思わず人に話したくなる。実際に行われた心理学の興味深い実験を紹介

2019.07.02

『心理学』と聞くと、どのようなイメージを抱くでしょうか?学問と聞いただけで、難しそうと感じる人もいるでしょう。しかし、心理学はとても面白い分野です。心理学をより身近に感じるために、興味深い用語などについて触れていきます。

心理学とは?

現代では、さまざまな分野で心理学が活用されています。しかし、心理学と聞いて、端的かつ的確にその内容を説明できる人はあまり多くいません。そこで、心理学とは何かについて見てみましょう。

心の動きを解明する学問

心理学は、人の心の動きを解明する学問です。別のいい方をすれば『ある物事に対して、人の心がどのように反応し、どのような行動をとるのかについて科学的に研究すること』となるでしょう。

このような事が起こったら人はどう思うのだろうか。こういったら他人はどう感じるのだろうか。そのようなことを予見できれば、いろいろな問題の解決につながります。それを学ぶのが心理学なのです。

心理学の歴史

古代より進められてきた心理学ですが、1879年にドイツのライプツィヒ大学で、哲学を専門としていたヴィルヘルム・ヴント教授が『心理学実験室』を開設したことによって、現代心理学として科学的に研究されるようになったといわれています。

この心理学実験室では、被験者に音などの外的刺激を与え、何を思い、何を感じたのかについて聞き取り調査が行われました。

『内観法(刺激に対する反応を抽出し、心的要素として解析すること)』と呼ばれるこの実験を通して、発生する事象に対して人はどう思うかが徐々に解明されていきました。

この内観法を通して、心理学は学問として次第に確立していったのです。

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覚えておきたい面白い心理学用語

心理学に興味・関心を持った人に向けて、覚えておきたい心理学用語について解説します。心理学の面白さがわかり、より理解も深まるでしょう。

印象を操るハロー効果

ある物事を評価する際に、一つの印象的な特徴に引きずられてしまい、他の部分の評価が歪められることがあります。これを『ハロー効果』といいます。

例えば、超難関大学を卒業したAさんがいます。その大学を卒業したことと、企業で行う事務作業においても有能であることは、本来別の問題です。しかし、難関大学卒業と聞いて、事務作業も有能に違いないと思い込む人もいます。

そのような効果について示したものが、ハロー効果です。ハロー効果の影響を受けているとおもわれることは、日常生活にあふれています。目につきやすい特徴に引きずられることなく、バイアスを取り払おうとすることも重要かもしれません。

相手に好意を持たれるミラーリング

興味深い心理に『ミラーリング』もあります。これは、他人の言動や振る舞いを鏡(ミラー)に映すようにマネることで、自分に好意や親近感を抱かせるテクニックです。

ミラーリングと類似し、関連するものに『類似性の法則』があります。人間は、自分と同類の人に対して好感を抱きやすいとする心理を指すものです。こうした心理は、たとえば営業活動などにおいて、わざと相手と同じ行動をしてみたり、相手との共通点を探してそれをアピールすることで親近感を抱かせるといった形で用いられています。

話を信じ込ませるバーナム効果

誰にでも当てはまることをいわれただけなのに、自分のことをいい当てられたと勘違いしてしまうことがあります。これを利用したテクニックが『バーナム効果』です。

「自分を理解してくれた」と誤解させると、その後の信用が得やすくなり、その人の指摘は何でも正しいと判断してしまいます。バーナム効果を用いて、セールスや占い、人生相談などを行う人もいるようです。ときには、相手の指摘や意見に注意を払い、本当に自分だけに当てはまることなのか、誰にでも当てはまることを言っていないかを疑ってみることも必要でしょう。

心理学の興味深い実験や事例

心理学が発展してきた過程において、とても興味深い実験や事例検証も数多く行われてきました。その中から、いくつか見てみることにしましょう。

思い込みの力?ノーシーボ効果

レベッカ・フェルカー氏は、1996年に次のような研究結果を発表しました。「自分は心臓病にかかりやすい」と思い込む女性の死亡率は、そう思わない人の4倍にものぼったというものです。

また、極端な例ですが、ガンではないのにガンと誤診されたことで体調を崩し、思い込みによって死を迎えてしまったという事例も報告されています。

このように思い込みが悪く作用してしまうことを『ノーシーボ効果』と呼び、逆に、良い方向に向かうことを『プラシーボ効果』といいます。

肩書きで性格が変わる監獄実験

『スタンフォード監獄実験』とは、人の振る舞いと『肩書き』との関係を探るために行われたものです。スタンフォード大学のフィリップ・ジンバルドー教授は、新聞広告で21人の被験者を募り実験を行いました。

その内11人を看守役に、10人を受刑者役に振り分け、被験者は教室を改修した監獄で共同生活を行うように命じられました。すると共同生活の時間が経つにつれ、看守役は受刑者役をあたかも本当の悪人のようにとらえ、冷酷な対応をする傾向が見られました。

看守役たちは、誰に言われるまでもなく反抗した受刑者役たちに罰を与え、実験の中止を訴える受刑者役の意思に反して実験を続けることを強く望んだのだそうです。

肩書きと行動が、その人の性格に影響を及ぼすことを示す実験結果です。看守という肩書きを与えられただけで、無作為に選ばれた「普通の」人間が残忍な性格に変わっていくというのは、少しゾッとしてしまいますね。

忘れたいことほど覚えるシロクマ実験

アメリカの心理学者ウェグナーは、1987年に『シロクマ実験』を行いました。三つのグループの人たちにシロクマの映像を見せ、次のような指示を出す実験です。

  1. シロクマのことを覚えておいてください
  2. シロクマのことは覚えていても覚えていなくてもどちらでも構いません
  3. シロクマのことだけは絶対に考えないでください

すると、シロクマの映像に関する記憶は、絶対に考えないでくれと頼んだ第3グループが最も高かったのです。

これは、ダイエットしているときの気持ちを想像すると理解しやすいでしょう。やめなければ、と思えば思うほど、より求めてしまう気持ちと通じています。

心理学の面白い本

心理学は、学問の一つです。「学問に関する本はつまらない」と感じる人もいるでしょう。しかし、心理学には、とても面白い本がたくさんあるのです。

心理学・入門 ー心理学はこんなに面白い

人の心の動きや対人関係には、実に不思議なことが起こります。身近なことから感じる不思議について分かりやすく解説している本書は、心理学の入門書として打ってつけの1冊です。

抽象的な概念や、心理学の理論についてのありきたりな説明に終始することなく、読者の興味に沿って理解しやすく書かれています。

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嫌われる勇気

『嫌われる勇気』は、対人関係に悩む多くの人にとって解決への指針となり得る貴重な本となり、国内でもベストセラーになりました。

心理学界の三大巨匠と呼ばれる著者のアドラーは、「人間の悩みはすべて対人関係のみにある」と断言し、トラウマを否定しています。この特徴は、現代の日本において、とても必要だと評価されています。

嫌われる勇気とは、どのような気持ちのことを指しているのでしょうか。現代人は、他人に評価されたいという『承認欲求』を満たそうと、ムリに相手に合わせ、嫌われないように振るまいます。

アドラーは、この不自由さこそが、悩みを生む原因であると唱えるのです。だからこそ「嫌われる勇気を持ちなさい」というアドバイスを、五つのパートに分けて解説しています。

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スタンフォードの自分を変える教室

本書は、世界15カ国で刊行され、累計60万部を超える売り上げを記録しています。心理学関連の書物としては異例のヒットとなりました。

この書の中では、人間の意志が実際の『行動』に大きな影響を与えていることを説いています。一度きりの人生を最高の人生にするための1冊となるでしょう。

著者は、意志の強い・弱いを、先天的なものだと考える人が多い風潮を指摘しつつ、意志は適切な方法をもって強化できると説いています。

精神論に陥ることなく、実践的な方法を与えてくれる点で、多くの指南書とは一線を画す名著として推薦できるでしょう。

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  • 価格:799円(税込)
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心理学はこんなにも面白い

心理学は、奥が深い学問です。しかし、決して難しいだけではありません。

初心者でも楽しく学べる切り口が、心理学には数多くあり、誰もが興味を持って接することができるものです。

この機会に、多様で面白い心理学に、ぜひ触れてみてはいかがでしょうか。

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