1億円越えも!ノーベル賞の高額賞金はどこから捻出されてる?

2019.06.27

ノーベル賞の賞金額は、時代によって異なりますが1億円を超えることもあり、大変大きな金額です。100年以上にわたって毎年輩出される受賞者への賞金は、どこから捻出されているのでしょうか?財源や気になる受賞者の賞金の使い道についてもご紹介します。

そもそもノーベル賞とは

ノーベル賞がどのような賞で、いつどのように行われているのかご存知でしょうか?ノーベル賞についての基本的な情報をご紹介します。

6つの部門からなる世界最高クラスの賞

ノーベル賞には6つの部門があります。『物理学賞・化学賞・医学生理学賞・文学賞・平和賞・経済学賞』のそれぞれの部門に毎年3人まで選出され、授与されます。このうち、経済学賞だけはノーベル氏の遺言にない、後から設立された賞です。

選考の基準は『人類のためになる最大の貢献をした者』となっており、各部門ごとに授与機関も違います。毎年ノーベル賞の受賞は世界中でニュースとなり、世界最高クラスの賞として知られているのです。

毎年選考されますが、その年に成果を上げた内容に限らず、過去の功績にも送られています。

ノーベル賞の始まり

ノーベル賞は、スウェーデンの科学者でありダイナマイトを発明した『アルフレッド・ノーベル』の遺言によって設立されました。ダイナマイトは、それまでの火薬より安全かつ爆発力が強く、土木工事などに貢献した一方で、発明までに多くの命を失いました。

また、その爆発力からダイナマイトは戦争にも使用され、ノーベルは自分の発明で多くの人が亡くなったことを悲しんだのです。そこで、発明によって得た莫大なお金を科学の発展や平和のために使いたいと、ノーベル賞を設立するよう遺言を残しました。

第1回ノーベル賞は、ノーベルの死後5年経った1901年に行われ、授賞式はノーベルが亡くなった日時である12月10日午後4時30分から行われています。

ノーベル賞の選考方法

世界的に権威のあるノーベル賞ですが、その選考はどのようにされているのでしょうか?気になる選考方法と流れをご紹介します。

分野ごとの選考方法と組織

ノーベル賞は分野ごとに選考する機関が違います。その選考基準と組織をご紹介します。

部門 選考基準 選考組織
物理学賞 物理学の分野で最も重要な発見、発明をした人 スウェーデン王立科学アカデミー
化学賞 化学の分野で最も重要な発見、改良を成し遂げた人 スウェーデン王立科学アカデミー
医学生理学賞 医学および生理学の分野で最も重要な発見をした人 カロリンスカ研究所
文学賞 文学の分野で理想主義的な傾向にあり最も優れた作品を創作した人 スウェーデン・アカデミー
平和賞 国家間の友愛関係、常備軍の廃止・縮小、平和会議の開催・促進のために最大、最良の仕事をした人 ノルウェー・ノーベル委員会
経済学賞 経済学上の優れた理論を創作した人 スウェーデン王立科学アカデミー

上記のうち、経済学賞だけはノーベル氏の遺言にない賞ですが、1968年にスウェーデン国立銀行が設立しました。厳密にはノーベル賞と区別することもあるようです。また、賞は個人だけでなく、共同研究者や団体に送られることもあります。

選考までの流れ

ノーベル賞の選考過程は受賞後50年間明かされることなく、厳密に極秘に選考されています。その流れは以下の通りです。

  • 前年9月…推薦依頼状を発送
  • 1月末…推薦状〆切
  • 2月〜…審査・調査をして候補者を絞り込む
  • 10月中旬〜下旬…受賞者発表
  • 12月10日…ストックホルム、オスロ(平和賞のみ)で授賞式

推薦状は3000人以上の研究者に極秘裏に送られ、誰が誰を推薦したかなどは、50年間明らかにされません。推薦されたものに関しては、厳密に調査が行われ、本当にその人がそれを最初に行った人かなどが精査されます。

ノーベル賞の賞金は?

さて気になるノーベル賞の賞金はいくらなのでしょうか?そしてその賞金は、どこから出ているのでしょうか?賞金の詳細を解説します。

ノーベル賞の財源

ノーベル賞の賞金は決して少なくない額です。1つの賞につき最大3名まで授与されることがあるので、賞金だけでも大きな金額になりますが、その財源はどこなのでしょうか?

その財源は、アルフレッド・ノーベル氏の遺産です。しかし100年以上も前に亡くなったノーベル氏の遺産がまだ続いているという訳ではなく、ノーベル賞のために『ノーベル財団』が設立され、運営されているのです。

つまり、遺産を運用してその利息をノーベル賞の賞金に充てています。総資産はノーベル財団が公式に発表しており、2016年には40.6億スウェーデン・クローナ(約480億円)の資産額としています。

賞金額は毎年変わる

ノーベル賞の賞金額は、基本的に『1000万スウェーデン・クローナ(約1億5000万円)』となっています。ところが、ノーベル財団の経済状況によって賞金額は多少前後することもあるようです。

例えば、2012年には財団の経済危機によって800万スウェーデン・クローナに引き下げられたこともあります。

近年はノーベル財団の経済状態も安定してきたと言われており、賞金が引き上げられました。

2018年の賞金は900万スウェーデン・クローナ

日本でも本庶佑氏が医学生理学賞を受賞したことで話題となった2018年ですが、この年の賞金は900万スウェーデン・クローナでした。これは、日本円に換算すると約1億2500万円となります。

ちなみに、共同研究者やグループに賞が与えられた場合、賞金はその人数で分配することになります。

ノーベル賞の賞金に税金はかかる?

賞金として大金を受け取れることがわかったノーベル賞ですが、その賞金に税金はかかるのでしょうか?

日本では非課税になっている

日本の場合、ノーベル賞の賞金は非課税となっています。所得に対して支払う『所得税』というものがありますが、『所得税法9条』にはノーベル賞賞金のために特別に作られた条文があるのです。

これは、1949年湯川秀樹氏が日本人初のノーベル賞を受賞した際に設けられた条文で、『ノーベル基金から交付される金品は非課税』とされています。

また、オリンピック又はパラリンピック競技大会においても、授与された賞金や賞品には非課税であることも明記されています。

経済学賞は課税対象

日本で初めて湯川秀樹氏が『原子核における中間子の存在を予想』し、ノーベル物理学賞を受賞しました。当時の日本には賞金を課税対象とするかを定めた法律がなかったため、この時初めて所得税法の改正が行われたのです。

しかし、当時は経済学賞がまだなかったため、経済学賞の賞金は非課税の対象として明記されていません。まだ日本人でノーベル経済学賞を受賞した人はいませんが、今後日本人が経済学賞を受賞することがあれば、賞金の非課税に関して検討される可能性があります。

国によっては課税対象

日本では賞金に税金はかかりませんが、他の国では課税対象になることがあります。例えば、1番多くノーベル賞受賞者を輩出しているアメリカでは、賞金には税金が課せられています。

所得税として確定申告をしなければなりませんが、2009年にノーベル平和賞を受賞した当時のオバマ大統領は、ハイチ大地震などの被災地に賞金の全額を寄付したため、課税所得として計上されていません。

これは、アメリカにはノーベル賞の賞金を直接寄付した場合、課税所得とならないという免除規定があるためです。ただし、ノーベル基金から直接寄付されることが条件であり、1度自分で賞金を受け取ってしまうと、後から寄付したとしても全額控除にはなりません。

過去の賞金の使い道

多額の賞金が設定されているノーベル賞ですが、受賞者たちはどのように賞金を使ったのでしょうか?

研究の進展のために使う

伝記でも有名なマリー・キュリーは、夫のピエールと共に放射線の研究をして物理学賞を受賞しました。その賞金をさらなる研究に使い、夫の死後も研究を続けた夫人はラジウムとポロニウムの発見によって今度はノーベル化学賞を受賞するに至りました。

キュリー夫人として知られる彼女は、女性初のノーベル賞という快挙だけでなく、ノーベル賞を2度も受賞した人物なのです。賞金を研究の進展のために利用して、現代科学に多大な功績を残しました。

慈善活動や寄付に使う研究者も

2018年のノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑氏は、ノーベル賞の賞金を大学の基金として寄付すると述べています。これは、後進の若い研究者をサポートするためであり、長期的に支援して欲しいと語っています。

2006年に平和賞を受賞して話題となったムハマド・ユヌス氏は、賞金を故郷バングラデシュにヨーグルト会社を設立するため使いました。当時は子どもたちの栄養価が低く、栄養失調の子どもたちを助けたいという思いからでした。

また、2002年ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏は、共同研究者と分けた賞金3500万円を全額『平成基礎科学財団』の設立に使いました。若い世代を育てることを目的とし、基礎科学のやりがいを感じてもらいたいという思いがあるようです。

もちろん自分のために使う人も

1921年にノーベル物理学賞を受賞したアインシュタインは、賞金の全額を最初の妻と2人の息子たちに贈りました。アインシュタインは、このことを受賞の2年も前に離婚に関する公正証書に記していたと言います。

前妻は科学者でもあり、アインシュタインの研究を支えたことへの感謝の意味ではないかと言われています。前妻ミレーバは、そのお金でスイス・チューリッヒに家を買い、今でもその建物には『ミレーバ・アインシュタイン』のプレートがかけられています。

2001年ノーベル化学賞を受賞した野依良治氏は、自身の名がついた研究館を持っていますが、その中にあるグランドピアノを賞金で買いました。自動演奏付のピアノは400万円のものといわれており、研究活動にも余裕のある空間が必要という理由から購入を決定したそうです。

ノーベル賞の賞金は使われ方にも注目

ノーベル賞は、ダイナマイトの開発者アルフレッド・ノーベル氏の遺産によって運営されるものです。ノーベル氏の遺志は100年以上経った今でも引き継がれ、毎年人類に大きな貢献をした人に贈られています。

賞金は1億円程度となる大きなものですが、その使われ方を見ても、研究や慈善活動、寄付といった使い道が多く、ノーベル氏の目指したノーベル賞の意義が現代に伝わっているようです。

賞金が大きいのもノーベル賞の魅力ではありますが、ノーベル賞は世界的に権威のある賞です。受賞は名誉なものであり、国の誇りであることは間違いありません。今後も賞金が有意義に使われることが望まれます。

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