天文学はロマンの宝庫!世紀の大発見を含む宇宙研究の歴史を解説

2019.07.04

天文学は、人類の歴史が始まったと同時に生まれた最古の学問といわれています。古くは星を読み、人類の発展が進む上でも大きな影響を与えてきました。近年まで物理学の一分野と考えられてきた天文学とは一体、どのような学問なのでしょうか。

天文学とは

天文学とは宇宙にある天文の研究をする学問です。宇宙はビッグバン以来どんどん膨張を続けていて、科学の進歩により続々と太陽系外惑星などが発見されるなど、その研究対象も増加し続けています。

天文学はさまざまな学問の影響を受けながら発展してきた歴史を持ちますが、まずはベースとなる概念から押さえましょう。

天体や宇宙について研究する学問

古代の人たちにとっても、天体や宇宙の現象を調べることにロマンを感じていたようです。人類の文明と同時にスタートした天文学は、当初は好奇心と知恵で発展してきました。

その後、新しい技術や科学的手法を取り入れながら、さらに発展を続け現在に至ります。

長い歴史を持つ学問

古代の天文学は、天体の位置を精密に測定する『位置天文学』や、天体がどのように動きを研究する『天体力学』が中心となっていました。

その後、19世紀末には『天体分光学』が、20世紀に入ってからは量子論や相対論などの物理学をベースとした『天体物理学』が導入され、長い歴史を持つ天文学はここにきて飛躍的に進歩することになりました。

天文学の大きな分類

天文学は天体と宇宙を研究する学問です。古典天文学と呼ばれる位置天文学と天体力学、20世紀になってから飛躍的に研究が進んだ天体物理学と宇宙物理学という分類ができます。

天体の位置を研究する位置天文学

位置天文学は、その名の通り『天体の位置を研究する学問』です。天体位置測定学と呼ばれることもあります。

個々の天体の天空上での位置を測定することで、天体の位置の確定・運動の研究を行うことが目的です。その研究は単純なものではなく、年周視差による距離の計測や、長期間に渡る位置の観測による固有運動の計測も含まれます。

古典天文学の一つでもあるので、すでに研究しつくされたと考えられてきましたが、衛星や電波干渉計が開発されたことで、飛躍的に観測精度が向上しました。

そのため、これまではわからなかった物理量の精度が高まり、有意義な研究につながっています。

天体の動きを研究する天体力学

天体の運動を研究する『天文力学』は、動力学的天文学と呼ばれることもあります。

ケプラーの法則(惑星の運動に関する三つの法則)が発見されてからは軌道運動の解析は大きく進み、ニュートンが万有引力の法則と運動方程式を作り上げたことで本格的な研究が行われました。

その他、宇宙物理学などもある

上記の古典天文学の他には、天体の状態や進化などを研究する『天体物理学』、宇宙の構造や起源などを研究する『宇宙物理学』などが急激に進歩してきました。

特に宇宙物理学においては、20世紀に入ってからの躍進が目覚ましく、宇宙の成立や宇宙エネルギーに関する現象を研究する新しい学問として捉えられています。

実は「宇宙は何でできているのか」、「どのように始まったのか」、というような基本的な疑問がわかってきたのはつい最近のことなのです。

ちなみに、人類の研究では『宇宙の96%について、まだ到達していない』といわれています。

天文学の歴史

天文学の歴史は、科学技術の進歩と共に歩んできたものです。天文学の研究の対象はどんどん広がり、最新の技術でその対象を追い続けているのが現在の天文学といえます。ではその天文学は、どのような歴史を辿ってきたのでしょうか。

古くは紀元前から始まる

長い歴史のある中でも、最も古い天文学は位置天文学です。四大文明の一つであるメソポタミア文明において、遊牧民は家畜の餌である牧草が生える時期を知る手掛かりにするために、星座を考案しその動きを把握していたといわれています。

また同じく四大文明であるエジプト文明においても、農耕における種蒔きの時期を正確に把握するために天体の運動を活用していました。

このように『暦』を知ることが、天体の位置を研究するスタートになったと考えられています。

17世紀に望遠鏡が発明される

天文学の進歩に大きく貢献した発明というのが、望遠鏡です。1609年に、ガリレオが発明したレンズを使った屈折望遠鏡により、太陽の黒点、月のクレーター、木星の衛星などが発見されました。

同じ時期に、惑星の動きを研究し、その観測結果から法則を発見したのがケプラーです。1609年にケプラーの第1法則と第2法則を、1618年にケプラーの第3法則を発表しました。

その後、このケプラーの法則をベースにして、万有引力の法則を発見したのがニュートンです。この発見により、天文現象を力学的に扱う天体力学という新しい天文学が誕生しました。

また、ニュートンは1688年に凹面鏡で光を集める反射望遠鏡を発明するなど、天文学の発展に大きく貢献しました。この凹面鏡は、大型化しても光の損失が起こらないことから、『すばる望遠鏡』のような巨大な望遠鏡にも応用されています。

19世紀には写真での記録が可能になる

19世紀に入ると、写真技術が発明されて1840年頃には天文学にも導入されるようになりました。これまでは記録媒体がなかったのですが、写真による天体の記録が可能になりました。

長時間の露光により、天体がどのような動きをするのかを詳細に観測出来るようになり、また、19世紀の後半には光を波長ごとに分けたスペクトルを調査できる分光技術も導入されました。

20世紀前半には、天体の元素組成なども詳細に調査できるようになりました。そして、1928年にハッブルが衝撃の発表を行います。

それは、銀河のスペクトルの分析によって、『遠くにある銀河ほど速いスピードで地球から遠ざかっている』という事実でした。

そして、20世紀後半には電磁波による観測も開始されるなど、天文学はさらに大きく発展しているところです。

天文学史に残る大きな発見

天文学は5000年以上の歴史がある学問なので、そのポイントとなる歴史的な転換点というのがいくつか存在します。

よく知られている『コペルニクス的転回』という言葉も天文学から生まれた言葉ですが、転換点と呼ばれるタイミングではどのような大きな発見があったのでしょうか。

コペルニクスが提唱した地動説

1543年にコペルニクスが提唱したのが、『地動説』です。当時の一般的な宇宙観は、地球が止まっていて天空が動く『天動説』でした。それに対し、コペルニクスは地球を含む惑星は太陽系の中心にある太陽の周りを公転する概念を発表したのです。

この概念の学術上の名称は『太陽中心説』といいますが、キリスト教会の権威として裏付けがあった天動説に対する『異端』として迫害を受けたとされています。

その後、ガリレオが1610年に木星の周りを回る衛星の観測を出版し、さらにティコ・ブラーエが調査した精密な惑星の観測データから、ケプラーが1619年に惑星運動の法則(ケプラーの法則)を導き出しました。

その後、ニュートンが万有引力の法則を発見し、地動説が完全に確立することになりました。

実は、コペルニクス以前にも『地球が動いている』という考え方は存在しました。しかしながら、コペルニクス以前の地球が動いているとする説は地動説と呼ばないのが一般的です。

惑星の観測が正確になったケプラーの法則

天文学にとって、大きな転換点を作ったのがケプラーとティコ・ブラーエです。彼ら二人の尽力によって発見されたのが、惑星の観測データを解析することで発見された惑星の軌道・運動についての法則であるケプラーの法則です。

ケプラーの法則は第1法則から第3法則まであります。

  • 第1法則…惑星は太陽を中心として、惑星によってそれぞれ決まった形・大きさの楕円の軌道上を公転する
  • 第2法則…太陽と惑星を結ぶ線分は、同じ時間に惑星ごとにそれぞれ同じ面積を覆いながら公転する
  • 第3法則…惑星の「太陽からの平均距離の3乗」と「公転周期の2乗」との比はどの惑星でも一定になる

これらの法則からは、以下のことがわかっています。

  • 第1法則と第2法則…太陽に向かう力は、太陽からの距離の2乗に反比例する力であること
  • 第2法則…惑星に働く力は、常に太陽に向かうこと(角運動量保存則)
  • 第3法則…すべての惑星について同じ力の法則があてはまること

これらの法則は、ニュートンが万有引力の法則を発見して裏付けされたものです。

アインシュタインの相対性理論

天才物理学者アインシュタインが発表した相対性理論。この理論は、特殊相対性理論と一般相対性理論に分かれています。前者は「すべての慣性系で物理法則は同じ」というもので、後者は「すべての座標系で物理法則は同じ」というものです。

この理論は物理学を超えて天文学にも大きな影響を与え、天文物理学という新しい天文学を生み出しました。

有名な天文学者といえば

それでは、これまで天文学の発展に寄与してきた有名な天文学者にはどのような人物がいるのでしょうか。

ガリレオ・ガリレイ

16世紀後半から17世紀前半にかけて活躍したイタリアの物理学者・天文学者、ガリレオ・ガリレイです。

1609年に自ら製作した望遠鏡で天体観測を行い、木星の4大衛星や金星の満ち欠け、太陽の黒点、天の川が恒星の集まりであることなどを発見しました。

これらの発見は1610年に出版された『星界からの報告』にまとめられ、1632年には『新天文学対話』で地動説を擁護し、ローマ法王庁から弾圧を受けた悲劇の学者でもあります。

アイザック・ニュートン

ガリレオから遅れること100年近く、17世紀後半から18世紀にかけて活躍したイギリスの物理学者といえば、ニュートンです。

1672年に反射望遠鏡を発明し、1703年からは王立学会会長にも就任しています。ニュートンの功績は何といっても万有引力の法則の発見です。この法則により、天文学界における最大の発見の一つであるケプラーの法則が裏付けされました。

また、1687年に出版した『プリンキピア』では、ハレーすい星を発見したエドモンド・ハレーが尽力したことも知られています。

アルベルト・アインシュタイン

天文学のみならず、さまざまな学問に影響を与えた天才物理学者が、アルベルト・アインシュタインです。ドイツ生まれ、ユダヤ系アメリカ人の彼はスイス連邦工業大学を卒業した後、1914年にベルリン大学の物理学教授に就任しました。

この間に気体運動理論、光電効果の光量子理論、特殊相対性理論を発表、そして1914~16年には一般相対性理論を発表しました。これらの発表により、物理学の歴史は大きく変わり、1921年にはノーベル物理学賞を受賞しました。

アインシュタインに関しては、自分が光の速さを追いかけるという不思議な夢をきっかけに相対性理論にちて至ったという逸話もあります。また、アインシュタインは親日家としても知られて、好きな食べ物として天ぷらを挙げているそうです。

天文学者のタイプ

天文学者はのタイプは大きく分けて3つに分類されますが、それぞれどのような仕事をしているのでしょうか。

天体を観測するための装置を作る装置屋

天体の観測は望遠鏡で行いますが、観測目的や観測対象によって観測装置を使い分けて研究を行っています。『装置屋』と呼ばれる天文学者は、最新の技術を活用した高性能の装置を作って新たな観測方法の手助けをしています。

そのため、装置屋に必要な資質となるのは、「絶対にできない」と思われていることを実現する根気・根性です。学術的な部分だけでなく、精神面の強さも求められるのが装置屋という仕事なのです。

天文を実際に観測する観測屋

続いて、『観測屋』と呼ばれる天文学者の仕事についてです。観測屋は、その名の通り宇宙の様子を実際に観測することを仕事としています。

具体的には、公募観測を行っている天文台に観測の提案をして、厳しい提案競争に勝ち抜くことで求められます。観測できることになった暁には、観測手順をオペレーターに指示して集めた観測データを解析し論文を書くことになります。

最近は北半球では最も良い観測地とされるハワイ島のマウナケア山頂(高度4200m)にある『すばる望遠鏡』を使う日本の観測屋が増えています。

観測屋に必要な資質は、とにかく良い天候を引き寄せることです。悪天候では、最高級の望遠鏡であっても役に立ちません。

観測結果から考える理論屋

最後に『理論屋』の仕事を紹介しましょう。理論屋は、観測屋が導き出した結果からさまざまな結論を導き出します。

宇宙はずっと膨張を続けているので、その調査対象は無限大で、最近ではコンピュータ内でシミュレーションする研究も増えています。

しかしながら、宇宙の全容が解明されるのはまだまだ時間がかかるといわれています。そのため、理論屋の仕事がなくなることはないでしょう。

加えて、ひらめきやセンスが求められる難しい仕事でもあります。

天文学が勉強できる入門書

このように、天文学は専門的な内容を多く含みますが、アマチュアの愛好家もたくさんいます。ちょっと宇宙や天空に興味のある方におすすめしたい、書籍を3冊ご紹介しましょう。

14歳からの天文学

「宇宙人は存在するのか」「ブラックホールは何でも吸い込んでしまうのか」「宇宙の外には何があるのか」など、誰もが疑問に思うことを解決してくれる本です。

天文学者である福江純氏が、このような疑問を脱線しながらも解説していきます。意識的に、考えさせるような内容を盛り込むなど、天文学についての興味が深くなるように工夫されています。

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眠れなくなるほど面白い 図解 宇宙の話

地球の生い立ちはもちろん、月にまつわる謎や、太陽と惑星の素顔から宇宙論まで、最新の天文学や宇宙物理学をベースにして優しく解説してくれる一冊です。

約50のテーマについて、最新の研究結果に基づいた新しい宇宙の姿・理論がよくわかる仕上がりとなっています。

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星の王子さまの天文ノート

全世界で8000万部を超えるヒット作である、サン=テグジュペリ著の『星の王子さま』。この物語をベースにした挿絵と共に、国立天文台の縣秀彦氏監修のもと、ふと見上げたときに楽しめる夜空の秘密を丁寧に紐解いていく一冊です。

春夏秋冬別の星座早見表も収録しているので、天文学初心者でも気軽に手に取れる入門書となっています。

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天文学は天体や宇宙を研究する学問

天文学を知るということは、天体や宇宙のことを研究する学問です。しかしながら、それだけではなく、宇宙の一部である地球上に住む私たちが何者かを知ることにもつながります。

人類の根源を知る上でも天文学は有意義なものなので、興味のある人は簡単な書籍からでも手に取ってみてはいかがでしょうか。

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