紅茶を購入するとたまに「セカンドフラッシュ」という表記を見つけます。この表記、どの産地の茶葉にもあるわけではありません。ここではセカンドフラッシュの表記が使われる産地とその正確な意味、そしてセカンドフラッシュの特徴と楽しみ方を紹介します。
セカンドフラッシュとはどんな意味?
まずセカンドフラッシュの意味からご説明します。先に結論をいえば、セカンドフラッシュとはダージリンなどの紅茶における「夏摘み茶」のことです。
インド北東部では冬の茶摘みがない
紅茶の原料である茶葉はおもに熱帯・亜熱帯地方で栽培されます。インドやスリランカ(セイロン)、アフリカなどが有名ですね。
これらの地域の多くでは、年間を通じて収穫が行われます。お茶というのは1年に何回も収穫できるので、冬も茶摘みされているわけです。
しかしインド北東部のダージリン、シッキム、アッサムなどの産地では、スリランカなどより比較的寒冷なため、3月から11月にかけてのみ収穫が行われます。
セカンドフラッシュの時期
とくにダージリン地方には、年に3回、香りも味わいも最高となる「クオリティシーズン」が訪れます。
- 1回目:3~4月。ファーストフラッシュ(春摘み)
- 2回目:5~6月。セカンドフラッシュ(夏摘み)
- 3回目:10~11月。オータムナル(秋摘み)
このうち2回目の収穫期をセカンドフラッシュ、つまり「2回目の芽吹き」と呼ぶのです。またシッキムやアッサム地方でも、2回目の収穫期の茶葉をセカンドフラッシュと呼びます。
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ダージリンセカンドフラッシュの特徴
同じ産地の茶葉でも、収穫期によって香り・味わいがちがいます。ここでは世界三大紅茶のひとつ『ダージリン』のセカンドフラッシュの特徴をご紹介します。
コクのある『マスカテルフレーバー』
ダージリンセカンドフラッシュの特徴は『マスカテルフレーバー』と言われます。「マスカットの香りのする紅茶」と誤解されがちですが、正確には「マスカットブドウから作られた甘口ワイン(マスカテル)のような、コクと香りと味わい」というような意味です。
ただ日本ではマスカテルというワインにあまりなじみがないため、ピンとこない方も多いでしょう。先入観をとりはらい、甘みと渋みとコクと香りがバランスよく保たれていて、つまりおいしい、と覚えておけばいいかもしれません。
ファーストフラッシュとの違い
このようなセカンドフラッシュの風味は、害虫の一種であるウンカの影響と考えられています。ファーストフラッシュのあと、ウンカが葉を噛むことで茶樹に影響が生じ、セカンドフラッシュ独特の質感となります。
そのため、ファーストフラッシュが若くさわやかな香りであるのに対して、セカンドフラッシュにはコクと渋みが加わり奥深い味わいとなります。またオータムナルの濃い味わいともまた異なります。
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ダージリンセカンドフラッシュの楽しみ方
ダージリンのセカンドフラッシュは、ダージリンの特徴がいちばんよく出ると言われています。よって、ダージリンセカンドフラッシュはストレートでいただく、という方が多いようです。「紅茶のシャンパン」と呼ばれるダージリンの風味を楽しめるでしょう。
より風味を味わいたい場合は水出しという楽しみ方もあります。日本では毎年7月頃からダージリンのセカンドフラッシュが出回りはじめます。暑い夏に、水出し紅茶でリラックスというのもいいですね。
また、セカンドフラッシュのなかでもフルボディのようなどっしりした質感であれば、ミルクティーにしても負けません。ダージリンには100近い茶園があり、それぞれにいろいろな等級の茶葉があるので、ご自分にあうものを試してみても面白いでしょう。
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セカンドフラッシュで優雅なひとときを
以上、ダージリンセカンドフラッシュの意味・特徴・楽しみ方を紹介しました。
ランチのあとや休憩のときなど、ちょっと紅茶を飲みたくなるもの。そんなときダージリンセカンドフラッシュがあれば、一味ちがう優雅なリラックスタイムとなるでしょう。