小説を書く際に大切なのが、小説の設計図となるプロットをしっかりと作りこむことです。プロットを作るメリットや書き方を解説します。作成のときに役に立つサービスやソフトを使って、より魅力的なプロットを作っていきましょう。
小説を書くのにプロットは必要か?
そもそも、プロットを作る必要はあるのでしょうか。じっくりとストーリーや設定を練るよりも、「思いつくままに小説を書きたい」という人もいるかもしれません。
しかし、プロットを作ることには大きなメリットがあります。小説の執筆を考えている人は、まずプロット作りから始めることをおすすめします。
プロットとは?
あらすじは読者を惹きつけるためにストーリーを要約したもので、プロットは、作家が小説を執筆する際に使うストーリーガイドのようなもので、つまり『小説の設計図』といえます。
起承転結をざっくりとイメージするだけのものであったり、どのようにストーリーを進行させるのかを綿密に練ったものであったり、人によってスタイルは大きく異なります。
共通しているのは、『物語の流れや設定を整理して決めておく』ということです。
プロットは必要?
プロットというのは、小説執筆をテーマにしたサイトや本で、必ず紹介される作業ですが、プロットがなければ小説が書けないというわけではありません。
しかし、プロットがないと物語の方向性がブレたり、最初と最後で矛盾してしまったり、伏線をうまく張れなかったりというデメリットがあります。
また、プロットを作ることにより小説のテーマが明らかになったり、結末から逆算してキャラクターを動かしたりできるというメリットがあります。そのため、プロットを作った方がよいといわれています。
プロットなしで書くプロ作家もいる
もちろん、プロットを作らずに思いつくままに書いていって、完結するまで走りきるという人もいます。
そういった人たちはキャラクターを作るのがうまく、キャラクターが勝手に動いて物語が進んでいくタイプ、もしくは、シナリオを単純明快にし、あとは筆力やキャラクターで作品を魅力的に見せるのです。
こういった執筆方法はいわゆる天才型に分類できるので、そうでない人はプロットを作る方が無難です。
プロットの書き方とは
プロットの書き方は人によって千差万別です。しかし、物語の骨組みになることを考えれば、どのようなことを考えて作っていくべきなのかという基礎は存在します。
その基礎を押さえつつ、自分が最も執筆しやすいと思うプロットの書き方を見つけていきましょう。
プロットは自分の小説の設計図
プロットは実際の小説とは違い、他の人に見せるためのものではありません。あくまで自分が小説を執筆する際に使うものなのです。そのため、どのように書くかは人によって異なります。
プロットで大事なのは、『テーマ・設定・登場人物・ストーリー』の4つです。例えば、以下のようになります。
- テーマ:仲間との絆
- 設定:中世ヨーロッパ風ファンタジー
- 登場人物:名前や年齢、見た目、口ぐせなど
- ストーリー:王国騎士として活躍することを夢見た主人公が仲間と共に冒険する
ほかにも、一人称で書くのか三人称で書くのか、人間関係はどう変化していくのかなどのアイデアも書き込んでいきます。
書き方はノートでもパソコンでもOK
プロットを作るときは、ノートに手書きしても、パソコンでメモ帳やwordに打ち込んでもOKです。
手書きのメリットは、自由にどんどん書き足せるところ、関係図やキャラクター設定の絵なども書き加えやすいというところです。一方デメリットは、常に持ち歩く必要があるうえ、アイデアの量が増えると整理しづらいというところです。
パソコンでプロットを作る場合、コピー&ペーストや書体の装飾でアイデアを整理しやすく、量が増えても把握しやすいというメリットが挙げられます。
しかし、パソコンの前にいないとすぐに書き込めないうえ、手書きよりもフレキシブルさが低いというデメリットがあります。
見本としてプロ作家のプロットを見てみよう
いざプロットを作ろうと思っても、どんなふうに書いたらよいのかイメージがわかない人もいるでしょう。そんな人は、公開されているプロットのサンプルを見て、イメージを膨らませていきましょう。
プロットのサンプルを探すには、GA文庫の公式ページをチェックすることがおすすめです。ライトノベルのプロットがいくつか公開されています。
また、『拝啓、本が売れません』という本のなかでは実際の著者のプロットが公開されているので、参考にするとよいでしょう。
書けない人はテンプレートの使用も視野に
それでもプロットが書けないという人は、『テンプレートを使ってみる』というのも一つの方法です。
テンプレートとは、ジャンル・登場人物・読者ターゲット・世界観・プロローグなど、プロットに必要となる要素を一覧にしているものです。それを埋めていくことでアイデアが具体化され、プロット化することができます。
プロット制作に役立つアプリやツール
スマホやパソコンを使ってブロット制作を行う人は多く、プロット作りに役立つアプリやツールも多く登場しています。
そういったツールを使いこなすことで、より快適にプロットを作ることができます。
WorkFlowy
『WorkFlowy』というサービスは、AndroidとiPhoneのスマホで使えるアプリと、パソコンで使えるウェブブラウザバージョンがあるので、クラウド化していくつかのデバイスから利用することができるのが特徴です。
このサービスは『アウトライナー』といい、考えやアイデアを理論的に整理するのに適しています。とくに、文章を書いたり箇条書きしてグループ分けしたりするときに活躍します。
例えば、『第1章』『第2章』というカテゴリーを作っておき、第一章に対するアイデア、第二章に対するアイデアを詰め込んでいくことができます。
Nola
『Nola』は、小説のあらすじからプロット、そして登場人物を管理することができる、作家に向けたエディタツールです。
仕組みはとても簡単で、『プロット』のメニューをクリックし、『起承転結』のなかから膨らませたい部分を選んで書き込んでいくだけです。
プロットの他にも、『テーマ』『編集』『登場人物』『世界観』というメニューがあるので、それを順番に埋めていくことで、簡単に小説の設定を整理することができます。
執筆に役立つソフト Windows編
小説を書く際、パソコンで執筆する人も多いのではないでしょうか。そんな人は、自分のパソコンのOSにあった執筆に役立つソフトを使えば、さらにスムーズに小説を書くことができます。
Windowsを使っている人は、以下で紹介する3つのソフトが小説執筆におすすめです。
TeraPad
「余計な機能は必要ないから、とにかくシンプルにひたすら文章を書いていきたい」という人におすすめなのが、この『TeraPad』です。
メモ帳感覚で使えるので、普段ソフトを使わない人も簡単に使いこなすことができます。左側に行数が書いているのも魅力の一つです。
空白や改行コードを自動認識してくれるので、ウェブ小説を書く予定の人にとくに向いています。
O`s Editor2
文章を書きたい、それを印刷したいという人に向けて作られたのが、この『O`s Editor2』というソフトです。
印刷のプレビューのような画面で執筆するので、書籍化を目指している人におすすめできます。
また、縦書き、横書きなどの書式をスタイルとして登録することで、簡単に切り替えることができます。執筆途中でもA4の横書きにしたり原稿用紙にしたりと、素早くスタイルを変更できるのも特徴です。
さらに、ページ数や文字数の最大値を決めることで、規定文字数に足りているのかどうかがすぐにチェックできます。小説の賞に応募したいという人にとっては、とても嬉しい機能です。
Art of Words
小説執筆に特化されているのが、『Art of Words』です。このソフトを使えば、伏線のメモやシーン設定などができます。伏線をいくつも張った長編を書いたり、登場人物が多い物語を書いたりするときに役立ちます。
さらに、このソフトには『アイテム』というメニューがあります。ファンタジーやSF、ミステリーなどで重要になるもの、例えば『魔法』『乗り物』『証拠』などを整理することが可能です。
このソフトはとても内容が充実しているにもかかわらず無料で使うことができるので、「一度エディタツールを使ってみたい」という人はぜひインストールしてみましょう。
創作支援ツール ArtOfWords – Stand-alone Community
執筆に役立つソフト Mac編
執筆に役立つソフトがあるのは、Windowsだけではありません。Macのために開発されたエディタツールも多くあります。Macを使っている人は、以下で紹介する執筆ソフトを使って小説を書いていきましょう。
iText Express
フレキシブルなテキストエディタとしておすすめなのが、『iText Express』です。このソフトでは、原稿用紙に縦書きのスタイルにしたり、小説の禁則ルールを設定したりすることができます。
シンプルなソフトであるがゆえに動作が軽く、長編になっても執筆にストレスがないという魅力があります。
「iText Express」をMac App Storeで
Hagoromo
『Hagoromo』は、日本語で文章を書く人に向けたテキストエディタです。縦書き編集や原稿用紙設定にできることはもちろん、ルビを振ったり圏点を設定したりすることができます。
ソフトの特徴としては、検索置換機能が優れていることが挙げられます。細々とした作業を減らすことができるので、執筆に集中できるでしょう。軽いエディタソフトなので、動作も軽快です。
細かく設定や世界観を作り込むならプロットを
小説を執筆する際は、下準備がとても大切です。細かい設定や世界観を作り込んでいくのであれば、それを整理していかなくてはいけません。そのときに大事になるのが、『プロット』です。
プロットの作り方や使い方を知り、適したツールを使って、より魅力的なプロットを作っていきましょう。