万学の祖『アリストテレス』は何がすごいのか?膨大な業績を5分で解説。

2019.06.28

アリストテレスはプラトンと並ぶ古代ギリシア哲学の巨人です。しかし彼の何がどうすごいのか、いまいちぴんと来ないという方もあるでしょう。そこでこの記事では、アリストテレスの偉大さをわかりやすく紹介していきます。

アリストテレスってどんな人?

まずアリストテレスとはどんな人物かおさらいしましょう。

プラトンの弟子でアレクサンドロスの教師

アリストテレスは紀元前4世紀のギリシアの哲学者です。18歳頃からアカデメイア学園でプラトンに学び、プラトンが死ぬと38歳でアテネを去り、その後マケドニア王の招きでアレクサンドロスの家庭教師となりました。

やがてアレクサンドロスが即位するとアテネに戻り、学園リュケイオンを開設して若者の教育に当たりました。またこの間にもアリストテレスは500巻以上の本や講義ノートを書きました。残された著作から、わたしたちは彼の哲学を知ることができます。

プラトンの哲学との違い

師のプラトンと同じく、アリストテレスの関心も真理の探求にありました。またこの世界は人間も含めて『善・完成』を目指しているという目的論的な世界観も、プラトンから受け継いでいました。

ただアリストテレスは、「いま目の前に広がるこの世界」つまり現実世界を主な哲学の対象としました。この点、精神世界を対象に論を展開したソクラテスやプラトンとは違います。プラトンの哲学が観念論的、アリストテレスの哲学が経験論的と言われるゆえんです。

アリストテレス最大の功績とは

ではアリストテレスの何がすごいのか?それは、それまでのギリシア哲学を整理して、ひとつの体系にまとめたことにあります。

それまでのギリシア哲学を整理した

アリストテレス以前に、ギリシアの学問はすでに様々な分野で花開いていました。ホメロスやヘシオドスの叙事詩、タレスやデモクリトスの自然哲学、ピタゴラスの数学、アイスキュロスをはじめとする演劇、ヒポクラテスの医学、ソフィストたちの弁論術、そしてソクラテスとプラトン……。

アリストテレスはこれら全てを整理したのです。だからアリストテレスの著作を読めばギリシア学問がひととおり見渡せます。例えば、万物の根元を理論的に追求した初めての人としてタレスを位置づけたのも、アリストテレスでした。

「学問」をつくった万学の祖

そしてアリストテレスは自らの研究成果も追加し、これらの学問をひとつの体系に仕立てました。彼の体系は、まず道具としての「論理学」があり、そのうえで理論・実践・制作という3つに分けられます。

「理論」には形而上学や自然哲学が、「実践」には政治学などが、「制作」には詩学・演劇学などが含まれます。つまりアリストテレスは2000年以上も前に、現代につながる学問体系を一人で整備し、しかもそれら全てをマスターしていたのです。

これは大学で例えるなら、文理を問わず全ての学部で教授が務まるようなもの。まさに「万学の祖」と呼ばれるにふさわしい人物です。

アリストテレスの論理学

アリストテレスの業績のすべてを語りつくすのは不可能です。ここでは彼の「論理学」を、最後にすこしだけ紹介します。

物事の真理を探求するには、論理的に考えること(=論理的推論)が大切です。ただ論理的推論にも、様々な方法があります。アリストテレスはそれらを分類したうえで、特に演繹的な推論を研究しました。

演繹的推論とは、数学のように、規則と前提条件から結論を導くという推論の仕方です。なかでも「三段論法」と呼ばれる方法を、アリストテレスは初めて整備しました。三段論法とは、例えば以下のようなものです。

  1. 全ての動物は、死ぬ。
  2. 全ての人間は、動物である。
  3. よって全ての人間は、死ぬ。

一般化すれば

  1. 全てのMは、Pである。
  2. 全てのSは、Mである。
  3. よって全てのSは、Pである。

こうした文はそれぞれ「全ての~」「ある~」「~である」「~でない」の4パターン作れます。そして結論が「S→P」となる組み合わせは全部で4つあるので、4の4乗=256パターンの三段論法が考えられます。

しかしそのうち正しい推論は19パターンのみです。こうした(素人から見ればややこしい)推論の仕方とその正誤をアリストテレスが整備したおかげで、のちの数学やコンピュータの発展もあったのでした。

アリストテレスの後世への影響

アリストテレスがいかに知の巨人だったか、簡単に紹介してきました。彼があまりに偉大だったため、その自然哲学もまた古代ローマや中世ヨーロッパにほぼそのまま受け継がれました。

一方イスラム世界に伝わったギリシア・ローマの文献はイスラム学者によって発展し、それがヨーロッパに再輸入されたことで、ルネサンスが起こります。そしてアリストテレスの自然哲学を乗り越えようとした結果、近代科学が生まれてくるのです。

わたしたちの現代文明は、ある意味で、アリストテレス哲学の延長と克服の上にあると言ってもいいのかもしれません。

その他のテーマ

ART

CULTURE

CRAFT

FOOD

TIME