世界最大級の美術館、フランスの国立美術館「ルーブル美術館」には絵画のみならず数多くの著名な彫刻作品が展示されています。中でも最も有名な彫刻は「ミロのヴィーナス」ですが、それ以外にもルーブル美術館を訪れた際には、ぜひ観ていただきたいおすすめの作品についてご紹介していきます。
有名すぎるミロのヴィーナス
あまりに有名な彫刻作品「ミロのヴィーナス」ですが、ギリシャ神話に登場する女神・アプロディーテの像と考えられています。作者は紀元前130年頃に活動していたアンティオキアの彫刻家アレクサンドロスだと言われています。彫刻は大理石で作られており高さ203cmの巨象です。発見された当時は碑文が刻まれた台座もあったそうですが、残念ながらルーブル美術館に運ばれる際に紛失し現存はしていません。
ルーブル美術館を代表する作品として評されている所以は、人体を精密かつ見事なバランスで表現されているところにあり、必見です。
ギリシャで発見されたの羽のある像、サモトラケのニケ
ミロのヴィーナスに次いで著名な彫刻作品は、ギリシャのサモトラケ島(現在のサモトラキ島)で発掘された、勝利の女神像で羽のある像「サモトラケのニケ」です。
ミロのヴィーナス同様に、大理石で作られており、328cmもの高さがあります。作者や制作された年代は明らかになっていませんが、紀元前4世紀終わりから紀元前3世紀初頭とする説があるようです。
この「サモトラケのニケ」が最初に発見されたのは1863年のことですが、発見当時は胴体部分だけで、その後断続的に118片もの破片が見つかり、それらが復元され現在の姿になっています。1950年には右手も発見され、ルーブル美術館にて保管されています。
ルーブル美術館のダリュの階段踊り場に展示されているので、ぜひチェックしてください。
他にもおすすめの彫刻がある
「ミロのヴィーナス」や「サモトラケのニケ」といった作品は古代ギリシャ時代に制作されたと言われている彫刻ですが、ルーブル美術館には異なる場所や時代に制作された有名彫刻作品もあります。
古代ローマ彫刻
古代ローマの彫刻で有名なのは「マルケルスの全身像」です。マルケルスは、ローマ帝国の初代皇帝オクタウィアヌス・アウグストゥスの甥で、娘婿でもある人物で、当時政治家・軍人として活躍しローマの剣と評された人物です。若くして死去したマルケルスの死後の肖像と言われています。
太陽王の異名をもち、ブルボン朝の第3代フランス王国国王のルイ14世がコレクションとして保管していたことでも知られている彫刻です。
古代エジプト彫刻
古代ギリシャや古代ローマにみられる写実的な彫刻とは対照的にやや抽象的な彫刻作品の古代エジプトの彫刻も数多く見られます。
青いカバ
古代エジプトにおいて、人間はカバに自分の災いを封じ込め、身代わりの役目を果たさせていたことを表した彫刻です。お土産品としてレプリカが人気なのが、青いカバの彫刻です。
ホルス神
エジプトの神々の中で最も古く偉大な神として崇められていたホルス神の彫刻作品です。ホルスは天空と太陽の隼の神とされており、隼の頭を持ち太陽と月の両目を持つ成人男性として表現されています。古代エジプトの王(ファラオ)は皆ホルス神の化身と考えられていたそうです。
古代中近東の彫刻
古代中近東彫刻とは、メソポタミアやペルシャの古代遺跡から発掘された物が中心となっています。中でも有名な作品は「ハンムラビ法典が刻まれた石碑」です。1902年、スーサ(イランの南西部)でフランスの調査隊が発掘した石碑で、石碑に記されたくさび形文字を読み解いたところ、モーゼの十戒よりも更に古い時代の法文(ハンムラビ法典)が書かれていることが分かりました。
モーゼは紀元前16世紀または紀元前13世紀ごろに生きていたとされていますから、ハンムラビ法典の石碑が作られたのはそれ以前ということになるでしょう。
見どころ満載なルーブル美術館の彫刻作品
ルーブル美術館では、ミロのヴィーナスを始めとする古代ギリシャの彫刻作品だけではなく、古代ローマ、古代エジプト、中近東の古代彫刻作品まで、世界各国の作品を一気に鑑賞することができます。ぜひ、ルーブル美術館を訪れた際には、今回ご紹介した彫刻作品にも注目してみてください。