停車に効果的なブレーキング方法とは?正しい使い方とメンテナンス法

2019.06.17

バイクにおけるブレーキは停止するためのものだけと考えられがちです。しかし、ブレーキは走行中のバイクコントロールにも大きな役割があります。そのためブレーキの特徴やメンテナンス方法を知ることは大切です。ブレーキの基本など必要な知識を解説します。

まずは知っておきたいブレーキの特徴

はじめに、知っておきたいブレーキの特徴を解説します。ブレーキの役割や種類について学びましょう。

ブレーキはフロント・リアで役割が違う

『バイクのブレーキはフロントとリアで別々』になっています。自動車ならブレーキペダルを踏む一つの動作で操作できますが、バイクは違います。

フロント側のブレーキはブレーキレバー、リア側はブレーキペダルで操作します。フロントとリアのブレーキを別々に操作することを『2系統2操作』と呼びます。

そして、フロントとリアのブレーキの特徴も異なります。フロントのブレーキは強い制動力があり、メインブレーキの役割です。

一方のリアブレーキは制動力は弱めですが、バイクの姿勢を安定させる役割があります。アクセルとの併用で走行速度の調節も可能です。

ブレーキの種類

バイクのブレーキには『ドラムブレーキ』と『ディスクブレーキ』の2種類があります。ドラムブレーキはペダルを踏むことで、ブレーキシューと呼ばれるパーツが広がり車輪を止めます。

ドラムブレーキのメリットは制動力が良く、部品が軽量・少数であるためコンパクトに仕上がっているところです。製造コストが抑えられているため、車体も安くできるのも魅力です。

ただし、現在ドラムブレーキを採用しているのはスクーターやビジネスバイク(郵便配達バイクなど)です。多くのバイクはディスクブレーキを採用しています。

ディスクブレーキはホイールと固定された円盤をブレーキパッドで挟むようにして制動します。油圧式で作動するため、ブレーキレバーの握り加減でコントロールしやすいでしょう。

効果的なブレーキング方法

ツーリングではフロントとリアのブレーキをうまく使うことで、走行中の停車に有効です。そこで、どのようなブレーキングが効果的なのか解説します。

急ブレーキの正しい方法

とっさの判断で急ブレーキをかけるのは命を守る上で、非常に大切な技術です。ただし、急ブレーキの操作は難易度が高いと言えます。

『フロントとリアのブレーキを同時に操作する必要がある』ので、難易度が高くなっています。

バイクの急ブレーキをかけるときは、できるだけ車体をたててハンドルをまっすぐにします。その後、アクセルを戻してフロントとリアのブレーキを同時にかけます。コツとしては、制動力の大きいフロントのブレーキ能力を引き出すイメージです。

また、急ブレーキをかけると体が前方に引っ張られます。姿勢を安定させるためにも膝と両方の太ももでタンクをしっかりと挟み、下半身を安定させましょう。

姿勢制御のためのリアブレーキ

リアブレーキの使い方には車体を止めるだけではなく、『姿勢制御』もあります。走行中や停車前後に体のバランスを崩さないためにも、効果的にリアブレーキを使いたいところです。

姿勢制御には『低速走行時』と『LターンやUターン時』があります。

低速走行は交差点などでの停車に備えるときに用います。低速走行時は先にリアブレーキをかけることで、減速しやすくなります。その後、フロントブレーキをかけると減速力を強め、最後にリアブレーキで止まるようにしましょう。

LターンやUターンをするときは、リアブレーキだけを使って走行するとスムーズです。フロントブレーキだけで対応しようとすると、バランスが崩れ、立ちゴケにつながります。

ABSとCBSとは?

バイクのブレーキシステムでABSやCBSという用語を見聞きすることがあるでしょう。ABSとはアンチロック・ブレーキ・システムのことで、自動車にも採用されていますが、『急ブレーキをかけたときにタイヤロックを防ぐ』ものです。

タイヤロックを防げばバイクが直立しやすく、転倒のリスクが軽減されます。さらに、積極的なブレーキ操作も可能になるため事故防止にもつながります。

CBSはコンビブレーキシステムを指し、『前輪と後輪のブレーキが連動しているシステム』のことです。スクーターや原付など、多くのモデルに搭載されています。

ただし、基本的にはフロントとリアは別々に操作するものです。CBSはあくまでも両輪のブレーキバランスを最適化するものだと認識しましょう。

ブレーキのメンテナンス方法

ブレーキは停車や走行中に操作する機会が多いです。適切なメンテナンスをしないと、思わぬトラブルを引き起こします。

ブレーキのメンテナンスとして、まずはブレーキパッドについて解説します。

ブレーキパッドの役割

ブレーキパッドはディスクブレーキに使用されるパーツです。ブレーキパッドがホイールに取り付けられた板(ブレーキローター)を挟むことで、走行速度を減速させます。

ブレーキローターを挟むと、ブレーキパッドが摩擦により消耗します。消耗したブレーキパッを使い続けると、ブレーキの効きが悪くなります。ですから、定期的な交換が必要です。

ブレーキパッドの交換時期

ブレーキパッドの交換時期は残量が2mm以下です。走行距離で言えば、1万〜1万3000kmが目安です。走行の仕方や距離数によっては早めの交換が必要な場合もあります。

ブレーキパッド残量が5mmくらいまでは良好なブレーキングですが、それ以下になるとブレーキタッチが悪くなってきます。

目安残量などで判断をせず、ブレーキタッチが悪くなったら点検しましょう。

ブレーキパッド交換の主な流れ

ブレーキパッドの交換は手順を掴むと、自分で作業することも可能です。大まかな流れは以下のようになります。

  1. 保護フィルムを貼る(作業パーツ周辺の傷を防ぐ)
  2. 車輪の左右にトレーを置く(取り外したパーツの混在を防ぐ)
  3. マスターカップに濡れた紙ウエスを巻く(ブレーキオイルのあふれ防止)
  4. キャリパーのクリーニング
  5. ピストンのグリスアップ
  6. バッドピンなどの各パーツをクリーニング
  7. 新パッドの面取り(パッドグリスを塗るとなき防止になる)
  8. ダイヤフラムのクリーニング
  9. レンチ管理(トルクレンチとマーカーで)

慣れない作業があると感じた場合は、無理をせずにプロに依頼し、正しく作業してもらいましょう。

ブレーキのエア抜きによるメンテナンス

ブレーキのエア抜きは基本的なメンテナンスですが、忘れているライダーもいます。

エアが入るとブレーキの効きも悪くなり、事故などのリスクが高まります。エア抜きによるメンテナンスも大切です。

ブレーキフルードに空気が入ることが原因

ブレーキに操作でエア感が出るのは、ブレーキフルードに空気が入るからです。

簡単にブレーキが効くまでの流れを解説すると、ブレーキフルードに油圧がかかり押し出されたピストンがブレーキパッドを押し込みます。

その後、押し込まれたブレーキパッドがディスクローターと摩擦してブレーキが効く流れです。

油圧式でパーツが連動すれば、ブレーキオイルにも重要な役割があります。ブレーキオイルに空気が混じってしまうと、ブレーキフルードにもエアが入りブレーキの効きが悪くなるのです。

ブレーキフルード交換のタイミング

ブレーキフルードの交換タイミングは、走行距離1万kmです。経過期間でみると24カ月が適切と言われていますが、走行距離によっては車検の時期に合わせて交換するのもいいでしょう。

液体の色が透明から黄色に変わってきたときも交換の目安です。ブレーキフルードの交換と同時にブレーキパッドを交換すれば、より効果的です。

車検のない250cc以下だとブレーキフルードが劣化したままで走行している可能性もあります。車検がなくても走行距離や経過期間を目安に点検や整備を行いましょう。

主な作業の流れ

ブレーキフルードの交換作業は以下のようになります。

  1. 濡れたウエスでマスターを巻く
  2. 保護フィルムを貼る(タンクなどの垂れが気になる場合)
  3. ブレーキフルードを抜く(専用工具を使う)
  4. ブレーキフルードを注入(専用容器を使う)
  5. 空気を抜き、オイルを吸い出す
  6. ダイヤフラムなどを水洗いし、エアで乾燥

万が一、ブレーキフルードが塗装面に垂れた場合は素早く水洗いして乾燥させましょう。

ブレーキホースのメンテナンス

ブレーキの効きを保つには、ブレーキホースのメンテナンスも欠かせません。劣化の状況をみながら、定期的なメンテナンスが必要です。

純正のブレーキホースは経年劣化する

純正のブレーキホースはほとんどがゴム製で、熱で膨張しやすい性質があります。ブレーキホースが膨張すると、油圧が多少変化してブレーキの効きが鈍く感じます。

『ブレーキ効きの悪さを遊びとして捉えがち』ですが、放置していればブレーキがちゃんと効かなくなりますので、メンテナンスが必要です。

純正のブレーキホースはゴム製のため『経年劣化』があります。走行距離に関係なく、『2〜3年で交換』するようにしましょう。ブレーキホースにひび割れが出てきたときも交換のサインです。

交換後ブレーキレバーの動きがダイレクトになる

ブレーキホースを交換すれば、遊びによる制動距離の長さやレバーを握った感覚が全く違います。

例えば、膨張や伸縮しにくいステンメッシュ製のブレーキホースに交換すると遊びが少なくなります。強く握りこまなくてもブレーキが効き始めるので、細かなブレーキングが可能です。

ただし、初心者がステンメッシュ製のブレーキホースに変えるのは注意が必要です。遊びが少ないので、ブレーキレバーを強く握るとブレーキが効き過ぎて、転倒する恐れがあるので注意してください。

作業に自信がないときはプロに依頼しよう

ブレーキホースの交換はブレーキフルードを抜くことからはじまります。ブレーキフルードを抜き終えたら、ホースを外しましょう。

その後は『ホースガイドを取り外し、クリーニング…』と続きます。ボルトの取り外す作業や周辺パーツへの気遣いなどが必要になる作業です。

細かな作業も多いため、自信がない場合は、プロに依頼すると安心でしょう。

ブレーキの正しい取り扱い方を覚えよう

バイクのブレーキはフロントとリアに別れています。単に車体を止めるだけではなく、円滑な走行にも大きな役割も持っています。

ブレーキ関連のパーツが劣化すると効きが悪くなり、事故や走行中のトラブルにつながりやすいものでもあります。メンテナンスを定期的に正しく行って、快適なツーリングができるようにしましょう。

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