無味無臭でクリアな味わいを持つウォッカは、カクテルのベースとして世界中で愛飲されていますが、その中で最も有名なのがオレンジジュース割りです。そこで今回はウォッカのオレンジジュース割りにフォーカスし、様々な角度から取り上げてみたいと思います。
ウォッカのオレンジジュース割り
ウォッカのオレンジジュース割りは、ネジ回しを意味する『スクリュードライバー』という名で知られています。鮮やかなオレンジ色と口当たりの良さで、つい飲みすぎてしまうカクテルの代表格ですが、そもそもスクリュードライバーはどんな経緯で飲まれ始め、なぜこのような一風変わった名前が付いたのでしょうか。
「スクリュードライバー」名前の由来
そもそもこのカクテルは、油田で飲まれ始めたのが最初だと言われています。
当時イラン(一説によるとテキサス)の油田で働いていたあるアメリカ人作業員が、喉の渇きを癒すためにウォッカをオレンジジュースで割って飲んだのが始まりで、その際にマドラーがなかったため手近にあったネジ回しを使って混ぜたことから、スクリュードライバーという名前が付いたと言われています。
またその他にも、油田の作業員たちがネジ回しを首からぶら下げてこのカクテルを飲んでいた様子から、スクリュードライバーと呼ばれるようになったとの説もあるようです。
「ゴールデンスクリュー」とは?
そもそも間に合わせで作られたようなカクテルなので、作り方は至って簡単。ウォッカとオレンジジュースをお好みの量で混ぜ合わせるだけのシンプルさです。ただ、この両者をシェイカーでしっかりと混ぜ合わせると、ちょっと高級感のある「ゴールデンスクリュー」という名のカクテルに生まれ変わります。
ヨーロッパでは通じない?
スクリュードライバーという名前はアメリカで付けられたもの。ヨーロッパではウォッカオレンジ、またはウオッカ&オレンジが通称となっています。
別名「レディーキラー」
爽やかな見た目のスクリュードライバーですが、無味無臭のウォッカは分量が多くなっても分かりづらいので、オレンジジュースのような気分でうっかり飲みすぎてしまうととても危険です。
スクリュードライバーの別名は「レディーキラー」、すなわち「女殺し」のカクテルと呼ばれています。レディーキラーカクテルと呼ばれるカクテルはいくつかありますが、アルコール度数の高いウォッカを使っているスクリュードライバーはその中でも代表格。
知らないうちに酔い過ぎてしまわぬよう、特に女性はご用心ください。
スクリュードライバーの基本レシピ
誕生当初のスクリュードライバーは、ウォッカ3に対しオレンジジュース1を加えるという、かなりヘビーなカクテルでした(アルコール度数でいえば約30%にもなります)。
今日では、通常サイズのタンブラーに氷とウォッカを45ml程度入れ、オレンジジュースをグラス8分目まで注ぐのがポピュラーな基本レシピとなっています。お好みでオレンジスライスを入れると、見た目もおしゃれになって気分も上がります。
なお、ウォッカとオレンジジュースはあらかじめよく冷やしておくと、より一層おいしくいただけます。また氷も、スーパーやコンビニで売っているロックアイスが溶けにくくおすすめです。
オレンジジュースの割合で度数を調節
スクリュードライバーはウォッカの分量を変えるだけで、味わいをあまり変えることなく簡単にアルコール度数が調整できるのが大きなメリットです。
ちなみにアルコール度数40%の標準的なウォッカを使った場合、オレンジジュースとの割合によってアルコール度数はかなり違ってきます。
ウォッカとオレンジジュースを1:1で割ると度数は20%、1:2で割ると13.3%、1:3だと10%、1:7なら5%となります。5%というとビールと同じくらいですので、あまりアルコール度数を気にせず飲むことができますね。
オレンジジュースで氷をつくる
カクテルは、時間をかけてゆっくり飲んでいると、どうしても氷が溶けて水っぽくなります。そこでおすすめなのが、オレンジジュースを使って氷を作っておくこと。そうすれば、溶けてもおいしさは変わりません。
ちなみにオレンジジュースで作った氷は、赤ワインの中に入れてもサングリアのようなおいしいカクテルになるので、ぜひ一度お試しください。
オレンジジュースにこだわる
ベースのウォッカは基本的に無味無臭で雑味がないので、スクリュードライバーの味の印象はオレンジジュース次第で大きく変わります。いろいろ試してみましょう。
基本は果汁100%
基本はやっぱり果汁100%のオレンジジュース。市販の濃縮還元タイプでももちろんOKですが、オレンジを3、4個買ってその場で手搾りした生の果汁を使えば、オレンジの香りも豊かでとても贅沢な気分になれます。わざわざ手で搾るのはめんどくさい…という方なら、濃縮還元ではないストレートタイプのオレンジジュースをおすすめします。
ブラッドオレンジジュース
真っ赤な果肉のブラッドオレンジをご存知でしょうか。元々はイタリア産の生鮮食品ということで希少なフルーツでしたが、近年は愛媛など国内での栽培も始まり、本場に負けない高品質のものが手に入りやすくなりました。
このブラッドオレンジを搾ったジュースでウォッカを割ると、目にも鮮やかな赤いスクリュードライバーになります。本場シチリア産のブラッドオレンジジュースも近頃はネット通販で簡単に手に入るので、ぜひ一度お試しください。
アレンジレシピで楽しむ
ウォッカをオレンジジュースで割るだけというシンプルなレシピのスクリュードライバーですが、通常のタイプとは少し違った味が楽しめるアレンジレシピもあるので、3つほどご紹介しましょう。
ソーダで割って爽やかに
ウォッカとオレンジジュースを1:2くらいの比率で割った後、さらにお好みでソーダを混ぜてみましょう。スクリュードライバーの甘酸っぱさとほろ苦さに、炭酸の爽快感が加わって一層さっぱりと飲みやすくなります。また、「オランジーナ」のような果汁入りオレンジソーダで割ってみるのも一興。夏場には特におすすめです。
ブルーキュラソーで見た目も楽しむ
ブルーキュラソーは、その名の通り見た目こそ色鮮やかなブルーですが、中身はオレンジの果実と皮で風味づけされた甘めのリキュール。度数はメーカーによって多少異なりますが、平均すると約20度以上もあり、リキュール類の中では少し高めとなっています。
このブルーキュラソーをスクリュードライバーの中に加えると、味わいはオレンジ系のままほんのり甘みが増し、見た目は青とオレンジが混ざり合った神秘的な色合いのカクテルに仕上がります。
スクリュードライバーを作った後、マドラーをガラスのふちから底まで差し込み、その柄を伝わせてブルーキュラソーをそっと注ぎ込むのが、神秘的な色合いに仕立てるコツです。
ホイップとシナモンでデザート風に
最後は、一風変わった温かいデザート風カクテルをご紹介します。
耐熱グラスに30mlのウォッカと150mlのオレンジジュースを入れ、電子レンジで1分50秒加熱します。温まったらホイップクリームを山盛りに盛り付けて、その上からシナモンパウダーを振りかければできあがり。ホイップクリームはスプレー式が手軽です。
自分流の黄金比で楽しむ
ウォッカで作るカクテルの中でも、レシピが簡単でアルコール度数の調節もしやすく、ビギナーでも挑戦しやすいのがスクリュードライバーです。ほろ苦いオレンジジュースのようなテイストで気軽にぐいぐいと飲めてしまうので、飲みすぎに注意しながら、自分好みの割合を見つけて楽しんでください。