ジンをベースに作られ、さっぱりとした爽やかな飲みごこちで世界中のカクテルファンを魅了するお酒『ジンフィズ』はカクテルの代表的な存在です。今回はジンフィズをもっと楽しむために、その特徴やレシピについてくわしく紹介します。
ジンフィズの基本
ジンとソーダというシンプルな素材を配合して作る『ジンフィズ』の基本情報を紹介します。
ジンフィズとは
『ジンフィズ』とは、1888年にアメリカのニューオリンズにある『インペリアル・キャビネット・サロン』のオーナーがジンとレモンスカッシュをミックスして作ったことが始まりだといわれる、歴史あるカクテルです。
同時期にイギリスで作られたトムコリンズは、ジンフィズと作り方も材料も同じですが、分量が違うので味が少々異なります。この二つは『兄弟カクテル』と呼ばれることもあり、トムコリンズはコリンズグラスに注がれるという特徴があります。
現在ではさまざまなアレンジレシピも登場し、豊富なバリエーションの『ジンフィズ』を味わうことができるようになりました。
フィズの意味
フィズとはソーダ水の炭酸ガスがはじける「シュワッ」という泡の音を英語にしたときの『a fizz』から名付けられたそうです。
ジントニックとの違い
ジンにソーダを加えたカクテル『ジンフィズ』はレモンの酸味とジンの風味がマッチした爽やかでスッキリとした飲みごこちが特徴で、ソーダ以外の材料をシェイクした上でグラスに注ぎ、後からソーダを継ぎ足して作るカクテルのことを指します。
同じジンを使用したお酒に『ジントニック』がありますが、こちらはよりシンプルで、氷の入ったグラスにジンとトニックを入れ、ライムを添えるカクテルです。
味わいは似ていますが、ジンフィズの方がスッキリした飲みごこちでしょう。
ジンフィズのお酒の特徴
ジンフィズのベースとなる『ジン』は、ハーブや果物の皮、そしてスパイスなど草根木皮などの『ボタニカル』で風味付けされたお酒(スピリッツ)で、ジンフィズ以外にも多くのカクテルで使われています。
先述のジントニック以外にも、マティーニといった定番カクテルにも使われているので、どこのバーでも必ず常備されているお酒です。
また、ジンにはビーフィーター、ゴードン、タンカレー、ボンベイサファイアなどさまざまな銘柄があり、それぞれ風味や味が違います。
自分の好みの銘柄がある場合はバーなどで指定して作ってもらうといいでしょう。
アルコール度数
ジンは他のスピリッツ同様に、アルコール度数はだいたい40〜50度前後で強めのお酒です。ただしカクテルを作る上で他の素材と混ぜることにより、その度数が下がります。『ジンフィズ』のアルコール度数は、約13度前後になるなります。
口当たりが良いため、アルコール度数が気にならないのも『ジンフィズ』の特徴ですが、飲みすぎないように注意しましょう。
お店のレベルを知るときに注文?
『ジンフィズ』のようにシンプルでスタンダードなレシピこそ、お店によって味の変化がよくわかるお酒といえます。
どんな銘柄のジンを使っているか、ジンをちゃんと冷して出しているか、また商品管理がきちんとなされているかなど、お店のランクも見極めやすいといえるでしょう。
その分、バーテンダー側の視点からすると『手の抜けない』カクテルの一つといわれています。最初に『ジンフィズ』を注文してみると、どんなお店か知ることができるるかもしれません。
ジンフィズの作り方
バーで本格的な味を楽しむのもいいですが、『ジンフィズ』は自宅でも簡単に作ることができます。
ここでは簡単に作れる『ジンフィズ』の作り方を紹介します。
必要な材料
ジンフィズ1杯に必要な材料は以下の5種類です。どこでもすぐに手に入りやすい材料ばかりですが、自宅でカクテルを楽しむ回数が多いならば、シェイカーとメジャーカップ、バースプーンやアイスピックを1セット用意しておくと便利でしょう。
- ジン 30ml~45ml
- レモンジュース 15ml
- シュガーシロップ ティースプーン1杯
- ソーダ 適量
- 飾り用のレモンスライス
友達を招いたホームパーティーでシェイカーを振れば、喜ばれること間違いなしです。バーテンダー気分で楽しんでみてください。
基本の作り方
続いて、ジンフィズの作り方です。
- はじめにグラスに氷を入れて冷やし、準備を整えます。些細なことですがこういった下準備は『カクテル』の完成度を大きく左右する重要なポイントです。
- 次にシェイカーにジン、レモンジュース、シュガーシロップを入れたらスプーンで軽く混ぜあわせた後、氷を入れシェーカーを振って混ぜ合わせます。
- シェイクができたらグラスに注ぎます。次にソーダをなるべく氷にあてずに底の液体を狙ってグラスに注ぎ、スプーンで氷を持ち上げるように大きく混ぜます。
- 最後に輪切りにしたレモンを入れたらでき上がりです。
各素材の配合や、グラスに入れる氷の大きさ、またソーダの分量など、それぞれが適度に混ざるようにシェイクされているかがジンフィズをおいしく作るヒントです。
何度も試しているうちに、自分に合った味の配合分量やシェイクの仕方がわかってくるでしょう。
その他フィズ系のカクテル
『フィズ』をベースにつくるカクテルの種類は実に豊富にあります。
ここでは、『ジンフィズ』以外のおすすめ『フィズ系カクテル』をいくつか紹介します。
さっぱりとした味わい アプリコットフィズ
『あんず』で作ったアプリコットブランデーをレモンジュース、砂糖、ソーダをミックスして作る『アプリコットフィズ』は、さっぱりとした甘味のある味わいと香りで、女性からもたいへん人気のあるカクテルです。
また、カクテルの中でも甘めに作られているので、アルコールがあまり得意ではない人にも好まれるでしょう。アルコール度数も8度程度と弱めなので口あたりがよく、おすすめです。
自分で作る場合は、炭酸水以外をシェイクしたらタンブラーに注ぎ、ソーダで満たし軽くステアしてできる手軽さも人気の一つでしょう。
豊かな香り ヴァイオレットフィズ
ヴァイオレットフィズは、クレーム・ド・バイオレット、レモンジュース、砂糖、ソーダをミックスしたロングカクテルです。スミレ色のリキュールが鮮やかで、見た目の美しさにも目をひくでしょう。
バイオレットフィズは『完璧な愛』というロマンティックな意味の名前がついた『パルフェタムール』をベースとしたカクテルで、色彩も透明度の高い鮮やかな紫色をしています。
加えてスミレのような香を放つ『パルフェタムール』は、食前酒にも適した100年以上もの長い歴史を持つリキュールで、フランスで生まれました。柑橘系をベースにスミレやバラなどで香りづけがされているのが特徴です。
『飲む香水』と呼ばれるほどの香り高いもので、昔は貴族達の間で媚薬の効果があるといわれていました。
飲みやすく人気 ピーチフィズ
桃の香りがフワっと広がりさっぱりとしているのがピーチフィズです。こちらもアルコール度が低めなので、お酒の苦味が苦手な人でもとても飲みやすく人気のあるカクテルです。
ガムシロップのかわりにグレナデンシロップを使用することで、かわいらしいピンク色になり、ガムシロップとはまた少し違った味わいが楽しめます。
リキュールには『クレーム・ド・ペシェ』がおすすめです。
『クレーム・ド・ペシェ』は地中海の暑い日差しのもとで育った、南フランスのフレッシュな黄桃だけでつくったまろやかな甘さ香り高いピーチリキュールです。
女性にごちそうしたい一杯でしょう。
ジンフィズのアレンジカクテル
ジンフィズは素材や作り方によってさまざまなアレンジを気軽に楽しむことができるカクテルです。
次に『ジンフィズ』のアレンジカクテルをいくつか紹介します。
オレンジジュースを使ったテキサスフィズ
ジンフィズで使われるレモンをオレンジジュースに変更したものを『テキサスフィズ』といいます。
オレンジジュースはレモンと違い、ほどよい甘さがあり、香り、酸味がジンの風味を柔らかく変え、飲みやすくなっているのが特徴です。
ソーダを加えることで、お酒の苦味が抑えられ、まるでソフトドリンクを飲んでいるような優しい口あたりで、料理にもとても合うカクテルでしょう。
『テキサス』という名前の由来は、オレンジがトレードマークとされるテキサス州の『焦げた濃いオレンジ色』からつけられたといわれています。しかし、実際には『焦げた』という言葉とは程遠く、澄んだオレンジ色が特徴のカクテルです。
オレンジジュースで割るオレンジフィズ
ドライジンをベースにオレンジジュースとグレナデンシロップ、ソーダ、をミックスしたカクテルで、フルーティーなオレンジの柑橘系の爽やかな香りと優しい口当たりがさっぱりしていて、夏向きの人気カクテルです。
アルコール度は13%とやや高めな『オレンジフィズ』ですが、飲みやすいため、どんどん飲めてしまいます。飲み過ぎには気をつけましょう。
卵を使った ゴールデンフィズ
一見カクテルとはそぐわないような意外な素材である『卵』を使ったものがあります。それが『ゴールデンフィズ』です。ジンをベースに、レモンジュース、シュガーシロップ、ソーダ、卵黄を使って作ります。
昔から日本でも親しまれている玉子酒のような感覚で、疲れをとりたいときや、滋養強壮のために飲まれる個性的なカクテルといえるでしょう。
ちなみに、卵白を使って作るカクテルもあり、それは『シルバーフィズ』と呼ばれています。
ジンフィズの爽やかな味わいを楽しもう
『ジンフィズ』はカクテル初心者から上級者まで安定した人気のある定番メニューで、バーに立ち寄ったときには、最初にオーダーしたいカクテルです。
定番だからこそバーやバーテンダーによって味や見た目に違いがあるので、飲み比べていくのも面白いでしょう。
また、自宅でも簡単に作れるカクテルなので、バーで見つけたお気に入りの『ジンフィズ』を自宅で再現してみるのもおすすめです。