バイクのフロントフォークは走行時の重要パーツ。基本構造を理解する

2019.05.14

バイクのフロントフォークは走行時の衝撃をやわらげる重要な役割を担っています。定期的なメンテナンスとフォークオイルの交換で、愛車の安全性をキープしましょう。フロントフォークの構造や種類を理解しておくと、手入れが楽になります。

フロントフォークとは

『フロントフォーク(Front Fork)』とは、二輪車全般において、前輪の車軸を保持する部品の一部です。フロントフォークの役割やメンテナンスの方法を把握し、愛車を長持ちさせましょう。

フロントフォークの基本的な役割

道路の路面には無数の凹凸があり、タイヤが上を転がるたびに大きな衝撃が伝わります。簡単に言えば、フロントフォークはこうした衝撃を吸収し、振動を抑える『緩衝装置』の役割を担っているのです。

フロントフォークという名称は、二股のフォークに似た形状をしていることに由来します。フロントフォークは、『サスペンション(懸架装置)』の1つであることから、フロントサスペンションなどとも呼ばれます。

バイク用語においては、サスペンション構造という言葉もよく用いられるので、覚えておくといいでしょう。

フロントフォークは2種類ある

バイクのフロントフォークの形状は、『テレスコピック型』または『ボトムリンク型』に大別されます。

『テレスコピック型』は、筒形をしたアウターチューブの中に、直径がひとまわり小さいインナーチューブを挿入した形状で、伸縮して抵抗力を得る仕組みです。

一方、『ボトムリンク型』は、テレスコピック式よりも構造がシンプルで、原付やカブなどのビジネスバイクに多く用いられる傾向があります。

フォークの途中または先端部にリンクの緩衝機構を組み込んでいるのが特徴で、トレーリングリンク式(スクーターに多い)とリーディングリンク式(カブに多い)の2種類があります。

ボトムリンク式は昔からある形式ですが、現在では、テレスコピック式のバイクが大多数です。ここでは、テレスコピック式のフォークについて説明を進めていきます。

正立フォークと倒立フォークの違い

ほとんどのバイクに採用されている『テレスコピック型』は、『正立フォーク』と『倒立フォーク』の2種類に分けられます。それぞれの特徴とメリット・デメリットを理解しましょう。

正立フォークのメリットデメリット

テレスコピック式は、アウターチューブとインナーチューブの2つ1組から成っています。

『正立フォーク』は細めのインナーチューブがステム側(上)、太めのアウターチューブが車輪側(下)に配置した形式です。

倒立フォークに比べ、製造工程がシンプルで、かつ使用部品が少ないため、コストやオーバーホール費が安く抑えられるのがメリットでしょう。排気量400cc以下の軽めのバイクに採用される傾向が多いようです。

一方、剛性は倒立フォークよりも劣り、ハードなブレーキでは曲がってしまうことが懸念されます。

倒立フォークのメリットデメリット

『倒立フォーク』は、正立フォークと逆に、アウターチューブを上に、インナーチューブを下に配置した形式です。

バネ部よりも下に位置するパーツの重さ(バネ下重量)が正立フォークよりも軽いので、路面に追従しやすいというメリットを生み出します。

加えて一番太いアウターチューブに負荷が集中する構造のため、細いインナーチューブで支える正立フォークよりは、曲がりやひずみに強いと言えるでしょう。

特に、高速域からのフルブレーキング時などにはその効果が顕著に分かります。

一方で、径の太いアウターチューブが占める割合が多いため、全体的な重量は重くなりがちです。相対的にコストが高いのもデメリットでしょう。

フロントフォークの構造

ここでは、フロントフォーク『テレスコピック型』の構造について解説します。上記では、正立フォークと倒立フォークについて述べましたが、どちらもテレスコピック型で、構造は同じです。

テレスコピック型による伸縮構造

『テレスコピック型』の『テレスコピック(telescopic)』は望遠鏡のように筒が伸び縮みする構造のことです。

内部には前輪に掛かる加重を支えるためのスプリングが収納されており、下からの突き上げを吸収しています。

一方で、フロントフォークの中身がスプリングだけだと、ばねの反動で車体は揺れ続けてしまいます。このスプリングの動きを抑制し、衝撃を抑えるのが『ダンパー』です。

油圧ダンパーによって衝撃を調整

フロントフォークには、アウターチューブとインナーチューブの2本の筒があることを説明しましたが、この中には『フォークオイル』というオイルが充填されています。

2つのチューブの伸縮によって、内部のオイルが小さな通路(オリフィス)を通ると、流動抵抗力(減衰力)が生み出される仕組みになっています。この原理を『ダンパー』といい、抵抗を作り出すことでスプリングの動きを抑制しているのです。

フォークオイルの粘度もかなり重要

フォークオイルの粘度は、ダンパーの効き具合に大きく影響を与えます。

街乗りなどの近距離ではあまり違いが分かりませんが、サーキッドなどのスピードを要する競技では、フォークオイルの粘度の微調整が行われるほどです。

フォークオイルは使っているうちに劣化します。粘度が高いどろっとした状態になると本来の性能が失われるので、オイル交換を行わなけれななりません。

フォークオイルの粘度は『cSt』という単位であらわされます。これは、一定の温度条件下(40度)で流れるオイルの速度で、数字が小さければ柔らかく、高ければ硬いことを示しています(動粘度指数)。

動粘度指数はメーカーごとに異なる点に注意しましょう。

日常でもできるメンテナンス方法

フロントフォークは定期的なメンテナンスが必要です。バイクへ伝わる振動・衝撃を抑える重要な仕組みなので、オイル漏れや劣化、部品の緩みなどには特に気をつけましょう。

オイル漏れやサビなどの点検

物によっても異なりますが、アウターチューブにはアルミ合金、インナーチューブには鉄が使われていることが多いです。

こうした金属製の部品は濡れると錆びつき、伸縮運動の際に、ダストシールやオイルシールなどのゴム製部品を傷つける恐れがあるでしょう。

そうすると中のオイルがどんどん漏れてきで、最悪の場合はチューブ全体を交換せざるを得なくなります。ダストカバーの上部からオイルが漏れていないかを定期的に点検し、錆びつきがあれば専用のクリーナーで早めに取り除きましょう。

ネジの緩みなどの調整

フロントフォークに関する部品に緩みがないかを確認しましょう。

特に、フロントフォークとステムをつなぐ『アッパーブラケット』や『ロワーブラケット』のネジのチェックは重要です。

また、フロントフォークのバネは、長年使用していると伸びが悪くなり短くなっていきます。オーバーホールのときに新品に交換しましょう。

オイル交換の頻度

フォークオイルは劣化するとハチミツのような色と粘度になります。こうなってしまう前に、オイル交換を行いましょう。

車種や走行距離によっても変わりますが、オイル交換は1年に1回、または、走行距離5000~1万kmごとに交換するのが目安です。

フロントフォークのオイル交換方法

フロントフォークオイルは、セルフ交換も可能です。自分で交換すると、色や粘度など、劣化具合が目で見て分かるようになります。以下では自分でフロントフォークのオイル交換をするときの手順を説明します。取り付けに自信がない人はプロにお願いしましょう。

準備するもの

新品フォークオイルのほかに、オイル交換に必要な工具や道具は以下の通りです。

  • ろうと(注入時に使用)
  • 万能グリス
  • 計量カップ
  • 廃油用ケース(2ⅼ前後)
  • レンチ・ドライバー類
  • フロントスタンド

廃油用ケースは古いフォークオイルを入れるためのもので、万能グリスは取り外したパーツを磨くために使用します。

正立フォークの交換手順

まずは、フロントスタンドを使って前輪を持ち上げて固定します。ほとんどの『正立フォーク』の場合、ケースの下にドレンコックがついているので、緩めてオイルを抜きましょう。

オイルを抜ききったら、ドレンコックを締め、今度はインナーチューブの上から新たなオイルを注入します。

抜いたオイルは産業廃棄物として処理しなければなりません。

腕に自信がある人は、オイルを注入する前に、フォークを分解し、洗浄するといいでしょう。オイルを抜いて注入するだけでは不純物が残る可能性があるためです。

倒立フォークは取り外しが必須

まずは、フロントスタンドでタイヤを固定します。『倒立フォーク』の場合は、車体からフォークを取り出す必要があるので、まずはフォークを固定しているボルトを全て外しましょう。

ボルトを外すと、フロントフォークが落ちてくるので、しっかりと手で支えてください。

次に、トップキャップを外しますが、スプリングの力で飛び出してくるので、手で強く押し付けながら外すのがポイントです。続いて、カラー・ワッシャーなどを取り外し、古いオイルを抜いていきます。

新たなオイルは、フロントフォーク内に一気に注ぎ込みましょう。フォークをストロークさせながらエア抜きをし、ちょうどいいオイルの量を調節したら終了です。後はフォークの部品を取り付けましょう。

自信がない場合はなるべくショップに依頼する

倒立フォークの場合、取り外しや取り付けに時間がかかります。エア抜きを行ったり、油面を調節したりと初めての人には少々難しい部分もあるでしょう。

自信がないときは、バイクショップに依頼することをおすすめします。フォークオイルの交換は、1万~2万5000円前後が相場で、倒立フォークのほうがやや割高です。

フロントフォークの特性を理解しよう

フロントフォークは、走行中の安全に直結する重要なパーツです。自分の愛車のフロントフォークはどんな仕組みになっているかを理解し、こまめにメンテナンスを行いましょう。

普段、タイヤ交換を自分で行える人であれば、フロントオイル交換はそれほど難しくはないでしょう。ほぼ毎年行わなければならない作業なので、この際に交換方法を覚えてみてはいかがでしょうか。

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