昭和を代表する文豪『三島由紀夫』。初期・後期の代表作を紹介

2019.06.14

戦後の近代文学界において幅広い執筆活動を行なっていた三島由紀夫。その名が話題に上がることは近年少なくなっていますが、その文才は確かなものでした。この記事では近代文学の魅力を掘り返すうえでの重要人物、三島由紀夫の代表作品を紹介していきます。

三島由紀夫という男

三島由紀夫の人生を語る上で避けては通れない三島事件。三島由紀夫と聞いて、小説家というイメージと同時に、活動家としてのイメージを想起する人もいるのではないでしょうか。そこでここからは、三島由紀夫の小説家としての一面と、活動家としての一面を交えて解説していきます。

日本のあり方を考え続けた作家

三島由紀夫は大正14年に東京で誕生しました。幼少期の頃から詩を愛する少年であり、この頃から文化人としての才能が発揮されていました。彼がまだ小学生のころに書いたとされる文章は現在でも確認することができますが、その完成度たるや到底子供が書いたとは思えないほどです。その後2度の大戦を経ると、人生の先輩となる川端康成や太宰治と出会い、その感性を育てていきます。

大学卒業後は役人として働きながら執筆活動を続け、徐々に世間からの支持を集め現在も語り継がれるような作家へと成長します。しかし華々しい作家人生を送りながらも当時の体制に不満を募らせていた三島は、最終的に遺作となった『豊饒の海』を書き上げたその日に三島事件を起こし壮絶な最期を迎えます。

戦争を体験し、その後の日本のあり方を最後まで考えた結果としての死は、川端康成をはじめとする親しい作家たちにも大きな影響を与えました。

初期の代表作

三島由紀夫の作品はきらびやかな言葉使いで、生や死をテーマとする作品が多くその特徴は初期の作品に色濃く現れています。川端康成作品にも通づる美しい文体の作品群は、まさに近代文学の申し子です。ここからはそんな三島由紀夫の初期代表作をピックアップして紹介していきます。

花ざかりの森

『花ざかりの森』は、当時16歳だった三島由紀夫が、初めて大々的に流通させた小説作品です。主人公である「わたし」を中心に4人の祖先のエピソードを描くもので、それぞれが美しく叙事詩的な要素を含んでいます。本作を読んだ当時の文化人たちは「天才が現れた」と大きな反響を呼びました。

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仮面の告白

『仮面の告白』は三島由紀夫が24歳の時に執筆した作品です。当時では異例の自伝告白本であり、自分のマイノリティ的な性癖の成り立ちなどを少年時代から描いています。三島が初めて作家として大成した作品であり、作品の意外性からも当時の人気作家たちの仲間入りを果たすこととなりました。

後期の代表作

三島由紀夫は小説家として活動する傍ら、その卓越した感性を生かして劇作家としても活動していました。三島作品の後期ではその経験が生かされた、劇的展開を盛り込んだ作品が多く存在しています。ここからはそんな三島由紀夫の後期作品を紹介していきます。

サド侯爵夫人

『サド侯爵夫人』は三島由紀夫による戯曲作品です。中世のフランスを舞台とした作品であり、日本国内よりも欧州で人気があるようです。

優しい面差しのなかに残虐性を秘めたサド侯爵が事件を引き起こし、投獄されている間帰りを待っている夫人と、公爵にまつわる複数人の女性の会話によって侯爵の素性を明らかにしていく独特なストーリー展開が魅力です。

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豊饒の海

『豊饒の海』は前述にもある通り三島由紀夫が最後に執筆した作品です。その完成度は非常に高く、三島由紀夫が人生を通して描きたかったもの全てが盛り込まれていると言っても過言ではありません。作品は大きく4つの章に分けられており、それぞれに春夏秋冬の季節が割り振られています。

そのストーリーは主人公が生まれ変わることでつながっており、それぞれの章で三島由紀夫らしい濃密な展開が繰り広げられるのが魅力です。

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ロマンと雅を楽しめる作品群

三島由紀夫作品は近代文学の王道とも言える「ロマン」の要素と、三島イズムである「雅」ともいうべき要素を同時に楽しむことができます。その独特で美しく、どこかはかない世界観は、読者を新たな文学の世界へとにいざなってくれます。

この記事で紹介した作品のほかにも、彼の代表作は数え切れないほどあります。ぜひこの記事を起点に、新たなジャンルへの興味を開拓してみてはいかがでしょうか?

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