浴衣を着ると、いつもより少し背筋が伸びて、新鮮な気持ちになります。大人の男性にふさわしい柄や、おしゃれな小物を選んで粋に着こなしましょう。浴衣を上手にコーディネートするポイントと、おすすめのブランドを紹介します。
粋な浴衣選びと着こなし
浴衣を粋に着こなすためには、浴衣の色や柄はもちろん、帯の結び方から小物の合わせ方まで、トータルで考えることが大切です。まずは浴衣の選び方や、着こなしのコツをみていきましょう。
男性用は古風で上品なものを
女性の浴衣はカラフルで、柄も華やかなものが多いですが、男性の場合は古風でシンプルなデザインのほうが、上品に見えます。このため紺や黒、グレーなどの落ち着いた色がベースになっていることがほとんどです。
柄もスッキリした『縦縞(たてしま)』や、『沙綾形(さやがた)』のような控えめな地模様、日本の伝統的な文様である『麻の葉(あさのは)』などが好まれます。
色々ある帯の結び方
浴衣の帯にはかっちりとした『角帯(かくおび)』と柔らかい『兵児帯(へこおび)』があります。
兵児帯は結びやすく動くのも楽ですが、角帯のほうが男らしく、粋な着こなしになります。角帯の結び方には、主に下記の6種類があります。
- 貝の口
- 神田結び
- 浪人結び
- 駒下駄結び
- 一文字結び
- 与一結び
『貝の口』は別名『男結び』とも呼ばれ、男性の帯結びの基本です。最初は『貝の口』をしっかりマスターしておけば充分でしょう。神田結びは神輿の担ぎ手がよく使う結び方で、躍動感があります。
また、浪人結びは結び目が小さく邪魔にならないので、車を運転するときや椅子に座りたいときに便利です。貝の口に慣れたら、このような結び方にも挑戦してみるとよいでしょう。
小物でさらにおしゃれを
浴衣と帯が決まったら、バッグやアクセサリーなどの小物にもこだわってみましょう。スマホや財布などを持ち歩くバッグには『信玄袋』が便利です。カジュアルな雰囲気の巾着型のデザインと、渋い色柄が浴衣姿によく似合います。
ストラップやウォレットチェーンの代わりに『根付(ねつけ)』を使うのもおすすめです。
根付には凝ったデザインのものが多く、コレクターアイテムとしても人気があります。お気に入りの根付で、さりげなく個性を出してみるとよいでしょう。
また、カンカン帽やハンチングを合わせると、レトロモダンな印象になります。夏なので、ストロー(麦わら)や麻などの涼し気な素材のものがおすすめです。
浴衣の高級ブランド
続いて大人の男性にぴったりの、粋な浴衣が買えるブランドを紹介します。帯や小物などの必要なアイテムもそろっているので、着こなしの参考にしてはいかがでしょうか。
撫松庵
『撫松庵(ぶしょうあん)』は、国内で初めて着物と帯の同時販売を始めた和装ブランドです。もっと気軽に和服を楽しめるように、自宅で洗濯できる着物や個性的なデザインの着物を開発・提案しています。
デニム素材の浴衣やスタッズ(飾りボタン)がついた帯などもあり、一味違う個性的なスタイルを楽しみたい方におすすめです。
加藤商店
『加藤商店』は、京友禅の老舗工房が手がける男性用着物の専門店です。老舗らしく、古風で上品な浴衣がそろっています。
WEBサイトに、帯の結び方の動画や素材の特徴など、浴衣に関するノウハウがわかりやすく紹介されているのもポイントです。
また、浴衣、帯、腰紐、下駄、信玄袋の5点セットを購入すると、浴衣の着方や手入れ方法などを詳しく解説したオリジナルガイドブックがもらえます。初めて浴衣を着る方でも、安心して買えるブランドです。
竺仙
『竺仙(ちくせん)』は江戸時代後期に創業の、老舗呉服店です。伝統的な江戸小紋の浴衣に定評があります。
仕立て上がりの浴衣もありますが、反物を選んで仕立ててもらうのが基本です。仕立てには1カ月ほどかかるので、余裕をもって注文しましょう。
履物にもこだわってみよう
くるぶしから下が見える浴衣では、履物も意外に目立ちます。コーディネートの仕上げに、履物にもこだわってみましょう。履物選びのポイントを、男女別に紹介します。
男性の履物の基本
浴衣のときは、『雪駄(せった)』か『下駄』を履くのが一般的です。雪駄は底に金属の鋲がついていて、歩くと涼し気な音がします。
足が触れる台の部分にはイ草や麻などが使われており、裸足でも気持ちよく履けるでしょう。底には牛革を貼りますが、ウレタンなど滑りにくい素材のものもあります。
木製の台に鼻緒をつけた下駄も、ひんやりした感覚が夏にぴったりの履物です。カランコロンと鳴る音からも、夏の風情が感じられます。
下駄にもいろいろな種類がありますが、履きやすさを重視するなら定番の『右近下駄(うこんげた)』がおすすめです。音が気になる方や、滑るのが心配な方は、底にゴムが貼ってあるタイプを選ぶとよいでしょう。
女性用下駄についても知っておこう
女性も浴衣の時は、下駄を履くのが基本です。女性用の下駄には、粋な『二本歯』、草履のような形状で歩きやすい『船形』、ヒールの高い『高右近』などさまざまなタイプがあります。
鼻緒のデザインも、男性用に比べてとてもバリエーションが豊富です。洋服に合わせて靴を選ぶように、浴衣の雰囲気に合わせて形や色を選ぶとよいでしょう。
浴衣を着こなして粋な大人に
夏祭りや花火大会に、さらりと浴衣を着てくる男性には、大人の余裕を感じます。自分で帯を締めたり、小物にこだわったりすることで、一層浴衣姿が板に付いてくるでしょう。
この記事を参考にコーディネートを整えて、浴衣の似合う粋な大人を目指してみてはいかがでしょうか。