ラグビーのタックルはなぜ行われるのか。ルールや怪我のまとめ

2018.09.09

ラグビー観戦を楽しむには、基本のルールを知ることが大切です。特に『タックル』は、体でぶつかり合うプレーの1つなので見ごたえがありますが、怪我が多く、ルールを守ることが必須となります。タックルの基本やプレイヤーの義務などを解説します。

タックルとは

ラグビーをあまりよく知らない人でも『タックル』という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか?タックルは生身の体でぶつかり合うプレーの1つなので迫力満点です。

ラグビーというスポーツにおいて、タックルがどのように定義されているのかを解説します。

ラグビーの基本プレーの1つ

『タックル』はボールを持った選手をつかまえ、ボールを地面に触れさせる、または地面に倒して前進を阻むプレーです。

相手の攻撃を止めるだけでなく、ボールを奪うチャンスを作るという目的があります。体当たりで相手選手に組みつくため、かなりの迫力があり、ラグビーの見どころともいえるでしょう。

相手を捕らえ、倒すというプレーであるため、常に怪我の危険性がつきまといます。禁止事項やルールも多く、ただ単にぶつかっていけばいいというわけではありません。

ナイスタックルとは

ラグビーに参加する選手は、体格も身長もさまざまです。そのため、自分と相手の体格差などを考慮した上で効果的なタックルをする必要があります。

チームメンバーに勇気を与え、ゲームの流れを変えるようなタックルは『ナイスタックル』とよばれます。

ナイスタックルの条件としては、『相手の前進を止めること』と『パスを阻むこと』『守りから攻めへとチェンジさせること』などが挙げられます。

相手チームの選手は、タックルされながらも味方にパスを出して攻撃を続行しようとします。それを阻止し、ボールを奪うことができれば『ナイスタックル』ということがいえます。

日本のラグビー教育では、『足をしっかり固定した低いタックルが理想』とされています。

タックルに関するプレイヤーの義務

タックルは全身でぶつかっていくプレーなので、常に危険がつきまといます。そのため、タックルした選手(タックラー)とタックルされた選手には、必ずしなければならないいくつかの義務があります。

タックルしたプレイヤーの義務とは

まず、タックルした選手は、タックル後は速やかに相手選手を放し、退かなければなりません。タックルが成立した後は、1度立ち上がってから、相手選手のボールを奪います。

タックル後、相手選手や相手選手が持っているボールから手を離さず、抱え込む行為は反則と見なされます。この行為は『ノットロールアウェイ』とよばれます。

タックルされたプレイヤーの義務とは

タックルされたプレイヤーにも義務があります。相手にタックルされた場合は、ただちにボールを手放さなければなりません。ボールを味方にパスする・地面に置く・転がすなどが含まれます。

タックルされて倒れ込んだ後も、ボールを抱え込んで離さない行為は反則と見なされます。この行為は『ノットリリースザボール』とよばれ、相手側にペナルティーキックを与えることになります。

タックルされた後の他のプレイヤーの動き

タックル後は、タックラーもタックルされた選手もただちにボールから離れる決まりがあります。他のプレイヤーは状況を即座に判断し、ボールを争奪することが求められます。

タックル成立後、タックル地点にいる他のプレイヤーのことを『アライビングプレイヤー』とよびます。

アライビングプレイヤーは、必ず両プレイヤーの『後方』から『立って』プレーに参加するという決まりがあります。

ボールの上に倒れ込んだり(ライングオンザボール)、タックル地点に飛び込んだりしてボールを獲得する行為(ダイブイン)は反則となります。

タックルの基本

タックルは、正しい姿勢や強い意志が必要になります。ここでは、正しいタックルの基本について解説します。

姿勢

タックルにおいては『姿勢』が最も重要です。姿勢がよくない場合、中途半端なタックルで相手を倒せないばかりか、怪我に繋がってしまうこともあるのです。

日本においては『低い姿勢のタックル』が基本とされています。海外選手など体の大きなプレイヤーに対抗する場合、相手の腰から下を狙い、下から上へ力をかける方が、素早く相手を倒すことができるためです。

この姿勢はスクラム時と同じであり、初心者はスクラムの姿勢を徹底的に体に覚えさせる必要があるといえるでしょう。

タイミング

タックルをする選手は、踏み込むタイミングをしっかりと見極めなければなりません。ラグビーで相手を倒しきれないのは、姿勢がよくないことに加え、ベストなタイミングでヒットしていないことが挙げられます。

また、腕全体を使って相手を抱え込むことを『バインド』といいますが、タックルにはこのバインドも重要になってきます。

  • 頭を下げずにタイミングよくタックルできているか
  • バインドで相手をしっかりと捉えているか
  • タックル後の立ち上がりは素早いか

タックルがある場面ではこのようなポイントに注目しましょう。

タックルバックを使用した練習

タックルの入り方、踏み込む足の位置は、『タックルバック』を利用して練習するといいでしょう。試合中のタックルは常に相手が動いているため、相手に動いてもらう練習も必要です。

慣れてきたら、実際にボールを持っている相手にタックルする練習に切り替えます。タックラーは、膝をついて構えるところから、タイミングよくタックルするところまでを徹底的に練習します。

ポジショニング

ポジショニングとは『タックルに入る時の位置決め』のことを指します。

低めのタックルが好ましいといわれますが、相手の体格や状況によって足の入る位置が変わってきます。ポジションを即座に判断し、タイミングよく入る練習をしましょう。

タックルは、相手の『腰・膝・すねor足首』のいずれかから入ります。たとえば、背の高いプレイヤーが相手の場合、膝から入ると顔を蹴られる危険性があります。

また、相手のスピードを止めるには『すねor足首』の低い位置にタックルをするのが効果的です。

このように、相手や状況によって変えていくということが求められるでしょう。

ルール上で反則となる危険なタックル

自分も相手も怪我をしてしまう可能性のある危険なタックルについて解説します。

以前はペナルティが課されるだけだったタックルも、近年は、イエローカードまたはレッドカードになることが増えています。

首より上へのタックル

首より上のタックルは『ハイタックル』とよばれます。頭部を直撃する可能性があり、危険行為と見なされています。

意図的でなくても、結果的に首よりも上にタックルしてしまった場合は、『無謀な接触』と見なされ、イエローカードまたはレッドカードとなります。

2017年度より、レッドカードの判定が多く出されていることから、判定者の目はより厳しくなっていることが窺がえます。

持ち上げて落とすタックル

相手を地面から持ち上げるようにしてぶつかり、上半身や首、頭から地面に落とすような形にするタックルは、危険なタックルと見なされ、ペナルティが課されます。

この原因は、相手との体重差や、圧力のかけ方、足の引き方などが関係しています。

タックル時は、腕全体を使って相手を抱え込む『バインド』が必要になります。バインドを伴わない『ノーバインドタックル』は相手が吹き飛び、地面にたたきつけられるため大変危険です。

タックルで起こり得る怪我

ラグビーのタックルは、常に危険や怪我と隣り合わせです。タックルで起こりやすい怪我の中でも、特に気を付けたいものを3つピックアップしました。

肉ばなれや捻挫

肉ばなれと捻挫は、ラグビー以外のスポーツでもよく起こり得る怪我ですが、強い筋力を出したり、ぶつかりあったりするラグビーではより頻繁に起こるといえるでしょう。

『肉ばなれ』は筋膜や筋線維が損傷してしまう外傷で、のびた状態の筋肉に負荷がかかり、急激に収縮することで起こります。ふくらはぎや太腿に多く、普段から筋肉の柔軟性を高めておくことが予防に繋がります。

『捻挫』は関節の可動域を超えたときに起こるスポーツ外傷です。足首が腫れて歩行が困難になるため、幹部を固定して安静にすることが必要です。

バーナー症候群

『バーナー症候群』は『一過性神経根損傷』ともよばれ、頚部を強く屈曲・伸展することで、バーナーに焼かれたような痛みが走る症状です。しびれや脱力感を感じる場合もあります。

ラグビーのみならずレスリングなどの格闘技で起こることが多く、軽度が軽いものから、重篤な麻痺に至るものまで、症状のレベルはさまざまです。

これは上肢を支配する神経が圧迫されることが原因で、治るまでに数日から2週間ほどの期間を要します。

普段から筋肉を鍛え、柔軟にし、頚部を守ることが必要です。

頸椎椎間板ヘルニア

『頚椎』には沢山の神経が通っています。各頚椎の間には『椎間板』という部分があり、頚椎を支えるクッションの働きをしています。

『ヘルニア』とは、ある部分が本来の位置から外れてしまった状態のことを指します。つまり、『頸椎椎間板ヘルニア』とは、椎間板に強い負荷がかかり、外へ飛び出してしまう症状のことを指します。

神経が圧迫されるため、しびれ・脱力感・痛みなどを感じます。治療後も、首が動かしにくくなるなどの後遺症が残るケースがあり、ラグビー選手にとっては致命傷といえるでしょう。

相手から強いタックルを受けるラグビーは、頚椎の怪我に十分注意しなければなりません。

危険という認識だけでなく本質の理解を

体当たりで挑むラグビーは、怪我がつきもので、ルールに詳しくない人から見れば、『タックル=危険』という印象があるかもしれません。

もちろん、ルール違反の危険なタックルもありますが、本来は、相手に危害を加えるものではなく、『ボールを奪うため』の1つのプレーなのです。

正しいタックルは、チーム全体の流れを変え、メンバーに勇気を与えます。ラグビー観戦をするときは、選手がどのようなタックルをしているかに注目してみましょう。

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