意外と知らない?「ミステリー」と推理小説・サスペンスとの違い

2019.06.24

新聞や雑誌のテレビ欄やさまざまな広告などで『ミステリー』という言葉を見かけます。創作物のジャンルとしての『推理小説』や『サスペンス』といった言葉との違いをご存知でしょうか?今回はミステリーと推理小説やサスペンスとの違いを解説します。

ミステリーとは

これまで数えきれないほど多くの『ミステリー』を題材にした映画やテレビドラマ、小説などが誕生してきました。日常的に耳にするミステリーという言葉ですが、本来はどのような意味の言葉なのでしょうか。

ミステリーは英語が語源となっています。今回はミステリーの英語での意味やジャンルの位置付けについて詳しく解説しますので、今後ミステリーに触れる際の参考にしてください。

英語で謎や不可思議という意味

ミステリーという言葉はもともと英語の『mistery』からきており、外来語として日本で定着した言葉です。英語で『謎』や『不可思議』という意味を持ち、謎解きをしながら読み進める小説でもミステリー小説というジャンルを確立しています。

もともとmisteryは、ギリシャ語の『秘密の儀式』を指す言葉が語源だと言われています。古代ギリシャやローマで行われていた儀式を指す言葉が派生してミステリーとなっているのです。

創作物のジャンルの一つ

『ミステリー』は数ある創作物のジャンルの中の一つに位置付けられています。創作物のジャンルにはアクションやコメディー、ホラーやラブロマンスなどさまざまな種類があります。それらのジャンルの一角を占めるのがこのミステリーなのです。

有名なミステリー作品は時代ごとに何度もリメイクされ、人々を楽しませてくれます。その時代にあったリメイク版を過去の同一作品と比較しながら観ると新たな発見があって楽しいものです。ミステリーは創作物において欠かせないジャンルの一つになっているのです。

推理小説やサスペンスとの違い

一見すると『ミステリー』や『推理小説』、『サスペンス』は全て同じもののように見えますが、実はそれぞれ微妙な違いがあります。映画やドラマにおいてもこれらの違いは明確に存在するので、きちんと押さえておくに越したことはありません。

ここでは、ミステリーと推理小説、サスペンスの違いについて具体的に解説します。今後これらの作品に触れる際は、これらの違いを意識しながら観ると一層魅力が伝わってくるでしょう。

推理小説はミステリーの元

推理小説は、何か事件や犯罪が発生し、その謎を解きながら問題を解決する様を描く作品です。推理小説は、小説だけでなく映画やゲーム、漫画といったあらゆる媒体で登場する『ミステリー』というジャンルの元になっているのです。

1830年代にイギリスで流行した探偵小説である『ニューゲート小説』は、イギリスに実在した監獄所が発行した犯罪の記録を元に書かれたものですが、この小説がのちの推理小説の土台になっていると言われています。

サスペンスは推理が必要ではない

サスペンスは、ミステリーや推理小説のような『推理を必要としないジャンル』です。物語の最初の段階で犯人や物語の鍵となる秘密が明かされて、それを解決していく過程で抱く不安定な心理や、そのような心理状態が続く様子を描いています。

すでに犯人は分かっているのだけど、その犯人がどのような心理状態で犯行に及んだのか、さらにその犯人をどのような過程で追い詰めるのかを不安や緊張感を味わいながら楽しむことができるのがサスペンスの特徴なのです。

おすすめのミステリー小説

本屋さんの棚には、SF小説から恋愛小説、ファンタジーからビジネス書まで数多くのジャンルの書籍が並べられています。あまたあるジャンルの中で、一番読まれている小説のジャンルが『ミステリー小説』です。

ここでは、ミステリー小説の分野で特におすすめの小説を4冊紹介します。これらの小説は、ミステリー小説が好きな方であれば高い確率で読んだことがある非常に有名な小説です。まだ読んだことがないのであればまずはこの4冊から読むことをおすすめします。

殺戮にいたる病 我孫子武丸

これまでコメディー作品からシリアスな作品まで幅広いタイプの作品を多数執筆している我孫子武丸さんが書いたミステリー小説『殺戮にいたる病』は、ミステリーファンでなくても是非とも読んでもらいたい1冊です。

本書の内容は、東京の繁華街で次々に殺人を繰り返す殺人鬼の内面を描いたものです。加害者の視点だけでなく被害者の視点も交互に取り入れながら、物語を多面的に描いています。物語の最後には誰もが予想つかない大どんでん返しが待っています。我孫子武丸の代表的な作品として非常に評価の高い作品なのです。

  • 作品名:殺戮にいたる病
  • 価格:756円(税込)
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十角館の殺人 綾辻行人

『十角館の殺人』は、近年の推理小説の草分け的存在と言われている綾辻行人の大ヒット小説です。閉ざされた孤島・角島を舞台に、7人の大学生が次々と事件に巻き込まれていく様子を見事に描いています。

物語の最後には読者の誰もが予想できなかった驚きの結末が待っており、ミステリー作家綾辻行人の小説家としての実力を存分に発揮した1冊になっています。

  • 作品名:十角館の殺人
  • 価格:810円(税込)
  • Amazon:販売ページ

そして誰もいなくなった アガサ・クリスティー

世界的なミステリー作家でありミステリーの女王と呼ばれたアガサ・クリスティーが書いた小説『そして誰もいなくなった』は、彼女の代表作とも言える名作です。孤島に集められた10人を中心に繰り広げられる緊張感溢れるスピーディーな展開や心理描写、そして予想を裏切る衝撃的な結末など、ミステリー小説の魅力の全てが詰まっています。

まだ読んだことのない方は、代表的なミステリー作品として読んでみることをおすすめします。

  • 作品名:そして誰もいなくなった
  • 価格:821円(税込)
  • Amazon:販売ページ

ハサミ男 殊能将之

覆面作家として多数の小説を執筆してきた殊能将之の作品『ハサミ男』は、ミステリー小説として非常によくできた作品として、多くのミステリー小説ファンを魅了した作品です。猟奇的な殺人を繰り返す主人公を中心にいくつもの叙述トリックを描いており、読み手の興味を沸きたてる素晴らしい作品なのでぜひ1度読んでみることをおすすめします。

  • 作品名:ハサミ男
  • 価格:950円(税込)
  • Amazon:販売ページ

おすすめのミステリードラマ

日本では名作とも言えるミステリードラマがいくつも制作されています。ミステリードラマは、映像や音楽、計算された緻密なカットなどを用い、ミステリー小説とは一味違った切り口で観るものを惹きつけているのです。

ここではこれまで放送された数あるミステリードラマの中から、普段あまりドラマを見る機会がないという方にもおすすめできるドラマを四つ紹介します。

過去の事件を追う 流星の絆

大人気作家である東野圭吾の小説でも人気の高い作品である『流星の絆』ドラマ化して放送したミステリードラマです。過去に起こった事件を追いながらテンポ良くストーリが展開していきます。原作には見られなかったコミカルなシーンも随所に取り入れられており、東野圭吾作品を見事に映像に仕上げた名作です。

恋愛要素もある Nのために

人気作家湊かなえの同名小説が原作となった作品『Nのために』もぜひ観てもらいたいミステードラマの一つです。物語の主要人物のイニシャルが全員Nというユニークな設定のもと、とある殺人事件を起点にして登場人物たちのラブストーリーが展開していきます。ミステリーだけでなく恋愛要素も楽しめるおすすめのドラマなのです。

世界観が面白い SPEC

人気ドラマ『ケイゾク』や『トリック』を手がける堤幸彦監督が手がけた渾身のミステリードラマです。特殊事件を担当する警視庁公安部の刑事たちが特殊な能力を持つ犯罪者たちと対峙して問題を解決していきます。

SPECでは人類と能力者たちの存亡をかけた戦いが繰り広げられ、壮大な世界観が見るものの心を鷲掴みにします。

ドラマのために加筆された リバース

湊かなえの小説の中でも人気が高い『リバース』は、第37回吉川英治新人賞の候補作になった評価の高い作品です。この作品を加筆して作られたミステリードラマ『リバース』では、原作とは違ったラストシーンを楽しむことができます。複雑なストーリーでありながらラストはスッキリとまとまっている、湊かなえ作品の中でもいち押しのドラマです。

おすすめのミステリー映画

国内外を問わず長い映画の歴史の中で、これまでの数多くの『ミステリー映画』が制作され、世界中で上映されてきました。人気の高い映画は俳優を変えて何度もリメイクされて上映されており、名作は時代を超えて愛される傾向にあります。

ここでは、1度は観るべきおすすめのミステリー映画を紹介します。これまで見たことのない方はDVDをレンタルしたり配信サービスを利用するなどしてぜひご覧になってください。

七つの大罪をモチーフにした セブン

キリスト教の7つの大罪を題材にして次々と発生する連続猟奇殺人事件を、ベテラン刑事と新人刑事がタッグを組んで真相を解明していきます。先鋭的なヴィジュアルシーンや残虐な殺人シーン、さらに謎の残るラストシーンなど、センスあふれる印象的な場面が随所に見られる名作ミステリーです。

三つのストーリーが並行する 怒り

吉田修一が執筆した小説が原作となっている映画『怒り』は、名監督である李相日がメガフォンを握り、渡辺謙や宮崎あおい、松山ケンイチ、妻夫木聡など多くの名俳優をキャスティングして作られた代表的な日本のミステリー作品です。

予想外のストーリー展開は観るものの心を惹きつけますが、それに加えて登場人物の人間性が随所に垣間見える骨太のヒューマンドラマに心を打たれた方が多かった人気作品です。

法廷を舞台にした 真実の行方

1993年出版のウィリアム・ディール著作の小説を原作とした『真実の行方』は、シカゴの教会で起こった大司教の殺傷事件の解明をしていくサスペンスミステリー映画です。容疑者の青年とその弁護士、そして真実を突き止めようと奔走する女性検事の3者が中心となり話が進んでいきます。

ラストの展開が予想外で後味が悪いと評判の作品ですが、その点もサスペンス映画としての面白さを増幅させている要因と言えるでしょう。

構成がきれいな ユージュアル・サスペクツ

1995年にアメリカで製作されたサスペンス映画である『ユージュアル・サスペクツ』は、麻薬密輸船の爆発事件の真相解明までの様子を、回想シーンなどを効果的に用いて描かれた構成が綺麗な名作です。

複雑かつ巧妙に練られたストーリー展開と衝撃のラストシーンは観るものをあっと驚かせてくれます。まさに『大どんでん返し』の映画として、1度は観る価値があるでしょう。

おすすめのミステリー漫画

今や世界に誇る日本の文化である漫画の中でも、ひときわ人気のあるジャンルが『ミステリー漫画』です。臨場感溢れるダイナミックな絵柄や登場人物が発するセリフ、ストーリー性溢れる展開によって読み進めると一瞬で感情移入してしまいます。

ここではおすすめのミステリー漫画をいくつか紹介します。これまで漫画を敬遠してきた方もこの記事をきっかけにして一度読んでみることをおすすめします。

BANANA FISH 吉田秋生

1980年代、別冊少女コミックに連載されていたミステリー漫画『BANANA FISH』は、WEBアンケートとメディア芸術の専門家の投票で決定する『日本のメディア芸術100選』に選ばれたことのある評価の高い漫画です。

ストリートキッズとマフィアが繰り広げる迫力ある展開は見所が沢山あります。ラストシーンでは、BANANA FISHファンたちから語り継がれる感動のラストが待ち受けています。

  • 作品名:BANANA FISH
  • 価格:1万1200円(税込)※全巻シリーズ
  • Amazon:販売ページ

Monster 浦沢直樹

第3回手塚治虫文化賞マンガ大賞や第46回小学館漫画賞青年一般部門を受賞した、浦沢直樹が描いた非常に評価の高い作品『Monster』は、一読の価値あるミステリー漫画です。

ミステリーとして話の展開もさることながら、1980年代後半から1990年代後半のヨーロッパを舞台にしたストーリー展開が読み手の好奇心を沸き立たせます。浦沢作品を読んだことのない方はぜひ1度読んで観ることをおすすめします。

  • 作品名:Monster
  • 価格:9675円(税込)
  • Amazon:販売ページ

僕だけがいない街 三部けい

『僕だけがいない街』は、時間を巻き戻すことができる特別な能力を持つ主人公が、過去に戻って自分と周囲の人々を襲う悲劇を回避する壮大なサスペンス漫画です。

通常ではありえないファンタジーな展開でありながら、細かい心理描写や登場人物の背景を丁寧に描いていて読み手の気持ちを飽きさせません。

  • 作品名:僕だけがいない街
  • 価格:5550円(税込)
  • Amazon:販売ページ

創作物以外でも使われるミステリー

これまで映画やドラマ、漫画など様々な創作媒体における『ミステリー』を紹介してきましたが、創作物以外でもミステリーは頻繁に使われています。ここではメディアや日常生活の中でよく耳にする三つのミステリーを紹介します。

ミステリーサークル

宇宙人の仕業ではないかとマスコミで取り上げられることのあるミステリーサークルは、畑で栽培されている草木などが円形に倒される現象や、草木が倒された後に残る円形状の模様のことを表します。ミステリーサークルはイギリスを中心に世界中の至る所で報告されています。

人為的に作られたものであるとされながらも、その制作理由にはさまざまな説が飛び交う、まさに『ミステリーサークル』と呼ぶにふさわしい不思議な現象なのです。

ミステリーツアー

『ミステリーツアー』とは分かりやすく表現すると、出発当日まで行き先や乗り物、泊まる宿なども明かされない分からないことだらけのツアーです。福袋や闇鍋のような、内容が分からないけれど興味がある人間の心理を上手に利用して企画されています。

冒険心のある方や好奇心が旺盛の方などは、ミステリーツアーに申し込んで分からないだらけの状況を楽しんでいるようです。

ミステリーショッパー

『ミステリーショッパー』はアメリカで誕生した背客サービス改善策の一つであり、日本語で覆面調査と言います。顧客に扮した調査員が実際にお店のサービスを受け、あらかじめ決められた項目をチェックして採点するのです。

普段店側がお客様に対しどのようなサービスを提供しているのかをできるだけ正しく評価する方法として、日本でも多くの企業がミステリーショッパーを導入しています。

ミステリーは謎や不可思議という意味

日常生活だけでなく、あらゆる創作物やさまざまな場面で使われる『ミステリー』とは、日本語で謎や不可思議といった意味を持ちます。謎や不可思議とは、あやしく異様であり、想像すらつかないことから言語でも表現できないことを指すようです。

私たち人間は、あやしいものや理解できない異様なものに対し興味を持つ習性があります。ミステリーは私たちの好奇心をそそる側面もあるのです。

推理小説やサスペンスとの違いをきちんと認識しながら、今後も身の回りにある『ミステリー』と接してみてはいかがでしょうか。

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