近代哲学の祖『デカルト』を5分で解説。彼の思想とその後の展開とは

2019.06.27

デカルトという名前は知っていてもデカルトの哲学が実際どういうものかわからないという人は多いはず。そんな方のために、デカルトの哲学をわかりやすくまとめました。「我思う、ゆえに我あり」がなぜ哲学の第一原理なのか、彼に代表される合理論とは何か、みていきましょう。

「デカルト座標」の生みの親、デカルトとは

ルネ・デカルト(1596-1650)はフランスの哲学者です。彼は物理学や数学の分野でも偉大な業績を残しました。算数・数学で習う「座標軸」を考えだしたのも、このデカルトです。

デカルトの活躍した17世紀は、ルネサンスや宗教改革を経て、信仰と学問とがはっきりと分離してきた時代でした。たとえば神はいるのか、人間はどういう存在か、この世界はどんな仕組みになっているのか…。こういう問題に答えるのは信仰ではなくて人間の理性であると、17世紀になってつよく主張されるようになったのです。

その代表格がデカルトでした。彼は理性を正しく活用することでだれでも真理を探究できると説き、理性の正しい使い方、つまり「方法」を提案しました。

彼の提案した方法は、現代風にいえば、合理的であることでした。この意味で、デカルトは近代合理主義を確立した哲学者であるといえます。

『方法序説』にみるデカルトの哲学

では、彼の主張した方法とは具体的にどんなものだったのか。デカルトの主著『方法序説』に沿ってみていきましょう。

『方法序説』ってどんな本?

『方法序説』はデカルトが41歳のときに発表した本です。正式名称は『理性を正しく導き、学問において真理を探究するための方法の話』。この題名のとおり、どのように理性を活用したら真理に迫れるのか、その方法を発見するまでの自伝的内容になっています。

『方法序説』は6部構成で、前半はデカルト自身の知的探求の旅が語られます。そして後半で「我思う、ゆえに我あり」が登場し、これを哲学の第一原理とすることが述べられます。

「真理を探究するための方法」とは

『方法序説』のなかで、デカルトが自らに課した精神的規則が4つあります。

  1. 私が明らかに正しいと認めたもの以外、何も受け入れない
  2. 問題をできるだけ小さな部分に分けて考える
  3. もっとも単純なものから始めて、秩序立って複雑なものへと至る
  4. 見落としがないか、すべて再検討する

1と3は数学における「公理」と「証明」に、2と4は科学における「分析」と「検証」に当たることがわかるでしょう。これこそデカルトが主張した、信仰によらず理性によって真理を探求する方法だったのです。

「我思う、ゆえに我あり」はなぜ重要?

この方法を使って、デカルトは確実な学問を再構築しようとします。ただその前にひとつ問題がありました。規則1「私が明らかに正しいと認めたもの」は、本当に絶対に正しいのでしょうか?

方法の正しさの根拠が必要だった

数学にくわしい人ならご存知のとおり、公理とは、証明はできないが確実にそうだと言える事柄です。たとえばユークリッド幾何学における「平行線公理」などが有名ですね。

ただ平行線公理が成り立たない場合の幾何学もあると、19世紀になって発見されたように、「明らかに正しい」がそのまま「本当に正しい」とはかぎりません。デカルトにとって、私が明らかに正しいと認めたものは本当に正しいのだと根拠づけしてくれる、もっと根本的な原理が必要でした。

「我思う」から神の存在証明へ

その原理が「我思う、ゆえに我あり」だったのです。すべてをつきつめて疑った結果、すべてを疑うこの私の存在だけは、疑いようもなく、ある。これだけは絶対確実なことだとデカルトは確信しました。

ここからデカルトは話を進めます。何かを疑う私は不完全な存在だ、その不完全な私が完全な神というイメージをもっている、不完全なものは完全なものに由来するから神は存在する、そして神は人間をダマさない、だから人間の理性で「明らかに正しい」と認めたものは本当に正しいのだ、と。

こうしてデカルトは神の存在証明をとおして、自分の方法の正しさを確信したのです。

デカルトの思想は近現代科学の礎となった

神の存在証明だけを読むと、デカルトは合理主義の祖であるということに異を唱えたくなる人もいるかもしれません。17世紀のヨーロッパはまだそういう時代でした。デカルトはじめ、ガリレオ・ガリレイやニュートンといった偉大な科学者たちも、神の存在自体を疑うということはありませんでした。

したがって歴史上でのデカルトの役割とは、その残した言説自体にあるというよりはむしろ、信仰ではなく合理的な方法で真理を探究しようとした、そのための具体的な方法を提案したことにこそあります。この態度が近代科学に受け継がれ、やがて現代の科学文明へとつながっていくのです。

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