アメリカ文学の傑作をご紹介。大人にこそ読んでほしい名作17選

2019.06.18

アメリカ文学は読みにくいと感じている人もいるのではないでしょうか?古くから読み継がれている名作は難解なものもありますが、読みやすく楽しめるものもたくさんあります。代表的な作品の魅力を紹介するので、好みのものを見つけて読んでみましょう。

大人のアメリカ文学入門

アメリカ文学はどのような特徴があるのでしょうか?実際に読み始める前に、まずは全体の傾向と楽しみ方を知りましょう。

アメリカ文学の特徴

歴史を振り返ると、アメリカ文学の根底にあるものが分かります。アメリカは移民によって建国された国です。宗教や政治によって迫害された人々も、自由と安住の地を求めてやってきました。

新大陸には希望や夢がありました。しかし、未来の希望と引き換えに、これまで持っていた故郷・家族・自分が属していた大切な場所を残してこなければなりませんでした。

ここで、自分自身のルーツを失う不安を抱えることになったのです。これにより発生した「自分はどこの誰なのか?」という問いの答えを求めながら放浪するというのが、アメリカ文学の一つの特徴といえます。

また、黒人からみた人種差別や人種間の差について書いた多くの作品が、アメリカ文学から生まれています。

時代による違いを楽しもう

文学作品は時代の流れを反映します。作品の書かれた年代ごとに、一定の傾向があるのです。アメリカ文学でも、時代によって雰囲気はがらりと変わります。

19世紀の作品は、テーマが壮大で難解なものが多く、最初から読むには難易度が高い傾向があります。ただし、じっくり読みこむには最適です。

20世紀の作品は、名作ぞろいです。日本でいうところの、芥川龍之介・夏目漱石・太宰治といったイメージの作家がたくさん誕生しています。

21世紀の作品は身近なテーマを扱うものが多く、読みやすい傾向です。自由な発想の作品やエンタテイメント性の高いものも多くあります。

読みにくいときは近代のアメリカ文学を

難解で読みにくいという印象をアメリカ文学に持っているなら、まずは『近代の作品』を選んで読むのがおすすめです。

どこの地域の文学であっても、古い時代に書かれた名作は、近代のものより読みにくさを感じます。物語が書かれた背景が現在と違い、言い回しも現在では使われないものがあるからです。

新たに読み始めるジャンルなら、誰もが知っていて共感しやすい作品がよいでしょう。近代には、そうした作品がたくさん生まれています。

同時にある程度の読み応えもあるので、読破したときの充実感も十分得られる作品が多い年代です。

映画から入るのもあり?映画化された文学作品

アメリカ文学の作品は、映画化されているものが多くあります。そのため、読み始める前に映画をみるのもおすすめです。映画でストーリーと主な登場人物を押さえれば、本が読みやすくなります。

先に映画をみることで、『映画と原作の差を見つける』といった楽しみ方もまた、趣があります。

ディカプリオ主演 華麗なるギャツビー

『華麗なるギャツビー』は、繰り返し映画や舞台になっている作品で、2013年にもレオナルド・ディカプリオ主演の映画が公開されています。

ディカプリオが演じた主人公は、タイトルにもなっているギャツビーです。突如現れた大富豪ギャツビーの貧しかった過去と、大切な女性との出会い、そして再会した2人の禁断の愛が描かれています。

とても高く評価されている映画ですが、より深く理解するには、原作を読むのが最適です。行間に表れる微妙な心情や、登場人物のしぐさの意味を理解できます。

1番最初に翻訳されたものは、1957年に出版されています。それから50年以上の時を経て、たくさんの作家により翻訳が手掛けられてきました。時代を超えて読み継がれている名作といえます。

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ハーレムが舞台の衝撃作 プレシャス

ハーレムはニューヨークの中でも貧困層が集まる街です。ハーレムに暮らす主人公の黒人少女プレシャスは、両親から虐待を受け続けています。

虐待の結果16歳までに2度も出産し、学校は退学処分、しかも子どもは先天的な障害を持っているのです。

あまりにヘビーで夢も希望もない状況の中、プレシャスは読み書きを習い始めます。そして自分の気持ちを表現し始めるのです。2009年に公開された映画は、アカデミー賞で脚色賞と助演女優賞を獲得しています。

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切なさを感じる ベンジャミン・バトン

80歳の老人の姿で赤ん坊として産まれ、次第に若返っていくベンジャミン・バトンは、最後、赤ん坊の姿をした老人としてこの世を去ります。

年を重ねるごとに肉体的に若返るベンジャミンとその妻デイジーの切ない恋が、物語の主軸として描かれている、ヒューマン・ファンタジーです。

作者は『ロスト・ジェネレーション世代』の作家として、ヘミングウェイらとともに活躍したフィッツジェラルドです。原作を読むことで、切なさをじっくり感じられる作品でしょう。

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アメリカ文学の名作を人気作家の翻訳で楽しもう

たくさんの作品が日本語訳して読まれているアメリカ文学は、訳者によって選ぶ楽しさもあります。人気作家が翻訳したものを選ぶことで、ストーリーはもちろん表現の仕方によるおもしろさも感じられるはずです。

青春小説の古典『キャッチャー・イン・ザ・ライ』

一人称でストーリーが進んでいく本作は、そのときの出来事と主人公のホールデン・コールフィールドの心情が混ざり合いながら進んでいく独特のスタイルです。日本語版では古くから『ライ麦畑でつかまえて』というタイトルの方がよく知られているかもしれません。

クリスマス前のニューヨークで、学校を追い出された主人公と友人がさまざまなやり取りをしていきます。話している内容は他愛もないものばかりです。

しかし、その中には欺瞞に満ちた社会への憤りや、みんなと同じようにやり過ごせない思いが見て取れます。

『青春小説の古典』として読み継がれていて、これまでに村上春樹をはじめとする4人の翻訳者によって日本語訳されている作品です。

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未熟な女性の青春『ティファニーで朝食を』

『ティファニーで朝食を』というと、オードリー・ヘプバーンが主人公を演じた映画を思い浮かべる人が多いでしょう。成熟した大人の恋を描いた作品です。

しかし、原作中に出てくる主人公ホリーは、未熟な女性として描かれています。気まぐれで可憐で天真爛漫な大人になりきれない少女です。

そんなホリーが男友達のポールに恋心を抱き始め、成長していく様子を描きます。

映画と原作の雰囲気が違うからこそ楽しめる1冊です。初めて読む人はもちろん、映画ファンも楽しめます。

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アメリカ文学初心者におすすめの短編集

初めて読み始めるのに長編の大作を選ぶと、挫折しやすくなることもあります。読みやすい短編からチャレンジすると、初心者でも最後まで読みやすくおすすめです。

アッシャー家の崩壊

『推理小説の祖』エドガー・アラン・ポーの名作短編小説です。

主人公は、精神的に弱く不安定な状態の旧友が住む、鬱々とした雰囲気の屋敷を訪ねます。そこで旧友と過ごすうちに、事件が起こるのです。

理詰めで作り出される恐怖は、計算しつくされていて、隙がありません。推理小説やホラー小説が好きな人に特にぴったりの1冊です。

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フォークナー短編集

フォークナーはミシシッピー州生まれのノーベル賞作家です。短編集には、『あの夕陽』『乾燥の九月』『納屋は燃える』などが収録されています。

アメリカ南部の隠された現実を独自の手法で描き出しているのがフォークナー作品の特徴であり魅力です。道徳が乱れた不健全な生活や暴力的な犯罪など、語られることの少ない現実を表現しています。

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誕生日の子どもたち

作者のカポーティは、ノンフィクション・ノベルの流行を作り出した作家として知られています。早熟の天才と呼ばれ、文壇で注目を浴びました。

晩年はアルコールと薬物中毒に苦しみ、心臓発作により障害に幕を閉じています。

『誕生日の子どもたち』は、そんな彼の少年時代をもとに作られた作品です。遠縁の家に世話になりながら各地を転々として過ごした経験は、弱さや貧しさ・孤独だらけでした。

しかし、カポーティにとっては、生命力にあふれた輝かしい時代でもあったのです。そんな情景が鮮明に描かれた作品です。

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天使エスメラルダ 九つの物語

『天使エスメラルダ 九つの物語』を書いたのは、ニューヨーク生まれのドン・デリーロです。ノーベル文学賞候補して名前があがるほど評価の高い、現代アメリカ文学の代表的な作家といえます。

この短編集でテーマとなっているのは『接触』です。他者と触れ合うことの境目はとても曖昧で分かりにくく、多くの現代人が抱えている困難さにつながるものでもあります。

職業も置かれた状況もさまざまな人の生きる姿が、現代人の生き方やそこで抱える苦悩を鮮明に映し出す作品です。

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一度は読みたい 心動かされる作品

アメリカ文学には、切なさを感じたり感動したりする作品がたくさんあります。中でもおすすめの、1度は読んでいただきたい作品を紹介します。

二人の会話に注目『蜘蛛女のキス』

作者のマヌエル・ブイグは、会話や独白といった文体を活かした作品を残しています。『蜘蛛女のキス』もその一つです。

同性愛者のモリーナと革命家バレンティンの会話で進む物語が、自然と読者をひきこみます。2人はブエノスアイレスにある刑務所の監房で同室になりました。

そこで映画について語り合うのです。全く正反対の特性を持った2人でしたが、その会話を通じて理解し合うようになります。ラストに向けて明らかになる2人の状況が切ない作品です。

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温かい気持ちになる家族の話『若草物語』

『若草物語』は、作者ルイーザ・メイ・オルコットの自伝的小説で、父の影響を受けて執筆された作品です。

そのことは、英語のタイトルが、作者の父が娘たちを呼ぶときに使っていた『Little Women』ということから分かります。小さな少女ではなく、小さくても立派な女性という意味です。

南北戦争の時代を舞台に、マーチ家の四姉妹の日常を描く作品では、家族のやさしさや4人それぞれの変化が描かれます。

日常生活をメインに進むストーリーの中に、たくさんの幸せや温かさが感じられる作品です。読み終わった後には、心がじんわりと温かい気持ちになっているでしょう。

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生き方に悩んだときに『森の生活』

作者のヘンリー・D・ソローは、1800年代半ばにウォールデンの森に暮らしていました。2年2カ月に及ぶ森の暮らしの中で、記録していた日記をもとに執筆されたのが『森の生活』です。

産業化が本格的に進み始めた時代に、都市部とは正反対の自然の暮らしをする中で、作者はどのようなことを考えていたのでしょうか?

自然と社会との関わりについての考察は、現代の私たちにも生き方を示してくれます。

難解な作品という印象がありましたが、2004年に動物学者の今泉吉晴によって新たに翻訳され、読みやすい作品になりました。

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世界観に引き込まれる冒険小説

アメリカ文学の中でも、特にわくわくするのが冒険小説です。独自の世界観や魅力的な登場人物に魅せられて、どんどん読み進められます。

魅力的な登場人物『白鯨』

『白鯨』は世界中で読まれている名作中の名作です。アメリカ文学界の巨匠として知られるメルヴィルの代表作でもあり、『世界十大小説』としても知られています。さまざまな翻訳者の本があり、映画や漫画でも楽しめる作品です。

伝説の巨大鯨モビー・ディックを追う捕鯨をテーマとした作品は、物語の冒頭にしか登場しないミステリアスな主人公イシュメールや、モビー・ディックを追うことに心血を注ぐ偏狭な船長エイハブなど、登場人物が魅力的なところもポイントといえます。

実在した巨大鯨モカ・ディックをモチーフにしたモビー・ディックも、大きなインパクトのある登場人物といえます。

この作品は、謎が多いことでも知られています。旧約聖書からの引用も多いため、ひも解いてみると新たな気付きがあるかもしれません。

人種、身分とは何か『ハックルベリ・フィンの冒険』

作者のマーク・トウェインは、アメリカ文学を代表する作家です。小説やエッセイを執筆しながら、講演者としても活躍していました。『トム・ソーヤーの冒険』の続編として書かれた本作は、児童文学という位置づけを超えたアメリカ文学の傑作とされています。

『ハックルベリ・フィンの冒険』は、自由と解放を求めた主人公ハックルベリ・フィンが、黒人ジムを相棒としてミシシッピー川をいかだで下る旅に出るストーリーです。

途中で出会うさまざまな人とのやりとりが魅力的で、ときには殺人者・泥棒・詐欺師といった人たちとも出会います。騒動に巻き込まれたりピンチに陥ったりするたびに、どきどきはらはらする作品です。

牧歌的な美しい情景描写が多い作品ですが、黒人奴隷に対する差別もテーマとなっています。

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人々の痛みや苦悩を描いた作品

心の繊細な部分にある痛みや苦しみは、どの時代でも作品作りのテーマになってきました。アメリカ文学でも同じです。人の持つ繊細な心を描く代表的な作品を紹介します。

奴隷制度の悲劇から学ぶ『アンクル・トムの小屋』

ストウ夫人によって著された『アンクル・トムの小屋』は、歴史的な作品として知られています。この作品がきっかけとなり、アメリカ南部で行われていた人身売買について、広く知られるようになったのです。

南北戦争のきっかけになった作品ともいわれていて、アメリカ研究のための貴重な1冊と位置づけられています。

トムの苛酷な運命の中には、心温まる瞬間もあります。例えば、シェルビー家のやさしい息子ジョージとの関係や、シェルビー家から売られていく船の中で出会った少女エヴァンジェリンとの友情です。

思わず涙が流れてしまうラストシーンをぜひ読んでみてください。

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転落人生を描いた『夜はやさし』

精神科医のディックは患者のニコルと恋に落ち、結婚します。輝かしい将来を約束されていたにもかかわらず、次第に転落していくディックのストーリーです。

かつて地位と名誉を得た小説家でありながら、人生の後半をアルコールに依存して過ごした作者フィッツジェラルドと、その妻ゼルダを投影した作品といわれています。

優雅で華やかな暮らしをしていても、どこかに終わりを予感させ、不吉で恐ろしい印象を与える作品です。

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悲惨な凶悪事件の原因は?『冷血』

作者のトルーマン・カポーティーによって書かれたニュージャーナリズムの作品です。それまでの客観性を重視するジャーナリズムとは違い、より深く関係者を描き出します。

もとになっているのは、1959年に実際に起こった農場主一家4人惨殺事件です。

作者は、この事件について徹底的に取材し、再構成しました。そして、作品の中で『なぜ事件が起こったのか』を解き明かしました。

タイトル通り、社会の冷血さを浮き彫りにした作品です。

アメリカの歴史を学びながら読み解こう

文学の根底には歴史があります。アメリカ文学の作品を読み解くことは、アメリカの歴史を学ぶことにも通じるのです。逆に、歴史を学ぶことで、作品をよりよく理解し読みこめるようにもなります。

たくさんあるアメリカ文学を読むときには、歴史を意識しましょう。また、最初から難易度の高い作品に挑戦するのではなく、短編や現代作品など読みやすいものを選ぶことも大切です。

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