大人なら知っておきたい。いまさら聞けない文豪・森鴎外の代表作を紹介

2019.06.06

近代文学史において絶大な影響力を持つ森鴎外。日本文学作品を読んでいる方のみならず、日本人ならどこかで必ず彼の名を聞いたことがあるでしょう。文明開化のおり様々な欧州文学に触れて培われた文脈は、他の作家たちとは一線を画す魅力があります。この記事ではそんな森鴎外の著作の中から、代表的なものをピックアップして紹介していきます。

森鴎外について

森鴎外は作家であるのと同時に、様々な肩書きを持っていたことで知られています。森鴎外作品を読み進めていくうえで、彼の肩書きを知っていくことで作品に散りばめられた言葉の真意を探ることができるはずです。そこでここからは森鴎外自身のことについて詳しく紹介していきます。

文学医学に優れた知識人

記録上、森鴎外は文学、医学の2つの学問において「博士号」を会得しています。また語学に関しても様々な言語に精通しており、軍医としてドイツへ留学した際は要人の通訳としても働いていたとされています。

その後も軍医として働きながら執筆活動を始め、自身の体験を元にした作品や欧州の文学作品の翻訳など幅広いジャンルを得意としました。その後も専業作家となることはなく、軍医と作家それぞれの活動を晩年まで精力的に務め、2つの意味で順風満帆な生涯を60歳で閉じました。

医師として、留学生として、文学者として様々な経験を積みながら執筆に従事したことが、森鴎外の唯一無二の作風を培ったともいえるでしょう。

森鴎外の最高傑作

森鴎外は約40年の作家人生で数多くの名作を生み出しました。一部の作品は教育現場の教材として使われるなど、文学的に見ても完成度の高いものが多く存在していることがわかります。ここからはそんな作品群の中でもとりわけ人気があり、最高傑作とされている作品を紹介します。

舞姫

『舞姫』は森鴎外がドイツに留学した際の出来事を軸に執筆した作品です。当時のメジャーであった雑誌『国民之友』で発表された本作品は、当時の日本では交易はあるものの、欧州の街並みや国風を知ることのできる機会が皆無だったこともあり、同業者、一般購読者から様々な形で反響を呼びました。

ドイツに留学した主人公が街で出会った踊り子の少女と恋に落ち、同棲するも仕事や立場の関係上、少女を置き去りにして帰国するというロマンと現実が入り乱れる悲劇的な構成となっています。漢文調の文語体で書かれているためややとっつきにくいですが、ぜひ読んでみてください。

舞姫に続く代表作

当然のことながら、森鴎外作品は舞姫だけが代表作ではありません。軍医として昇進を続ける傍で執筆されていた作品たちは、当時の出来事や体制に影響を受けたリアリティとロマン溢れるものばかりです。ここからはそんな舞姫に続く森鴎外の代表作を紹介していきます。

青年

『青年』は1910年に雑誌「スバル」で連載された森鴎外の青春ロマン作品です。作家を目指して上京した青年が、様々な経験を積む中で出会った美しい未亡人に恋をするも、失恋してしまう様を描いています。

短いストーリーながらも、青年が精神的・作家的に成長していく様を緻密に描写しているのが最大の魅力です。

『雁』は前述で紹介した青年と同じく雑誌『スバル』で連載された作品です。高利貸しの妾の女性が、恋をした大学生を待ちながら想いを馳せるのと同時に、大学生が散歩の途中で投げた石に当たって死んだ雁の儚さを掛け合わせて描写しています。近代文学ロマンの王道的な構成が魅力となっています。

高瀬船

『高瀬船』は、森鴎外が江戸時代の文献である「翁草」の中から見出した逸話をベースとした作品です。江戸時代に弟を殺して島流しの刑に処される男を乗せた同心(警察のようなもの)が、なぜか満足そうにしている男にその訳を話させると、彼が犯した罪の全容が明らかになるというストーリーとなっています。時代物の世界観で、安楽死や私利私欲など複雑な心理描写を巧みに描いています。

ロマン派のメッセージをどう受け取る?

ロマン派である森鴎外の作品は、どれを取っても華やかさと儚さを同時に楽しむことができます。そのストーリーの中に垣間見える森鴎外イズムをどう受け取るかは、読者にとっての課題であり楽しみでもあります。この記事の内容を参考に、明治大正ロマン作品の魅力に引き込まれてみてはいかがでしょうか?

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