イタリア生まれの舞台芸術「オペラ」を観よう!楽しみ方やマナーとは

2019.06.15

オペラは意外にも身近にある非日常を体験できる場所です。基礎知識とマナーを押さえれば、誰でも日頃の忙しさを忘れて独特な世界観の魅力と充実感を味わえるでしょう。代表的な団体や劇場も、あわせてチェックしてみてください。

オペラの基礎知識

まずは、オペラを楽しむ上で知っておきたい基礎知識からチェックしておきましょう。オペラとはどのように生まれたのかと一緒に、多種多様なオペラの種類やミュージカルとの違いにも触れていきます。

オペラとはなにか

オペラはルネサンス後期の16世紀末、イタリアのフィレンツェで産まれた舞台芸術です。

歌と楽器の演奏で物語が進行し、演劇と音楽によって構成されるその美しさは、現在に至るまで400年以上のあいだ、世界中の人々を魅了し続けてきました。

歌詞はイタリア語などの外国語が使われますが、近年は字幕がつけられるなど、わかりやすい配慮も施されています。

舞台袖や電光掲示パネルを活用し、映画のように楽しめる舞台芸術は、ストーリーに引き込まれながらもその美しさに感動を覚えるでしょう。

オペラの種類を知る

一言にオペラと言ってもいくつかの種類があります。代表的なものとしては、以下の4つを押さえればいいでしょう。

  • オペラ・セリア:セリアはイタリア語でまじめなという意味を持ち、神話や神聖な物語、悲劇を台本にしたもの
  • オペラ・ブッファ:喜歌劇と訳され、喜劇的要素を含んでいる。大衆的な興味を惹くオペラで、気分直しの役割から発展した
  • イタリアオペラ:美しく響く声とされるベルカント唱法を使い、覚えやすいストーリーや人物表現で進行する歌中心のオペラ
  • ドイツオペラ:イタリア全盛時代い登場人物の心理的描写や複雑な心境を音楽で表すオペラ。芝居が中心で感慨深い表現が多い

オペラに馴染みがない人は、イタリアオペラから鑑賞してみるのがおすすめです。ストーリーが理解しやすく、楽しみやすいでしょう。

ミュージカルとの違いは?

ところで、歌による劇といえばミュージカルというものもあります。オペラとミュージカルとの違いは何があるのでしょうか。

基本的にオペラは『クラシック音楽』が使われ、『オーケストラ』を交えながらマイクを使わずにその声などを響かせます。

一方、ミュージカルはポピュラー音楽が使われ、オーケストラは使わないのが通常です。また、マイクを使っている点も違いと言えるでしょう。

ミュージカルとオペラの違いでわかりやすいのが、セリフの旋律です。オペラはセリフにも旋律があります。

細かく言えば他にも発声法の違いなどがありますが、使われる音楽、オーケストラやマイクを使うかどうか、セリフに旋律があるか、というあたりが、ミュージカルとオペラの違いと言うことができるでしょう。

オペラの音域を楽しもう

マイクを使わずにその歌声を響かせるオペラでは、歌手の演じる役柄は、音域によって分けられています。それぞれの音域でまた違った響きを感じられるのもオペラの魅力と言えるでしょう。

基本的に担う役割を覚えておくと、オペラの内容もわかりやすくなります。以下に主要なものを挙げましょう。

主役級のソプラノとテノール

女性でのソプラノと、男性のテノールは、『主役級』の役柄を担う音域です。ソプラノは女性高音の担当で、動きの早い旋律をしなやかに歌うのが特徴です。お姫様や美しい女性主人公、才能あふれる女性の役柄が多い傾向があります。

テノールは、ソプラノと同じ特色を持った男声のことです。軽く、叙情的でありながらも劇的な特徴を持っています。若くハンサムな人物や主役級の役柄が多く、ソプラノの音域と比べると1オクターブ下で響き合うのも特徴です。

豊かな表現のメゾソプラノとバリトン

女性でのメゾソプラノと男声でのバリトンは、中間の音域を持ち、『名脇役』たちという属性を持っています。

メゾソプラノは、深い愛情表現を得意とし、妖艶な女性や個性的な女性の役柄が多い音域です。女性の役割だけではなく、青年や若殿などの男役を演じる『ズボン役』と呼ばれる役柄も、メゾソプラノの音域が担っています。

バリトンは、男声が歌う中間音の音域で、人間味溢れる人柄や重厚な人の役柄が多くあります。役の幅はかなり広く、主人公の親友役から機知に富んだ切れ者など、さまざまな姿を見られるのも特徴です。

最低音域のコントラルトとバス

女性の最低音域のコントラルトと、男声の最低音域のバスは、オペラの役自体が少ない音域です。

女性のコントラルトは、メゾソプラノと同じような役柄をするのが一般的です。コントラルトの音域を持っている歌手は少ないため、とても珍しいと言えるでしょう。

男声のバスはブリリアント、カンタンテ、プロフンドの3つの役割を持っています。それぞれ才気煥発な人、感情豊かな人、激しい感情を表す人のことを指します。賢人や悪魔の役を担う場合があり、低く響く深みのある声を楽しめます。

鑑賞前の準備とは?

オペラの基礎知識を覚えたら、心からその音域と役割、ストーリーを楽しむためにも、準備をしておきましょう。事前に情報をチェックするなど、最低限準備しておきたい3つのポイントを紹介します。

事前情報をチェックしよう

オペラの『公演情報』は、クラシック音楽情報誌や新聞、インターネットなど、さまざまな情報源から入手できます。注目公演の特集が組まれている雑誌などであれば、より詳しく事前情報をチェックできるのでおすすめです。

簡単なストーリーや見どころ、歌手のインタビューなど事前に知っておくと、公演されるオペラを楽しめる要素を増やすことができます。

また、コンサートに足を運んだときなどにもらえる『チラシ』には、主催者が工夫を凝らした注目ポイントが記載されていることが多いです。公演されているオペラの観どころを知るきっかけになるので、目を通しておきましょう。

オペラ鑑賞に適した席とは

事前情報を入手したら、観てみたいと思った公演のチケットを購入します。そのときに注目しておきたいのが、鑑賞するために予約する席です。

オペラでの席を予約するときには、音響が良い席を選ぶだけではなく『舞台全体がよく見える』という要素にも注目して選ぶようにしましょう。

とはいえ、舞台全体が見えるからといって、あまり舞台から遠い席では、臨場感を味わえなくなります。近ければ臨場感が味わえますが、舞台全体が見渡せずにストーリーを楽しみにくくなるため、兼ね合いが重要です。

なるべく正面真ん中に近く、天井が被っていない1階、もしくは2階ではなるべく前の席を選ぶようにしましょう。当然、人気のある席なので、早めにチケットの予約をして席を確保することが必要になります。

オペラを観る際の服装

オペラを観るときには正装をしている人を見かけることもあると思います。実際、海外などでのオペラの公演は、正装をした人たちが集まっている姿を見かける機会が多くあるものです。

タキシードやイブニングドレスといった正装まではしなくてもよいですが、オペラは日常とは違う空間を楽しむものでもあります。

やはり、よそ行きのための『おしゃれ』をして楽しむのがおすすめです。自分が一番かっこよく見える服装で劇場に入れば、オペラという非日常の味わいも格別なものになるでしょう。

鑑賞時のマナー

鑑賞時のマナー(エチケット)は、大人の嗜みとしても最低限守る必要があります。オペラは綺麗な歌声を響かせて音色を楽しむものなので、進行の邪魔になるようなことは避けましょう。

携帯電話をオフに

携帯電話は基本的に電源をオフにしておきます。携帯電話の音だけに限らず、基本的に観客は沈黙を守り、進行を妨げずその世界に集中することで、より舞台への没入感を楽しめるものです。

携帯電話を操作する際の明かりなども、オペラの空間の邪魔をしてしまうので、通話をしなくても基本的に携帯電話の使用はマナー違反ということを覚えておきましょう。

オペラを観るために特別な心構えは必要なく、多くは一般常識に属することですが、以下のことに気を付ける必要があります。

  • 開演時間前に着席する
  • 大声での会話はしない
  • 非常時以外の離席・立ち上がりはしない

非日常の世界を楽しむためにも、節度を守り、日常を持ち込まないという意識を持ちましょう。

撮影は禁止

オペラは基本的に動画や静止画の撮影は禁止です。歌手・オーケストラ・観客にも嫌な思いをさせてしまうため、自分本位な行為は避けるのがよいでしょう。

特に、動画などで撮影したものをインターネット上で公開すれば、肖像権などに抵触してしまう恐れがある上、大人の嗜みとしてのマナーを逸脱した行為ということになります。絶対にしないようにしましょう。

その他にも、ガムを噛む行為や、飴を口の中で転がすのも意外と音が響くため、マナーとしてはよくないので覚えておいてください。

拍手のタイミング

オペラを観ていると、拍手が湧き起こることがあります。拍手のタイミングや強さなどに自信がないときは、演目が終了して、舞台上で歌手一人ひとりが挨拶をするときだけにしておきましょう。

お気に入りの歌手に拍手で感謝を表すのもよいですし、全体に称賛を贈るように拍手をするのでもよいでしょう。また、オーケストラの指揮者は、舞台の最高責任者です。称賛を表すため忘れずに拍手を贈りましょう。

セオリーとしての拍手は以上の通りですが、指揮者、歌手、オーケストラ全体が一致団結して作り上げた舞台に、心から敬意を表したくなったときには、自然に拍手をしているものです。あまり深刻に考えずともいいかもしれません。

おすすめのオペラを紹介

オペラの演目には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。オペラを観たことがないという人でも楽しめる、おすすめのオペラを三つ紹介します。物語の概要や、見どころ、ポイントも含めてチェックしてみてください。

モーツァルト 魔笛

モーツァルトの『魔笛』は、モーツァルトが亡くなる年の1791年に、ウィーンの一般市民が楽しめる歌芝居として作曲されたオペラです。

王子タミーノが囚われの姫パミーナを救い出そうと始まる『冒険ファンタジー』な物語は、子供から大人まで世界中で愛されています。

広がる旋律は宝石が思い浮かぶほど美しく、演じられる舞台はファンタスティックで、一度体験すれば心に残る名曲と楽しい情景が楽しめるでしょう。

『魔笛』を題材とした公演は定期的に開かれているため、初心者にも馴染みやすいのもポイントです。

ヴェルディ 椿姫

ヴェルディの『椿姫』は、パリの社交界を魅了する病身の高級娼婦ヴィオレッタがめぐり逢った、真実の愛を描いた大傑作と呼ばれるオペラです。

四季の移ろいとともに描かれる不朽の名作は、心弾む情景から幕切れまで、その世界に引き込まれる魅力をたたえています。

上演を重ねる度に人気を呼び、ヴェルディの代表作として知られるだけではなく世界オペラの劇場の中でも最も上演回数が多い作品と言われているのもポイントです。

高級娼婦の幸せな日々は、些細なきっかけから徐々に歯車を狂わせていきます。情景を表現するキャストの演技力と、オーケストラが彩る引き込まれるような舞台は必見です。移り変わる心情とオーケストラの表現力を楽しみましょう。

ビゼー カルメン

ビゼーの代表作と言われている『カルメン』は、世界中で人気を集めている、自由奔放な女性カルメンと一途な男性の、愛と死のドラマが繰り広げられる作品です。

大迫力の合唱やエキゾチックなダンスの見せ場などがあり、オペラの醍醐味を存分に味わえることから、初心者にも特におすすめできます。

定期的に再演などが行われ、何度見ても飽きのこないこの定番オペラは、キャストによって表現の変化などにも気付くよいきっかけになります。

親しみやすいメロディが豊富なため、オーケストラのみによるコンサートも行われ、録音が頻繁に使われるなど、楽曲面でも特に人気がある演目と言えるでしょう。

日本のオペラ団体をチェック

海外でのオペラの団体を多く耳にしますが、日本にも見逃せないオペラ団体があります。中でも代表的な二つの団体をチェックしてみましょう。

東京二期会

声楽家団体『二期会』は、志を同じくした声楽家たちによって、1952年に結成された団体です。従来のオペラ・声楽運動を第一期と考え、先人たちの偉業を継承し発展させることを使命とする団体として名付けられています。

2005年に一度は解散されましたが、公益財団法人東京二期会の声楽会員組織という形で活動を続けています。

初心者でも楽しめる内容のオペラの公演、オペラ歌手や声楽家の育成を念頭に置き、さまざまな活動を展開している団体です。

東京二期会オペラ劇場 -東京二期会ホームページ-

日本オペラ振興会

日本オペラ復興会は、イタリア・オペラを主軸とする『洋物』を中心とする藤原歌劇団と、日本の伝統文化に根ざした創作である『和物』を中心とする日本オペラ協会の2つの看板を掲げ、オペラ公演と普及活動を展開する団体です。

欧米のプロと肩を並べるトップクラスの実力者と、個性派の歌い手が所属し、『全国各地』での公演を行っているのもポイントです。

洋物・和物のどちらも素敵なオペラが楽しめますが、どちらもチェックして和洋の情景の違いを楽しむのもまた違った世界を楽しめるでしょう。

JOF 公益財団法人日本オペラ振興会 | 藤原歌劇団・日本オペラ協会

東京のオペラハウスを押さえよう

最後に、東京の代表的なオペラハウスを三つ紹介します。公演の予定を見て開催日に足を運んでみましょう。

新国立劇場

新国立劇場は、さまざまな題材をテーマにしたオペラが楽しめるオペラハウスです。オペラパレスと呼ばれる大規模な会場から、中劇場・小劇場まで揃っており、多種多様な演目が開催されているため、足を運びやすい劇場と言えます。

コートや手荷物の預かり所(クローク)だけでなく、バリアフリーへの配慮や、ゆったりとオペラを楽しむための託児サービスなども備えており、便利に利用できるでしょう。

開演前のひとときや幕間にくつろげる『ブッフェ』も完備され、素敵な時間を過ごせる設備が整っている劇場と言えます。

  • 店舗名:新国立劇場
  • 住所:東京都渋谷区本町1-1-1
  • 電話番号:03-5351-3011
  • 受付時間:9:00~22:00
  • 公式HP

東京芸術劇場

東京芸術劇場は、身体障害者や盲導犬を連れている人でも、徹底したバリアフリーと設備で安心してオペラを楽しめる劇場です。筆談などの用具も取り揃えられ、車椅子などの設備も揃っていることから気軽に誰でも足を運べます。

東京芸術劇場ならではのアイテムを取り揃えたグッズショップや、多種多様なおにぎりが楽しめる専門店などもあるため、幕間に利用できるでしょう。

中でもベルギー郷土料理を扱うベル・オーブは、オペラを楽しんだ後のリラックスタイムにおすすめです。

  • 店舗名:東京芸術劇場
  • 住所:東京都豊島区西池袋1-8-1
  • 電話番号:03-5391-2111
  • 公式HP

日生劇場

日生劇場は、日本生命保険相互会社が創業70周年を迎えたのを記念して建設された、日本生命日比谷ビル内にある劇場です。

昭和という時代を代表する建築の一つとしての評価を受けている劇場で演じられるオペラからは、当時の人たちの熱気を感じさせることでしょう。

その独特な建築で施された装飾と、素晴らしいオペラの調和は、一度は体験してみたい不思議な世界へと引き込まれる魅力があります。

リニューアルを重ねて、よりオペラを楽しむ空間を整えた日生劇場での舞台を鑑賞することを楽しみにしている人は多くいるでしょう。

  • 店舗名:日生劇場
  • 住所:東京都千代田区有楽町1-1-1
  • 電話番号:03-3503-3111
  • 公式HP

知識とマナーを押さえて、劇場へ

オペラの世界は、その圧倒的な非日常感によって、観る者をストーリーに引き込む魅力があります。基礎知識と基本的なマナーを押さえて劇場へ足を運べば、普段とは違う時間を味わえるでしょう。

バリアフリーを始め、来場者に負担をかけない設備も整ってきているため、まずは気軽に劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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