歌曲王シューベルトの後継者。ドイツの作曲家シューマンの代表作とは

2019.06.23

ドイツロマン派を代表する作曲家ロベルト・シューマン(1810年~1856年)は、同じくドイツの作曲家ベートーヴェンやオーストリアの作曲家の後継者として評され、幅広いジャンルの作品を残した作曲家として有名です。この記事では中でも特に評価の高いピアノ曲や歌曲の代表作をご紹介します。

天才ピアニストクララとの出逢いから作曲家へ

幼い頃からある種必然的に音楽家としての道を志したベートーヴェンやシューベルトとは異なり、シューマンが音楽家になることを決意したのは何と20歳の時だったそうです。後世に語り継がれる作曲家誕生の背景をご紹介します。

音楽家への転向のきっかけとは

法律家の道を目指していたシューマンが、音楽家への転機を決意したのは20歳の時のこと。ヴァイオリンの鬼才パガニーニの超人的な演奏を聴いた事をきっかけに、ドイツの音楽家であり音楽教育者のフリードリヒ・ヴィークの家に寄宿してピアノを学ぶ決意をします。ヴィークの門下生には、ヴィークの娘であり、9歳にして音楽界にデビューを果たしていた天才ピアニストのクララがいました。同じ門下生として過ごす中で互いに惹かれ合いながら、シューマンはピアニストとしての道を歩み始めます。

指の故障と作曲家への転向

遅咲きのシューマンは一流のピアニストを目指し、指を吊った独自に工夫した機械装置を使用して過酷な練習を日々積み重ねます。しかし過酷な練習がたたり遂に右手の薬指を故障してしまうのです。思い悩んだ結果、シューマンはピアニストを断念し作曲で身を建てる決意をします。

師ヴィークとの確執と代表作の誕生

そんな中シューマンとクララは愛を育みますが、クララの父でありシューマンの師ヴィークは、クララとの恋愛に猛反対をします。ヴィークは会うことも禁じクララをシューマンから遠ざけました。この時期にシューマンが作曲したクララのために書かれた作品の多くが、後のシューマンの傑作であり代表作となりました。当時クララは演奏会でシューマンの曲を演奏して気持ちに応えたと言われています。

ヴィークは長い間ふたりの結婚を反対し続けましたが、シューマンとクララはそれにもめげずにヴィークに結婚を認めさせるために訴訟を起こし、勝訴を勝ち取り結婚をします。その数年後にヴィークとシューマン夫妻は和解したと言われています。

ピアノ曲の代表作

ピアニストを目指していたシューマンの楽曲には優れたピアノ曲が数多くあります。その中でも代表的なピアノ作品をご紹介します。

子供の情景 Op.15

この作品は、フランスの作曲家ドビュッシーの「子供の領分」と同様に、子供が演奏することを目的として作曲されたのではなく、大人から見た子供の日常の様子を書き綴ったものです。シューマンの才能が発揮された傑作です。

第1曲 見知らぬ国 Op.15-1 ト長調

まだ行ったことのない知らない国のお話に熱心に耳を傾ける子供。見たことも行ったこともない異国への憧れが幻想的に軽やかに描かれています。

第7曲 トロイメライ Op.15-7 ヘ長調

「トロイメライ」とは夢、夢想、夢想にふけることなどを指します。シューマンのピアノ曲の中で最も広く親しまれている作品です。和声を変えながら8回繰り返されるのをいかに聴かせるかは演奏者にかかっています。

幻想曲 Op.17

この作品もシューマンのピアノ曲の中で指折りの傑作です。リストが提唱したベートーヴェン記念碑の寄付にするために書かれました。第1楽章の終わりの方ではベートーヴェンの歌曲「遥かなる恋人に」の一部が現れます。会うことさえ禁じられたクララへの熱い想いが叫びとなって表現された曲です。

クライスレリアーナ Op.16

8曲から成るピアノ曲集です。傾倒していたE.T.A.ホフマンの小説に登場する「楽長クライスラー」から取ったタイトルです。クララとの叶わぬ恋を重ねて描いています。文学的な詩情がダイナミックに音の世界で描かれピアノ作品の傑作の一つです。

幻想小曲集 Op.12

8曲からなるピアノ曲集です。シューマンらしい文学的なタイトルが付いていて、タイトル通り幻想的な雰囲気に満ちています。

第2曲 飛翔 ヘ短調 Op.12-2

曲集中、最も有名でよく演奏されます。インパクトのある力強い冒頭に続き内声に情熱的な旋律がうたわれます。変ニ長調に調が変わり、羽のように軽やかな高音部が美しい印象。変ロ長調から曲の雰囲気がガラリと変わります。

第7曲 夢のもつれに ヘ長調 Op12-7

極めて速く軽やかに演奏しなければならないので「指のもつれに」と比喩されることがあります。軽やかで美しい曲ですが、演奏するには相当な技術を要する作品です。

アラベスク Op.18

「アラベスク」とはイスラム教徒が装飾品にあしらった模様「唐草模様」のことです。アラベスクとタイトルが付いた曲はフランスの作曲家ドビュッシーの作品が有名ですが、最初にタイトルを付けた作曲家はシューマンです。シューマンらしい夢見るような穏やかな曲想が魅力です。

歌曲の代表作

歌曲王シューベルトの後継者と名高いシューマンの最も有名な歌曲をご紹介します。

詩人の恋 Op.48

全16曲から成る歌曲集で、ハインリヒ・ハイネの詩によるシューマンの連作歌曲です。「愛の喜び」「失恋の悲しみ」「苦しみを振り返って」という3つの構成になっています。

シューマンのピアノ作品や歌曲に触れてみよう

クララへの愛を作品に表現したシューマンのピアノ作品はどれも繊細で情熱を感じさせてくれます。今回ご紹介したシューマンの傑作の数々をぜひ聴いてみてください。

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