バイク乗りが押さえておきたいマフラーの予備知識。カスタムの参考に

2019.05.19

独特の排気音を出すマフラーは、バイクのドレスアップのポイントになるパーツです。マフラー交換は、見た目だけではなくバイクの性能にもかかわるものです。ここで紹介するマフラーについての予備知識を付けてから、マフラーのカスタムを行ってみてはいかがでしょうか。

知っておきたいマフラーの基本

バイクには、必ずマフラーと呼ばれるパーツがあります。これはバイク後部に付いている金属製のパイプで、バイクを知らない人でも、名称くらいは聞いたことがあるというほど広く知られているものです。

しかし、実のところどのような役割を持っているのか、詳しく知らない人も多いかもしれません。そこで、最初にマフラーの基本的知識を押さえておきましょう。

サイレンサーで消音効果

走行中のバイクのマフラーが、排気をしている様子を見たことがないでしょうか。このバイクから排出される排気ガスは、高温・高圧です。これをそのまま大気中へ放出してしまうと、大きな音が出てしまいます。

マフラーは、内部に『サイレンサー』を設置しています。これにより、排気ガス放出時の騒音を消すのがマフラーの役割です。

排気ガスで吸気効率を調整

マフラーの役割は排気ガスの消音だけではありません。マフラーから放出される排気ガスの勢いが強ければ、その分吸い込む力も強くなります。これを利用し、吸気効率を上げる役割も持っています。

マフラーの基本的な構造は?

マフラーには、『スリップオンタイプ』、『フルエキゾースト』の2種類があり、マフラー内部に設置されているサイレンサーの構造も2種類に分けることができます。

以下で、マフラーの種類別の特徴とサイレンサーの構造について詳しく見ていきましょう。

スリップオンタイプ

スリップオンタイプのマフラーは、サイレンサーの部分のみを指します。

すでに取り付けられているマフラーのサイレンサー部分のみを交換できるので、交換がしやすい特徴があります。見た目やエンジン音を手軽に交換したい場合は、スリップオンタイプが適しています。

フルエキゾースト

サイレンサー部分のみのスリップオンタイプに対し、フルエキゾーストはエンジンの根元部分からサイレンサーまでのすべてを指します。そのため、フルエキゾーストマフラーに交換となると、マフラーすべての交換を意味します。

一般的な標準装備のマフラーは鉄製ですが、鉄より軽量素材のマフラーに変えると、車両の軽量化ができます。一方で、4気筒エンジンなどの場合はフルエキゾーストではサイズが大きくなること、スリップオンタイプより価格が高いのがデメリットです。

サイレンサーの2つのタイプ

サイレンサーのみで見ると、2種類タイプがあります。このうち、『ストレートタイプ』はその名の通り、排気ガスがサイレンサーに侵入してから放出されるまで、まっすぐな1本のパイプを通る構造です。

途中で抵抗を受けないため、排気がスムーズです。排気ガスの通り道がまっすぐなので、排気の抜けが良く、レース用のバイクやスポーツタイプのバイクに適しています。

また、シンプルな構造なので部品の数が少なめであるため、軽量化できるのも特徴の1つです。ストレートタイプのデメリットとしては、まっすぐ排気されるため消音材によって吸収されない音波が多くなり、消音効果が劣る点です。

もう1つの『隔壁タイプ』のサイレンサーは、サイレンサー内部に隔壁で仕切った複数の小さな部屋が作られたタイプです。

サイレンサーに入った排気ガスは、小さな部屋に順番に通っていくことで熱と圧力が下がり、排出される頃にはエネルギーが減った状態なので、消音効果が高くなるという仕組みです。

消音性能が高い隔壁タイプのサイレンサーですが、内部でエネルギーを低くする仕組みであるため、頑丈で厚みのある素材が求められるので、ストレートタイプより重くなるデメリットがあります。

排気ガスが複数の部屋を経由することから抜けがいいとは言えず、詰まりやすいためピークパワー(最高出力)を出しにくいのも、隔壁タイプの欠点と言えるでしょう。

マフラーの4つの素材

バイクのマフラーの素材には、以下の4種類が主に使用されています。それぞれの素材には特徴とデメリットがあるので、予算や目的によってマフラーの素材を選びましょう。

最も身近な素材 スチール

『スチール』は、マフラーの素材として最も多く使われている素材です。身近にある素材でもあるスチールは安価である上に加工がしやすいメリットがあります。

その一方で、強度と耐久性をアップさせると重量が他の素材よりも重くなってしまいます。また、常に排気熱を受けるマフラーの素材としては、錆びやすいというデメリットもありますが、コーティングによりサビ対策を施せます。

しかし、スチール製のマフラーは独特の重低音が特徴で、この音を好むライダーがあえて選ぶ素材でもあります。

加工がしやすく比較的安価 ステンレス

スチールはスチールにニッケルやクロームを混ぜた素材で、『ステンレススチール』と呼ばれることもあります。

スチールに他の素材を混ぜることで錆びやすさを解消しており、スチールより軽量かつ高い強度を兼ね備えています。加工もしやすく、しかも安価な素材なので、スチールと並ぶマフラーに使用されるポピュラーな素材の1つです。

デメリットは、傷が付いたときの補修が難しい、以下で紹介する素材と比較するとまだ重量が軽いとは言えない点です。

非常に軽く高い強度 カーボン

合成繊維などに熱処理を行い、炭化させたのが『カーボン』です。金属ではないので、スチールやステンレスのように錆びることがありません。F1マシンに使われるほど、非常に軽量で強度も高いのが大きな特徴です。

カーボン繊維を編み込んだ独特の模様も高い人気の1つですが、製造コストがかかるため素材としてはとても高価であることがデメリットです。

フルカーボンのマフラーになると非常に高価になるため、一部のみにカーボンを使ったマフラーなども販売されています。

レースでも使われる最強の硬さ チタン

最後に紹介する『チタン』は、スチールやステンレスよりも硬い、金属の中でも最高レベルといわれるほどの硬度を持っています。

また、硬度が高いながらとにかく軽いのも大きな特徴です。さらにサビにとても強く、経年変化が非常に少ないなど耐食性・耐久性にも優れているので、レーシングバイクにも採用されている素材です。

しかし、硬度が高いために加工が難しく、価格が高くなりがちな点がデメリットと言えます。

カーボン同様、フルチタンのマフラーはかなり高額になってしまうため、ステンレスと組み合わせるなど、部分的にチタンを使用するマフラーも多く販売されています。

マフラー交換は燃費に影響する?

バイクのカスタムでマフラーを交換することは珍しいことではありませんが、純正品から社外品のマフラーに交換すると、燃費に影響するのかどうかが気になることもあるでしょう。

そこで、マフラー交換と燃費の関係性をまとめました。

抜けの良いマフラーはトルクが下がる

社外品のマフラーは、一般的に純正品よりも排気の抜けが良い設計となっています。

交換したマフラーが抜けが良いものの場合、エンジンの高回転時は馬力がアップします。しかし、抜けが良すぎると低回転時にトルクが下がるため、エンジンのパワーも下がり、排気音だけが大きくなってしまいます。

つまり、排気の抜けを良くするだけでは、バイクのパワーアップは望めません。

スリップオンだと見た目と音を変えられる

サイレンサーの部分のみを交換するスリップオンタイプのマフラーは外に出る部分なので、バイクの外観を変えられます。そしてもちろん、排気ガスが排出される部分なので、排気音を変えることもできます。

メリットデメリットで判断しよう

純正品のマフラーから社外品のマフラーに交換することによるメリットは、主に排気音と見た目を変えられる、バイクの軽量化ができるなどがあります。

その反対に、低回転時のパワーが落ちる、排気音が大きくなることがあるなどのデメリットがあります。交換するマフラーによっては、車検に通らない可能性も考えられます。

以上のメリットとデメリットを十分理解した上で、マフラー交換を行いましょう。

マフラー交換時の車検の基準

上の項目でも少し触れましたが、交換するマフラーによっては車検に通らないこともあります。車検では、マフラーに関してもいくつかの基準があるので、これに引っかからないように車検の基準を把握しておくことをおすすめします。

マフラーの音量の基準

マフラーを交換することにより排気音を変えられますが、この排気音の音量に基準が設けられています。

以前は車両の種類ごとに音の大きさを表す『デシベル』で基準値が定められていましたが、法改正により、2016年からマフラーの音量基準が強化されました。16年10月1日以降に販売されたマフラーにはすべて、この新基準が採用されています。

新基準とは具体的にどのような内容かというと、以下のとおりです。

  • 音量の基準は車種別に設定
  • 音量基準はヨーロッパ基準である『相対規制値』に統一
  • リプレイスマフラーの適合認証が義務化、
  • 新車時に加え、車検時にも音量を計測
  • 違反時には『不正改造車』のステッカーが貼り、整備命令を発令
  • 整備命令を受けた車両は15日以内に保安基準に沿った形で車検を受けなければ車検証とナンバーを没収

その他にも細かく基準が定められていますが、基本は車検のときに必ず音量測定を受けて基準値内の音量にすることです。

音量の測定方法

排気音の音量測定には、3種類の方法が用いられます。

  • 近接騒音測定 従来から使用されている測定方法で、マフラーの端から50cm、45度後方に離してマイクを設置します。ニュートラルの停止状態でエンジンを75%まで回し、アクセルを離したときの音量を測定します。
  • 定常走行騒音測定 エンジンを60%まで回した状態で走行しているときの音量を計測します。
  • 加速騒音基準適合ASEP これが、上記の新基準に含まれるヨーロッパ基準の音量基準です。排気量別ではなく、バイクごとの相対値で音量基準を統一しています。

実際に市街地を走行しているときの騒音を計測するもので、一定の測定条件から加速したときに、基準内に音量が収まっているかどうかという加速騒音レベルを測定します。

簡易着脱のバッフルは使用禁止に

かつては、マフラーの排気口を小さくして排気量を小さくし、排気音を低くできる着脱式の『バッフル』という消音材固定装置を装着していても車検をパスできました。

しかし、基準改正により、簡易着脱可能なバッフルは全面的に使用禁止になっているので、注意が必要です。バッフルを装着したい場合は、簡易式ではなく完全固定したもののみ使用可能となります。

マフラーのサビを予防したいときには?

先ほども触れましたが、排気熱をダイレクトに浴びるマフラーは、素材によっては錆びやすいパーツです。錆はマフラー劣化の原因となるため、マフラーのサビ対策を行っておきましょう。

マフラーのサビ対策としては、以下の方法があります。

マフラーを塗装してサビ対策

マフラーはあくまでも消耗品であるため、サビがついてしまった場合は交換する必要も出てきます。もし錆びついたままで使用していると、最悪の場合マフラーに穴が開いてしまいます。

できるだけマフラーを長持ちするためには、サビ対策が欠かせません。その方法として、マフラーの塗装が効果的です。自分で塗装もできるので、マフラーを長く使うためのメンテナンスとして行ってみてはいかがでしょうか。

マフラーの温度に耐えられる耐熱スプレーを

サビ対策のためのマフラーの塗装には、必ず耐熱塗料を使用します。マフラーは高温の排気ガスが通る場所なので、耐熱性がない塗料はすぐにドロドロに溶けてしまうからです。

耐熱塗料はスプレー状のものが市販されているので、マフラー塗装時にはこちらを使用すると塗装しやすいでしょう。

マフラーの主なメーカー

国内外問わず数多くのメーカーがマフラーを製造していますが、その中でも主要メーカーといえる4社を紹介します。

定番マフラーメーカー ヨシムラ

『ヨシムラ』は、日本のマフラーメーカーとして代表的かつ定番とも言えるメーカーです。スズキのレーシングマシンにもマフラーを提供していることから、スズキのバイクと相性がいいマフラー製造で知られています。

レーシングバイクに限らず、スクーターなどの幅広い車種のバイクに対応するマフラーを製造しています。品質が高く機能性にも優れていますが、価格が高めな点がネックという場合もあるでしょう。

ホンダとの高い相性 モリワキ

ヨシムラと並ぶ知名度を誇る『モリワキ』は、ヨシムラから独立して創業された、こちらも日本を代表するメーカーの1つです。イエローとブルーのグラデーションが特徴のマフラーは、モリワキを象徴するマフラーとして広く知られています。

ホンダのMoto GPマシンの市販車モデルのフレームを生産しているだけに、その品質と信頼性は折り紙付きといえますが、やはりこちらのメーカーのマフラーも価格は高めです。

世界の巨大メーカー アクラポビッチ

『アクラポビッチ』は、ヨーロッパのみならず世界中から高い評価を受ける、スロベニアのマフラーメーカーです。国際レースでの実績が高く、こちらのマフラーは海外メーカーのバイクにも純正採用されています。

もちろん海外メーカーのバイクだけではなく、国内メーカーのバイクにも使用できるマフラーを製造しています。1車種あたり100回以上のテストを行って品質維持に努め、高品質のマフラー製造を維持しているメーカーです。

パーツ単位で交換可能 オーバーレーシング

最後に紹介する『オーバーレーシング』は、先述のメーカー・モリワキから独立した技術者が立ち上げたメーカーです。こちらもレースでの実績が評価されたメーカーで、レースでのノウハウを活かしたマフラーを製造しています。

オーバーレーシングでは、エキゾーストパイプなどのパーツのみをバラ売りしているのが特徴です。バラ売りパーツを使えば、転倒などによりマフラーの一部が破損したときでも、マフラーすべてを交換する必要なく、破損箇所だけを修理できるのがメリットです。

オーバーレーシングのマフラーも決して安価とは言えませんが、先に紹介したメーカーの製品より安めの価格設定となっています。

マフラーの基本を押さえてカスタムしよう

マフラー、そしてマフラー内部に設置されたサイレンサーにそれぞれタイプがあり、タイプにより機能性や排気音が異なります。

また、近年マフラーの音量基準が変更されているため、従来の認識でマフラー交換を行った場合、車検が通らなくなる可能性もあります。

好みのバイクに仕上げるためにも、ここで紹介したマフラーに関する知識を押さえてマフラーを交換してみましょう。

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