香り豊かなスパイスの世界へ。まずは覚えたい基本の知識

2019.06.07

スパイスは、カレーをはじめとするスパイシーな料理には欠かせません。種類によっても、香りや風味が全く異なることも特徴の一つです。それぞれの特徴を理解して料理に活用してみましょう。スパイスの基本知識と上手な使い方を紹介します。

まずは知っておきたいスパイスの基本

スパイスは、その香りや味わいを料理にプラスすることで、『食欲増進や発汗、整腸作用』など健康的な効果が期待できることでも知られています。

いったいスパイスとは、どんなものなのでしょうか?初心者にもわかりやすくスパイスについて解説します。

スパイスとは

スパイスとは、昔から料理に使われている香辛料で、『食品の分類としての一名称』です。

スパイスの定義については、明確に決まっていませんが、『飲食物に香りや辛み、苦み、色みなどを加える、芳香性や刺激性のある植物由来の食品』のことをいいます。

すべてが植物由来というわけではなく、ごく一部のスパイスでは、魚を利用するなどをして作られるものもあります。

しかし、ほとんどのスパイスは植物由来なので、スパイスは植物から作られていると考えておいて問題ないでしょう。

調味料やハーブとの違いは?

スパイスは、調味料やハーブとは異なるのでしょうか?調味料とは、その名の通り、料理に『味を付ける』ために使用する食品の総称です。英語ではシーズニングと呼びます。

スパイスは、スパイス特有の香りや辛み、色みをつけるために使用され、味付けのために使用されることはあまりありません。

ハーブは、大きく分けるとスパイスと同じ分類とされますが、『薬草』としてヨーロッパの伝承医療で使われてきた草本のことです。

香りのある食用のハーブだけでなく、香りがないものや食べられないハーブもあるため、食品であるスパイスとは定義が異なります。

スパイスの形状

スパイスの形状タイプは、生のまま使うタイプ、乾燥させたもの、焙煎したもの以外にも、ホールのまま使うもの、パウダー状、ペースト状など形状もさまざまです。

生のスパイスとしては山葵(わさび)、ホールタイプではブラックペッパーが代表的です。

スパイスの形状によっても、同じ種類でも香りや特徴が変わります。ホールタイプは、焦げにくいため油で炒めて使えますが、パウダー状のものは焦げやすいため料理の途中で加えられることが多いです。

また、ブラックペッパーのように、ミルなどで粉砕した直後の香りがとてもよいスパイスは、料理の仕上げや食べる直前に使われます。

このように、スパイスの形状によっても使い方が変わるのです。

スパイスには3種類ある

スパイスの働きは、主に下記の3種類です。

  • 香りづけ
  • 辛みづけ
  • 色みづけ

スパイスの多くには、『香りづけ』の働きがあります。この香りづけは、臭み消しとしての働きも含まれています。

また、スパイスは『辛みづけ』のために使用するとイメージしている人が多いですが、実際には辛みづけに使用できるスパイスは多くありません。

特徴的な色素成分を持ったスパイスは、『色みづけ』として料理に使用されます。

代表的な香りづけのスパイス

スパイスと一言でいっても、世界で料理に使われている種類は豊富です。すべてのスパイスについて理解するのは大変でしょう。

スパイスの中でも、一般的によく使われるものと、そうでないものがあります。まずは、よく使われるスパイスを覚えておくと便利です。

ここでは、『香りづけ』として代表的なスパイスを3種類紹介します。

独特な香りと甘み コリアンダー

『コリアンダー』は、数千年前の古代エジプト時代から、薬用や調味料として人類が用いてきた最古のスパイスの一つと考えられています。

葉や茎の部分はハーブとして、また、種子の部分はスパイスとして使われる植物です。葉や茎と、種子の香りは全く違います。

葉の部分は、パクチーや香菜(シャンツァイ)とも呼ばれ、生のまま料理のトッピング、ソース、炒め物などに幅広く使われます。

スパイスとして使われるコリアンダーシードは、ほんのり甘く、ほのかにスパイシーな香りが特徴です。ほんのり甘い香りは、クッキーやカステラなどのお菓子作りのほか、肉料理、卵料理、豆料理などにも使われます。

また、カレーには欠かせないスパイスとしても有名です。

爽やかな風味 シナモン

『シナモン』は、クスノキ科の常緑樹を原料としているスパイスです。スパイスとして利用されるのは、木の幹や枝の皮をはぎ取り乾燥したもので、甘くエキゾチックな香りと、爽やかな風味が楽しめます。

シナモンは、『セイロンシナモン』と『カシア』の2種類あり、セイロンシナモンは上品で繊細な香り、カシアは濃厚な香りが特徴です。

ちなみに、シナモンに使われる木の葉を乾燥したものを『インディアンベイリーフ』と呼びます。インドでは、煮込み料理などに使われています。

インド料理に必須 クミン

『クミン』は、エスニックな特有の強い芳香をもったスパイスです。カレーやチリコンカンなど、世界各地で肉や野菜料理、煮込み料理、炒めものなどの料理に、幅広く使われています。

特に、インド料理では、調理の最初に、スパイスを油で炒めて香りを出すための『スタータースパイス』としてよく使われます。

炒めたクミンを米に混ぜて炊いたクミンライスは、カレーとの相性も抜群です。

代表的な辛みづけのスパイス

料理に辛さをプラスして、パンチのある味に仕上げたいときは、辛みづけのスパイスを使用しましょう。

辛みを出すためには、赤唐辛子がよく使われていますがそれだけではありません。ここでは、辛みづけとして良く使われる代表的なスパイス3種類を紹介します。

辛みの決定版 レッドチリ

辛みづけのスパイスといえば『レッドチリ』が代表的です。レッドチリは、赤唐辛子を原料として作られており、品種によって辛さが異なります。刺激的な辛さが特徴ですが、香りはあまり感じられないものがほとんどです。

レッドチリは、ホールやパウダー状などの形状によっても、辛みが変化します。唐辛子の粒子が細かいほど辛く感じやすいので、料理に合わせた形状を使いましょう。

また、レッドチリの辛みは、熱に強いため加熱しても損なわれません。

鼻を刺激する辛さ マスタード

『マスタード』は、和食、洋食、中華料理など、さまざまな料理に活躍する定番のスパイスです。

ホールのままでは、香りも辛みはあまり感じられません。しかし、粉末にすることで鼻を刺激する辛さと独特の豊かな風味が強くなります。

マリネやピクルスなど漬け込む料理にはホール、汁物や漬物にはパウダー、肉料理に付ける場合にはペーストといったように料理によって形状を選ぶと良いでしょう。

香りと辛みが特徴 ブラックペッパー

『ブラックペッパー』は、熟す前の胡椒の果実を摘みとり、天日乾燥させたスパイスで、野性的でさわやかな香りと、ピリッとした強い辛みが特徴です。

種類豊富なスパイスのなかでも、最も有名なスパイスといっても過言ではありません。

肉、魚、野菜などさまざまな食材を使った料理に使われますが、特に牛肉や青魚、乳製品など、臭いの強い食材や、濃い味の料理との相性が良いです。

また、ホールよりも、粉末にすることでより香りと辛みが増します。

代表的な色みづけのスパイス

色みづけとして使われるスパイスは、10種類くらいあります。それぞれの色や性質を知ることが、スパイスを使いこなすポイントです。

料理は、味わいだけでなく見た目も重要といわれています。料理に色みが加わることで、見た目も鮮やかな料理を作ってみましょう。

ここでは、代表的な色みづけのスパイス3種類を紹介します。

黄色の色づけ ターメリック

『ターメリック』は、和名で『ウコン』とも呼ばれるカレー粉の主原料となるスパイスの一つです。パウダー状で売られています。

土臭い香りとわずかな辛味、苦味と鮮やかな黄色が特徴で、カレーの黄色を出すためには欠かせません。土臭い香りは、加熱することで軽減するので、パウダーをよく炒ってから使う方法がおすすめです。

また、黄色の色素の主成分『クルクミン』は油溶性のため、油と合わせて使うと、きれいに色づけできます。

最も高価 サフラン

スパイスの中でも最も高価なスパイスとして知られる『サフラン』は、開花したサフランの花から3分裂した雌しべを手作業で抜きとり、乾燥させたスパイスです。

強い特有のエキゾチックな芳香と、水溶性の黄色の色素成分を持ち、色づけはもちろん香りづけとしても使われます。

水分に浸して色を引き出して使ったり、煮込み料理などに直接入れたりなどの方法で、きれいな色づけが可能です。

赤色の色づけ パプリカ

スパイスの色づけは黄色ばかりではありません。赤色にしたいときには、『パプリカ』を使用しましょう。

パプリカは、鮮やかな赤と甘い香りが特徴です。一般的にスパイスとして使われるものは、日本で野菜として流通しているパプリカとは品種が異なります。

また、日本では辛みのないパプリカパウダーが一般的によく使われていますが、東欧では、少し辛味のあるパプリカも使われ、肉を使った煮込み料理や米、野菜などの幅広い料理に使われます。

定番のミックススパイス

スパイスには、ブラックペッパーなどのように1種類のもの以外にも、何種類かのスパイスをミックスして作られた『ミックススパイス』もあります。

ここでは、家庭でもよく使われる頻度の高い定番のミックススパイス3種類を紹介します。

カレーで使用 ガラムマサラ

『ガラムマサラ』は、カレーの本場インドで非常に高い頻度で使われるミックススパイスです。料理に一振りするだけで、スパイシーさがプラスされます。

ガラムマサラのガラムは『辛い』、マサラは『混合物』の意味があるため、辛いと思われがちです。

しかし、インドのガラムマサラは、辛みよりも香りを重視するため、辛みの強いスパイスは、主にブラックペッパーのみで、レッドチリはブレンドされていませんが、日本で販売されているものには、レッドチリがブレンドされている商品もあります。

このように、ガラムマサラにブレンドするスパイスの種類については決まりがありません。そのため、商品によってもブレンドされるスパイスの種類は異なり、通常使われるスパイスの種類は3~10種類あります。

中でも、最も基本的な3種類のスパイスは下記のとおりです。

  • シナモン
  • クローブ
  • ナツメグ

インドでは、これらのスパイスのほかにカルダモン、ブラックペッパー、クミン、ターメリックなど好みのスパイスを加えて各家庭でオリジナルのガラムマサラを作っているようです。

中華風スパイス 五香粉

スパイスは、インド料理だけでなく、中華料理にもよく使われます。五香粉は、5種類、または5種類以上のスパイスをブレンドして作った『中国の代表的なスパイス』です。

五香粉に使われているスパイスは、下記の5種類です。

  • シナモン
  • クローブ
  • マンダリン
  • スターアニス
  • 山椒

どのスパイスも、それぞれ独特の芳香が特徴です。いつもの唐揚げなどに、五香粉をかけるだけで、本格的な中華風唐揚げに変身します。

日本独自 七味とうがらし

日本でも、スパイスは古くから食卓には欠かせないものでした。中でも、江戸時代前期の1630年頃に完成したといわれる『七味とうがらし』は、日本人にとって最も身近な調味料である醤油との相性がよく、長年親しまれているスパイスです。

七味とうがらしは、その名前から7種類のスパイスと考えがちですが、そうとは限らず5つのスパイスに、香り豊かなゴマと青のりをブレンドして作られています。使われているスパイスは主に下記の5種類です。

  • レッドペッパー
  • 山椒
  • マンダリン
  • ヘンプ(麻の実)
  • ポピー(けしの実)

おいしいスパイスカレーの作り方

スパイスの基本知識を理解したら、スパイスを使った料理を作ってみましょう。スパイスの使った料理と言えば、やはりカレーです。

おいしいスパイシーカレーを作るポイントは、スパイスを使い過ぎないように注意しましょう。スパイスは、複数の種類を組み合わせることで、それぞれのスパイスの持つ香りが弱まってしまうからです。

使いたいスパイスを厳選して作れば、香り豊かなカレーが作れます。ここでは、スパイスを使った本格的なスパイシーチキンカレーの作り方を紹介します。

必要な材料

スパイシーチキンカレー(4人分)に必要な材料は下記のとおりです。

  • 鶏もも肉  2枚
  • 玉ねぎ  中1.5個
  • クミン(ホール)  小さじ1
  • クローブ(ホール)  8個
  • カルダモン(ホール)  5粒
  • おろしにんにく  小さじ1
  • おろししょうが  小さじ1
  • サラダ油  大さじ3
  • レッドペッパー(パウダー)  小さじ1/2
  • クミン(パウダー)  小さじ1
  • ターメリック(パウダー)  小さじ1
  • カットトマト 缶詰 1/2缶
  • プレーンヨーグルト(無糖)  1/2カップ
  • 塩  小さじ1
  • 乾燥バジル  適量
  • ローストオニオン  適量

基本の作り方

スパイシーチキンカレーの作り方の手順は下記のとおりです。

  1. 鶏肉を1枚につき6つにカットし、塩小さじ1/2をまぶす
  2. 玉ねぎをみじん切りにする
  3. 厚手の鍋に、サラダ油大さじ2を入れて熱したら、鶏肉を入れて薄く焼き色がつく程度に両面を焼いて皿に出しておく
  4. 3の鍋に残りのサラダ油を入れ、ホールクミン、クローブ、ほぐしたカルダモンを入れて弱火で炒める
  5. スパイスのいい香りがしてきたら、玉ねぎ、にんにく、しょうがを入れて色づくまで炒める
  6. 5の鍋にレッドペッパー、クミンパウダー、ターメリック、カットトマト缶、プレーンヨーグルト、残りの塩を加える
  7. 鶏肉を鍋に戻し、弱火で20~30分煮込む
  8. 器にごはんを盛り付け、バジルとローストオニオンを振りかけて完成

作り方のポイント

初心者でも比較的簡単に作れるレシピですが、ホールスパイスを炒めるときには、『弱火でじっくりと焦がさない』ように炒めることがポイントです。

またお好みで、食べる直前にガラムマサラをカレーに振りかけてもおいしくいただけます。

東京都内のおすすめスパイス専門店

スーパーでもスパイスの購入が可能です。しかし、スパイス専門店では、より多くの世界中から集められた、種類豊富なスパイスが揃うので、スパイスにこだわりのある人は、ぜひ訪れてみましょう。

ここでは、東京都内にあるおすすめスパイス専門店を3店紹介します。

オーガニックスパイス エヌ・ハーベスト西荻窪店

『エヌ・ハーベスト』は、パキスタンやインドなどで栽培された、環境に負担をかけない有機農法で丁寧に育てられたオーガニックスパイスやハーブを豊富に取り扱うスパイス専門店です。

店内のスパイスやハーブの商品のなかには、フェアトレードの商品もあり、自然と体に優しい商品が購入できます。

  • 店舗名:エヌ・ハーベスト西荻窪店
  • 住所:東京都杉並区松庵3-31-17
  • 連絡先:03-5941-3986
  • 営業時間:11:00~19:00
  • 定休日:月曜
  • 公式HP

スパイスの相談もしやすい アンビカショップ

『アンビカショップ』は、1998年の創業以来、スパイス販売店としては国内最大規模を誇るスパイス専門店です。

高品質なインド産スパイス・香辛料・調味料等の専門食材が60種類以上あるだけでなく、実際に手に取って確かめてから購入できます。

また、調理法やおすすめのレシピなど、スパイスに関する相談をスパイスの専門知識を持つスタッフにできるので、スパイス初心者も安心です。

  • 店舗名:アンビカショップ
  • 住所:東京都台東区蔵前3-19-2 アンビカハウス 1F
  • 連絡先:03-6908-8077
  • 営業時間:11:00〜20:00
  • 定休日:なし
  • 公式HP

世界中のスパイスが集結 野澤屋

『野澤屋』は、アジアを中心とした海外の食品やスパイスなどの商品が1000種類以上も揃うお店です。

店内にすらりと並ぶスパイスは、同じスパイスの種類でも原産地が異なるものも置いてあります。原産地からこだわってスパイスを購入したいスパイス上級者からも信頼されています。

  • 店舗名:野澤屋
  • 住所:東京都台東区上野4-7-8アメ横センタービルB1・1F
  • 連絡先:03-3833-5212
  • 営業時間:10:00~20:00
  • 定休日:第3水曜、1月1日
  • 公式HP

奥深いスパイスの世界を探求しよう

スパイスは、インドをはじめ世界各国で昔から料理に使われており、今では料理に欠かせません。また、種類も豊富にあるため、スパイスの世界は奥深く、探求心をくすぐられる人も多いはずです。

いろいろなスパイスを試して、それぞれの特徴を生かした料理を作ってみましょう。

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