日本最古の蒸留酒?沖縄の地酒「泡盛」の魅力やおすすめ銘柄

2019.07.05

沖縄の地酒として広く知られる泡盛は、一般的な焼酎と比べてさまざまな魅力を持つお酒です。日本最古の蒸留酒といわれ、アルコール度数が高く、古酒として楽しめることでも有名です。泡盛の歴史や特徴、飲み方について詳しく解説します。

泡盛とは

泡盛とは具体的にどのようなお酒なのか、原料や特徴を確認しましょう。

泡盛の原料

泡盛の主原料はタイ米です。昭和初期から泡盛の原料としてタイ米が定着し、現在でも泡盛を造るほとんどの酒造所でタイ米が使われています。

タイ米が使われる主な理由として、以下の三つが挙げられます。

  • 硬質米であるためべとつかず、米麹にした際に作業がしやすい
  • 酵母や水を加えアルコール発酵させる際の温度管理がしやすい
  • タイ米以前に使用されていた他のアジア米に比べ、アルコールの収量が多い

また、原料は酒の味そのものにも大きな影響を与えます。タイ米を原料として使うことが、泡盛の独特な味わいを作り出す要因のひとつであるともいえるでしょう。

泡盛の特徴

日本の税法上、泡盛は単式蒸留焼酎に分類されますが、一般的な焼酎と比較した場合に、泡盛にはいくつかの異なった点が特徴として挙げられます。

  • 一般的な米焼酎が原料にジャポニカ米を使用しているのに対し、泡盛は原料にタイ米を使用している
  • 原料を糖化させるため、焼酎には白麹、日本酒には黄麹が使われるのに対し、泡盛は黒麹が使われる
  • 多くの本格焼酎が『二次仕込み』であるのに対し、泡盛は1回だけの『全麹仕込み』である
  • 一般的な焼酎の蒸留方式が『常圧蒸留』であるのに対し、泡盛は『減圧蒸留』を採用したり、両方をブレンドしたりする

泡盛の由来

『泡盛』という名称の登場は歴史上それほど古いわけではなく、1671年に琉球王国から徳川幕府へ贈られた献上品の目録への記載が最初といわれています。しかし、なぜ『泡盛』という名称が付けられたのかということは、現在でもはっきりと分かっていません。

酒の良し悪しを判断する際に泡を盛る習慣が、当時のアジア各地にみられたことが理由であるという説がもっとも有力とされていますが、原料に粟を使用していたことが理由だという説もあります。

また、古代インドで使われていたサンスクリット語で、酒のことを指す『アワムリ』という言葉が伝来したという説や、薩摩藩が九州の焼酎と区別するために命名したという説もあります。

古酒とは

古酒とは、3年以上熟成させた清酒のことをいいます。泡盛の大きな魅力の一つとして、古酒として育てることで、より味わい深くなることが挙げられます。

古酒の定義

以前までの泡盛は、3年以上熟成させた泡盛が全量の過半数を占めていれば、『古酒』の表記が許されていました。しかし、平成27(2015年)年8月以降は、全量が泡盛を3年以上熟成させたものに限り、『古酒』表示されることとなっています。

つまり、現在『5年古酒』として販売されている泡盛は、その全量が5年熟成された泡盛か、5年古酒にそれ以上の時間をかけて熟成された泡盛をブレンドしたもののどちらかです。

熟成年数の異なる泡盛をブレンドする場合は、年数の少ない方を表記する必要があるということになります。基本的には、熟成年数が長いほど、古酒としての泡盛の価値は高まります。

香りが魅力の一つ

泡盛は、古酒に熟成させることで甘い香りに変化しますが、香りの種類は複雑で多岐にわたり、それぞれに特徴があります。

その中でも代表的な例がバニラの香りです。原料として使われるタイ米の成分が、熟成により独特なバニラの香りへと変化します。他にも、柑橘系・フルーツ・チョコレート・コーヒーなど、泡盛古酒により様々な香りを醸し出します。

「よく寝た泡盛は起きるのが遅い」といわれるように、泡盛古酒は香りを放つまでに時間を必要とするのも特徴的です。数十年もの間熟成を重ねた古酒の中には、香りを楽しめるようになるまで開栓から1時間ほどかかる場合もあります。

最古の古酒

泡盛の産地である沖縄では、数百年前から泡盛が造られ、その多くが長期間熟成されていました。しかし、第二次世界大戦の地上戦により、それまで存在していた数百年クラスの超古酒は、ほとんどが失われたといわれています。

現在の沖縄で公表されている古酒の中では、地中深くに埋められ大戦の戦火を免れた、約150年物といわれている古酒が最古です。他にも、100年前後クラスの古酒が数本残っていることが確認されています。

最近では、戦争で途絶えた泡盛の古酒文化を復活させようという動きが沖縄で盛んに行われ、多くの個人や団体が泡盛の長期間熟成に取り組んでいます。

泡盛の作り方

泡盛の基本的な製造工程と、特徴的な蒸留方法について解説します。

主な製造工程

泡盛の基本的な製造工程は以下のような流れになります。

  1. 洗米
  2. 浸漬(米を水に浸す)
  3. 蒸し
  4. 黒麹菌の種付け(米麹づくり)
  5. もろみ(水と酵母を加えアルコール発酵させる)
  6. 蒸留
  7. 熟成(割り水し度数の調整)
  8. 容器詰め(銘柄によってはさらに割水をし、度数調整した後詰める)

工程自体はシンプルですが、酒造所ごとにそれぞれの工程で独自の手法が採用されているため、酒造所の銘柄ごとに特徴が表れます。

例えば、作業における時間や温度が異なるだけでも、味わいに差が出ます。どのような割水を使うか、容器に詰めるまで何年熟成させるかなど、酒造所ごとに様々な工夫がみられ、結果としてそれぞれに特色のある泡盛が造られるのです。

単式蒸留と連続式蒸留

焼酎は甲類と乙類に分類され、甲類は連続式蒸留により、乙類は単式蒸留により製造されるという違いがあります。

一般的に、甲類はクセがなく飲みやすい焼酎です。一方で、乙類は原料や製造工程に由来する風味が味に反映され、甲類に比べ個性的な焼酎です。

泡盛は、乙類に分類される本格焼酎と同じく、単式蒸留で造られます。

何度も連続して蒸留し、原料や造りに由来する個性を落とす連続式蒸留に比べ、原料や麹、もろみの個性をほどよく残す単式蒸留で造ることにより、特徴を持たせた泡盛を造ることが可能になるのです。

また、単式蒸留で使われる機械にも様々な種類があり、酒造所ごとに構造が工夫され、それぞれの銘柄に特色が表れます。

常圧蒸留と減圧蒸留

泡盛造りで採用されている単式蒸留は、『常圧蒸留』と『減圧蒸留』の2種類に分類されます。現在造られている泡盛の多くは常圧蒸留で造られていますが、減圧蒸留を採用する酒造所もある他、両方をブレンドする場合もあります。

減圧蒸留は、雑味をおさえてソフトに仕上げるための蒸留方法です。口当たりがよく香りもフルーティーさが強調され、飲みやすい泡盛を造ることが可能になります。

大分の麦焼酎や熊本の米焼酎、そば焼酎など、数々の焼酎の製造で採用されています。

一方で、常圧蒸留は、酒本来のコクや個性をより引き出すための蒸留方法です。

泡盛の持つ個性を存分に味わいたい場合や、古酒として魅力を引き出したい場合は、常圧蒸留で造られた泡盛がより好まれる傾向にあるといえるでしょう。

焼酎との違い

泡盛は、日本の税法上では本格焼酎と同じ単式蒸留焼酎に分類されますが、原料と製造方法に違いがみられます。それぞれについて確認しましょう。

原料の違い

一般的な焼酎では、米や麦、芋などが原料として使われ、米を原料とする場合でも基本的にはジャポニカ米が使用されます。一方で、ほとんどの泡盛では、原料にタイ米が使われています。

ジャポニカ米とタイ米のカロリーはほぼ同じですが、タイ米のほうが糖質が多いため黒麹菌が増殖しやすく、アルコールの収量も多くなります。また、タイ米はジャポニカ米と比べ硬質で粘り気がないため、混ぜやすく温度管理がしやすいのも特徴です。

原料は風味にも大きく関わります。泡盛の独特な味は、原料であるタイ米による影響も強く、古くから受け継がれてきた風味を出し続けるために、今なおほとんどの酒造所でタイ米が使われているともいえるでしょう。

製造方法の違い

原料に含まれるでんぷんを糖質に分解するため使われる麹にも違いがあります。一般的な焼酎には白麹が使われますが、泡盛に使われるのは黒麹です。

黒麹には雑菌の繁殖をおさえるクエン酸が多く含まれるため、温暖な沖縄での酒造りに向きます。また、黒麹を使うことで、コクやキレがあるインパクトの強い味を作り出すことが可能です。

焼酎と泡盛は、製造工程における仕込みにも違いがあります。多くの本格焼酎が『二次仕込み』を採用しているのに対し、泡盛造りで行われている仕込み方法は、原料を全て麹にし水と酵母を加え発酵させる『全麹仕込み』です。

沖縄の温暖な気候により醪(もろみ)が腐敗するのを防止する目的から、全麹仕込みでの泡盛造りが定着したといわれています。

泡盛の度数と味の特徴

泡盛はアルコール度数の高い酒というイメージを持たれがちですが、実際にはどうなのでしょうか。泡盛の度数と味の特徴について解説します。

泡盛の度数

日本の酒税法では、本格焼酎におけるアルコール度数の上限は45%と定められています。泡盛も法律上、焼酎に分類されるため、酒税法を守りながら製造されています。

一般的な泡盛のアルコール度数は約30%です。アルコール度数が20~25%の一般的な本格焼酎に比べ、少し高めの数値です。泡盛古酒になると度数は高めになり、上限ぎりぎりの度数まで高まったものもあります。

また、最近はマイルドと銘打った泡盛も多く製造されています。マイルドと表示するためには、アルコール度数が25%以下でなければいけません。したがって、一般的な本格焼酎並みの度数で造られる、従来のものより飲みやすい泡盛が増えています。

度数が上がる理由

泡盛のアルコール度数が上がる理由のひとつに、蒸留の仕組みが挙げられます。製造工程における蒸留により、熱で気化させたアルコールを冷やし液体にします。この作業の中で、より純度の高い成分が抽出され、アルコール度数が高いお酒になるのです。

日本のアルコール類は『蒸留酒』『醸造酒』『混成酒』に分類され、本格焼酎と泡盛は蒸留酒にあたります。日本酒やビール、ワインなどの醸造酒は、蒸留酒に比べ酵母がアルコールに弱いため、製造後の度数も低くなります。

泡盛の原料にタイ米を利用していることも、度数が高くなる一因です。タイ米はジャポニカ米と比べ糖質が多いため、アルコールの収量も多くなります。

度数と味の特徴

一般的に泡盛は、アルコール度数44%で貯蔵したものに水を加えて度数調整をします。元の泡盛に含まれる香りや旨味の成分は水に溶けないため、加える水の量が多くなると香りや旨味の成分は少なくなります。

しっかりと香りやコクを楽しみたい場合はアルコール度数が高い泡盛を、香りや風味より飲みやすさを求める場合はアルコール度数が低い泡盛を選ぶと、それぞれ美味しく飲めるでしょう。

また、度数20%の泡盛をストレートで飲む場合と、度数40%の泡盛を水で割り20%程度まで落として飲む場合を比べると、度数40%の水割りの方が香りやコク、甘みを強く感じられます。

泡盛の飲み方

泡盛はアルコール度数が約30%と高いため強いお酒と思われがちです。しかし、泡盛の産地である沖縄では、ストレートやロックなどそのままの状態で飲まれることはそれほど多くありません。

好みや料理に合わせていろいろな飲み方ができるのも、泡盛が持つ魅力のひとつです。

ストレートやロック

泡盛本来の味や香りを楽しみたいなら、ストレートやロックで飲む方法がおすすめです。香りやコク、甘みをじっくりと感じながら、泡盛の味をダイレクトに堪能できます。

ロックで飲む場合は、ロックグラスを選ぶことで、柔らかな飲み口を感じやすくなります。冷凍庫の氷は解けやすいため、時間が経っても解けにくい市販のロックアイスを使うとよいでしょう。

ストレートで味わうなら、沖縄の伝統的な酒器『カラカラ』を使えば、雰囲気が出てさらに美味しく飲めます。おちょこに注ぎやすいよう、注ぎ口の先端が斜めにカットされたカラカラがおすすめです。

水割り

水割りは、沖縄で最もポピュラーな泡盛の飲み方です。すっきりして飲みやすく、食中酒として最適です。

グラスはまっすぐな円柱の形になったものを選びましょう。アルコールは水よりも重いため、先に水や氷を入れ、後から泡盛を注ぐことで、より均一な水割りが作れます。

軽く1回かき混ぜれば十分ですが、濃いと感じたら数回かき混ぜればすぐに薄まるでしょう。

食中酒として相性が良い料理は、ゴーヤチャンプルーなどの沖縄料理です。冬場の寒い時期はお湯割りにすれば、泡盛特有の香りが湯気と共に広がり、より風味豊かな味わいを楽しめます。

ソーダ割り

泡盛を水の代わりにソーダ水で割ると、炭酸の効果でよりライトな飲み口になります。泡盛版ハイボールのような爽快なのどごしが得られ、肉料理と相性良く味わえます。

グラスは背の高いビアタンブラーがおすすめです。最初に好みの量だけ泡盛を入れ、その後たっぷりの氷とソーダ水を足しましょう。ロックで飲む場合と違い、氷は冷凍庫のものでも美味しく飲めます。

炭酸が抜けてしまわないよう、かき混ぜる回数は少なめにしましょう。それぞれの分量は、泡盛3に対しソーダ水7くらいの割合を基準に、好みで調整するとよいでしょう。

おすすめの泡盛3選

通販で入手可能なおすすめの泡盛を厳選して3点紹介します。

泡盛の原典 久米仙 古酒 泡盛

『久米仙 古酒 泡盛』は、久米仙を代表するロングセラー商品です。甘く芳醇な香りと、トロッとした濃厚な味わい、まろやかな口当たりが堪能できます。

黒麹を使った原酒をじっくりと熟成させた、深いコク・旨み・力強さの三拍子がそろった逸品です。おすすめの飲み方はオンザロックやハーフロックです。

  • 商品名:久米仙 古酒 泡盛
  • 価格:2441円(税込)
  • Amazon:商品ページ

独特の飲み口 残波 ブラック

『残波 ブラック』は、1948年創業の比嘉酒造を代表する泡盛です。力強さを感じさせパッケージですがとてもやさしい飲み口が特徴で、『ザンクロ』の愛称で長年にわたり広く親しまれています。

黒麹の味わいがキリっと口の中で広がり、クセのない爽やかな香りが特徴です。全体的に軽い口当たりで、飽きがこないので泡盛初心者の方にも向く泡盛です。飲み方は黒麹の香りとコクを堪能できるロックをおすすめします。

  • 商品名:残波 ブラック
  • 価格:933円(税込)
  • Amazon:商品ページ

多彩な飲み方が楽しめる瑞泉 青龍 3年古酒 泡盛

熟成古酒のブレンドでベースの泡盛を造り、3年熟成古酒を継ぎ足し熟成させた泡盛です。古酒ならではの、まろやかですっきりとした熟成の甘味を味わえる泡盛に仕上がっています。

オンザロックや水割り、お湯割りと、多彩な飲み方が楽しめ、さまざまな料理にも合わせやすい味わいです。

  • 商品名:瑞泉 青龍 3年古酒 泡盛
  • 価格:1330円(税込)
  • Amazon:商品ページ

泡盛について知ることでより楽しめる

泡盛はタイ米を原料とした沖縄の地酒です。アルコール度数が約30%と高めで、独特な風味が特徴的です。一般的な本格焼酎と比較し製造工程に違いが見られます。

銘柄により様々な香りが楽しめ、古酒として熟成することでより味わい深い飲み口に育ちます。水割りやロック、ソーダ割など、いろいろな飲み方で楽しめるのも泡盛の魅力です。

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