フレーバーってなに?今さら聞けない意味や役割、使い方を徹底解説

2019.06.29

フレーバーコーヒーやフレーバーウォーターなど、近年よく耳にするフレーバーという言葉をご存知でしょうか? そもそもフレーバーとは何なのか、どのように作られ、どのように使われているかなど、フレーバーの概要について解説します。

フレーバーとは?

フレーバーという言葉を知っていても、いまいちその意味が分からない人も多いのではないでしょうか?まずはフレーバーの基礎知識として押さえておきたいポイントについて解説します。

食品に使われる香料

フレーバーとは食品に使われる『香料』のことです。食品に香り付けをすることを目的としています。

フレーバーそのものに味はありませんが、香りによって味が知覚され、この感覚のことを風味や香味と呼ぶことがあります。例えばガムなどはフレーバーによって味を感じることができる食品です。

フレーバーの目的

食事は舌で味覚を楽しむだけではなく、視覚や嗅覚を使って楽しむものです。特に香りは食事のおいしさに深く関わっています。フレーバーは香りによって風味を感じさせることが主な目的です。

風邪などで鼻が通らないときにご飯を食べても味を感じないのは、味覚と嗅覚が密接な関係にあることを示す例だと言えるでしょう。

また、フレーバーと似たような意味合いでアロマという言葉が使われますが、フレーバーは『食品を口に含んだときに感じる風味』であるのに対し、アロマは『食品そのものの香りを指す言葉』です。

フレーバーの目的は、風味によって食品をよりおいしく感じるようにするためです。逆に言うとそれ以外の目的はありません。

フレグランスとの違い

フレーバーと似た言葉に『フレグランス』があります。

香料の世界ではフレーバーが食品香料と呼ばれるのに対し、フレグランスは香粧品香料と呼ばれ、食品以外全般である化粧品や芳香剤、スキンケア用品、洗剤、入浴剤などに使われています。

しかし、香料の世界以外でもフレグランスという言葉が使われます。例えば、コーヒーを例に挙げてみましょう。カフェに行くとコーヒー豆を焙煎する香りが漂っています。これをフレグランスと表現することもあるのです。

コーヒーを注文し、カップを口元に持ってきたときに香るのがアロマ、コーヒーを口に入れたときに感じる香りがフレーバーと 言います。

フレーバーの役割は3種類

食品の香り付けに使われるフレーバーは、ただ単に香りを付けるだけのものではありません。フレーバーの持つ三つの役割について解説します。

香りを加える付香

付香とは、その名のとおり香りのない素材に香りを付けることです。

炭酸飲料やガムなどに用いられることが多く、香りを付けることで嗜好性を高めています。

例えば、無果汁のオレンジジュースなのにオレンジの味がするのは、オレンジのフレーバーが使われているからです。また、かき氷シロップは基本的に同じ原材料を使っていますが、香料と着色料を変えることでイチゴ味やレモン味を再現しています。

香りを補う補香

補香とは加工過程で失われた素材の香りを補う役割のことを指します。素材本来の香料を補うことで、製品の均一性を保つのが目的です。

例えば、加熱によって滅菌をするレトルト食品や、オーブンで焼成するクッキーなどは、水分の蒸発によって本来の香りが失われてしまうことがあります。

そこで、フレーバーを使って素材の持つ本来の香りを補うのです。

香りを抑えるマスキング

マスキングとは、食品の持つ臭いを抑えることです。食品そのものが持つ臭いや発酵臭、あるいは加工段階で発生した臭いを他の香りで覆うことから、マスキングの名前で呼ばれています。

例えばクッキーやプリンなどのお菓子は、材料に使用する小麦粉の臭いや卵の生臭さを感じることがありますが、バニラフレーバーなどを使えばこれらの臭いをマスキングすることが可能です。

フレーバーの形と使い方

フレーバーは天然成分や化学成分を組み合わせることで香りを生み出します。この生み出された香りをベース(フレーバーベース)とし、さまざまな形に加工して使いやすくなったものがフレーバーです。フレーバーの形と使い方について解説します。

水に溶かせる水溶性香料

水溶性香料とはエッセンスとも呼ばれるものです。フレーバーベースにアルコールと水を加えて溶かすことで香りを抽出します。他の香料に比べるともっとも香りが強く、フレッシュな印象の強い香料です。

また、水に溶けやすく耐熱性がないのが水溶性香料の特徴です。主にソフトドリンクやアイスクリーム、ヨーグルトといった加熱を必要としない食品に多く用いられるほか、医療用製剤にも使われることがあります。

耐熱性のある油溶性香料

油溶性香料はオイルとも呼ばれます。フレーバーベースを植物性油脂やグリセリンなどの油に溶かしたものです。水溶性香料とは逆に水に溶けにくく、熱を加えても香りが飛びにくい耐熱性が特徴です。

クッキーやケーキ生地のような焼き菓子、チョコレート、ガム、ホットドリンクなど熱を加えて作られる食品に用いられます。また、高熱で滅菌するレトルト食品に使われるのもこの油溶性香料です。

まろやかな香りの乳化香料

乳化剤などを使って、フレーバーベースを乳化したものが乳化香料です。エマルジョンとも呼ばれます。まろやかな香りと、香りの保留性の高さが特徴です。

超微粒子構造なので水に入れると均一的に分散して濁る性質があります。濁りのあるフルーツ系の清涼飲料水やアイスクリーム、医療用製剤などに用いられます。

取扱いやすい粉末香料

フレーバーベースを乾燥などによって粉末化したものが粉末香料です。他の香料に比べて安定性が高く、計量も容易にできるため取り扱いしやすいのが特徴です。

ただし熱により香り成分が揮発することがあり、また水溶性香料のようなフレッシュさには欠けるというデメリットもあります。

粉末香料は主に粉末スープやインスタント食品、ラムネなどの錠剤菓子、チューインガムなどに用いられます。

フレーバーの原料は2種類

そもそもフレーバーはどのように作られるのでしょうか? フレーバーは製造方法によって天然香料と合成香料の二つに分けることができます。それぞれの特徴について解説します。

動植物から作る天然香料

天然香料は動植物を素材にし、圧搾や蒸留といった物理的加工のほか、酵素で処理をすることで成分を抽出します。これらの成分を単体、または複数種類組合わせて作られるのが天然香料です。

天然香料のほとんどが花や果物など植物由来のものですが、近年では牛や豚、鶏などの食肉や、カツオやホタテ、エビやカニなどの魚介や甲殻類から抽出することも増えています。

天然香料は食品衛生法で定義されており、使用できる動植物約600種類が『天然香料基原物質リスト』に収載されています。

化学反応を利用して作る合成香料

一方、合成香料は化学反応を利用して作られる香料です。

合成香料はさらに二つの種類に分けることができます。一つは石油化学工業やパルプ工業などで作られる化合物から作られる香料です。こちらは安価に大量生産できるため、香水や芳香剤などのフレグランスとして使われることがほとんどです。

もう一つは食品用途に使われる合成香料で、食品に含まれる成分と化学構造が同一な『ネイチャーアイデンティカル物質』と、食品に含まれていることは確認できていないが安全な物質である『アーティフィシャル物質』に分けることができます。

なお、『アーティフィシャル物質』はまだ種類が少なく、現在食品に使われている香料はほとんどが『ネイチャーアイデンティカル物質』です。

フレーバーの安全性は?

食品添加物として食品に香りを付けるフレーバーですが、気になるのはその安全性です。フレーバーの安全性について解説します。

合成香料も成分はほとんど同じ

合成香料は化学反応を利用して作られるため、安全性が気になるという人も少なくないでしょう。しかし、化学的な視点で物質の分析をすると、合成香料は天然香料や食品に含まれている成分と同一なものがほとんどなのです。

例えば、バニリンという物質があります。これは木材パルプ工業などの副産物として作られるリグニンを原料に合成されたバニラの香り成分です。合成によって作られたバニリンは、天然のバニラ豆に含まれるバニリンと同一のものであることが確認されています。

その他、フルーツ香料として使われるエステル類は多くのフルーツに含まれている物質ですし、甘い香りが特徴的なラクトンも乳製品に含まれている物質です。

このように化学的に合成された香料だからといって、必ずしも摂取を避けるべき物質というわけではないということが分かります。

香料の安全性の特徴

香料は食品添加物の一種です。他の食品添加物に比べ、以下のような特徴があります。

まず、必要以上に添加すると食品としての価値を損なうという特徴です。そもそも香料は加工食品の風味を、本来の食品が持つ風味に近づけるために添加されます。

この風味は自然である必要がありますから、自ずと添加される香料の量も限られてきます。必要以上に香料を添加すると風味よりも不快感が勝ってしまい、食品として成り立たなくなる可能性があるのです。

また、香料の成分のほとんどは、本来の食品に含まれている香り物質と同じということも特徴の一つです。当然、食品に含まれている香り物質の量の方が後から添加される香料の量よりも多いと言えます。

さらに、食品本来の香り成分がそれほど多くないため、添加する香料も少なくて済むという特徴があります。ほとんどの食品は強烈に匂うということがありません。その匂いを補う意味で香料を添加するのであれば、必然的に添加量は少なく済みます。

これらの特徴から、他の食品添加物と比較して、食品に香料が過剰に添加されるということはほとんどないと言えるでしょう。

食品添加物の安全性の試験をクリアしている

食品添加物は厚生省の定める『食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針』に基づいた試験で、安全性が確認されたもののみを使用することができます。

この試験は一般的な毒性を調べる試験のほか、繁殖試験や発がん性試験など特殊な毒性を調べる試験を通じ、食品添加物の安全を確認するものです。

香料も食品添加物の一つですから、この試験をクリアして安全性が確認されているものが使われています。

フレーバーが使われているもの

フレーバーはどんな食品に含まれているのでしょうか?フレーバーが使われている主な食品を紹介します。

コーヒーなどの飲料

コーヒーはその香りが特徴的な飲み物です。仕事の合間に缶コーヒーで一息つくという人も多いのではないでしょうか。

缶コーヒーは充填の際に高温高圧で滅菌されます。このとき熱によってコーヒーの香り成分が分解されてしまうため、香りを補うために耐熱性のあるフレーバーが用いられることが多くなります。

ビスケットやチョコなどのお菓子

コーヒーのお供にぴったりなビスケットやクッキー、パイのような焼き菓子にはバニラフレーバーを中心に、バターやクリームのフレーバーが多く使われます。

これらのお菓子はオーブンで焼成するため、水分の蒸発とともに香り成分も飛んでしまうことがほとんどです。そのため耐熱性のフレーバーが用いられます。

また、チョコレートにはバニラの香り成分であるバニリンが使われることが多く、また香りを補強するためにチョコレートフレーバーやミルクフレーバーが使われることもあります。

市販の調理食品

調理食品とは主にレトルト食品や冷凍食品のことを指します。レトルト食品はパッキングする際に加熱による滅菌処理を行います。そのため耐熱性の高いフレーバーが用いられることがほとんどです。

また、電子レンジで調理する冷凍食品、例えば冷凍ピザなどは焼けや焦げを再現することが難しいというのが一つの課題です。

そこで使用されるのが『クックドフレーバー』と呼ばれるフレーバーです。加熱によって褐色物質を生み出す反応であるメイラード反応を起こすフレーバーを用いることで、焼けや焦げが再現されています。

食肉・魚肉の加工品

食肉加工品、例えばハムやソーセージにも香料が用いられます。肉本来の生臭さをマスキングするとともに、食欲を増進させるために、天然スパイスを蒸留して作った精油を原料とするフレーバーを使うほか、『ミートフレーバー』や『スモークフレーバー』といったフレーバーで香り付けをすることがあります。

また、魚肉ハムやソーセージも食肉加工品と同様にスパイス由来のフレーバーを用いて魚の臭いをマスキングするほか、近年ではカニやホタテなどのフレーバーが使われるケースも増えているようです。

フレーバーのプロをフレーバリストという

フレーバリストという仕事をご存知でしょうか?フレーバリストとはフレーバーのプロのことで、フレーバリストによって日々新しいフレーバーが研究・開発されています。フレーバリストの特徴について解説します。

パヒューマーとの違い

フレーバリストと似ている仕事にパヒューマー(調香師)があります。パヒューマーは食品以外に用いられる香料(フレグランス)を調香する人のことで、花や植物を素材として新しい香りのイメージを作り出すことが主な仕事です。

一方フレーバリストは、食品用の香料であるフレーバーを扱い、『食品をよりおいしくするために香りの研究・開発をしている人』を指します。食品だけでなく歯磨き粉やタバコなど、基本的に口にするものも取り扱い対象です。フレーバリストは主に食品メーカーや香料メーカーで活躍しています。

近年はアロマテラピーなど香りの持つ効果が注目されていることから、飲食物の香りに関わるフレーバリストも人気の高い職業です。

フレーバリストに必要な能力は?

フレーバリストには、香りを嗅ぎ分ける力と香りを組み立てる力の二つの能力が必要です。

香りを組み立てる力はさらに三つに分けることができ、香りの原料や素材のこと理解する化学的な素養、新しい香りを生み出す創造力、生み出した香りを評価する客観力が必要になります。

ただし、香りを嗅ぎ分ける力は機械分析に、生み出した香りを評価する客観力は専門部署や外部機関に依頼するケースが増えているそうです。

したがって、フレーバリストを目指すのであれば、これらの能力を全て身につけるよりも、素材の持つ特徴をしっかりと理解し、その知識をもとに『新たな香りを生み出すことができる創造力』が重要だと言えそうです。

フレーバーは食品に使われる香料

フレーバーは食品に添加される香料のことです。フレーバーは風味や香味を感じさせるために必要なもので、普段私たちが食事や飲み物をおいしく味わえる背景には、フレーバーの力が少なからずあると言えるでしょう。

食品添加物だからといって摂取を避けたりせず、フレーバーの特徴を理解したうえで食事を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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