能舞台の構造や名称を詳しく紹介。能舞台はレンタルすることもできる

2019.05.15

海に山に、そして建物の中にと様々な場所に悠然と佇む能舞台。寺社仏閣などに配置されることもあるこの建物は、文字通り日本の舞台芸術『能楽』を行うためのものです。600年近くある能楽の歴史とともに成立された幽玄な舞台は、日本文化にとってなくてはならないものです。本記事ではそんな能舞台の雑学についてご紹介していきます。

能舞台のつくり

能舞台は欧州の伝統的なホールや、歌舞伎座などにある劇場に比べて非常にシンプルな構造をしています。当時の雰囲気を思わせる佇まいはまさに『静』そのものです。そんな能舞台には、パーツごとに細かく名前がつけられていることをご存知でしょうか?

能舞台で能楽を観覧する場合は各所の名称や、構造、特徴を理解しておくと、より一層楽しむことができるはずです。ここからは能楽には欠かせない能舞台のつくりについて解説していきます。

能舞台の構造と名称

能舞台は基本的に全てのパーツにヒノキの木材を使用した「総ヒノキ造り」で作られています。それではさっそく各部位の名称を見ていきましょう。

中央に配置された正方形の平面が『舞台』です。その屋根を支えている四方を囲う柱はそれぞれ名前が異なり、左手前から時計回りに『目付(めつけ)柱、シテ柱、笛柱、ワキ柱』と呼ばれています。

舞台の右側には地謡(能楽における歌い手)が座るための『地謡座(じうたいざ)』、後ろ側には子方(子役)などが座る『後座』があり、後座のさらに後ろには巨大な松の絵が描かれている『鏡板』があります。

またメインの舞台左奥からは『橋掛り』と呼ばれる渡り廊下が演者の楽屋である『鏡の間』に伸びており、その間には3本の松の木が飾られています。鏡の間では演者の着付けの他に笛などでの演奏なども行われるようになっています。

なお、鏡の間の入り口には緑、赤、黄色、白、紫の5色で装飾された『揚幕』がかかっており、能舞台の中で唯一の幕となっています。揚幕は演者が入場する際に手動で開けられるようになっており、ヒノキ調の建物の中で演者の衣装と並んで色味が豊かな場所です。

能舞台の松の意味とは

橋掛りで飾られている松は、能面をつけた狭い視野で距離感を掴むとともに、演能中の演技における決まった立ち位置の目印として飾られています。

また能楽においてそのイメージを決定づけている、鏡板に描かれた巨大な松は、能楽のルーツとされている奈良県の春日大社にある神降ろしの松『影向の松』をモチーフにしていると言われています。

能舞台の大きさ

能舞台の大きさは明確な決まりがあるわけではありません。しかしメインとなる正方形の『舞台』は1辺が約6メートルとされており、その面積は約36㎡となります。これは畳に換算すると約21畳となり、能楽を披露する場所としては狭すぎず広すぎず絶妙な広さになっています。

また『橋掛り』では、最低でも演者がすれ違えるだけの幅が確保されるように設計されています。この細やかな気配りの行き届いた設計に、能舞台を製作した先人のこだわりをうかがい知ることができます。

能舞台の種類

ひとくちに能舞台といってもその種類は様々です。能舞台の種類が違えば、見方や楽しみ方が変わってきます。見たい種類がある場合には、事前にどの種類の能舞台が使われるのかを調べておくと良いでしょう。それでは能舞台の種類についてご紹介します。

能楽堂

よく能舞台と同じ意味で使われることがある能楽堂。厳密には能舞台を建物の中に配置している形式のことをそう呼びます。

また能楽堂といっても寺社仏閣の一部として建てられた昔ながらの物から、近代的な劇場のようにビルの中に建てられているものまでと、その形態は様々です。

都市部にお住いの方の場合は劇場形式で運営されている能楽堂を探してみると、意外にも近場にある場合もあるので、気になる方は関連サイトでチェックしてみてください。

薪能

薪能は簡易的な野外舞台で演じられる能楽を指す言葉です。簡易的といってもその歴史は古く、もっとも古い文献では奈良時代の興福寺で催されたという記録が残っています。

基本的には春から夏の暖かい時期に、都市部や能舞台がない寺社仏閣で催されることが多く、ここで初めて能楽を見たという方もいらっしゃるでしょう。

近年では薪能ブームが起こっており、都内の人気商業施設などでも興行が行われることもあるので、能楽堂よりも気軽に足を運ぶことができる能舞台となっています。

能舞台はレンタルできる

日本古来のステージとも言える能舞台。あまり知られていませんが、実は能舞台は体育館などのように『レンタル』することができます。近年では有名ミュージシャンのMVで使用されて話題になるなど、その独特な雰囲気から様々な方面からの需要が高まっているようです。そこでここからは能舞台のレンタルについてご紹介していきます。

能舞台のレンタル料金は?

能舞台をレンタルする際に1番気になるのがレンタル料金でしょう。実際のところ、レンタル料金は貸し出しを行なっている能舞台の立地や設備に大きく左右されます。都内にある大規模な能舞台の場合は1時間で10万円、郊外や地方にある貸し舞台であれば1時間2万円など料金にもかなり差があります。

また貸し出し理由や団体の種類によっても料金が大きく変わってくることがあるので、予約の際には予め問い合わせをすると良いでしょう。

都内にある能舞台を紹介

ここからは一例として東京都内にある主要な能舞台を3つご紹介します。

千駄ヶ谷の国立能楽堂

国立能楽堂は数ある能楽堂のうち唯一の国営施設です。能楽の聖地とも呼ばれ、施設内は、レストランや資料室など設備も充実しています。JR千駄ヶ谷駅から徒歩5分という好立地も魅力の1つです。

公式サイト

銀座の観世能楽堂

観世能楽堂は能楽界の最大流派である観世流が拠点としている能楽堂です。銀座の人気商業施設『GINZA SIX』の施設内に居を構えており、外国人観光客などもよく訪れる人気観光スポットとなっています。

公式サイト

代々木能舞台

代々木能楽堂は能舞台としては唯一の座敷内能舞台を有しています。通常の能舞台も現在一般的な座席ではなく座布団席で、情緒あふれる雰囲気が魅力の能舞台です。なお代々木能舞台は前述したような能舞台の貸し出しなども頻繁に行なっています。気になる方はチェックしてみてください。

公式サイト

能舞台を知って能を身近なものに

日本の伝統芸能である能楽への関心は、年々高まってきています。この記事をぜひ参考にしていただき、能舞台の魅力や能楽を身近に感じてみてください。

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