時計のムーブメントの種類とは。基本知識や修理交換について

2018.07.31

時計はムーブメントという動力源で動きますが、種類によりの働き方が異なります。『機械式』『クォーツ式』という名称は主にムーブメントの違いによるものです。ここではムーブメントについての知識やメンテナンス、修理交換などの情報もお知らせします。

ムーブメントの種類

『ムーブメント(movement)』とは、腕時計の基幹パーツです。車で例えると、エンジンのような役割を持っています。

時計の動力源であるムーブメントは、大きく分けて『機械式』と『クォーツ式』の2種類があり、機械式はさらに『手巻き』と『自動巻き』に分かれます。手巻きと自動巻きの違いは『ゼンマイを巻き上げる方法』です。

機械式ムーブメントとは

『機械式はゼンマイを動力』として使っています。ゼンマイ仕掛けのおもちゃは、ゼンマイを巻き上げて、そのゼンマイがほどける力で動きますが、時計も基本的には同じ原理です。

時間の遅れ進みは『調速機』とよばれる部品で制御しており、振り子の原理を利用した『テンプ』が、一定のリズムで左右に振れることによって正確に時を刻みます。このテンプが1時間あたりに振れる回数を『振動数』と呼び、一般的に振動数が高いほど精度も高くなります。

手巻き

手巻きは『リュウズ』というつまみを使って、ゼンマイを『手動』で巻き上げます。対して自動巻きは、ムーブメントの裏側にある『ローター』が人間の動作によって回転し、『自動的にゼンマイが巻かれる』設計です。

手巻きを巻き上げる頻度は『パワーリザーブ』によって異なります。パワーリザーブとは、ゼンマイを限界まで巻き上げた時の駆動可能な時間の長さを示すものです。パワーリザーブが24時間の時計なら1日、72時間であれば、3日間は止まらずに動き続けます。これにより、巻き上げ頻度に差が出るのです。

自動巻き

自動巻きは毎日着用していれば、自動でゼンマイが巻き上るため、基本的に手動で巻く必要はありません。しかし、着用せずにいると、やがてゼンマイはほどけきり、止まってしまいます。

数日間自動巻きの時計を着けず、止まってしまった場合は、時計を軽く振り、ローターを回してゼンマイを巻き上げましょう。また、人間の動作の代わりに時計を動かしてくれる『ワインディングマシーン』を使用するのもおすすめです。

クォーツ式ムーブメントとは

クォーツとは石英の一種である水晶のことです。クォーツ式ムーブメントには、時間を制御する部分に『人工の水晶』を使用しています。

水晶は電圧をかけると一定の振動を続ける性質があり、クォーツ式はそれを利用して正確に時間を刻みます。クォーツ式の振動数は機械式の数千倍もあり、その分高精度です。クォーツ式は『1962年にセイコーが世界で初めて商品化』しました。

オートクォーツの特長

クォーツ式の1つで『オートクォーツ』というムーブメントがあります。基本的な構造はクォーツと同じですが、ローターを搭載することにより『電池を充電して駆動』します。したがって、基本的に『電池交換の必要はありません』。

セイコーのスプリングドライブとは

セイコーが1999年に世界で初めて、機械式とクォーツ式を組み合わせて開発した『スプリングドライブ』を発表しました。これは『ゼンマイで駆動』し、『クォーツで制御する』という今までにないものです。

機械式は、クォーツ式に比べて精度が低く、誤差が出ます。ですが、スプリングドライブは時間の調節を水晶でコントロールしていのるで、『クォーツ並みに正確で、電池交換の必要なし』といった画期的なムーブメントです。

動き方の違い

ところで壁掛け時計などの秒針を見ていると『針の動き方に違いがある』と気づいたことはありますか?

ステップ式とスイープ式

時計は『ステップ式とスイープ式で針の動き方が違い』ます。ステップ式とは1秒単位で秒針が動いては止まるという『動静を繰り返し』、また1秒単位で時計の動く音が聞こえます。

面白いことにこの音は、ムーブメントから発する音なので秒針がない時計でもステップ式ですとコチコチと音が聞こえます。

一方のスイープ式は文字盤の上を『秒針が滑るような感じ』で動きます。音が静かなので寝室や書斎用に向いています。音が全くしないわけではありません。

ムーブメントの製造方式の違い

時計の心臓部とも言えるムーブメントは、時計の価格を左右する1つの要因でもあります。このムーブメントには2つの製造方式の違いがあります。

オリジナルでムーブメントを製造しているか、ムーブメントメーカーから製品を仕入れて使っているかということです。

マニュファクチュール

自社で『ネジ1つのパーツからムーブメントを作り上げる』生産方法をマニュファクチュールといいます。原語はフランス語で『自社製造』という意味です。開発費なども含まれますので資金力がある会社でないと不可能です。

オリジナリティを発揮でき、さらに高い技術力がある証となります。ムーブメントへのこだわりや、職人気質がマニュファクチュールブランドを作り上げているのです。

さらに、『ETA』という有名なムーブメント供給メーカーが2010年に供給廃止宣言をしたことで、各時計メーカーのマニュファクチュール化に拍車がかかりました。

スイスやドイツをはじめとしたヨーロッパの国では、多くのマニュファクチュールが存在しており、日本では『セイコーやシチズン』が該当しています。

エタブリスール

エタブリスールとはムーブメントのパーツを『自社以外のメーカーから仕入れて組み立てる』スタイルです。ヨーロッパでは分業製造の歴史が長く、伝統になっていますので頷けます。

仕入れた側からするとオリジナリティはありませんが、専門メーカーですので技術力は十分に高いものが仕入れられます。私たちは『良心的な価格で良い機能』を持つ製品を『比較的安価で買う』ことができます。

マニュファクチュールとエタブリスールのどちらを好むかは人それぞれです。見えない心臓部までにこだわりがあるのか、時計としての機能が揃っており外観デザインが満足であればOKとするかの違いです。

腕時計のムーブメント交換とメンテナンス

雑貨感覚で買う安価な腕時計以外の機械式は、長期間使用すると『オーバーホール』が必要になります。オーバーホールとは『時計を一度分解して行うメンテナンス』です。部品の洗浄や磁気の除去、注油、劣化したパーツの交換などを行います。

クォーツ式時計が止まってしまった場合は、まず電池切れを疑いましょう。メーカーや修理店に持ち込むと、電池を交換してくれます。電池切れ以外の不具合が発生した場合は、程度によりますが、修理ではなくムーブメント自体を交換することがほとんどです。

ムーブメントの交換費用は?

ムーブメント交換は『オーバーホールの時や、時計が動かなくなった時』に、メーカーや修理専門店で行います。

機械式の修理は、故障した箇所やムーブメントの機構、機能などにより数万円から数十万円かかります。通常のオーバーホールのみでも、最低3万円以上はみておきましょう。

クォーツ式は、電池交換だけの場合500円から1000円程度です。ムーブメント自体を交換する場合は、安価な時計で数千円、高級時計ですと数万円します。

機械式もクォーツ式も特殊なムーブメントは、10万円以上することがあるので、メーカーや修理店で見積もりをとると良いでしょう。

定期的なオーバーホールで長く愛用

どのくらいの頻度でオーバーホールに出すといいのでしょうか?機械式は3年に1度が望ましいとされています。定期的に手入れをしていれば、不具合が起こりにくく長く使用出来ます。

オーバーホールは製造メーカーの他に、『時計修理専門店や時計店』に頼むことも出来ます。これらの店は一般的には製造メーカーに依頼するより『8割程度の費用』で済むことが多いようです。

特に海外メーカーのものは更に安い割合の出費で済むこともあります。けれど値段だけで決めるのは危険です。『技術力があり信頼性の高い店』に頼みましょう。

クォーツ時計も定期的なメンテナンスは必要です。オーバーホールは7〜8年に1度を目安に行うと良いでしょう。

オーバーホールの主な流れ

オーバーホールの基本的な流れは以下のようになります。

  1. 状態確認:外観・磁気帯び・操作・防水機能・精度など
  2. ケース分解:ケースやベルトを分解
  3. ケース・ベルトの洗浄
  4. ムーブメントの分解&洗浄:ムーブメントの分解・他パーツの取り外し&洗浄
  5. ムーブメントや他パーツの修理・交換
  6. 注油・組み立て・ケースやベルトの研磨
  7. 精度点検

期間は混み具合にもよりますが、『2週間~1カ月くらい』が平均です。すべての工程で、経験を積んだ職人によって行われます。

時計の構造を理解するには?自作時計に挑戦

時計の構造を理解するためにも、自分でクォーツ式壁掛け時計を作ってみませんか?比較的簡単にDIYできます。お気に入りデザインの壁掛け時計を部屋で使いましょう。

壁掛け時計なら比較的簡単に作れる

掛け時計などの裏側を見ると『5センチほどの四角い箱』があります。これがムーブメントです。

必要な材料

  • 針(長針・短針・秒針の3種類)
  • 文字盤
  • ムーブメント
  • 針やムーブメントを文字盤に取付ける金具類

作り方手順は以下の通りです。

  1. 文字盤にムーブメントを取り付ける穴をあける(厚い木材には電動ドリル・薄い材料には皮ポンチなどを使用)
  2. 文字盤に数字(インデックス)を配置
  3. ムーブメントを取付ける(ムーブメント中心のシャフト部分に、壁掛け用の金具、ゴムパッキン、文字盤の順に通した後、ナットで固定)
  4. 針の取り付け(文字盤上突き出た、ムーブメントのシャフト先端に長針、短針、秒針の順で置き、3本を合わせた時に互いに接していないか確認)
  5. ムーブメントに乾電池を入れる

ロングシャフトのムーブメント販売店は?

ムーブメントを購入する時、気をつけなければならないのがシャフトの長さです。文字盤の厚みが1cm以上の場合はロングシャフトのムーブメントを選びます。厚さ3mm以下はショート、暑さ3~9mmまではミドルシャフトにしましょう。

ロングシャフトは、アマゾンなどの通販サイトで購入可能です。

  • 商品名:時計作り用 クオーツ電子時計 ロングシャフト
  • 価格:1350円(税込)
  • Amazon:商品ページ

時計の心臓部、ムーブメントにこだわりを持とう

ムーブメントをいつも正常な状態に保つため、オーバーホールや、日々のメンテナンスをしっかりと行いましょう。

大切な時計を、長く使い続けるためには、心臓部であるムーブメントの基本をしっかりと知っておくことが大切です。時計の調子が悪い時はムーブメントの故障を疑い、メーカーや信頼のおける専門店などに相談してみてください。

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