毎日なにげなく手にしているボールペンを変えたら、思いがけなく書き心地が良くて驚いたり、いつもより字が綺麗に見える仕上がりになったりすることがあります。ボールペンの基礎知識をつけて、自分に合ったとっておきの1本を見つけましょう。
ボールペンの形状と種類
ボールペンは1943年にハンガリー人のビーロー・ラースローが考案した、ペン先のボールが回転して字を書くことのできるとても便利な筆記用具です。そんなボールペンの形状と種類について解説します。
ボール径の大きさで線の太さが変わる
ボールペンのペン先に、はめ込まれているボールの直径によって、書ける線の太さが変わります。
一般的に0.3mm、0.5mm、1.0mmの3種類がよく売られていますが、実際には0.18~1.6mmまでと幅広い種類の太さがあります。
コンビニやスーパーの文具コーナーなどに置かれている太さは0.3mmや0.5mmの使いやすいものが中心です。
パッケージには『超極細・極細・細字・中字・太字・極太・超極太』などと表記されており、手帳など狭いところに書くなら、0.38mmなどの『超極細』で先の鋭いものを選べば、小さく読みやすい文字が書けるのです。
1.0mm以上の極太や超極太は、大きい文字を目立たせたいとき、油性ペンを使うほどではないけれど、ボールペンでは弱いというときなどに重宝します。
コーンチップとパイプチップ
ボールペンのペン先には2つの種類があります。
- コーンチップ:一般的なペン先。円錐形で強い筆圧に耐えられる安定感がある
- パイプチップ:パイプにくぼみをつけてボールを点で支える構造
コーンチップはペン先が太く、ボール面のインキ容量が大きいのが特徴です。構造上インクの供給がスムーズで書き出しがよく、ペン先そのものも丈夫です。
パイプチップは細いチップが鋭い感覚で、なめらかな書き出しです。パイプチップの中には、ニードルチップと呼ばれるものもあり、日本の筆記メーカー『オート』が開発しました。
インクの種類と特徴
ボールペンは、使われているインクの種類にも違いがあります。『水性・油性・ゲル』などの特徴をメリット・デメリットとともにチェックしておきましょう。
サラサラとボールペン字が書ける水性インク
『水性インク』を使ったボールペンは、弱い筆圧でサラサラと流れるように書けるのが特徴です。
- メリット:なめらかに書ける。ボテが出ない。長文やアルファベット筆記に適している。
- デメリット:滲みやすい。耐久性が少なく劣化・変質しやすい。複写には向かない
『ローラーボール』とも呼ばれており、海外では油性ボールペンよりも、この水性インクを使ったボールペンが人気です。
滲まず味が出る油性インク
滲まず、高い耐水性を持っているのが『油性インク』です。世界で初めて開発されたのが油性インクを使ったボールペンです。
- メリット:インクの滲みが少なく裏移りしにくい。乾燥に強く劣化・変質しにくい
- デメリット:水性より重たい書き味。ボテが出る。使わないとインクが固まりやすい
油性ボールペンは書き味が重くて…という人も多かったのですが、『低粘度油性ボールペン』が登場し、油性でも軽やかな書き味のものも多くなりました。
ゲルなど、その他のインク
『ゲルインク』は油性インクの滲まないところと、水性インクのサラサラとした書き味などそれぞれのいいとこどりのインクです。
油性ボールペンで字が綺麗に書けなかった人が、ゲルインクボールペンに変えると、すっきりと整った文字が書けると感じることも多いようです。
ただし、インクの減りが早いというデメリットがあります。
その他には次のような種類があります。
- エマルジョンインク:油中水滴型インクと呼ばれ、油性インクゲルの中に水性インクの水滴をほんの少し入れてあるもの
- フリクションインク:消しゴムなどの摩擦熱で『消せる』ボールペン
人気ボールペンランキング上位の商品は?
商品名を気にしたことがないという人も多いボールペンには、実はランキングがあります。ランキング上位に入る商品には、優れた特徴がたくさんあるのです。
ジェットストリームシリーズ
『ジェットストリームシリーズ』は、なめらかでスラスラと書きやすいとリピーター続出の人気ボールペンです。インクの逆流防止機能つきで、ボテを出しません。
油性ボールペンが苦手だった開発者が、1万回以上もの試作を繰り返して作られた珠玉の1本で、『油性ボールペンの王者』とまで言われています。
新開発の油性インクは筆跡が濃くてハッキリしているのに、速乾性に優れています。
価格帯は150~5000円と幅広く、全部で130種類以上ものラインナップを展開しています。
- 商品名:油性ボールペンジェットストリーム 0.7(5本組)
- 価格:498円(税込)
- Amazon:商品ページ
ユニボール シグノ RT1
紙上を滑りすぎない、カリッとした書き味で『使うと字が上手くなるボールペン』とまで言われているボールペンです。
ゲルインクがなめらかで、インク詰まりせずにストレスなく、サラサラ書けると人気です。0.38mmという細さでありながら紙に刺さらず、軽い筆圧で書けます。
水に滲まず発色がよく色褪せしにくいので、手帳用として使う人も多い1本です。
替え芯があり、リピートし続けているファンが多く、ほかのボールペンにはもう戻れない書き味が癖になります。
- 商品名:ユニボールシグノRT1
- 価格:170円(税込)
- Amazon:商品ページ
ゼブラ スラリ300
世界初、ゼブラ独自のエマルジョンインクを採用したボールペンです。油7:水3と言った絶妙配合のインクです。
ペン先は0.5mmと0.7mmの2種類があり、濃くなめらかな発色と質感が特徴です。各4色のメタリックなボディカラーの中から選べます。
300円台という価格でありながら、公式文書を書くのにも適しています。ビジネスシーンにぴったりなクールで高級感のある見た目から、男女を問わず人気のボールペンです。
- 商品名:スラリ300ボールペン
- 価格:353円(税込)
- Amazon:商品ページ
さまざまな用途に使えるボールペン
ボールペンはもはや事務用品の域を超え、幅広い用途に使えるものも登場しています。それぞれのシーンに合わせたボールペンで、書くことがますます楽しくなりそうです。
ゲルインキボールペン ジュース アップ
ゲルインキボールペンジュースアップは、ゲルインキボールペンジュースの新作として2016年8月に登場したばかりのボールペンです。
水性顔料ゲルインキを使用しており、激細でありながらくっきりとした発色の良さは群を抜いています。
パイプチップとコーンチップの良いところを融合させた『シナジーチップ』という新しい構造を持つペン先は、0.3mmと0.4mmの2種類があります。ボールペンで最も細かい線を描きたい人に大注目されています。
- 商品名:ゲルインキボールペン ジュースアップ
- 価格:316円(税込)
- Amazon:商品ページ
イラスト描きにも最適なカラーバリエーション
ジュースアップの特徴の一つにカラーバリエーションの豊富さがあります。基本色10色、パステルカラー6色、メタリックカラー6色の計22色です。
そのため手帳などの細かい文字にとどまらず、イラストなどの繊細な曲線描きから、色付けまでボールペン一つで行えます。
パルテルカラーには白色もあり、真っ黒い紙にも書いて楽しむことができるなど、アーティストにも好まれるボールペンなのです。
オート 水性ボールペン 筆ボール
筆ボールという商品名からもわかるように、ペン先が筆のように太いのが特徴のボールペンです。
1.5mmの大きなボールから繰り出される文字は、筆ペンのような表現ができるので、はがきや手紙のあて名書きに使う人が多いようです。
筆ペンや毛筆はどうにも苦手で…という人でも思わず、自分の文字がランクアップしたように感じられる『とめ・はね』の表現ができるのがこの筆ボールなのです。
- 商品名:Ohto Fudeボールペン
- 価格:140円(税込)
- Amazon:商品ページ
プレゼントに喜ばれる高級ブランド3選
ボールペンは生活の中で欠かせない筆記用具です。特に、大人であれば鉛筆よりも断然ボールペンを手にすることが多いでしょう。
プレゼントとして贈ると喜ばれるアイテムでもありますが、永く使える逸品ぞろいの高級ブランドのボールペンが特におすすめです。
王道のパーカー
パーカーは1888年にイギリスで創業された高級筆記用具メーカーです。パーカーの製品は、丈夫さと美しさの両方を兼ね備えているため、永く使うことができるので大切な方への贈り物に最適です。
中でも『ソネットシリーズ』はサラリーマンの三種の神器の一つとも言われる大ベストセラーです。
シックで高級感あふれるデザインは持つ人を選ばず、その人らしさを生かしてくれる1本なので、きっと喜ばれることでしょう。
- 商品名:パーカーソネットラックブラックCT
- 価格:7,658円(税込)
- Amazon:商品ページ
高品質の万年筆で有名なペリカン
世界が認める高品質の万年筆で知られるペリカンは、1929年に初の万年筆を世に送り出しました。そんなペリカンはボールペンも優れた品質とデザイン、機能性から多くの人に愛されています。
『優れもの』という意味を持つ『スーベレーン』が特におすすめで、普段万年筆を持たない人にもペリカンの極上の使い心地を満喫できるとして選ばれています。
- 商品名:ペリカンボールペンスーベレーン400
- 価格:12,960円(税込)
- Amazon:商品ページ
シンプルなデザインが魅力 ラミー
1930年にドイツで生まれたブランド、ラミーの万年筆やボールペンはシンプルながらもよく見るとユニークなデザインが特徴です。
いつの時代にもまったく古さを感じさせないのは、専属デザイナーではなく、世界中のさまざまな分野のデザイナーとのコラボレーションから生み出されているからです。
シンプル派だけど、こだわりのあるあの人に贈るなら、ラミーがおすすめです。
- 商品名:ラミー2000ボールペン
- 価格:11,849円(税込)
- Amazon:商品ページ
インクが出ない時の対処法
ボールペンを使いはじめてさほど日が経っておらず、見てみるとまだインクもたっぷりと残っているのになぜか書けなくなってしまうことがあります。そんな時の対処法を紹介します。
文字が擦れてしまう原因
書いている途中から文字が擦れてしまってイライラ…。それには次のような原因が考えられます。
- インクが固まっている
- ホコリがペン先についてボールの回転が鈍くなっている
- 紙のコーティング剤(※)がペン先に巻き込まれている
- ボールペンの中心に空気が入っている
きちんとキャップをしていなかったり、ノック式でもペン先を出しっぱなしにしていたりすると、インクが固まったり、ホコリが付いてしまいます。
(※感熱紙やFAX用紙などは、紙の表面に特殊なコーティングが施されているものが多くあります)
清掃や空気抜きで改善されることも
ボールペンが付かなくなったらあきらめて捨てるという人も多いのですが、改善法もあるので試してみましょう。
- ティッシュで掃除:ペン先をティシュの上でグルグルして汚れを取る。摩擦力を利用して詰まり解消
- タバコのフィルターで掃除:タバコのフィルターにペン先をねじ込んで汚れを取る。フィルターの細かい繊維が汚れを絡め取る
- 空気を抜く:ボールペンに輪ゴムを取り付けてブンブン振り回す。ビニール袋に入れて振り回す。遠心力の働きでペン先にインクを集める
保管方法に気を付けよう
ボールペンを保管する環境にも気を配りましょう。次のような環境下ではボールペンの劣化が進んでしまいます。
- 高温の場所:高温になりやすい車内などに置きっぱなしでインクが劣化
- 低温すぎる場所:インクが冷えて粘り気が強くなり、付かなくなる原因に
- ペン先の向き:ペン先を上にしてペン立てに入れている(インクがボールに行き届かない)
布地に付いたインクのシミ抜き方法
基本的にボールペンは、書いた文字をしっかりと発色・定着させて落としにくいという前提で作られています。
そのため、完全には落とせない場合も多く、各メーカーはボールペンの汚れを素人が落とすことは汚れを広げてしまう恐れもあると注意を促しています。
それを踏まえた上での染み抜き方法を紹介します。
できればクリーニング店などの専門家に依頼することをおすすめします。
油性は当て布をして叩いて汚れを落とす
油性ボールペンのシミ抜きには次のものが必要です。
- アルコール系の溶剤『消毒エタノールなど』
- あて布
聞紙を敷いたり、タオルを用意したりするなどして、作業する部屋を汚さないようにしましょう。
できればシミの付いてしまったものと同じ生地の布切れや、目立たないところに溶剤を付けてみて、大丈夫かどうかテストしてから行えるとベストです。
- 汚れた部分に溶剤を少しずつ垂らし、あて布をして裏から叩き、あて布に汚れを移す
- あて布を取り換えながら繰り返す
- ボールペンのインクが溶け出てこなくなったら洗濯して溶剤や皮脂などを落とす
水性ボールペンはブラシで叩くように
水性ボールペンの場合に用意するものは次の2つです。
- 石けん(化粧石鹸ではなく洗濯用や純石けん)
- 水
- ブラシ
ボールペン汚れの付いている部分に、石けんと水を付けて『もみ洗い』します。手だけで行うよりは、ブラシを使って叩くようにすると、汚れが浮き上がりやすくなります。
すすいでみて、まだ汚れているようなら、もみ洗いの工程から繰り返します。最後はしっかりと石けん残りのないように洗濯しましょう。
一度紙に書いた文字を消す、薄くする方法
ボールペンはとても便利なものの、紙に一度書くと普通の消しゴムではなかなかうまく消せないというデメリットがあります。
しかし、ボールペンを消し去ることのできる優れものがあります。書いてある濃さや紙の質によっては薄くする程度にしか落とせない場合もあります。
砂消しゴムで紙を削る
最近ではあまり見かけなくなってしまった『砂消しゴム』ですが、使い方のコツさえつかめば、ボールペンの文字を消すことができる魔法の消しゴムになるかもしれません。
砂消しゴムがボールペンを消し去る仕組みは『紙の表面を削り取る』ことです。そのため強く擦りすぎると紙が破れます。
砂消しゴムは優しく持ち、消したい文字の辺りを小さく円を描くようにそっと擦るように使いましょう。
- トンボ鉛筆 消しゴム モノ砂ラバーES
- 価格:154円(税込)
- Amazon:商品ページ
ガンヂーのインキ消しを使用する
『ボールペン用』とはっきりと記載されているのが『ガンジーインキ消し』です。インドのマハトマ・ガンジーらしきおじいさんの顔のイラストがパッケージに付いている、どこかレトロな雰囲気の薬剤です。
1剤→2剤の順に塗布して汚れを浮き上がらせて取り去ります。従来の油性タイプで染料を使ったボールペンは比較的消しやすいようです。
色画用紙などに使用すると色が抜けてしまう場合もあるので、気を付けながら少しずつ行いましょう。
『壁紙やソファに付いてしまったボールペンは比較的落としやすい』という声がとても多い商品です。
- 商品名:ガンジーインキ消し
- 価格:774円(税込)
- Amazon:商品ページ
消えるボールペンを活用しよう
ボールペン自体が消せる成分のインクを使って作られている商品もあります。『パイロットのフリクション』と『三菱鉛筆ユニボールRE』の2つを紹介します。
『パイロットフリクションボールノック』は、そのインク開発に30年の時を有した、65度以上の熱で消えマイナス20度まで冷やすと色が復活する画期的なボールペンです。
つまり、繰り返し書いて消せる便利なボールペンということになります。
- 商品名:パイロットフリクションボールノック0.5mm
- 価格:258円(税込)
- Amazon:商品ページ
『ユニボールRE』は、消せるボールペンのさきがけであるフリクションの後発品になるものの、ノック式で使いやすく引けを取らないボールペンとしてユーザーが増えている商品です。
色は少し薄めで、豊富なカラーバリエーションで楽しく使えるボールペンとしてもおすすめです。
- 商品名:消せるボールペンユニボールRE
- 価格:230円(税込)
- Amazon:商品ページ
ボールペン選びは用途に合わせて
いつも何気なく使っているボールペンを今一度見直して、新しい書き心地を試してみましょう。ボールペンはどんどん進化しているのです。
字に自信がなくても、書きやすいボールペンとの出会いはきっと、自分史上最高の綺麗な文字を実現してくれるでしょう。