ワインに良く合うチーズは、大人のグルメに欠かせない食べ物です。その歴史は長く、世界中にはさまざまな種類のチーズや食べ方があります。日本におけるチーズの定義や『体に良い』とされる理由について解説します。
チーズの歴史を知る
チーズは人類で最も古い食品といわれています。チーズを使った料理はアメリカや欧米に多いですが、チーズはどのような歴史をたどり世界に広がったのでしょうか?
チーズの発祥や、日本人との関わりについて解説します。
発祥はアジアが有力
チーズの誕生は、紀元前4000年頃といわれており、発祥地や誕生については定かではありません。しかし、発祥は、今のヨーロッパではなく、アジア周辺諸国であったと推測されています。
世界最古のメソポタミア文明(紀元前3500年頃)、またエジプト文明(紀元前4000年頃)の壁画などには、チーズの製造方法が記されています。
アジア周辺諸国では、古来より山羊や羊などの家畜を育てていました。何らかの偶然で乳に微生物が入り、発酵が起こったことがチーズのはじまりだといわれています。
チーズはその後、トルコやギリシャなどを経て、ヨーロッパ全土に広がっていきます。
日本でも古くから食べられていた
日本ではいつ頃からチーズが食べられていたのでしょうか?さまざまな文献によれば、仏教が伝来した『飛鳥時代』が有力です。
中国や朝鮮半島に渡った使節団や渡来人により、酪農技術やチーズの製造法が日本にもたらされたのです。
当時、乳を煮詰めて作られたものは『蘇(そ)』とよばれ、一部の人しか口にできない高級品でした。のちに、蘇を発酵・熟成させた『醍醐(だいご)』が生まれます。
平安時代には、チーズは体に良い食べ物として貴族の間で重宝されていましたが、庶民がチーズを口にする機会はほとんどありませんでした。
チーズが庶民の生活に普及するようになったのは戦後のことです。当初はスプレッドタイプのチーズの瓶詰で販売され、食生活が豊かになるにつれ、さまざまな形状が生まれていきました。
日本におけるチーズの定義
日本において、チーズはどのような食品として定義づけされているのでしょうか。
チーズは、乳やバターミルクに乳酸菌や凝乳酵素を加えて凝固させ、作業中に発生する水分(ホエイ=乳清)を取り除いたもの、またはこれを熟成したものとされています。
さらに、日本のチーズのラベルには、『ナチュラルチーズ』または『プロセスチーズ』の表記がされています。詳しく見てみましょう。
ナチュラルチーズとは
『ナチュラルチーズ』は、ヨーロッパからの輸入チーズに多く見られ、原料となる乳や微生物の種類によって、味も風味も全く違ったものになります。
『熟成タイプ』と『非熟成タイプ』があり、『熟成タイプ』は、菌の働きによる発酵が進み続けているのが特徴です。時間が経つにつれ、味わいが変わっていくのが感じられるでしょう。
なお、日本のナチュラルチーズは、『乳に由来しない風味物質を添加できる』とされています。
プロセスチーズとは
『プロセスチーズ』は簡単にいえば、ナチュラルチーズを加熱し、再加工したものです。加熱処理をしているので、菌は死滅しています。そのため、保存中に菌による熟成が進むことはありません。
スライスチーズやキャンディーチーズがこれにあたり、保存に優れ、風味が安定しているという特徴があります。
なお、プロセスチーズの加工では、『食品衛生法』にある添加物や、脂肪量の調整のためのクリームやオイル、香り・味・栄養成分などを付与する食品を加えてもよいとされています。
ナチュラルチーズの種類はとても多い
ナチュラルチーズは、原材料の種類や作り方によって風味が大きく異なり、その数は1000種類以上にも及びます。代表的なナチュラルチーズを紹介します。
熟成させないフレッシュタイプチーズ
非熟成のナチュラルチーズは『フレッシュチーズ』とよばれます。生乳に酵素や乳酸菌を加え凝固し、ホエイを抜いたもので、味や香りに癖がないのが特徴です。「豆腐のよう」と表現する人もいますね。
粒状やペースト状のものもあり、水分は他のチーズよりも若干多めです。代表的なフレッシュチーズには以下のようなものがあります。
- カッテージチーズ
- マスカルポーネ
- モッツァレラチーズ
- リコッタチーズ
- フェタ
これらは、チーズ特有のくさみや癖がないので、お菓子などにもよく使用されます。
塩水などで洗うウォッシュタイプチーズ
熟成タイプのチーズで、外皮を塩水やブランデーなどで洗いながら熟成を繰り返します。
チーズの外側に付着したリネンス菌などが、どんどん内側に向かって繁殖していき、発酵食品ならではのくさみと濃厚な味わいが形成されます。
外皮は硬くなっていきますが、内側には弾力とほどよい柔らかさがあり、温めたスプーンですくって食べるという方法もあります。
- エポワス
- リヴァロ
- マニゴーディン
- マロワル
- ポン・レヴェック
有名なウォッシュチーズは、フランスの地方が多く、産地によって色・香り・味が大きく異なります。
水分含有率が38%以下のハードタイプチーズ
水分含量が比較的低いものを『ハードタイプ』といいます。
乳酸菌を殺さないように加熱・加圧して水分の排出を促した後、乾燥・熟成させていきます。熟成期間が長いので、濃厚な味わいが楽しめます。
硬いので、削って料理にふりかけたり、チーズフォンデュにして食べたりすることが多いです。大きくて重量があるので、1個を何日にも分けて食べる家庭が多いようです。
- エメンタール
- ラクレット
- チェダー
- パルミジャーノ・レッジャーノ
水分含有率38%~46%のセミハードタイプチーズ
水分含有量がハードタイプよりも若干多いチーズです。
熟成が比較的穏やかに進み、癖がなく食べやすいのが特徴です。保存性が高く、食べごろ期間が長いという利点もあります。
- ゴーダ
- サムソー
- エメンタール
- チェダー
食べ方は比較的自由で、グラタンのトッピングやチーズフォンデュ、サンドウィッチなどに入れて食べるのがおすすめです。ビールにも良く合うのでそのまま食べてもいいでしょう。
羊乳を使用したシェーブルタイプチーズ
『シェーブル』はフランス語で『山羊』を意味します。山羊特有の癖があるものが多いですが、チーズ上級者には好まれる傾向があります。
熟成の過程で、表面に白カビを付けて繁殖させたものや、型崩れを防ぐ為に黒い炭をつけたものなど、シェーブルタイプはさまざまな種類のものがあります。
- バラット
- ヴァランセ
- クロタン・ド・シャヴィニョル
- ピコドン
フルーツやジャム、野菜などとの相性がよく、料理ではソースとして用いられます。
マイルドな味の白カビタイプチーズ
チーズ表面に白カビを付けて熟成させるチーズで、時間が経つにつれて、外皮に赤茶色の斑点が出てきます。
とろりとした滑らかな舌触りが特徴で、初心者にもおすすめできるチーズといえるでしょう。
- カマンベール
- バラカチーズ
- ブリ―チーズ
クセが強く塩辛い青カビタイプチーズ
青カビを使い、チーズの中の方から熟成させていくタイプです。青カビをまぶしてからチーズを成型すると、チーズ内部の隙間で青カビがどんどん繁殖していきます。
通称『ブルーチーズ』とよばれ、強い匂いと濃厚な味、そして塩辛さが感じられるのが特徴です。
癖があるので、好き嫌いが分かれますが、無塩バターやプレーンのクリームチーズに混ぜてパンに塗ったり、フルーツと合わせたりすると美味しく食べられます。
- ゴルゴンゾーラ
- カンボゾラ
- ロックフォール
- ブルー・デ・バスク
チーズは牛乳よりカルシウムが豊富
牛乳の栄養が凝縮されているチーズは、体に必要な栄養素が少量で補えるのがメリットです。特に、カルシウムの含有量が豊富で、牛乳の10倍にもなるほどです。
牛乳でお腹をこわしやすい人におすすめ
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするという人は少なくありません。
牛乳には『乳糖』という成分が含まれています。これを体の中で分解するのが『ラクターゼ』という酵素ですが、この働きが弱まったり、少なくなったりすると、牛乳でお腹を壊しやすくなります。
チーズは、製造工程で乳糖がほぼ除かれています。「カルシウムをとりたいけど、牛乳が苦手」という人にこそおすすめの食品なのです。
ビタミンDと一緒に摂ると吸収率アップ
チーズのカルシウムは、ビタミンDと一緒に摂取すると、腸での吸収率がアップします。それだけでなく、血液中のカルシウムの濃度を保つ働きもあるとされています。
ビタミンDの多い食べ物として、以下のようなものが挙げられます。
- しいたけ・しめじなどのきのこ類
- いわし、かつお、さんま、ぶりなどの魚類
- レバー
- 卵黄
年齢が上がるにつれて、骨密度は少しずつ減少しはじめます。普段からチーズとビタミンDの多い食品を意識的にとるようにしましょう。
チーズの味わいを楽しめるチーズフォンデュ
チーズを美味しく食べる調理法の1つに『チーズフォンデュ』があります。発祥地はスイス、またはフランスともいわれ、現在は日本の洋食レストランなどでもよく見かけるようになりました。
チーズフォンデュを美味しく食べる方法を紹介します。
チーズフォンデュに合うおすすめチーズ
チーズフォンデュに用いるチーズは、国や地域によって異なりますが、グリエールやエメンタール、フォンティーナなどの『セミハードorハードタイプ』のチーズを用いるのが一般的です。
保存性に優れたセミハードやハードタイプのチーズは、厳しい冬を乗り切るための保存食として重宝されてきました。チーズで硬くなったパンを浸して、柔らかくして食べるという人々の知恵といえるでしょう。
家庭でチーズフォンデュを作るときは、グリエールやエメンタールなど、2種類ほどのチーズをメインにするのがおすすめです。好みでゴーダチーズやブルーチーズなどを混ぜても美味しくいただけますよ。
具材に決まりはなし、好きなものをチョイス
チーズフォンデュの具材には決まりはありません。
ブロッコリーやにんじん、じゃがいもなどの茹で野菜、きのこなどの山の幸、角切りにしたフランスパンなどが定番ですが、肉類や魚介類なども試してみましょう。
チーズケーキは定番のチーズスイーツ
戦後、日本ではじめて作られたチーズの味は、日本人にはなかなか受け入れられないものでした。しかし、1970年代に入り『チーズケーキ』が登場すると、若い女性の間で瞬く間に人気となりました。
今ではすっかりスイーツの定番となった『チーズケーキ』の種類と特徴を見ていきましょう。
オーブンで焼き上げたベイクドチーズケーキ
『ベイクドチーズケーキ』はヨーロッパでは定番のチーズケーキです。
チーズ・砂糖・卵黄・生クリーム・小麦粉などの材料を型に流し込み、オーブンで焼き上げるのが特徴です。クリームチーズやマスカルポーネなど、塩分が少なく癖のないチーズが使われることが多いです。
ふわっとした食感のスフレチーズケーキ
『スフレチーズケーキ』は、ふんわりとした空気感があり、一般的なスフレとは違い、時間が経ってもしぼむことはありません。チーズケーキの中ではカロリーが控えめで、幅広い年齢層に人気があります。
材料はベイクドチーズケーキとほぼ変わりませんが、卵白を泡立てたメレンゲや生クリームなどを加え、生地を湯煎焼きにしているのが特徴です。
実は、スフレチーズケーキは日本が発祥で、海外では『ジャパニーズチーズケーキ』とよばれ親しまれています。
なめらかな口どけのレアチーズケーキ
ベイクドやスフレと異なり、火を通さないのが『レアチーズケーキ』です。クリームチーズや生クリーム、ゼラチンなどを混ぜ合わせて、冷蔵庫で冷やし固めるのが一般的です。
チーズのフレッシュな味わいと滑らかな舌触りが特徴で、ジャムやフルーツを添えても美味しくいただけます。
また、ゼラチンを使わずにレモン汁を入れて凝固させるレシピや、チーズと豆腐を混ぜ合わせて作るレシピもあります。バリエーションが多いのもレアチーズケーキの魅力でしょう。
ハワイに行ったらチーズが美味しいお店へ
日本人に人気の高い観光地・ハワイには沢山の絶品グルメがあります。中でも人気の『チーズが美味しいお店』を厳選して紹介します。
チーズケーキファクトリー
ハワイのワイキキで大人気のグルメスポットです。チーズケーキをはじめとするスイーツはもちろん、ピッツァやステーキなどのアメリカンフードが充実しています。
ショーケースには沢山のスイーツが並び、どれも日本で見るものよりもビッグサイズですよ。チーズケーキは常時30種類以上があるそうです。サービス、コストパフォーマンス共に高く、子供連れの家族にも人気があります。
混み合っている時はテイクアウトで
店内は広々としていて、席数もかなり多めですが、食事時などは行列になることもあります。
混み合っているときは、テイクアウトをして、家でゆっくり味わいましょう。テイクアウトにチップは不要です。
- 店舗名:The Cheesecake Factory Honolulu
- 住所:ハワイ2301 Kalakaua Avenue, Honolulu, HI 96815
- 電話番号:(+1) 808-924-5001
- 営業時間:月~木 11:00~23:00 金・土 11:00~24:00 日10:00~23:00
- 定休日:11月の第4木曜日
- 公式サイト
チーズバーガービーチウォーク店
ハワイに来たら外せないのがアメリカンな『ハンバーガー』です。
肉汁たっぷりのボリューミーなチーズバーガーを看板メニューとする『チーズバーガービーチウォーク店』は、地元っ子にも観光客にも大人気のグルメスポットとなっています。
バーガーは10種類以上あり、中でも『CHEESEBURGER SQUARED』というチーズバーガーは、スイスチーズとコルビージャックチーズがWでサンドされた濃厚な逸品です。
ハンバーガーの他にもチーズをたっぷり使ったメニューが沢山あります。どれもサイズが大きいので、色々頼んでみんなでシェアして食べるのがおすすめです。
ワイキキ店、インパラダイス店もあり
こちらのお店は、ビーチウォーク店の他、ワイキキ内に2店舗を展開しています。
『ワイキキ店』はカラカウア通り×アラモアナ通り、『インパラダイス店』はカラカウア通り×ケアロヒラニ通りにあります。3店舗とも比較的近い場所にあるので、それぞれのお店を比較するのもいいでしょう。
- 店舗名:Cheeseburger Beachwalk
- 住所:ハワイ226 Lewers St L200, Honolulu, HI 96815
- 電話番号:(+1) 808-924-5034
- 営業時間:8:00~23:00
- 定休日:無休
- 公式サイト
数ある中から自分の好みのチーズを見つけて
チーズというと、モッツァレラやブルーチーズといったメジャーなものが思い浮かびますが、輸入品が多いスーパーなどに行くと、多種多様なチーズが販売されています。
チーズは原材料や製造方法によって、味や香りがかなり異なるため、初心者が自分好みのチーズを見つけるのには、時間がかかるかもしれません。ぜひお店の人のアドバイスも参考にしてみて下さい。