映画はフィルムからデジタルへ。覚えておきたいフィルム映画の魅力

2019.06.04

今もなお『フィルム映画』の文化や魅力を受け継ぐ施設や映画館が存在します。映画ファンにとって、フィルム映画に触れられる最後の砦といっても過言ではないでしょう。フィルム映画の魅力や今でもフィルム上映している映画館を紹介します。

フィルム映画とは

フィルム映画には、デジタルにはない『独特な雰囲気』があります。ただ単にレトロな奥深さを感じられるだけではありません。ときおり入る『ノイズ』すら、味わい深い印象を与えます。

フィルム映画の『味のある映像』とは、どのようなものなのでしょうか? ここでは、そんなフィルム映画の魅力について深掘りしていきます。

味のある映像が魅力

フィルム映画の映像は『1秒間に24コマの静止画が連続して流れたもの』です。テレビ番組は1秒間に約60コマ、CMでは約30コマといわれています。

コマ数が多いほど情報量が多く、なめらかな映像を映し出せる仕組みです。フィルム映画のようにコマ数が少ない映像は『パラパラ漫画』のようなぎこちなさが残ります。

若干粗さを感じさせる少なめのコマ数こそが『フィクションらしさ』を演出し、ユニークで味のある映像として親しまれているのです。

音は後から入れる

テレビ番組の撮影ではビデオカメラを使用し、映像と一緒に録音します。不要な音を取り除いた後、仕上がりに応じて音が付け足されるのが一般的な工程です。

一方で、フィルム映画の撮影には『フィルムカメラ』が使用されます。効果音やセリフなどの音は『カメラとは別にレコーダーで録音される』のが特徴です。

音と映像を同時に撮れるビデオカメラとは異なり、フィルムでは『後から』音を入れます。そのため、音を別に録音する作業が必要です。

音の用意ができたら『タイムコード』と呼ばれる特殊な信号を活用して映像と音を合わせます。

フィルムの素材とサイズの種類

1950年頃まで使用されていたフィルムは『ナイトレート・フィルム』です。可燃性の高い原材料が各所で火災の原因になったため、生産停止に追い込まれます。

50年頃から普及したのは『アセテート・フィルム』です。安全性を高めるため、非可燃性の原材料で作られています。高温多湿の環境下で劣化するのがデメリットといえるでしょう。

現在使用されているフィルムは『ポリエスター・フィルム』です。光の透過性が高く破れにくいうえに化学的にも安定しています。

フィルムのサイズは、主に8・16・35・70mmの4種類です。一般的な商業映画では35mmを使用します。

個人映画や実験的な映画ではコスト削減のため、8・16mmを選ぶケースも多いでしょう。

フィルム映画の上映方法

フィルム映画の魅力を知れば知るほど、好奇心を刺激される人も多いのではないでしょうか。どのように上映されているのか気になる人もいることでしょう。

まずは、フィルム映画や映写機について学び、理解を深めるのがおすすめです。ここでは、フィルム映画を映すために必要なものや映写機の歴史について紹介します。

映写機を用いてスクリーンに映す

上映には『スクリーン』と『映写機』『専用の上映場所』の三つが必須です。外光が入らない場所でフィルムに映写機の光を当て、スクリーンに投影します。

記憶媒体に『電気信号』として記録するビデオテープと異なり、フィルムには『撮影した静止画』が焼き付けられています。映写機で光を当てながら動かすと、映像のように映し出されるのです。

フィルム映画の仕組みは、影絵に似ています。影絵をスクリーンに映すためには『スクリーンと光の間』に人が入り、スクリーンに人の影を『投影させる』ことが必要です。

フィルム映画も同様に、人の代わりにフィルムに光を当てることで、撮影した画像をスクリーンに映像として映し出しています。

映写機は1人だけが映像を観るものだった

1893年、エジソンは自動映像販売機『キネトスコープ』を発明します。しかし、エジソンが発明した装置では、映像を観られる人数は1人が限界でした。

その後、大勢が1度に映像を観られる映写機が『リュミエール兄弟』によって発明されます。その功績は、現在の映写機の礎を築いたとして『映画の父』と称えられたのです。

エジソンやリュミエール兄弟の発明がなければ、現在私たちはフィルム映画の魅力すら知らなかったかもしれません。

音が出る仕組みもアナログ

デジタル映像には、データに映像も音も一緒に組み込まれているのが特徴です。フィルムの場合、フィルムの端に『サウンドトラック』と呼ばれる『音の波』が焼き付けられています。

映写機の『エキサイターランプ』がサウンドトラックの音の波を読み取り、映像と一緒に音声が出る仕組みです。

音の波の形には、いくつか種類があります。モノラルは1本でステレオは2本というように、本数が多いほど『立体的な音の再現』が可能です。

現在普及しているドルビーでは『QRコード』のような形をしています。

フィルム映画はなくなるのか

映画業界には、年々デジタルの波が押し寄せています。

フィルム上映をする映画館が減少している昨今、心配されるのは『フィルム映画が失われる可能性』です。今後、フィルム映画はなくなってしまうのでしょうか。

フィルム映画ファンにとっても、重要な問題です。まずは、フィルム映画の現状について、見ていきましょう。

デジタル上映が主流に

現在、多くの映画館では『デジタル上映』が主流です。『シネコン』のような複合型映画館のほとんどは、デジタル上映といっても過言ではないでしょう。

一因として、デジタル上映のほうが『映画館にとって都合がよい』点があげられます。数種類の人気作を同時上映するうえでは、フィルム上映よりもデジタル上映のほうが適しているのです。

デジタル上映の設備の普及にともなって、映画館だけではなく製作サイドにもデジタルの波が押し寄せています。

デジタル上映でより効果的に映し出せるように、製作サイドも機材選びや撮影、編集が必要です。仮にフィルムで撮影された場合でも、デジタル上映されるケースも増えています。

いまだフィルム撮影が選ばれることもある

近年では、臨場感ある映画の演出のため『IMAX』を導入する映画館も増えています。

IMAX上映を想定した撮影では、今でもフィルム撮影が選択される場合もあります。その一つが2017年12月15日公開の『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』です。

使用している『IMAX専用カメラ』は『通常の倍』の大きさのフィルムが内蔵されています。高解像度による精微で美しい映像が魅力ですが、重量があり手間もかかるのが難点です。

この撮影では効果的な利用方法として、フィルム撮影と『併用』されました。

IMAXカメラでの撮影を一部に限定することで「ここぞ!」というシーンにIMAXの効果を際立たせたり、フィルム交換の回数をおさえられたりするメリットがあります。

スター・ウォーズ|STAR WARS|

フィルム映画が衰退していく大きな理由

最新のIMAXを用いた映画にもフィルム撮影が採用されています。それにもかかわらずフィルム映画が衰退しているのはなぜなのでしょうか。

実は、フィルム映画がデジタル上映の波に押されている理由があったのです。フィルム映画が衰退していく大きな理由について紹介します。

高額な費用がかかる

フィルム映画は高額な費用がかかります。たとえば、映画館で上映するにはフィルムの『複製』が必要です。『1本につき約20万円』の費用がかかり、数が多いほど膨大な費用になります。

一方で、デジタルでは『データをコピーする』だけのため、フィルムの複製ほど費用も時間もかかりません。さらに、映写機を稼働させる映写技師も不要で人件費の削減につなげられます。

フィルム映写機メーカーも需要を失い、廃業に追い込まれているのが現状です。このように、フィルム映画を継続する『難しさ』がわかります。

編集が難しい

撮影後の編集においても、フィルムは『視覚効果を加えるための技術』が必須です。映像にぴったり合う視覚効果を入れるのは、至難の業ともいえます。

一方で、デジタルでは『ソフトウェアの活用』で作業の効率化が可能です。各ショットに必要なデジタル効果は、プログラム内で作り出されて割り当てられます。

編集効果を加えれば、あとはシーンをつなぎ合わせるだけです。

デジタルはソフトウェアの開発によって、不具合をいくらでもアップデートできます。その点、フィルムの編集はアナログといわざるを得ない状況です。

フィルム映画が観られる施設

フィルム映画の衰退は、映画ファンにとっても悲しい事実といえるでしょう。しかし、フィルム映画の歴史や文化を後世に残そうとする施設が存在します。

フィルム映画を観たい人必見です。ここでは、フィルム映画を楽しめる施設を紹介します。

国立映画アーカイブ

『国立映画アーカイブ』は、日本で唯一の『国立映画専門機関』です。映画の保存や研究・公開をしています。映画を隅々まで学ぶ際には、とっておきの施設といえるでしょう。

館内には、二つの『上映ホール』があります。2017年12月までに上映された作品は『1万作品以上』です。新たに発掘・復元された作品もあるため、観たことがない映画に出会えるでしょう。

  • 施設名:国立映画アーカイブ 本館
  • 住所:東京都中央区京橋3-7-6
  • 電話番号:03-5777-8600
  • 開館時間:展示室 11:00~18:30、図書室 12:30~18:30(長瀬記念ホール OZU・小ホール 上映作品によって異なる)
  • 休館日:月曜日、上映準備・展示替期間、年末年始、日曜・祝祭日(図書室のみ)
  • 公式HP

分館が神奈川県相模原市に

神奈川県相模原市に、国立映画アーカイブの分館があります。分館の役割は『映画フィルムや関連資料の保管・管理』です。24時間空調システムで徹底した温度・湿度管理をしています。

保管以外にも、映画フィルムの『検査』『データの採取』『出入庫作業』などを担っているのが特徴です。映画フィルムを保管・管理する保存棟は、敷地内に3施設あります。

このように、分館は映画フィルムや資料を後世につなぎ、伝えるために欠かせない施設です。

  • 施設名:国立映画アーカイブ 相模原分館
  • 住所:神奈川県相模原市中央区高根3-1-4
  • 電話番号:042-758-0128(火~金曜日 10:00~17:00)
  • 公式HP

シネマノヴェチェント

横浜市にある『シネマノヴェチェント』は、客席数が28席の小規模映画館です。8・16・35mmのフィルム映写機でフィルム映画を上映しています。

毎週末には映画俳優や監督などをゲストに招き、上映後にトークショーやサイン会を開催しています。『初公開の洋画作品』の上映もしており、掘り出しものに出会える可能性も高いでしょう。

音響システムは『5.1ch』に対応しています。『映写技師が上映するフィルム映画』を堪能したい人におすすめの映画館です。

  • 施設名:シネマノヴェチェント
  • 住所:神奈川県横浜市西区中央2-1-8岩崎ビル2F
  • 電話番号:045-548-8712
  • 営業時間:初回上映の15分前〜最終回上映後まで
  • 定休日:火曜日
  • 公式HP

時代が変わっても引き継いでいきたい技術

時代とともに映画における技術革新が起こることは、もはや誰にもあがなうことはできないでしょう。しかし、古きよきものの魅力や文化を未来につなげていくことは可能です。

フィルム映画について学び、実際に観て体感してみてはいかがでしょうか。デジタル映画とはまた違った映画の楽しみ方を体感できることでしょう。

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