着物の歴史と種類を知る。おすすめの本や博物館も紹介

2018.08.11

現代では、日常的に着物を着用する人は少なくなりました。しかし、日本の民族衣装である着物について、基本的な知識を持っておくことも必要です。着物の歴史や種類などの知識、そして着物について学ぶための本や博物館を紹介します。

着物の歴史について学ぶ

着物は誕生した頃から現在のような形だったわけではありません。着物のルーツや時代ごとの変遷を見ていきましょう。

名称の由来と英語表記

元々『着物』は単純に『着るもの』を指し、和服だけでなく衣服全般を含めた言葉でした。しかし、時代が流れるうちに日本で着用する衣服は洋服が主流となり、その中で着物は和服を指す言葉に変わってきたのです。

ちなみに着物の英語表記は『Kimono』です。これは16世紀頃に日本人が衣服の意味で使った『着物』が、和服の名称としてヨーロッパで定着したものです。現在では欧米に限らず、世界各国で『Kimono』と表記されます。

着物のルーツ

現在着用されている着物のルーツとなるのは、平安時代だと言われています。それ以前の日本で着用されていたのは、大陸の影響を大きく受けたズボンやワンピース型の衣類でした。

平安時代の女性が着用していた、『唐衣裳装束(十二単)』の下に着用していた『小袖』が、現在の着物の原型とされるものです。小袖は袖口が小さい着物のことを指し、その上に袴や表衣(うわぎ)、裳(も)などを重ねて着用していました。

当初、小袖は下着の扱いだったのですが、時代が進むにつれて、袴や表衣が省略され、小袖のみが残るようになりました。小袖の着用方法も少しずつ形を変えながら、江戸時代にはほぼ現在と変わらない着物のスタイルが定着しました。

着物の歴史を年表形式で紹介

日本の衣服は時代によって変遷しますが、それをたどることで着物の歴史を知ることができます。

時代 衣服の特徴
弥生 布を巻きつけるか、布に開けた穴に頭を通すなどして着用するワンピース型
古墳 衣(きぬ)と呼ばれる上衣に男性はズボン状の袴、女性は膝下までのスカート状の下衣
飛鳥・奈良 身分階級によって異なる色使いの服を着用した。後期には着物の原型となるデザインが誕生し、貴族の間で重ね着の風習が生まれる
平安 公家では華やかな唐衣裳装束が着用され、庶民の間では袂に丸みのある白小袖が主流となる
鎌倉・室町 簡素で活動的な服装が主流。小袖が進化して表着となり、装飾が施されるようになる
安土・桃山 武士も町人も男女問わず小袖を着用するようになる。中国や西欧の影響でデザインや色彩が大きく変化
江戸 現在とほぼ変わらない着物の形が完成

覚えておきたい着物の種類と素材

着物は種類や使用されている素材によって、用途や格が違ってきます。TPOに応じた着物を身に着けるためには、基本的な知識を知っておくことが大切です。

着物にはどんな種類があるか

着物は色や柄のつけ方の違いによって『染めのきもの』と『織のきもの』に分けられます。それぞれの特徴と、用途を紹介します。

染めのきもの

『染めのきもの』とは、白布を染めることで色や柄をつけ、その生地を使って作られた着物を指します。ごく細い生糸を使用して織られた生地を染めて作られるため、やわらかな肌触りが特徴です。

振袖や訪問着など、フォーマルな着物は染めのきものに分類され、一般的に織のきものよりも格が高くなります。

織のきもの

『織のきもの』とは、生地を織る前の糸の状態で糸自体を染め、それを織ることで柄や模様を作り上げ、その生地を使って作られた着物です。織のきものとしてよく知られているのが『紬(つむぎ)』で、大島紬・結城紬などが特に有名です。

織のきものは染めのきものに比べてカジュアルとされ、普段着で着用することが多い着物です。

素材は何が使われているか

着物は様々な素材を使って作られています。着物に使われる主な素材と、その特徴をまとめました。

素材 特徴
やわらかで光沢があり、着物の素材の中では最も格が高い
薄手で張りがあり、通気性が良いため夏向きの素材
木綿 吸湿性・通気性がよく肌触りも良い
ウール 保湿性が高く、丈夫でしわになりにくい
化学繊維 強度があり汚れに強いのが特徴で、価格も安価

絹以外の着物は自宅で洗濯することもできるため、普段着用として使われることが多い素材です。一方、振袖や訪問着などのフォーマルな着物には絹が多く使われます。

男女別の着物の種類や、着物を着るときに知っておきたい知識については、こちらの記事でも詳しく解説されていますので、参考にしてみてください。

着物の種類を男女別に解説。和服に関する知識を深めよう

着物の歴史がよくわかる本

着物の歴史を学ぶには、図や写真が多く掲載された本を活用するのがおすすめです。わかりやすい本2冊を紹介します。

図解 日本の装束

服飾の歴史について、図解でわかりやすく説明されているのが『図解 日本の装束』です。古代~近代までの各時代の服飾について、イラストを用いて男女、階級、職業ごとにわかりやすくまとめられています。

見開きの左に解説、右に衣装のイラストがあり、簡潔にまとめられているので、日本の服飾史の入門編として最適です。外見の特徴だけでなく細部の構造や着方、装飾品などについても言及されているのが特徴です。

  • 商品名: 図解 日本の装束
  • 価格:1,404円(税込)
  • Amazon:商品ページ

図説 着物の歴史

『図解 着物の歴史』は、桃山時代~明治までの小袖を中心とした、日本の着物の歴史をまとめた本です。庶民の着物についてはあまり触れられていませんが、貴族・武士階級の着こなしなどについてカラーページを多く用いた図解で学ぶことができます。

説明も詳しすぎず、簡単すぎず、着物の歴史や概要を学ぶにはちょうど良いバランスになっています。

商品名: 図解 着物の歴史 価格:1,012円(税込) Amazon:商品ページ

着物について簡単に学べる博物館

着物の実物を見ることで、着物についての理解をより深めることもできます。着物について気軽に学べる博物館を2カ所紹介します。

青梅きもの博物館

1997年にオープンした『青梅きもの博物館』には、500点を超える歴史的な着物や資料が所蔵・展示されています。江戸時代の大名や公家、元皇族の衣装などを間近で見ることができる博物館です。

館内はそれほど広くはありませんが、展示される着物や資料は3カ月ごとに入れ替えられているため、繰り返し訪れることで違った着物が見られます。

  • 施設名:青梅きもの博物館
  • 住所:東京都青梅市梅郷4-629
  • 電話番号:0428-76-2019
  • 開館時間:10:00~16:00
  • 休館日:金曜日、土曜日、日曜日(12、1、2月は休館)
  • 公式HP

日本きもの文化美術館

『日本きもの文化美術館』では、『昔きもの(アンティーク着物)』と呼ばれる江戸時代~昭和初期の着物を展示しています。常設展と年に3回の企画展が実施されており、その時々のテーマに応じた着物を見ることができます。

常設約60点の着物の中には、希少価値の高い花魁道中着もあります。複数の花魁道中着の展示が見られるのは日本きもの文化美術館だけです。

  • 施設名:日本きもの文化美術館
  • 住所:福島県郡山市熱海町熱海5丁目211番地
  • 電話番号:024-984-6011
  • 開館時間:9:30~16:00
  • 休館日:日曜日
  • 公式HP

着物は世界に誇れる民族衣装、後世への遺産

現代では洋服を着ることが多く、日常的に着物を着る人は少なくなってきました。しかし、着物はその美しさから海外からの評価も高く、日本が世界に誇ることのできる民族衣装です。

後世へも着物の魅力を伝え、日本の素晴らしい文化をのこしていけるよう、着物の知識を身に着けておきたいものです。

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