万年筆のインク漏れの原因とは。万年筆を長く使い続けるための基礎知識

2019.05.28

万年筆にまつわるトラブルの中で最も起きて欲しくないことの1つは「インク漏れ」です。万年筆は液体状のインクを使用するため、何かの弾みでインクが漏れると、カバンの中が目も当てられないような状態に。今回はそんな万年筆のインク漏れの原因と、その対策について詳しくご紹介します。

よくある万年筆のインク漏れの症状

「万年筆を使おうとしてケースから取り出すと大変なことになっていた」というのは万年筆を長く使っている人からすれば、思わず苦笑いしてしまうあるあるエピソードでしょう。

このような事態を防ぐためには、万年筆のインク漏れがなぜ起こるかを正確に把握する必要があります。ここからはそんな万年筆のインク漏れ症状について紹介します。

ペン先にインクがにじみ出ている

万年筆のインク漏れの中でも代表的な症状が『ペン先からの過剰なインクフロー』です。蓋を閉じて使っていない時はもちろん、使っている際にも過剰な量のインクがにじみ出てきてしまう状態です。これではまともに使えないどころか持ち歩くことさえ困難な状況になってしまいます。

詳しくは後述しますが、このペン先からのインク漏れの原因は主に「インクタンク周辺の不備や空気漏れ」が予想されるため、書いている間にインクが出すぎる場合などは一度確認してみることをおすすめします。

首軸からインクが出ている

ペン先以外にインクが漏れる場所は『首軸』です。首軸はペン先を本体にはめ込んでいる部分であり、作り込みにムラがある個体には隙間が発生してそこからインク漏れが起こります。

またペン先の症状と同様、インクタンク周辺に異常が発生している場合でも首軸からインクが漏れることがあるため、使っているときにインクが持ち手につくようであれば、この症状を疑った方は良いでしょう。また首軸の隙間においては日本製よりも外国製のものの方が発生しやすい傾向にあります。

万年筆のインク漏れの原因

万年筆のインク漏れの主な症状がわかってきたところで、次にインク漏れに至る原因についても知っておきましょう。

正しい手入れをしていない

万年筆は、使うインクにもよりますが、基本的には4〜8週間に1回のお手入れが必須となってきます。ただインクを補充するだけでお手入れを怠っていたり、正しいお手入れをしていなかったりすると、それだけでインク漏れの原因となりうるのです。

よくある例としては、インク詰まりを防ぐために漬け込むぬるま湯の温度が高すぎるため、パーツに小さな歪みが発生して隙間が発生することがあります。せっかくの万年筆を長く愛用するためにも、手入れの方法にはきちんと注意を払いましょう。

万年筆への衝撃

ふとした弾みで落としてしまったり、はたまた踏んでしまったりと、日常には万年筆にとっての危険がいっぱいです。万年筆を使い始めた人は、シャーペンやボールペンなどほかの文房具と同じ感覚で扱ってしまい、衝撃を軽視しがちです。

万年筆はデリケートな機構を持っているため、軽々しく衝撃をあたえてしまうと、取り返しのつかない故障につながってしまうこともありえます。

温度や気圧の変化

万年筆のインク漏れの原因で忘れられがちなのが、『温度や気圧の変化』です。

たとえばカードリッジ万年筆の場合は、インクの余剰部分の空気が温められて膨らむことでインク漏れの原因になることがあります。万年筆をズボンのポケットに入れることはあまりないはずですが、温度が高くなるところに万年筆を長時間保管するのは避けましょう。

また、飛行機など普段と全く違う気圧の場所へ行くと、インクタンク内の余剰部分の気圧も変化し、インクを押し出すなどしてインク漏れの原因になります。飛行機に乗る場合は、万年筆のインクはあらかじめ全て抜いておくことをおすすめします。

万年筆のインク漏れを直すには

ここまで紹介してきたような注意点を配慮しても、やはりインク漏れが起きてしまうことがあるでしょう。できれば買い換えずに同じものを長く使いたいところですが、その場合は自分で修理するかプロに頼むかの2択になってきます。ここからはそんな万年筆のインク漏れを直す方法について解説します。

どこから漏れているか調べる

万年筆のインク漏れにおいて、重要なのはどのような症状なのかです。万年筆のインク漏れは自分で対処できるものとそうでないものが存在します。インク交換の際の不備などであれば、丁寧に正しくインク交換をし直すだけで直すことができます。

しかし前述したようなパーツの歪みや機構そのものの不備などであれば修理に出す必要があります。一度修理に踏み切る前に、どの部分からインクが漏れているかしっかりと確認しましょう。

修理に出す

自分では対処できないような場合は迷わず修理に出しましょう。基本的に万年筆は購入の際に保証書が付属してくるため、メーカーの保証期間の間であればメーカーに直接送って修理してもらうことになります。

またメーカーの保証が切れている場合でも料金を払えば修理してもらえるほか、万年筆の専門店や修理業者に直接頼むという手もあります。何かこだわりがあるようであれば、メーカーよりも専門で修理を行っている業者の方がニーズに応えてくれるでしょう。

修理の費用と期間

万年筆の修理における料金は、持ち込み料(基本料金)に加えて破損状況に応じて必要なパーツが変わってくるためまちまちです。国産の代表的なメーカーであるパイロットであれば持ち込み料が1,000円(税抜き)で、万年筆取扱店などであれば3,000〜5,000円と大きく変わってきます。修理を頼む前に自分の使っているメーカーを確認することで、ある程度修理料金を抑えることができます。

また期間に関しては1〜4週間かかるのが普通ですが、海外メーカーなどでパーツの取り寄せが必要な場合はさらに長くなる可能性があります。トラブルにならないよう、修理に出す際に事前に確認をとっておきましょう。

万年筆のインク漏れを防ぐ方法

ここまで万年筆のインク漏れについて紹介、解説してきました。ここからは、これまで紹介した内容を踏まえて、インク漏れを防ぐ方法を紹介します。

正しいメンテナンスをする

前述でも解説した通り、万年筆の故障の原因でよくあるのが「ずさんなメンテナンス」によるものです。適当に使うのではなく、手入れの方法をしっかりと調べたうえで、正しいメンテナンスを行うようにしましょう。

万年筆は本来、その名の通り一生モノの文房具。定期的なメンテナンスを正しく実践できていれば、簡単にインク漏れは起こらないはずです。

保管方法に気をつける

先述の通り、高温な場所に長期間置いておいたり、衝撃が加わりやすい状態で持ち運んだりしていると、インク漏れのみならず致命的な故障につながりかねません。

万年筆は精密でデリケートな文房具だという認識をもって、保管場所に気を付けたりケースにいれることで、インク漏れから万年筆を守ってあげましょう。

正しいメンテナンスで一生ものの万年筆にしよう

万年筆のインク漏れは、決して避けられないトラブルではありません。万年筆は、正しい使い方・手入れをすることで、長く使い続けることができます。もしインク漏れをしてしまったら、まずは焦らず原因を見つけ、自分で直すか修理に出しましょう。

また、インク漏れの多くは手入れの不備や衝撃によるもの。これをきっかけに、使い方を見直してお気に入りの万年筆を一生モノに育て上げてみてください。一流のものには一流のものの流儀があるのです。

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