアプローチが、あなたにとってお気に入りの一冊を見つける手助けになると幸いです。

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