『カフスボタン』はスーツスタイルの男性に許された数少ないアクセサリーの一つです。その種類も豊富でシーンやボタンの形状によりさまざまな付け方があります。今回は、カフスボタンを楽しむために必要なルールや取り付け方などについて紹介します。
カフスが付けられる袖口のタイプ
『カフスボタン』は初めから縫い付けてあるボタンとは違い、あとから付けるアクセサリーです。そのためカフスボタンが付けられるシャツのタイプは、袖口の形状によりいくつかの種類に限定されます。
カフスボタンを付けることができる袖口のシャツをいくつか紹介していきましょう。
便利なコンバーティブルカフス
『コンバーティブル』はカフスが付けられる袖口のタイプとしてはもっともポピュラーです。
袖の両側にボタンホールがあり、ボタンが止められています。
縫いつけられているボタンを使うこともできますが、自分が選んだカフスボタンを付けることもできるハイブリットな仕様になっています。
カフスボタンをメインで使いたいという場合、縫い付けてあるボタンを取り外してカフスボタンを付けると、さらにカフスボタンが引き立ちバランスがよくなります。
袖口を折返すダブルカフス
『ダブルカフス』は袖を折り返して二重(四層)にし、4つのボタンホールにカフスボタンを通して使うカフスボタン専用のシャツです。
カフスを装着するときの手間はかかりますが、袖元をゴージャスに演出したいときには重宝します。
カフスボタンを付けることに慣れてきたら、是非トライしていただきたいタイプですね。
また、どのタイプのシャツにも言えることですが、カフスボタンを目立たせるためには通常、シャツの袖はスーツから1cmほど出すところを少し長めに2cmくらい出すとより華やかに見せる事ができます。
カフス用のシャツを選ぶとき、またはオーダーメードするときは必ず意識したい部分です。
カフスボタン用のテニスカフス
『テニスカフス』は縫い付けのボタンが付いておらず、袖口の両サイドにボタンホールだけが用意された非常にシンプルなものです。
カフスボタンを付けるときも非常に簡単なので、初心者から上級者まで幅広く人気のあるタイプです。
一人でボタンを付けるときは片手しか使えませんので、ストレスのないテニスカフスは一度使うと手放せない、という人も多いでしょう。
カフスが付けられないシャツのタイプ
袖口の形状によっては『カフスボタン』が装着できないタイプもありますので注意が必要です。ここではカフスが付けられないシャツのタイプを紹介します。
普通のシャツに多いシングルカフスはNG
一般的に『Yシャツ』売り場にたくさん置いてあるのが『シングルカフス』タイプのシャツです。
『シングルカフス』は縫い付けられたボタン側に、ボタンホールが付いていません。
そのためシングルカフスシャツにはカフスボタンを付けることが不可能なので注意しましょう。
『カフスボタン』は基本的に袖の両側に開いたボタンホールを通すため、シングルホールのシャツでは使用する事ができないのです。
ボタン式のターンナップカフスもNG
『ダブルカフス』のように袖を折り返して使う『ターンナップカフス』も、縫いつけられているボタンしか使うことができないため、カフスボタンを付ける事ができません。
基本的に、袖の両サイドにボタンホールが2つないものには、カフスボタンを装着することができないので注意しましょう。
基本的なカフスの付け方
『カフスボタン』はシーンや着用するスーツやシャツの柄にあわせてコーディネートすることで、手軽におしゃれを楽しめるアイテムです。
『カフスボタン』の形状によってさまざまな付け方が存在しますが、基本的な装着方法を覚えれば一人で簡単に付けることができます。
一般的なスウィヴル式の場合
『スウィヴル式』のカフスボタンは主にT字の形状をしています。
いったんT字部分を倒し、まっすぐにしたところで袖もとの二つのボタンホールを通過させます。
通過させたらT字をもとのように戻すと袖と袖がロックされます。
とてもシンプルで簡単なため、もっとも人気のある『カフスボタン』を留める方法とされています。
ダブルカフスの場合
『ダブルカフス』の場合は、あらかじめ長くなっている袖口を折り返してボタンホールが重なり合うように合わせます。
折り返す作業が少しめんどうに思えますが、慣れてしまえば意外とかんたんに折り返してボタンホールを重ねることができます。
次に腕の内側から外側へボタンホールを通過させ、表に出たところで留め金で固定します。
このときボタンをきっちり90度回転させると、ボタンの落下を防ぐことができます。
カフスボタンは数千円から数十万円するものまで、幅広い価格の商品がそろっています。
カフスを紛失するリスクを最小限におさえるために、正しい使い方をマスターしましょう。
ラップアラウンドや固定式など
『ラップアラウンド式』のカフスボタンは、基本的には『スウィヴル式』と同じ方式でできていて、金属や皮などでさらに装飾度が加えられた華やかなアクセサリーになっています。
たとえば皮のベルトの装飾がついているものであれば、『スウィヴル式』と同じように袖口を通過させたあと、皮のベルトをベースにまたがせて留めるだけで、『スウィヴル式』より、さらにエレガントに仕上がります。
『固定式』の場合は留め金のほうが固定されているので、袖口にそのまま装着することができます。
ただし留め具のサイズによっては留めにくいものもあるので、確認をしてから購入するようにしましょう。
究極の方法としては、お気に入りのカフスに合わせてシャツ自体をオーダーメードするという選択もありますね。
カフスを付ける際の注意ポイント
『カフスボタン』に慣れていない人は「なかなかうまく付けられない」、と感じるかもしれません。カフスをつけるとき、注意しておきたいポイントを紹介します。
袖口を上下に重ねて装着しない
カフスの初心者がもっともやりやすい間違いに、普通のボタンと同じように袖口の上下を重ねて取り付けてしまうということがあります。
カフスボタンを装着する場合、基本的に袖口の裏同士を合わせ、ボタンホールを重ねてからカフスを通します。
カフスに慣れないと、ついやってしまいがちな間違いですが、注意しながら付けてみましょう。
カフスボタンの向きを逆にしない
よく間違えがちなのが、カフスボタンの向きを逆さまに付けてしまうことです。
まずは腕の内側からカフスボタンを通し、ボタンの面は腕内側にくるようにしましょう。そのあと留め具に装着し、ボタンの向きから90度回転させればしっかりとロックされます。
カフスの初心者はよく、間違って『弓なり』になった留め具を逆さまに装着してしまうことがあります。ポストをU字ではなくアーチ型になるように正しく装着しましょう。
留め具が曲線になっている種類は、曲線が手首に沿うような向きに取りつけます。
利用シーンに合わせてカフスボタンを選ぶ
男性にとってスーツを着用するシーンは、日常的なものから特別なものまであります。
たとえばビジネスシーンやフォーマルな冠婚葬祭、そしてカジュアルなパーティーなど、その状況もさまざまです。カフスボタンを身につけるシーンに合わせたルールを紹介します。
初めての場合は銀色が合わせやすい
ビジネスシーンからカジュアルシーンまで、場所を選ばず活躍してくれるのがシルバーカラーでシンプルなスクエアータイプのカフスボタンです。
各カフスブランドから発売されている定番中の定番とあって、バリエーションも豊富に用意されており、一つ持っているいると便利なアイテムです。
ビジネスではスーツに合ったデザインを
特にビジネスシーンにおいては、あまり派手なカフスは好まれません。
ビジネススーツに合わせるカフスは主張しすぎず、袖元が見えたときにさりげないおしゃれを演出するように意識しましょう。
ミニマルで清潔感を演出してくれる上品なシルバーカフスは、ネクタイやスーツの柄を引き立たせ、スーツをワンランク上のおしゃれにしてくれます。
結婚式では時間帯で色選びを
結婚式といっても式場や教会などで挙げるフォーマルな場合や、レストランで挙げるカジュアルなものまであります。また披露宴終了後にパーティー会場に移動するパターンもあります。
式のタイプや時間帯に合わせてカフスを付け替える、というのも是非チャレンジしてみたいところです。
フォーマルな式においては主張の少ないシルバーカラーなどで、二次会では華やかなカラーとデザインのジュエリーアクセサリーを選んで参加してみてはいかがでしょうか。
シーン別にカフスを変える小憎いおしゃれで、きっと一目置かれることでしょう。
また、モーニングなど明るい時間に付けるものは白色系のカフスを、そして夕方以降に着用するタキシードなどには黒系のものを装着するなど、若干のルールも存在します。
喪服の場合は、黒いオニキスをつけるのがいいとされています。
カフスボタンを正しく身につけよう
ビジネスから結婚式といったさまざまなシーンやその日の気分、スーツの色や柄に合わせるなど、カフスは袖元のおしゃれを彩るファッションアイテムとして、幅広い年齢層の男性から人気です。
カフスボタンはスーツスタイルの数少ないアクセサリーの一つですが、決して必需品というわけではありません。それだけに、カフスは意識の高さをさりげなく演出できる、大人の男性に許された唯一のアクセサリーと言えるでしょう。
基本的なカフスの装着方法をマスターし、シーンに沿ったマナーを守ることで、スマートな大人の男性の魅力を発揮できるようにしたいものです。
この機会に、シーン別に合ったカフスボタンを取り入れるとともに、正しいカフスボタンの付け方を覚えていきましょう。