『どぶろく』と『にごり酒』の違いは?飲み方やおすすめの銘柄を紹介

2019.06.07

どぶろくと聞くと、白くてつぶつぶ感のある、とろみのついた日本酒というイメージを抱くのではないでしょうか?では、同じような見た目の甘酒やにごり酒との違いはなんでしょう?どぶろくのおいしい飲み方やおすすめ銘柄もご紹介します。

どぶろくとは?

どぶろくには正しい定義が存在しています。どぶろくに関するお祭りなどもあり日本に古くからある酒類ですが、その定義を知っている人は少ないのではないでしょうか。まずはどぶろくとは何かを解説します。

米や米麹を発酵させた日本のお酒

どぶろくとは、『濁酒(だくしゅ)』『濁醪(だくろう)』とも呼ばれる日本のお酒です。日本酒を作る工程でできるもので、もろみを固体と液体に分けないでそのまま飲むものを『どぶろく』といいます。

原料は日本酒と同じく米と米麹です。これに酒粕など酵母となるものを加えて発酵させると、おかゆのような『もろみ』ができます。

発酵が十分に進んだら、酒袋などに入れて圧搾して固体と液体に分離させます。この時残った固体が『酒粕』、透明の液体は『清酒(日本酒)』です。酒税法では、もろみをろ過しないものは清酒と呼べないため、どぶろくとして販売されています。

起源は稲作の開始とほぼ同時期と言われており、豊作を祈ったり、収穫を感謝する神事に使われていたとされています。

どぶろくの味や度数

もろみを漉さないどぶろくは、甘い香りやつぶが残っているのが特徴です。ほんのりとした甘味のほかに、かすかな酸味も感じることができます。麹が美容や健康にいいことから、女性からも人気があります。

アルコール度数は14〜17度と、清酒とあまり変わりません。口当たりがよく、アルコールをきつく感じないため、飲みすぎには注意しましょう。

どぶろくの基礎知識

どぶろくの基礎的な知識について、もっと深く解説していきましょう。

どぶろくの歴史

前述の通りどぶろくの起源は古く、稲作が始まった弥生時代には作られていたと言われています。飛鳥・奈良時代になると、五穀豊穣を祈願したり、収穫の感謝を示す神事に、米から作られた白濁酒を神に捧げていました。

一般的に酒が飲まれるようになると、各家庭で自家製の酒を作って飲んでいました。その自家製の酒は、白く濁った見た目であることからどぶろくと呼ばれるようになったのです。

ところが1899年(明治32年)に、国が自家醸造酒を禁止します。お酒に税金をかけ、スムーズに酒税を徴収するために行った政策です。それによって、どぶろくを作ることができなくなりました。

しかしながら、現代では地域活性化の意味で『どぶろく特区』が設けられており、また特定の伝統的神事を行う神社に限っては、どぶろくを作ることが許されています。そのどぶろくは、お祭りなどで振る舞われることがあります。

どぶろくの作り方

どぶろくを個人で作ることは禁止されていますが、古くから作られていることからもわかるように、身近な材料で比較的簡単にできるお酒です。家庭で醸造すると酒税法違反で『5年以下の懲役または50万円以下の罰金』となる場合があるため、注意してください。

どぶろくは米・麹・酵母の3種類から作られています。まずは白米を布袋に包んで水に浸し、3日ほど経ち甘酸っぱい香りがしたら、水と米を分離して米を蒸します。

蒸した米に米麹を混ぜ、酵母と水を加えたらさらに2日程度寝かされます。その後も麹と水を加えながら、1〜2週間発酵させれば出来上がりです。

どぶろく特区での個人製造も

どぶろく特区とは、規制をゆるめて地域の活性化を目指そうという国の『構造改革特区』の1つで、全国に160箇所近くあります。

どぶろく特区では、『農業者が自家産の米で作り、自営の民宿などで提供する』という条件付でどぶろくを作ることが許されています。

シンプルな作り方だけに、各農家のどぶろくは味もそれぞれです。旅先で自分好みのどぶろくを探すのも楽しみの1つでしょう。米所と呼ばれる地域にはどぶろく特区が多くあるので、巡ってみるのも楽しいかもしれません。

他のお酒との違い

どぶろくは、にごり酒や甘酒など、見た目が似たお酒がいくつかあります。どのような違いがあるのか解説していきます。

にごり酒との違い

にごり酒とは、日本酒製造の過程でできる『もろみ』を粗く漉したものです。もろみを漉さないのがどぶろくですから、どぶろくほどつぶつぶ感がありません。

また、酒税法上でも日本酒の定義は『米を発酵させて漉したもの』となっていますので、粗いとはいえ漉しているにごり酒は日本酒として分類されます。ちなみに、どぶろくは一切漉さないため、分類上は日本酒ではありません。

どぶろくもにごり酒も、アルコール濃度は清酒とほぼ同等ですが、ろ過しないことで糖やデンプンが含まれています。にごり酒やどぶろくが甘く感じるのは、この糖分やデンプンのためなのです。

どぶろくのつぶつぶ感や見た目が苦手という人は、にごり酒がおすすめです。底の方に白いもろみが溜まっているので、振ってから飲みましょう。

マッコリとの違い

韓国のお酒として有名なマッコリですが、見た目はどぶろくによく似ています。産地が違うだけで同じものと勘違いしている人も多いようです。マッコリとは、『マッ(粗く)コルダ(漉す)』という朝鮮語に起源があり、韓国ではよく飲まれているお酒です。

原料は、米の他にとうもろこしやじゃがいも、サツマイモなどを使うことがあり、この点がどぶろくとは大きく違うところです。どぶろくより甘味が強く、微発泡しており、飲んだ時にほのかにプチプチとした泡を感じます。

また、一般的にマッコリは冷やして飲みますが、どぶろくは冷やしても温めても飲むことがあり、飲む際の温度にも違いがあります。

甘酒との違い

甘酒は美容にいいと女性に人気のドリンクですが、甘酒の原料は日本酒と同じです。甘酒には2種類あり、日本酒を造る工程で、アルコールを含む手前で発酵を止めたものが『米麹甘酒』となります。

一方、同じように日本酒を作る過程で発酵を終え、もろみを絞った残りの固形部分である酒粕を使った甘酒にはアルコールが含まれており、米麹甘酒とは区別されています。

いずれも日本酒の製造過程から作られるものですが、発酵後にもろみを固体と液体に分けないものがどぶろくですので、甘酒とどぶろくは異なる飲み物です。ちなみに、美容で話題の甘酒はアルコールを含まない米麹甘酒の方で、子どもでも美味しく飲むことができます。

どぶろくのおいしい飲み方

どぶろくはストレートでそのまま飲むイメージが強いお酒ですが、他にもおいしい飲み方があります。どんな飲み方があるのか、見ていきましょう。

のどごしを楽しめるロック

濃厚なとろみが魅力のどぶろくですが、氷を浮かべてオン・ザ・ロックにすると、スッキリとしたのどごしが味わえます。氷が少し溶け出すとどぶろくが薄まるため、より日本酒に近い味わいとなり、甘味が弱まるため和食などの食事にも合うでしょう。

また、つぶが底の方に溜まりやすいので、マドラーで混ぜながら飲むのがおすすめです。瓶ごと冷蔵庫で冷やしておくと氷が溶けるのが遅くなるので、最後までおいしく楽しめます。

1対1で割るビール割り

あまり一般的ではありませんが、ビールの苦みにどぶろくの甘味が加わることで、まろやかで爽快感のある味わいになります。

ビールの炭酸にどぶろくはよく合うので、普段はビール派であるという方にもおすすめの飲み方です。ビールが苦手な方でも、どぶろくが苦みを消してくれるので、おいしく飲むことができるでしょう。

おいしく作るコツは、先にビールをグラスに半分注ぎ、どぶろくをグラスを傾けながらゆっくり注ぐことです。重いどぶろくは沈んでしまうので、後からどぶろくを注ぐことで、混ぜやすくなるのです。

甘さがマッチするミルク割り

白いどぶろくを白いミルクで割るという、女性に人気の飲み方です。かすかなどぶろくの酸味がミルクの甘味とマッチして、飲みやすいカクテルになります。アルコールを弱めにしたい場合は、ミルクの量を多めにしましょう。

また、ミルクを飲むヨーグルトに変えてもおいしくいただけます。栄養価も高くなるため、カロリーが気になるようなら、砂糖の入っていないプレーンなものを選ぶといいでしょう。

清涼感が増す炭酸割り

夏におすすめしたいのが、どぶろくの炭酸割りです。夏に飲むイメージはあまりないどぶろくですが、グラスに氷を入れ、炭酸で割ると爽やかなスッキリしたドリンクになります。

ドライなお酒にしたいなら、無糖の炭酸で割るのがおすすめです。少し甘さが欲しいなら、ガムシロップを少々入れてみましょう。

レモンスライスやライムを搾ったり、季節のフルーツやミントと飾ると、さらにバリエーションが増えて楽しく味わえます。

どぶろくを振る舞うどぶろく祭り

家庭で作ることが禁止されているどぶろくですが、どぶろくを振る舞うお祭りが日本の各地にはあります。どぶろく特区におけるどぶろく祭りをご紹介します。

どぶろく祭りとは?

稲作が始まった頃から作られ、親しまれてきたどぶろくは、豊作祈願や収穫祭といった農業に関わる神事で神に捧げられていました。現代においても、どぶろく祭りは収穫を祝う神事と深く関わっています。

各地でそれぞれに特色があるので、ご紹介します。

長草天神社どぶろくまつり

愛知県大府市で行われる『長草天神社どぶろくまつり』は、市の指定有形民俗文化財にもなっているお祭りです。どぶろくが振る舞われるだけでなく、『猩猩(しょうじょう)』という空想上の動物に扮した人が境内を練り歩きます。

猩猩は酒好きな動物とされ、真っ赤な顔をした特徴ある姿をしています。この神社は菅原道真とも縁があり、毎年多くの人で賑わいます。

  • 祭り名:長草天神社どぶろくまつり
  • 日時:毎年2月25日直前の日曜日 午前10:00〜
  • 場所:愛知県大府市長草町本郷44(長草天神社)

白川郷のどぶろく祭

世界遺産として有名な白川郷ですが、合掌造り以外にもどぶろく祭が有名です。白川郷にある5箇所の神社で毎年秋に行われ、五穀豊穣や家内安全、地域の平和を山の神様に祈願するお祭りとして観光客にも知られています。

どぶろく祭では、獅子舞や雅楽人が行列を作り『御神幸』が町を練り歩きます。この行列が終わる午後3時頃から、この年に仕込みを行ったどぶろくが奉納され、村人をはじめ参列者たちにも振る舞われるのです。

奉芸殿では次々に郷土芸能が披露され、お酒が振る舞われます。興味があれば、ぜひ白川郷に1000年以上つづくお祭りに参加してみましょう。

  • 祭り名:白川郷どぶろく祭
  • 日時:10月中旬頃
  • 場所:岐阜県大野郡白川村白川村荻町559(白川八幡神社)ほか
  • 公式HP

御座石神社どぶろく祭り

長野県茅野市にある御座石神社には、その名の通り大きな石が境内に置かれた由緒ある神社です。

祭りで振る舞うどぶろくは、毎年担当になった地域で作られるのが特徴です。事前に大釜でどぶろくが仕込まれ、祭りでは境内にシートを敷き詰めて宴会が始まります。

当番町によって毎年違う味わいとなるどぶろくが魅力の、とてもユニークな祭りです。

  • 祭り名:御座石神社どぶろく祭り
  • 日時:毎年4月27日
  • 場所:長野県茅野市本町東15(御座石神社)

甘口のおすすめどぶろく

どぶろくには、日本酒と同様に甘口と辛口があります。甘口は、どぶろくを初めて飲む方やフルーティなお酒が好きな方におすすめです。

遠藤酒造場 どむろく 渓流

モンドセレクションで12年連続金賞を受賞している他、多数の受賞歴がある『どむろく渓流』は、一切水を加えず作られたこだわりのどぶろくです。

昔ながらの酒造りを忠実に再現したというだけあり、できる限り人の手を加えていないのも特徴です。素材そのままの味わいなので、甘味が強く、旨味も強く感じます。

  • 商品名:遠藤酒造場 どむろく渓流
  • 価格:566円(税込)
  • Amazon:商品ページ

山口酒造場 庭の鶯 鶯印のどぶろく

アルコール度数6%で、日本酒が苦手な人にもおすすめの甘口どぶろくです。米は古式和釜で蒸し上げ、できる限り手作業で作られています。

甘味を強く感じ、酸味とのバランスが丁度良い風味を醸し出しています。瓶のデザインもレトロでかわいく、お土産にも喜ばれるでしょう。

  • 商品名:山口酒造場 庭の鶯 鶯印のどぶろく
  • 価格:1377円(税込)
  • Amazon:商品ページ

小山本家酒造 天狗のとぶろく

商品名は『とぶろく』となっていますが誤りではなく、これは天狗が飛び跳ねるほどおいしいお酒という意味で名付けられたそうです。

埼玉県にある小山本家酒造は1808年創業という歴史ある蔵本で、古来から愛され続けてきた日本の酒を今に伝えています。

爽やかな香りと原料そのままの旨味が特徴的です。まずはストレートでそのまま味わっていただくのがおすすめです。

  • 商品名:小山本家酒造 天狗のとぶろく
  • 価格:1025円(税込)
  • Amazon:商品ページ

辛口のおすすめどぶろく

食事にも合うシャープなどぶろくを探している場合は、アルコール度数高めの辛口どぶろくをおすすめします。

三原村 どぶろく 源流 辛口

高知県三原村は、昔から米のおいしい産地として名高く、どぶろく『源流』は地元農家によって作られています。

農家が丹精込めた自家栽培米のみを使い、酸化防止剤や保存料といった添加物は一切含まれていません。原料のお米が上質であるため、どぶろくからもそのおいしさが伺えるほどです。

  • 商品名:三原村 どぶろく 源流 辛口
  • 価格:1728円(税込)
  • Amazon:商品ページ

宮守川上流生産組合 遠野どぶろく からくち

岩手県遠野市といえば、天狗や河童などが登場する民話『遠野物語』を思い浮かべる人も多いことでしょう。どぶろくは遠野地方で『どべっこ』と呼ばれ、昔から地元に伝わるお酒です。

生タイプと違い、火入れされているため発酵は瓶詰めされた時点で止まっています。アルコール度数は日本酒と同じくらいとなっていますが、なめらかで飲みやすい口当たりです。

  • 商品名:宮守川上流生産組合 遠野どぶろく からくち
  • 価格:1600円(税込)
  • Amazon:商品ページ

葛城酒造 生米仕込み 百楽門 どぶろく

奈良県葛城酒造のどぶろくは、伝統的な当時の酒造の基本を大切にして『自然醸造』でどぶろくを作っています。

まるで柔らかいお粥のようなつぶつぶ感と、微発泡が特徴的で、飲むというより食べるお酒という感覚です。生タイプで酵母が活きているので、炭酸ガスが吹きこぼれることがあります。開栓時はよく冷やした上で振らずに静かに開けましょう。

  • 商品名:葛城酒造 生米仕込み 百楽門 どぶろく
  • 価格:1620円(税込)
  • 楽天:商品ページ

どぶろくの味を楽しもう

どぶろくは、弥生時代から日本で作られ、親しまれてきたお酒です。日本酒を作る工程途中のもろみを、漉さずにそのまま飲むのが特徴で、古から神様に捧げるお酒として作られてきました。

古くから作られてきただけに、原料も作り方もシンプルですが、お米そのもののおいしさがより引き立つお酒とも言えます。

簡単とはいえ、酒税法により自家製の酒は禁止されているので、どぶろくを自分で作ることはできません。酒屋やお店で飲む以外は、特別にどぶろくを作ることを許された『どぶろく特区』でお気に入りの銘柄を見つけてみましょう。

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