コーヒー豆は長期保存に適しているように考えられがちですが、保存方法がよくなければ劣化が進み、淹れた時の味や風味が落ちてしまいます。より美味しいコーヒーを飲むためにも、コーヒー豆の管理方法や保存場所にこだわり、正しい知識を身につけましょう。
コーヒー豆は鮮度がとても大事
コーヒー豆は保存食品のように思われがちですが、時間が経つにつれて劣化する性質を持っており、『コーヒー豆は生鮮食品である』とも言われているほど繊細です。
肉や魚、野菜といった生鮮食品に比べ、コーヒー豆は劣化の状態が見た目だけでは分かりにくいですが、味や風味にはっきりと影響を及ぼすため注意しましょう。
劣化すると味や風味にも影響する
劣化したコーヒー豆で淹れたコーヒーは、『酸味が強い味』になります。コーヒー豆が持つ本来の酸味とは異なり、舌がピリピリするような後味の悪い酸味です。
「コーヒーが酸っぱくて飲めない」と感じる場合、ほとんどは劣化による酸味を味わっていることが原因でしょう。コーヒー豆本来の酸味は、フルーティーですっきりとした、さわやかな酸味です。
劣化により生じる酸味は非常に強く、コーヒー豆本来の酸味を打ち消してしまうほどです。コーヒーをおいしく味わうためにはコーヒー豆の鮮度を意識し、なるべく早く使い切るようにしましょう。
なぜ劣化する?原因となる四つの環境
コーヒー豆が劣化する理由は、主に四つの環境が原因として挙げられます。それぞれについて理解を深めましょう。
空気に触れる
コーヒー豆は植物性のオイルを多く含むため、オイルが空気中の酸素に触れることで酸化し、コーヒー豆の劣化につながります。
また、コーヒー豆そのままの状態に比べ、粉に挽いた後の方が表面積が大きくなるため、より酸化しやすくなります。
一昔前まで、多くのコーヒー豆は真空包装で販売されていました。しかし、焙煎後の豆から発生する炭酸ガスによりパッケージが膨張し破裂しやすくなるという理由などから、今ではほとんど見かけなくなっています。
一般的にも真空の状態を作ることは難しいため、できるだけ空気に触れないよう密閉した容器に入れて保管しましょう。
温度が高い
コーヒー豆に限らず、ほとんどの物質は高温になればなるほど分子運動が活発になり、化学変化を起こしやすくなります。
コーヒー豆の場合は、80℃以下であれば状態が化学的に安定しやすいといわれていますが、それでも温度の高さに比例して劣化のスピードは上がります。
暖かい部屋の中や夏場は高温になりやすいため、できるだけ温度が低い場所で保管することが重要です。
湿度が高い
コーヒー豆は、表面に細かい穴が多く見られる多孔質のため、周囲の湿気を吸収しやすい構造です。また、コーヒー豆には消臭効果があるといわれるほど、周囲に漂う匂いの成分も吸収しやすい性質があります。
湿気や匂い成分は、コーヒー豆の劣化を早める原因になるため、湿度の高い梅雨時期や夏場は注意が必要です。
保管の際には密閉状態を保つよう心がけ、保存容器の中にシリカゲルや珪藻土などの乾燥剤を入れておくとよいでしょう。
光が当たる
コーヒー豆は紫外線によっても劣化が進むため、紫外線を含む太陽光や蛍光灯の光も品質低下の要因となります。
コーヒー豆には紫外線から身を守るとされるポリフェノールが含まれていますが、完全に防止できているわけではありません。できるだけ光に当てないよう、暗所に保管しましょう。
美味しさを保つコーヒー豆の保存方法
コーヒー豆の保存に適した場所は、飲みきる期間によって冷暗所・冷蔵庫・冷凍庫の三つに分けられます。できるだけ鮮度を保てるよう、最適な保存方法を理解しましょう。
すぐに飲むなら保存容器に入れて冷暗所へ
2週間程度で飲みきれそうなら、冷暗所に保管しても問題ありません。空気が入らないよう、密閉できる容器やジップロックに入れて保管しましょう。
容器に関しては、炭酸飲料用のペットボトルがおすすめです。新鮮なコーヒー豆は焙煎後に炭酸ガスを放出しますが、元々炭酸飲料が入っていたペットボトルなら頑丈なため、ひび割れや破裂のおそれがありません。
しっかりとキャップを閉めれば密閉状態も保てる上に、入手も容易で、使用前にきれいに洗えば匂いが移ることもありません。500mlペットボトル1本で、100g強のコーヒー豆を保存できます。
飲みきれないなら冷蔵庫、冷凍庫で保存
飲み切るまで2週間以上かかりそうなら、常温保存より冷蔵庫や冷凍庫で保存しましょう。瓶やタッパー、ジップロックなどに入れ密閉状態を保ち、庫内の空気や匂いが入らないようにすることが重要です。
長くても1カ月ほどで飲み切れそうなら冷蔵庫、それ以上の長期保存なら冷凍庫への保存が効果的です。どちらの場合でも、コーヒー豆を取り出す際は、容器についた結露で豆を濡らさないように気をつけましょう。
賢く保存してコーヒー豆の鮮度をキープしよう
コーヒー豆は、空気・温度・湿度・光の影響を受けやすく、劣化により味や風味が落ちることを防ぐために、正しい方法で保存する必要があります。
できるだけ密閉した状態で冷暗所に保管し、保存期間によっては冷蔵庫や冷凍庫で保管しましょう。