バイオリンの弓毛の替え時とは?毛の種類もあわせて紹介

2019.06.26

バイオリンの弓毛を変えると音色にも変化が現れます。使われている毛の種類から特徴まで知れば、自分の思う表現に最も近い音色を見つけるきっかけとなるでしょう。見過ごしがちな松脂についても紹介しているので参考にしてみてください。

弓毛について知ろう

まずは、バイオリンの音色を奏でるために必要な弓に使われている、馬毛についてチェックしていきましょう。後半では毛箱(フロッグ)についても紹介します。

どうやって音が出る?

バイオリンに張られている弦を、弓でこすると音が出る原理には、弓に使われている毛の特徴が大きく関係しています。

弓に使われている毛には、目に見えないほどの細かい『羽毛立ち』と呼ばれる突起がついています。その突起は精製されて無数の突起物を作り上げ、摩擦力を高めることによって弦を奏でているのです。

この突起物に松脂(ロジン)を塗ることにより、摩擦力が高められ、音をより一層奏でられるようになります。

突起物に細かく付着した松脂は、摩擦によって断続的に一定の振動を受け続けられる状態を生み出すのです。弦と弓の間で音が鳴る・中断されるという状態が何度も繰り返され、一つの音が生み出されていきます。

主に使われるのは馬毛

弓に使われている主な毛は『馬毛』です。弓にとって通常、唯一取り替えられる部分でもあり、消耗品ながら重要な役割を持っています。

馬毛の品質によって弓の能力を左右する、『毛替え』と呼ばれる取り替えは大きな変化を生み出すことから、慎重に行わなくてはいけません。

馬毛の質は馬に与えられている餌などによって変わり、食用肉に飼育される馬の毛は弓用としても最高品質の毛として取引されています。値段だけ見るのではなく、良質の馬毛を選ぶことが弓の性能アップに効果的と言えるでしょう。

毛箱の役割

毛箱(フロッグ、nut、枠)は、スティックの手元の部分に取り付けられ、ネジでスティックの『張力』を調整するための役割を持っています。

かえるのような見た目をしていることからフロッグとも呼ばれる毛箱ですが、極めて重要な部分だと言えるでしょう。

弓を使うときには毛箱を調節して毛を張り、使用後は緩めておくことで馬毛を長持ちさせることができます。

馬毛の替え時を知ろう

前述の通り、馬毛は消耗品のため、毛替えが必要です。交換の目安とおすすめの交換タイミングについて紹介します。

毛替えから1年以上経過

馬毛はどれだけ丁寧に扱っても、約1年経つと毛の量も減り、ボロボロになってしまいます。使用頻度が多ければ多いほど毛束も減って痩せてしまうため、寿命が短くなるのが一般的です。

何事もなく使えているとしても、徐々に劣化してしまうほか、見えないところにカビが生えてしまうケースもあることから、『1年経過したら交換』するようにしましょう。

毛の変色や切れた場合

毛替えのタイミングを見極める目安として、代表的なものは以下の通りです。ときどきは、これらが生じていないか確かめるようにしましょう。

  • 毛の根元などが黒ずんでいる
  • 毛の全体が黄色みがかっている
  • 毛が伸び切ってしまい毛箱でも張れない
  • 毛が切れて少なくなってきている

特に無茶な使い方をしないでも、多湿期や乾燥期を幾度も乗り越えているうちに毛は弱くなり、次第にボロボロになってしまうため、上記のような症状が見られたら交換しておくことをお勧めします。

定期的にチェックしてきれいな状態を保つことも、良い音色を維持するためには必要不可欠です。

演奏会の前

交換タイミングとして、意外に多いのが演奏会の前です。演奏会の日程が決まっているときは、約1週間前に毛替えをしておき、徐々に慣らすのがよいでしょう。音の質の違いは、演奏会の励みにもなります。

また、松脂を交換したときもおすすめのタイミングです。松脂でも音色は変わるため、新しい松脂を上に重ねて塗ると、混ざってしまって違いがわからないことがあります。

毛替えをしたタイミングで松脂を変えるなど、ちょうどよいタイミングで交換時期を考えてみましょう。

馬毛の種類による違いとは?

スタンダードな馬毛は使い勝手がよいですが、よりこだわりを持つのであれば馬毛の種類にも注目してみましょう。

馬毛の種類によっても、音色や表現に変化があります。代表的な馬毛の特徴と、高品質な馬毛について紹介するので参考にしてみてください。

モンゴル産の特徴

モンゴル産の馬毛は、毛の元から先までしっかりとしているのが特徴です。ひっかかりの強さとバランスのよさは、高級馬毛の代表格と言え、耐久性・レスポンス・表現力のどれをとっても高い性能でまとまっているでしょう。

中でも、厳選されたモンゴル馬毛は、選別と洗浄により高いグレードを追求されたものがあります。

毛の色が白く美しい見た目と、ピアニッシモの音域でも音の芯を捉えやすく、表情の変化も表現できると人気です。空間に広がっていく柔らかい音色の変化は、モンゴル産馬毛の特色とも言えます。

カナダ産の特徴

カナダ産の毛は、圧倒的なサラサラ感によって、滑らかでしなやかという特徴を持っています。繊細な音色でありながら引っかかりもよく、楽的な表現がしやすい点も、多くの人に好まれる馬毛と言えるでしょう。

レスポンスのよい音色は、細かい表現をしやすく、はっきりとしたニュアンスで演奏できるという利点があります。豊かな表現でクリアな音色を響かせたいという人におすすめの馬毛です。

その他の高品質な馬毛

その他にも、イタリア産の最高級馬毛やシベリア産馬毛などがあります。シベリア産馬毛は、モンゴル産とカナダ産のちょうど中間に位置する音色が特徴的で、優美ながらも柔らかさのある音色を適度なレスポンスで表現できます。

イタリア産の最高級馬毛では、ひろく艶のある華やかな音色が楽しめます。弓の個性を最大限に活かせるポテンシャルを持っており、音量感と操作性のバランスに優れていると言えるでしょう。

スタンダードな馬毛から高級馬毛まで、それぞれの特徴や音色が違います。自分の求める音色に最も近い馬毛を探すのも、バイオリンの楽しみの一つです。

毛替え後は松脂も見直してみよう

毛替えのタイミングで交換を考えるのが松脂です。松脂によって、馬毛の特徴と能力を引き出せるため、見直してみるのもよいでしょう。

松脂は音を出すのに重要

松脂は、馬毛の表面に付着することで音を出すために必要な弦と馬毛の摩擦に大きく関わります。

美しい音色を追求するためには、馬毛だけでなく松脂を吟味することも大切です。一般的に、松脂に要求される品質の基準としては、以下のものがあります。

  • 粒子が均一であるか
  • 粒子が小さいものであるか
  • 全体的にまんべんなく付くものか
  • 粘度は高すぎず、さらさらしすぎていないか

上記以外にも、細かな基準が存在し、そのため色々な松脂が販売されています。価格面だけではなく、製造しているメーカーがどのようなこだわりを持ち、その製造技術を活かして松脂を作っているのかにも注目してみましょう。

松脂の種類

松脂にも、硬さ・粒子の細かさ・弾き心地・音の立ち上がり・発音によって種類があります。同じ弓、同じ馬毛を使っていても、松脂を変えるだけで音色が変わることに、驚く人も多いでしょう。

扱いやすかったり、同じメーカーから販売されている弦に適していたりと、松脂の種類はさまざまです。今使っている弦や馬毛にちょうど良いものを見つけるためにも、毛替えの時期に交換して試してみるのがよいでしょう。

バイオリンの弓毛をメンテナンスしよう

バイオリンの弓毛のメンテナンスは、音色に大きく関わる部分のため、プロも丁寧に行っています。使う松脂や馬毛の違いは音色の違いを生み出し、奏者それぞれが違った音色と表現で音楽の世界を楽しんでいるのです。

バイオリン本体や弦だけではなく、弓の馬毛や松脂にもこだわって、気持ちのよい音色を追求してみてはいかがでしょうか。

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