バイクを購入したばかりの初心者のなかには、エンジンガードについてよく知らない人も多く見られます。バイクが転倒しても、エンジンガードを装着していれば、エンジンへのダメージを軽減可能です。エンジンガードについて、わかりやすく解説します。
エンジンガードとは
『エンジンガード』がどんなものなのか思いつかない人もいるのではないでしょうか?ですが、エンジンガードは教習車などにもよく設置されているため、見たことがある人も多いはずです。
自動車のエンジンは、車両の内部に配置されています。しかし、バイクのエンジンは、むき出しになっており、転倒するとその衝撃でダメージを受ける可能性が高く、危険です。
そのエンジンを守る役割を果たしてくれるのが、エンジンガードなのです。ここでは、エンジンガードについて解説します。
エンジン部に装着するパーツ
エンジンガードは、『エンジン部に装着するパーツ』のことです。バイクの後方に設置されたエンジンをカバーするように装着し、湾曲したスチールパイプのような形をしています。
エンジンを守るなどのメリット
バイクは、前輪と後輪の2輪で走行します。そのため、転倒したときには、車体が横倒しになり、むき出しの状態のエンジンは地面に叩きつけられることになるのです。そのダメージは決して小さなものではありません。
そこで、転倒したときにエンジンを守ってくれるパーツがエンジンガードです。エンジンガードを装着することで、万が一転倒しても、前輪・後輪・エンジンガードの3カ所で車体を支えることが可能になります。
その結果、エンジンだけでなくタンクなどのパーツを転倒の衝撃から守ってくれる、大きなメリットもあるのです。
エンジンガードの効果
エンジンガードをつけることで、バイクの外見が悪くなってしまうという意見もありますが、エンジンガードを付けることで、安全かつ大事な愛車を守れます。外見も大切ですが、安全性を高めることは快適な走行に重要なポイントでしょう。
ここでは、エンジンガードの主な効果を3つ紹介します。
エンジンの割れを防ぐ
丈夫そうに見えるエンジンですが、路面が硬いコンクリートであったり、岩や石などの突起物などにぶつかったりすると、その衝撃で意外にも簡単に割れてしまいます。エンジンの割れとは、エンジンが半分に割れてしまうということではありません。エンジンのケース部分が割れてしまう(ひびが入ってしまう)ことです。
その理由としては、転倒すると、地面にエンジンが接地してしまうため、衝撃を直接エンジンが受けてしまうことが挙げられるでしょう。
エンジンガードを装着していれば、エンジンガードが地面にエンジンよりも早く接地します。その結果、エンジンが地面に接地せず、転倒時の衝撃を軽減できるのです。もちろん、エンジンの割れを防ぐ効果もあります。
転倒時のダメージを軽減
エンジンガードには、転倒した時に、車体が地面につかないようにすることで、車体への転倒ダメージを軽減する効果があります。
また、金属製のため耐久性に優れており、転倒の度合いにもよりますが、1回の転倒でだめになってしまうことはあまりありません。
倒れたバイクを起こしやすい
エンジンガードを装着せずに転倒したときよりも、装着したときの方が、倒れたバイクを起こしやすいのもメリットでしょう。
これは、エンジンガードを装着していることで、倒れたバイクの角度が浅くなるためです。停車時に車体を足で支えることができず、転倒してしまう可能性がある人にも便利なパーツです。
エンジンガードの購入と取り付け
重要な役割を持つエンジンガードですが、どこで購入・取り付けできるのでしょうかの各メーカーからさまざまな種類の商品が販売されているほか、なかには市販品ではなく自分でこだわりのオリジナルエンジンガードを作っている人もいます。
ここでは、エンジンガードの購入と取り付けについて解説します。
純正品と汎用品がある
市販品には、『純正品』と『汎用品』の2タイプあります。純正品であれば、間違いなく車検に通るように設計されているので心配はいりません。
しかし、汎用品を購入する場合には、エンジンガードの『幅』に注意しましょう。汎用品では、車検証での幅を確認してから購入すると安心です。幅とは、ハンドルやマフラーなどを基準として、それよりも内側になるような幅のことです。
基本的には、純正品はもちろん、汎用品に関しても、そのほとんどは幅以内に収まるような設計で作られているので、過度なカスタム目的以外のエンジンガードであればまず問題はありません。
カーショップやカー用品店で取り付け可能
カーショップやカー用品店などで取り付けできます。純正品の場合には、メーカー販売店にバイクを持って行き、その場で在庫があれば、注文して作業することも可能です。
また、汎用品の場合であっても、在庫があれば注文したその場で取り付け可能です。カー用品店やカーショップのなかには、持ち込んだ商品を取り付けてくれるお店もあります。
ただし、その場合には、お店で購入するよりも工賃が高くなるケースが多いため、事前に確認しておきましょう。
自作して取り付けも可能
バイクのエンジンガードは、丈夫な金属製のパイプさえ用意すれば、自分で作って取り付けることも可能です。
バイクをカスタムしている人のなかには、水道管のパイプを塗装して作っている人なども多く見られます。こだわりのある人は、試してみてもよいでしょう。
エンジンガードはいらない?
エンジンガードは、バイクの転倒からエンジンを守る大切な役目のパーツですが、初心者では必要ないと考えている人もいます。
しかし、本当にエンジンガードは必要ないのでしょうか?ここでは、エンジンガードの必要性について紹介します。
取り付けたほうが安全性は高い
今まで紹介してきたように、エンジンガードは、バイクが転倒したときに衝撃から守ってくれるだけでなく、倒れたバイクを起こしやすいというメリットがあります。
また、エンジンが損傷してしまうと安全に走行できないため、取り付けた方が安全性は高まるでしょう。
エンジンガードを取り付けない人もいる
取り付けない人の多くは、バイク重量の増加や重量バランスの変化を懸念していることが理由です。
また一般的に、フルカウルのロードスポーツバイクには、エンジンガードはあまりつけません。これには設計上の理由があります。
フルカウルは大きなバンク角を持たせてつくられていますが、エンジンガードを取り付けることでバンク角が浅くなり、フルカウル本来のコーナーリング性能が低下してしまうからです。
もちろんフルカウルのバイクでも安全性を第一に考え、エンジンガードを取り付ける場合もありますし、何を重要視するかによるところでしょう。
外観に影響が出るため、ダサいと感じる
エンジンガードを取り付けると、バイクの見た目に変化が生じます。エンジンガードはサイズが大きく目立つこともあり、格好よさを重視する人には人気がありません。それによって、外観が損なわれると感じてしまう人もいるでしょう。
ですが、アメリカンタイプなどのクルーザーでは、エンジンガードを取り付けることでよりドレス感をアップさせることも可能です。
また、エンジンガードというと、教習車に取り付けられているものをイメージする人も多いのではないでしょうか?これらのエンジンガードは、デザイン性ではなく安全性を重視して作られているため、外観に優れているとは言い難いでしょう。
しかし、エンジンガードにもいろいろな種類が販売されており、デザインもさまざまです。好みのデザインのものを探せば、カスタムする楽しみも得られます。
スライダーもおすすめ
転倒の衝撃からエンジンを守るパーツとして、エンジンガードのほかに『スライダー』と呼ばれるものもよく使用されています。
エンジンガードとエンジンスライダーは、転倒時のエンジンへの衝撃を守る役割という点では同じですが、まったく別物と考えておきましょう。
まず、エンジンガードとスライダーの大きな違いは、大きさです。バイクの外見を損なうことなく、大事な愛車を守りたい人には、コンパクトサイズの『スライダー』が適しています。
エンジンガードよりも重量が軽いため、バイクの重量を気にする人にも人気があります。
ここでは、スライダーの特徴と効果について解説します。
スライダーとは
エンジンガードは、丈夫な金属製のパイプでエンジンを衝撃から守る役割がメインですが、スライダーはバイクが転倒したら車体を滑らせることで衝撃を守ることです。
スライダーには、エンジンスライダー、フレームスライダー、アスクルスライダーなどがあります。エンジンガードとよく似た役割を持つエンジンスライダーは、エンジンの外側に取り付けることで、転倒した際のエンジンへのダメージを軽減するためのパーツです。
スライダーは、大きなスチールパイプのエンジンガードに比べると、装着していることがあまりわかりにくいコンパクトなサイズが特徴です。また、スチールなどの金属製ではなく、先端部分にはゴムなどの樹脂が使用されています。
スライダーを付ける効果
転倒時には、エンジンスライダーと前輪・後輪の3点で車体を支えるため、大事なエンジン部分が地面についてしまうこともありません。
スライダーは先端の出っ張り部分が樹脂で作られており、転倒時には樹脂部分がエンジンよりも先に地面に着地して破損することで、衝撃を軽減させ、エンジン部分にダメージを与えないようにしているのです。また、その安心感を持って運転できるという点も大きなメリットの1つと言えるでしょう。
ほかの効果としては、取り付けておくことで、修理代削減にも役立ちます。また、倒れる角度も浅くなるため、バイクを立てやすくなり、転倒しても自走できる可能性を高められます。
デザイン性を損なわない
サイズがコンパクトなスライダーは、エンジンガードと比べて目立ちにくいのでバイクの外観の邪魔になりにくいのも特徴です。
また、多くの汎用品のスライダーは、取り付け部分の質感にもこだわっておりデザイン性に優れているため、安全性を高めながら、バイク本来の格好よさを活かすことができるでしょう。
バイクのデザイン性も重視したい人は、スライダーの購入も検討してみてください。
エンジンガードで安全性をより高める
エンジンは、バイクにとって非常に大切なパーツです。故障してしまうと、安全に走行することはできません。また、損傷してしまった場合の修理にもお金がかかります。
エンジンガードを装着して、大事な愛車の安全性を高めれば、より楽しいライディングを楽しめるでしょう。