時計を動かすための機械であるムーブメントが収納された『時計ケース』は、外からの影響から時計を守るばかりではなく、デザインを大きく左右する重要なものです。時計ケースの特徴を知っておけば、自分に最適な時計を探しやすくなるでしょう。
知っておきたい時計ケースの基本
腕時計の時計ケースとは何なのか、そしてどのような役割を持つかをご存知でしょうか。時計ケースについて詳しく掘り下げる前に、まずは基本的な情報をまとめました。
時計ケースとはムーブメントを収める容器
時計ケースとは、時計を動かす機械である『ムーブメント』がすべて収められている外側の容器を指します。
ムーブメントは、ホコリや湿気、そして外からの衝撃に弱いものです。これらが原因により、故障して動かなくなることも考えられます。時計ケースは、そのようなムーブメントの天敵とも言える存在から守る役割もあります。
時計ケースの素材には、モデルによってさまざまなものが用いられています。よく使用されているのはステンレスですが、高い堅牢性を持つチタンや比較的安価なラバーのほか、高級時計には高額なカーボン素材が使用されていることもあります。
ケースのデザインで時計の印象が決まる
時計ケースは時計本体の外側部分に当たるため、ケースのデザインが時計そのもののデザインにそのまま反映されます。つまり、ケースのデザインで時計の印象が変わるのです。
また、時計の大きさも、ケースの大きさが影響します。時計のデザインとサイズ感は、ケースでほぼ決まると言えます。
ムーブメントは大きく分けて2種類
時計を動かすための機械であるムーブメントには、『機械式』と『クオーツ式』の2種類があります。機械式のムーブメントはゼンマイで巻いて動くタイプ、クオーツ式は電池で動くタイプです。
これら2種類は構造がまったく異なり、特に機械式はクオーツ式より複雑な構造を持っているため、ムーブメントに必要なパーツも増え、時計自体のサイズも大きくなる傾向があります。
また、クオーツ式は電池が切れるまで動きますが、機械式は手動でゼンマイを回す必要があるため、マメに巻く必要があります。
機械式の中には時計が動くことにより内部のローターが回り、自動的にゼンマイを巻いてくれる『自動巻き時計』もありますが、使わずにしばらく放置していると程なく止まってしまいます。
時計ケースの代表的な形状
時計の印象を決定づけると言っても過言ではない時計ケースには、定番となる以下のような形状があります。
最もオーソドックス ラウンドケース
定番の形状と言えるのが、円形の『ラウンドケース』です。多くの有名時計ブランドの製品に採用されている、スタンダードなタイプで、誰もが一度は目にしたり、手にしたりすることがあるタイプでしょう。
膨らみがある クッションケース
少し丸みを帯びた正方形が特徴の『クッションケース』は、中間部分に膨らみを持たせたような形状です。正方形よりも柔らかな印象で、高級時計ブランドでも採用されています。
ラグジュアリーな スクエアケース
名前からもわかるように、正方形の時計ケースです。正方形という意味のフランス語である『カレ』と呼ばれることもあります。
比較的個性的なデザインのものが多く、女性が使用するとラグジュアリーでドレッシーな雰囲気になります。
高級感ある レクタンギュラーケース
長方形を縦にした『レクタンギュラーケース』は、クラシックでアンティークな雰囲気で、高級感のあるタイプです。実際に、『ジャガールクルト』や『フランク・ミュラー』などのハイブランドでも採用されていることで知られています。
上品な印象 トノーケース
『トノー』はフランス語で『樽』を意味することからもわかるように、樽のような丸みを帯びた縦型長方形のケースです。こちらもレクタンギュラーケースと同様に、クラシックでアンティーク感を演出し、上品な印象があります。
時計のケースサイズとは?
腕時計を選ぶとき、サイズの参考として『ケースサイズ』または『ケース径』が提示されていることがあります。
しかし、どの部分がケースサイズに当たるのか、あやふやという人も多いでしょう。ケースサイズとは時計のどの部分を指すのか、そしてサイズ感について解説します。
時計の横の直径のこと
まず、ケースサイズとケース径は同じ意味を持ちます。そして腕時計のケースサイズとは、リューズ部分を除いた時計ケースの横幅のことを指す言葉です。
ケースサイズにより、時計は大まかに分けて以下の3種類のサイズがあります。
小さめサイズ 32~36mm
小さめに当たるこのサイズは『ボーイズサイズ』とも呼ばれる、男女兼用で使用できる小さめサイズです。女性はもちろん、手首が細めの男性にはボーイズサイズがピッタリという人もいるでしょう。
時計の本体も小さいので軽く、スマートなデザインなのでフォーマルと合わせて着用するのもおすすめです。
標準サイズ 40~44mm
『スタンダードサイズ』と呼ばれるこのサイズは、大きすぎず小さすぎない、手首周りのサイズが20cm以上に最適です。標準的な日本人の腕のサイズに合っているため、日本で最も多く普及しています。
あまり時計を目立たせたくない場やフォーマルな場で、きっちりとした印象を与えてくれるので、ビジネスはもちろん、冠婚葬祭にも着用できるサイズです。
大きめサイズ 45mm以上
『ビッグサイズ』と称されるこのサイズは、カジュアルでスポーティーな印象を与える大きめのサイズです。そのため、スタンダードサイズのようにフォーマルや冠婚葬祭には不向きですが、休日のカジュアルスタイルに合わせやすいタイプと言えます。
時計ケース選びのポイント
大きく分けて3種類のサイズがある時計ケースは、上記のように使用する人の体格や手首の太さ、そして着用するシーンによって最適なものが異なります。
以下の情報を参考にして、時計ケースを選んでみましょう。
自分の体格に合わせて検討する
時計を選ぶときは、体格に合うケースを検討するのが基本です。特に、手首のサイズは時計選びで重要です。
一般的な目安として、手首の6~7割程度のサイズ感の時計ケースがベストです。ただしケースに厚みがある時計の場合、同じサイズや形状でも他の同サイズ・同タイプの時計と比較するとサイズが大きめに見えることがあります。
大きさの割に重量が増えることもあるため、実測サイズと比較して、実際に着用したときの感覚が異なることもあるでしょう。
時計を購入するときは、ケース径などの数値を参考に選ぶことも多いものですが、試着せずにケースの形状や数字だけで判断するのはおすすめできません。
時計選びでは必ず現物を試着して、自分の体格に合っているかどうか、ケースのサイズが大きすぎず小さすぎないかを確かめることをおすすめします。
スーツに合わせるなら標準サイズ以下
ビジネスなどスーツを着るときに身につける腕時計の標準は、35~37mmのケース径で、ビッグサイズ以外がマッチすると言われています。
しかし、体が大きい人なら40mm程度、小柄な人なら32mm程度のボーイズサイズのケース径でも合うこともあります。数字上でのサイズだけで判断せず、着用するスーツの袖とケース径のバランスを考えて選ぶとよいでしょう。
時計ケースのメンテナンス方法
購入した時計は、できるだけ長く大事に使いたいものです。そのためには、日頃からしっかりとメンテナンスを行うことが大事です。
時計ケースのメンテナンスは、時計店などでプロに依頼することも可能ですが、毎日の手入れは自分で行うことができます。以下の方法で、愛用の時計をマメに手入れしましょう。
日常の手入れが大切
時計をキレイな状態で使い続けるには、日常での手入れが欠かせません。基本は、時計ケースを磨くことです。できれば毎日、使った後には必ず時計ケースを磨きましょう。
時計ケースを磨くためのアイテムには、さまざまなものがあります。カモシカや鹿、ヤギの革を使ったセーム革で磨くという方法以外に、メガネ拭きに用いられることが多いマイクロファイバークロスも代用できます。
布などで時計ケース表面に付いた汚れをキレイに拭き取った後は、ブラシなどで細かな汚れを落としましょう。市販の歯ブラシは、安価で手に入りやすいのでおすすめです。
時計ケースは細かな隙間が多く、その間にホコリや皮脂が入り込みやすいものです。これを放っておくと、汚れがどんどん蓄積してしまいます。そこで歯ブラシなどのブラシでこまめに磨いておけば、隙間汚れを溜めずに清潔に保てます。
金属製のブレスなら、金属汚れを落とせる専用の金属クリーナーまたは薄めた中性洗剤を付けながらブラシを使うと、より汚れを落としやすくなります。
このように、時計を使用した後に時計ケースに付いた汚れを日々きちんと拭き取っておくことを習慣づけるだけでキレイにメンテナンスでき、良い状態が長持ちします。
以上のメンテナンスを行った後は、時計専用のケースで保管しましょう。何気なく机などに置いている場合は、時計の裏面にキズが付きやすくなるからです。
太陽光や照明の光は、革ベルトや文字盤の変色・劣化の原因となるため、時計専用ケースを保管するときは、暗所に置くことをおすすめします。さらに乾燥剤を入れておくと、湿気から時計を守れます。
小さな傷は自分で研磨可能
毎日身につけていると、どうしても時計にキズが付いてしまいます。大きい傷の修復は難しいですが、細かいキズであれば、磨くと目立たなくなることがあります。必ず自分の時計の材質を確認して行うようにし、不安な場合は自分で研磨せずに布で拭き取る程度にしましょう。
メタル素材であれば耐水ペーパー、ステンレスならコンパウンドなどの市販のアイテムを使用することで、自宅でも細かなキズを研磨してメンテナンスが可能です。
ただし、メッキの場合は研磨すると削れてしまい、キズがさらに目立つ可能性が考えられます。また、耐水ペーパーで研磨する場合は、粗いペーパーを使うとキズが増えることがあるので、できるだけ細かい耐水ペーパーを用いて磨きましょう。
研磨した後は、必ず磨いた箇所を拭き上げることが大事です。薬剤や研磨した後に出た汚れなどを、乾いた柔らかい布で拭いて仕上げると、時計が持つ輝きを取り戻しやすくなります。
中には、研磨できない素材を使用しているものもあるため、研磨をするときは、時計ケースの素材にも注意が必要です。
例として、文字盤の表面を覆うガラスに使用されていることもあるサファイヤガラスやクリスタルガラスは非常に硬度が高い素材なので、ダイヤモンド並みに硬い鉱物を用いなければ、研磨が不可能です。
自信がないときはプロに依頼を
上記の研磨方法は、市販されているアイテムを使う方法なので、そう難しいものではありません。
しかし、研磨は素材をわずかにすり減らせてキズを消す方法です。場合によってはキズを増やすなど逆効果になることもあるため、研磨に自信がないときはプロに依頼しましょう。
また、時計の仕上げ方には『ポリッシュ仕上げ』とも呼ばれる鏡面仕上げという方法があります。これは鏡のようにキレイに、完璧に磨き上げる特殊な仕上げ方法です。
鏡面仕上げには特殊な道具と高い技術を要するため、素人がただ磨くだけでできるものではありません。このような仕上げを施したい場合も、プロに依頼しましょう。
標準ケースサイズのおすすめ時計
カジュアルから高級ブランドまで、多数の腕時計が市販されています。その中から、まずは、標準サイズと言えるスタンダードサイズの時計を3点紹介します。
FOSSIL 腕時計 44MM TOWNSMAN
腕時計のほかにバッグやジュエリーを展開するファッションブランド『FOSSIL』のスタンダードサイズの時計です。
時針と分針、秒針の他にストップウォッチ機能を搭載したクロノグラフは薄型で、クラシックな雰囲気が魅力です。
- 商品名:FOSSIL 腕時計 44MM TOWNSMAN
- 価格:1万2644円(税込)
- Amazon:商品ページ
タグ・ホイヤー メンズ腕時計 カレラ WAR201A.BA0723
クロノグラフで知られる、長い歴史を持つスイスの時計メーカー『TAG Heuer(タグ・ホイヤー)』の3針式の腕時計です。
こちらのケース径は41mmで、大きめの窓に時刻と日付のみが表示されます。視認性の高い文字盤と装着感の高いブレスは、シンプルで実用性の高いアイテムです。ビジネスシーンやフォーマルな場にも適しています。
- 商品名:タグ・ホイヤー メンズ腕時計 カレラ WAR201A.BA0723
- 価格:31万3200円(税込)
- 公式HP:商品ページ
ROLEX サブマリーナデイト 116610LN
高級時計ブランドとして高い知名度を誇るスイスの腕時計メーカー『ROLEX(ロレックス)』のこちらの腕時計は、ケース径40mmの男性向け製品です。
落ち着いた雰囲気に300m防水という非常に高い防水性能を持つ、ROLEX定番ともいえるスポーツモデルの時計は、時計ケースとブレスともに『ステンレススチール』を採用しています。ベゼルには硬質セラミックを使用しており、キズが付きにくいのがポイントです。
- 商品名:ROLEX サブマリーナデイト 116610LN
- 公式HP:商品ページ
その他ケースサイズのおすすめ時計
女性や小柄な男性、体格が大きい男性には、スタンダードサイズが合わない、ということもあります。そのほかにも、少し小さめ、または大きめの時計が欲しい場合もあるでしょう。
以下では、そのような場合に選びたい『ボーイズサイズ』と『ビッグサイズ』のおすすめ時計をそれぞれ1点ずつ紹介します。
GAGA MILANO 腕時計 CHRONO SPORTS 45MM
多くのスポーツ選手に愛用されているイタリア発のブランド『GAGA MILANO(ガガミラノ)』のCHRONO SPORTS 45MMは、ケース径45mmのビッグサイズです。GAGA MILANOと言えばカラフルなイメージですが、このモデルはシックなブラックで作られています。
懐中時計をイメージしてリューズを時計上部に置いた独特の構造に、個性的で遊び心あふれるデザインが、他の時計にはない大きな魅力です。
文字盤も大きいので視認性に優れており、クロノグラフ機能を搭載した機能性も高い腕時計です。
- 商品名:GAGA MILANO 腕時計 CHRONO SPORTS 45MM
- 価格:9万4478円(税込)
- Amazon:商品ページ
Nordgreen 腕時計 ユニセックス ウォッチ Infinity 32mm
2017年に立ち上げられたデンマークのブランド『Nordgreen(ノードグリーン)』のこちらの腕時計は、ケース径32mmのボーイズサイズです。小さめのケースはフェミニンな雰囲気もあり、手首が細めの女性にも装着しやすいでしょう。
北欧デザインらしいミニマルで洗練されたデザインが大きな特徴で、秒針がない2針式の時計は、シンプルで見やすく、機能性も抜群です。
- 商品名:Nordgreen 腕時計 ユニセックス ウォッチ Infinity 32mm
- 価格:2万1000円(税込)
- Amazon:商品ページ
自分に合う時計ケースを探してみよう
多彩なバリエーションの製品が販売されている時計は、身に着けるシーンや服装、用途によって時計ケースを選ぶと、希望の時計を探しやすくなります。
紹介した時計ケースの特徴や選び方を押さえて、使いやすくて装着しやすい、最適な時計を選びましょう。