一度食べたらハマる?ウィーンの伝統洋菓子「ザッハトルテ」の作り方や由来

2019.06.15

濃厚なチョコレートの中にほんのりと顔を出すあんずジャムの、さっぱりとした味がクセになるほどおいしいザッハトルテを食べたことはありますか?今回は一度たべたらハマりやすいザッハトルテについて、魅力や歴史を紹介します。

まずは知りたいザッハトルテの基本

ザッハトルテは『チョコレートケーキの王様』と呼ばれる洋菓子で、オーストリアにある5つ星ホテルである『ホテルザッハー』と、洋菓子専門店の『デメル』で提供されているトルテのことです。

ザッハトルテとは

ザッハトルテを簡単にいうと、チョコレート味のスポンジの間に『あんすジャム』を塗り、全体をチョコレートコーティングしたケーキのことです。オーストラリアの首都ウィーンを代表する銘菓といわれています。

濃厚な甘さが特徴で、そのままでは食感が重すぎるため、生クリームなどと一緒に食べられることもあります。

オペラとの違い

『ザッハトルテ』と『オペラ』は、どちらもチョコレートでコーティングされているため、その見た目で混同されることも多いものです。違いを説明します。

『ザッハトルテ』は1832年にオーストラリアで生まれ、小麦粉、バター、卵、砂糖、チョコレートでできた生地をオーブンで焼き、あんずジャムを挟み込んだあと、チョコレートで表面をコーティングした丸い形状をしたケーキです。

一方の『オペラ』はフランスで生まれたチョコレートケーキで、アーモンドパウダーの入ったスポンジケーキにコーヒー味のシロップが染み込ませてあります。

さらにガナッシュクリームとバタークリームで何層にも重ねた後、表面をチョコレートでコーティングした四角いケーキです。

ガトーショコラとの違い

ザッハトルテと似た洋菓子の一つに『ガトーショコラ』もあります。フランス語でガトーショコラを直訳すると「焼いたチョコレート菓子」という意味です。

日本では主に、チョコレートを生地に混ぜて焼いたケーキのことを指す傾向にあります。

一番わかりやすい違いは『ザッハトルテ』にはあんずジャムがサンドされている、またはあんずジャムが塗られたスポンジの上にチョコレートをコーティングしているという点です。

ザッハトルテの由来

『ザッハ』とは、このケーキを考案したウィーンの菓子職人フランツ・ザッハーの名前に由来し『トルテ』とはドイツ語でケーキのことを指します。

ここでは、『ザッハトルテ』誕生の秘話をいくつか紹介します。

ザッハトルテ誕生の二つの説

『ザッハトルテ』の誕生には、主に二つの説があるといわれています。

まず一つ目は、1814〜15年に開催されたウィーン会議の際に、当時オーストリア宰相を務めたメーテルニヒが、料理人フランツ・ザッハにウィーン会議のための特別なお菓子を作るように命じたことです。

そこで考案されたケーキを、料理人の名前から『ザッハトルテ』と呼ばれるようになったという説があります。

もう一つが1832年にメーテルニヒが、特別な客人をもてなすためのお菓子を作るよう料理長に命じたところ、料理長が病気になってしまい、当時見習いだったフランツ・ザッハがケーキ作りを変わったことで『ザッハトルテ』が生まれた説です。

ザッハトルテの味が世界へ

どちらの説を見ても、ザッハトルテには長い歴史があります。

新しいデザートを、と求められて誕生したザッハトルテですが、その味が世界中で評判になり、オーストリアを代表する世界で一番有名な『チョコレートケーキの王様』と呼ばれる存在になったのです。

ザッハトルテと甘い7年戦争

フランツ・ザッハは極秘とされたオリジナルのレシピで『ザッハトルテ』をレストランやカフェで売り出し、成功をおさめました。 その後ザッハの息子であるエドゥアルド・ザッハが、1876年、オペラ座の前に『ホテルザッハー』を開業します。

しかし、しばらくすると『ホテルザッハー』が財政難に陥り、ウィーンの王室御用達のケーキ店『デメル』が援助を申し入れ難を逃れます。その際に、門外不出だったザッハトルテのレシピ が『デメル』に譲渡されたといわれています。

後年、『ホテルザッハー』側が、ザッハトルテの商標をめぐる訴訟を起こし、7年間もの長い裁判が行われました。

その結果『ホテルザッハー』のものを『オリジナルのザッハトルテ』と呼び、『デメル』のものは『デメルのザッハトルテ』 と呼ぶことで解決に向かったのです。ザッハトルテを巡るこの論争は『甘い7年戦争』や『甘い7年伝説』といわれています。

ホテルザッハーとデメル それぞれの特徴

7年間にも及ぶ長い裁判を争った『ホテルザッハー』と『デメル』ですが、それぞれのザッハトルテには、どのような特徴があるのでしょうか。詳しく調べてみました。

ザッハトルテ誕生の地 ホテルザッハー

『ホテルザッハー』はウィーンを代表する高級ホテルで、5つ星のウイーンの他、ザルツブルグにもホテルがあります。その他、カフェも展開しており、グラーツとインスブルックに出店されています。

オーストリアだけの展開ですが、ホテルザッハーは100年以上の歴史を持つ名門ホテルです。そんな由緒あるホテルザッハーのザッハトルテは、『あんずジャムがスポンジとスポンジの間に塗られている』ことが特徴です。

老舗洋菓子店デメルとは?

一方『デメル』はケーキを専門に販売する老舗洋菓子店になります。王室御用達というだけあって、皇妃エリザベートの好物だった『スミレの砂糖菓子』などの銘菓も有名です。

そんなデメルのザッハトルテの特徴は、『コーティングされたチョコレートとスポンジの間にあんずジャムが塗られている』ことでしょう。

このザッハトルテを含めたデメルは、日本にも進出しており、全国の有名デパートなどでも購入することができます。

ザッハトルテの作り方

『チョコレートケーキの王様』と呼ばれているザッハトルテは、自宅で作ることもできます。ここでは材料や作り方、そしてアレンジレシピなどを紹介します。

必要な材料

約18cmの丸型『ザッハトルテ』を作るために必要な材料と分量は以下の通りです。

  • 無塩バター 80g
  • 粉砂糖 40g
  • 卵黄 4個
  • 卵白 4個
  • ブラック板チョコ 2枚
  • 薄力粉 70g
  • ココアパウダー 10g
  • グラニュー糖 70g
  • グラサージュ用ブラック板チョコ 2枚
  • グラサージュ用生クリーム 100ml
  • アプリコットジャム 適量

基本的な作り方

材料を用意したら、早速作ってみましょう。

  1. 細かくした板チョコを耐熱容器にいれ、ラップをしたらレンジで加熱し溶かします。
  2. ボウルにバター、粉砂糖を入れてよく混ぜ、卵黄も加えてさらに混ぜたら1で溶かしたチョコレート加えてよく混ぜます。
  3. 次にメレンゲを作りましょう。新たなボウルを用意し、卵白をフワっとするまで泡立てたらグラニュー糖を3回程に分けて加えながら、泡立てます。
  4. 2にメレンゲを1/4程加えてゆっくりと混ぜていきます。
  5. 4で作った生地に、さらに残ったメレンゲを加えていきます。ヘラで底からすくうようにして混ぜ合わせましょう。
  6. 5にココアパウダーと薄力粉を合わせてふるったものを何回かに分けて加え、ヘラでゆっくりと混ぜます。
  7. 6の生地を丸い型に入れて、軽めに叩きながら表面を慣らしてから150度のオーブンで 約50分程度焼きます。
  8. 生地が焼きあがったら、網の上に逆さまに出し、粗熱が取れるまで冷やします。
  9. 生地を冷ましている間にコーティングするチョコレートを作りましょう。生クリーム100mlを鍋で沸騰する直前まで温め、刻んだチョコを加えます。このとき、やさしく混ぜて溶かします。
  10. 8で焼き上がったスポンジを上下半分に切り、下の層にアプリコットジャムを塗ります。
  11. 最後に、このスポンジに9をかけて完成です。

アレンジレシピ

『ザッハトルテ』をアレンジしたレシピは、たくさんの種類があります。

例えば八角などのスパイスを加えて作る『スパイシーザッハトルテ』や、コーティングチョコに『抹茶粉末』を加え、和風テイストにした『抹茶ザッハトルテ』なども、その一例です。

また、フルーツやアラザンでデコレーションした贅沢な『フルーティーザッハトルテ』など、アイデア次第でアレンジのバリエーションは無限大です。

ザッハトルテ作りのポイント

ザッハトルテを作るとき、使用する『砂糖の種類』によって口あたりが大きく変わってきます。

上白糖ならさらにしっとりとした口あたりになり、グラニュー糖ならあっさりとしています。粉砂糖を使用すれば、きめ細やかで上品な口当たりに仕上がります。

また、あんずジャムをどこに塗るかよっても、味が異なってきます。スポンジの間に塗る『ホテルザッハー』風にするか、コーティングとスポンジの間に塗る『デメル』風にするか選ぶのも楽しいポイントでしょう。

レシピは中級者向き

『ザッハトルテ』は、材料の量とプロセスから見ても、ケーキ作りの中級者向けといえるでしょう。

繊細な生地作りから始まり、一気に仕上げていく一連の流れは、同時にいろいろな工程を行うばかりではなく、その手際も重要になり、初心者には少し難しいかもしれません。

コーティング用チョコは一気にかける

もったいないように感じるかもしれませんが、最後にコーディング用のチョコレートは一気にかけましょう。

少量にしてしまうとスポンジの最後までかからない、チョコレートの量が均一にならずにがきれいに固まらないなど残念なザッハトルテになってしまう可能性があります。

ザッハトルテの保存は常温がベター

市販品と手作りで保存期間は異なりますが、ザッハトルテは表面をチョコレートでコーティングしているので、作ってから数日間は楽しめるケーキです。

保存方法もナイフを入れていない状態ならば陽の当たらない常温の場所でも十分ですが、夏場などは気をつけましょう。

本場ウィーンの有名店はどんな雰囲気?

日本から遠く離れた『ザッハトルテ』発祥の地オーストリアの首都ウィーンにある『ホテルザッハー』と『デメル』はどのような雰囲気のお店なのか紹介します。

名門ホテルとレストラン ホテルザッハー

ホテルザッハーは、オーストリア国立歌劇場に隣接されたホテルで、ビストロ、カフェ、ショップなどを所有しており、入り口もそれぞれ別々に用意されています。

雰囲気はさすが老舗高級店といわんばかりで、落ち着いていながらもゴージャスな高級感を醸し出しています。

ホテルザッハーのカフェは、特に人気が高く、常に行列ができているのですぐに見つけることができるほどです。

その店内で食べる『オリジナルのザッハトルテ』は、その味もさることながら、雰囲気なども含めて格別でしょう。価格は高級店だけあり、他のカフェなどと比べると少々高めですが、『ザッハトルテ』と『ミルクコーヒー』を頼んでも約12ユーロ程です。

ザッハトルテはさまざまなサイズが用意されていますが、直径12cmのホールケーキより大きいものは豪華な木箱に入っており、より重厚な雰囲気があります。

常温で2週間ほど日持ちしますが、店内で出される『オリジナルのザッハトルテ』とテイクアウトのものでは、日持ちさせるために甘味を強くするなど少し変えたレシピが採用されているそうです。

カフェ以外のザッハーショップではお土産用の日持ちしやすいスイーツやコーヒー豆、ホテルのグッズなどもたくさん売られているので、ザッハトルテとともに楽しんでみることができます。

王室御用達の洋菓子店 デメル

王宮の隣に隣接する『デメル』は、その立地条件から王室御用達として重宝されていました。

デメルは品よく小ぢんまりとまとまった印象ですが、皇妃エリザベートが好んだスミレの花にちなみ、スミレ色でデコレーションされた店内は可愛らしさを感じさせてくれます。

ザッハー同様にデメルにもカフェコーナーが用意されています。デメルはもともと洋菓子専門店なので、ショーケースに並んだ美しいケーキは圧巻です。

このケーキ類の他、お土産用のお菓子の種類も豊富に用意されているのも嬉しいポイントでしょう。レトロ調のパッケージにも注目です。デメルの商品は商品を自由に手に取って見られるので、賞味期限などをチェックして購入するといいでしょう。

また、デメルの人気商品には『デメルのザッハトルテ』の人気をしのぐ『デメルトルテ』などもあるのでチェックしてみましょう。

デメルのみ日本出店あり

ホテルザッハーがオーストリアのみの展開に対し、デメルでは日本にも出店展開しています。北は北海道、南は九州まで、多くの売り場を構えています。

東京都心部では、高島屋・伊勢丹・三越などの有名百貨店で購入することができます。

デメル 日本ショップ

その他ザッハトルテがおいしい東京のお店

『デメル』以外でも、日本には『ザッハトルテ』を食べられる名店があるので、紹介していきます。

銀座 ハプスブルク ファイルヒェン

オーストリア国家の公認料理マイスター神田真吾氏が提供する『銀座ハプスブルク ファイルヒェン』のザッハトルテは、伝統と格式を伝承した由緒正しき味を楽しませてくれる名店です。

配送サービスも展開しており、地方にいながらも本格的なザッハトルテを味わうことができます。

  • 店舗名:銀座ハプスブルク ファイルヒェン
  • 住所:東京都中央区銀座7-8-7 GINZA GREEN 7F
  • 電話番号:03-5537-3226
  • 営業時間:ランチ11:30〜13:30、カフェ 13:30〜15:00、ディナー18:00〜20:30
  • 定休日:日・月曜日
  • 公式HP

CAFE LANDTMANN

『Cafe Landtmann』は、ザッハトルテをはじめバリエーション豊かなケーキ類と伝統的なウィーン料理、そしてカフェメニューを提供しています。オーストリアワインの豊富な品揃えも嬉しいポイントでしょう。

ウィーン本店を忠実に再現し、伝統あるウィーン料理や店内の雰囲気をそのままに海外第1号店を東京の青山に構えました。人気店のため、来店前に予約をしてから行くと安心です。

  • 店舗名:Cafe Landtmann
  • 住所:東京都港区北青山3-11-7 AOビル4F
  • 電話番号:03-3498-2061
  • 営業時間:月~金  11:00~23:00 日祝 11:00~22:00
  • 公式HP

洋食喫茶 カフェ ウィーン

300年の由緒正しき伝統を守り、本場のレシピを忠実に再現したメニューが豊富な『洋食喫茶 カフェ ウィーン』です。ザッハトルテはもちろんのこと、オーストリア料理やコーヒーメニューを心ゆくまで楽しめます。

優美な赤のビロードの内装は、ウィーンの伝統的なカフェハウスをそのまま持ってきたような本物の雰囲気で、オーストリアウィーン商工会議所『ウィーンカフェハウス協会』の認定書を日本で最初に与えられた名店です。

  • 店舗名:洋食喫茶 カフェ ウィーン
  • 住所:東京都中央区日本橋室町1-4-1
  • 電話番号:03-3274-8835
  • 営業時間:10:00~19:00 (ラストオーダー/食事:18:00、喫茶:18:30)
  • 公式HP

ウィーン伝統のお菓子を味わおう

日本から遠く離れたオーストリアの首都ウィーンから発祥した、『ザッハトルテ』の芳醇な甘さとすっきりとした酸味のハーモニーに、魅了されている人は多いでしょう。

自宅で作るのが面倒であれば、本場の味を継承した『ザッハトルテ』を提供してくれる洋菓子店やさまざまな通信販売を利用して気軽に購入することができます。

ぜひ一度、『チョコレートケーキの王様』といわれる『ザッハトルテ』を味わってみてはいかがでしょうか。

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