日本酒の『精米歩合』とは?味や香り、価格に与える影響をわかりやすく解説

2019.07.04

日本酒のラベルには、原材料名、アルコール度数、内容量、精米歩合などが書かれています。このうち「精米歩合」が何を意味するのかご存知でしょうか?実は、この精米歩合の意味を知っていれば、日本酒の味や香りを一目で判断することができるのです。この記事では、日本酒の豆知識として精米歩合について詳しくご説明します。

精米歩合とは?

精米歩合(読み:せいまいぶあい)とは、日本酒に使われる米の精米の程度を表す割合のことです。正式には「白米の玄米に対する重量の割合」であると定められており、簡単に言えば「もともとのお米(玄米)を100%として、そこからどれくらい米を削っているか?」を表す数値となります。

たとえば「精米歩合90%の米」といった場合、その意味するところは「玄米の状態から周囲を10%削っている米」ということになります。玄米には「糠(ぬか)」と呼ばれる殻のようなものが付いており、これを取り除いて白米にするために米を削り込む作業(精米)が必要となるのです。

精米歩合は日本酒の種類によって規定がある

精米歩合は、日本酒の種類によってそれぞれに規定があります。普通酒と純米酒は規定はありませんが、本醸造酒は70%以下、特別本醸造酒・特別純米酒・純米吟醸酒は60%以下、純米大吟醸酒は50%以下です。

精米歩合の測り方

精米歩合の測り方には様々な方法があり、主に酒造米については「重量精米歩合」が主に使われており、その中でも「見掛精米歩合」「真精米歩合」の2種類の方法が使われています。

「重量精米歩合」と「見掛精米歩合」

重量精米歩合は重量によって歩合を測る方法で、「白米重量÷玄米重量×100」で歩合を割り出します。通常の重量精米歩合は「見掛精米歩合」と呼ばれ、米一粒一粒の磨き具合にバラつきがあっても平均化した見掛けの歩合として値が算出されます。

「真精米歩合」

一方、「真精米歩合」は玄米と白米それぞれ千粒を抜き出した「千粒量」で測る重量精米歩合のこと。「見掛精米歩合」に比べてより精度の高い歩合を算出することができるため、高品質な日本酒の証明として重要な算出方法となっています。

精米歩合で味や香りはどう変わる?

普段食べるお米で意識することはあまりない精米歩合ですが、日本酒の世界においてはたびたび注目されます。たとえば、「獺祭 磨き二割三分」などは業界においても前例を見ないほどの極めて低い精米歩合「23%」を実現したということで、大きな話題となりました。

精米歩合の高低が日本酒とどんなかかわりがあるのかについて、詳しく解説していきます。

精米歩合による味や香りの違い

先述のとおり、精米歩合の数値が低く高価だからといって、必ずしも日本酒の品質の良し悪しとは直結しません。ただし、精米歩合と日本酒の味わい自体には、大きなかかわりがあります。

精米歩合の数値が低いということは、米の表面を削り、米の内部だけを使用しているということ。米は外部と内部で成分の含有比率が異なり、外部ではタンパク質や脂質の含有率が高くなり、内部にいけばいくほどデンプンの含有率が高くなります。

タンパク質・脂質は、多すぎると雑味になってしまいますが、米らしいクセや旨みを生む要素と考えられています。一方でデンプンは、米の甘みの素となる成分であり、一般にデンプンの含有率が高いほど美味しい米といわれます。つまり、米を磨けば磨くほど、米の甘みが強調され、クセが取れた味わいになるということです。

このため、精米歩合の数値が低い日本酒は、「吟醸香」などと呼ばれるフルーティな香りと爽やかな甘みが感じられ、すっきりとした飲み口のものに仕上がりやすいのです。一方で精米歩合の数値が高い日本酒は、米らしい旨みと香りが強く感じられ、コクが強調された仕上がりになることが多いといえます。このように、精米歩合を知っておくことで、ある程度日本酒の味わいを区別することができるようになるでしょう。

精米歩合による価格の違い

精米歩合の高低は、必ずしも日本酒における美味しさの差を意味するわけではありません。しかし、精米歩合の数値が低いということは、その分原料となる米の表面を磨き込んでいるということであり、使える部分が少なくなってしまうため、原料費が高くつく傾向があります。

単純な計算でいえば、たとえば精米歩合90%の米を使った日本酒と、精米歩合45%の米を使った日本酒であれば、原料費に2倍もの差がつくことになります(後者が前者の2倍高くなる)。さらに、精米歩合の数値を低くすればするほど米がもろくなり、高度な技術と手間暇がかかるため、その点もコストに大きく影響してきます。そのため、精米歩合の数値が低い日本酒は、そうでない日本酒に比べて比較的高値で売り出されることが多いのです。

ちなみに、よく聞く「吟醸酒」「大吟醸酒」といった名称は、この精米歩合が一定の基準を超えた日本酒だけが名乗ることができるものであるため、一般に普通酒と比べて高級品として扱われます。

精米歩合別・おすすめの日本酒

ここからは、おすすめの日本酒を精米歩合別にご紹介します。おすすめの日本酒は数多くありますが、今回は1つずつセレクトしてご紹介していきます。

精米歩合60% 千代むすび 純米強力

最初に紹介するのは精米歩合60%の「千代むすび 純米強力」です。この日本酒は、なめらかな喉越しとコク、そして、強力米特有の酸味が特徴で、アルコール度数は15%に仕上げられています。飲み方は、熱燗でも冷やしても、常温でも構いません。自分の好きな飲み方で味わってみてください。

  • 商品名:千代むすび 純米強力
  • 内容量:1800ml
  • 参考価格:2,700円(税込)
  • Amazon商品ページ

精米歩合70% 諏訪泉 田中農場

続いて紹介するのは精米歩合70%の「諏訪泉 田中農場」です。この日本酒は、アルコール度数16%。山田錦を使用し、米の旨みとかすかなにが味が特徴となっています。肉料理などに合わせるとグッと旨みとキレが増します。ぜひ、合わせてみてください。

  • 商品名:諏訪泉 田中農場
  • 内容量:720ml
  • 参考価格:1,458円(税込)
  • Amazon商品ページ

精米歩合の高い日本酒・低い日本酒を紹介

精米歩合の数値は、低ければ低いほど手間暇がかかるため、価値が高く高級酒とされてきた日本酒。しかし最近はあえて食用米と同じくらいの精米歩合でつくる「低精白酒」も登場し、徐々に人気を集めています。一方で、精米歩合の低さを極限まで突き詰めた銘柄なども生まれており、日本酒業界において「精米歩合の高低」は常に重要なトピックスとなっています。

米独特の味わいが魅力の「低精白酒」

日本酒は一般的に精米歩合が70%以下のものを「純米酒」、75%以上になると「普通酒」と呼ばれます。低精白酒は普通酒よりもさらに高い、精米歩合80%から90%の高い歩合の米でつくられた日本酒のことを言います。

米の外側のタンパク質による米独特の味わいや、元来は雑味と捉えられてきた辛味や苦味が残る大胆な味わいが特徴。フルボディのワインのような飲み口で、和食よりもステーキなどに合わせるのがおすすめです。

精米歩合80% 天の戸 美稲

続いて紹介するのは精米歩合80%の「天の戸 美稲」です。この日本酒のアルコール度数は15.8%。精米歩合80%ということもあり、米の味をたっぷりと味わうことができます。お燗にするとやわらかな旨みが増し、よりダイレクトに純米酒の旨みが堪能できるのもおすすめするポイントです。

究極のこだわり!精米歩合1%の最高級日本酒「光明」

90%以上の高い精米歩合の低精白酒が注目を集める一方で、究極まで磨き上げた精米歩合1%の高精白米を使用した「光明」は、上新粉の香り豊かな最高級の日本酒として約10万円という高値で発売されています。

精米歩合1%の米は小さく丸くなり、もはや原型を留めていない見事な削りっぷり。極限まで磨き上げることで生まれる、品格のある甘さと花のような香りが特徴で、なんと1%まで磨き上げるのに約75日もかかっているという究極の高精白酒です。

日本酒を選ぶときは精米歩合に注目して選んでみよう

精米歩合は、米がどの程度削られているかを示す数値ではありますが、その数値を見ることで、その日本酒の味や香りをある程度把握することができます。そのため、自分の好みの味や香りの日本酒を見つける目安にもなります。次に日本酒を選ぶときには、この「精米歩合」に注目して選んでみてはいかがでしょう。

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