エレキベースをはじめるにあたって、「どんな種類のベースを選ぶか」というのは悩みのポイントですよね。初めて手にするベースとしておすすめなのが「ジャズベース」です。その特徴やメリット、選び方を紹介していきます。
初心者にはジャズベースがおすすめ
ベース初心者が初めて持つベースとしておすすめのジャズベース。エレキベースの中でも広く一般的なモデルのベースで、ジャンルを問わずプロのベーシストでも愛用しているプレイヤーが多いことで知られています。
そんなジャズベースの特徴やメリット、他のベースとの違いについて、解説していきます。
ジャズベースとは
ジャズベースは、1960年に誕生・発売されたベースです。
エレキギターやベースの世界的ブランドとして知られるフェンダー社が開発し、同じくフェンダー社が手がけたプレシジョンベースと合わせて、最もポピュラーなベースのモデルとなっています。
正式にはフェンダー社による製品のみがジャズベースに分類されますが、一般的には他のメーカーの製品もこのモデルのものは「ジャズベース」と呼ばれています。
名前には「ジャズ」と入っていますが、ジャズだけでなくポップスやロックなど幅広いジャンルで使われているベースです。
初心者にジャズベースがおすすめの理由
ジャズベースの特徴は、シンプルで扱いやすい構造と、クセのない素直なサウンドです。
コントローラーは2つのピックアップ(弦の音を拾うためのパーツ)のボリュームとトーン(音の色味)を調整する合計3つのノブだけなのが一般的で、この調整によって幅広い音作りが可能となっています。
他のモデルのベースはそれぞれ特徴的なサウンドのものが多くなっていますが、ジャズベースでは弾き手の技術や個性がそのまま表れるのも特徴です。
指先のタッチや力の入れ方、細かいニュアンスなどがストレートに反映されるジャズベースは、ベース初心者が腕を磨くのにも最適なモデルと言えます。
操作面での扱いやすさ、音のクセのなさの両方の点から見て、ジャズベースは初心者にぴったりでしょう。
プレシジョンベースとの違い
ジャズベースと並んで一般的なベースのモデルとして知られるプレシジョンベースは、ジャズベースよりも早く、1951年に誕生しました。
そのコンセプトは「ウッドベースをよりコンパクトに、音量も大出力に対応できるものにする」というもので、全てのエレキベースの元祖とも言えるモデルです。
そんなプレシジョンベースは、ウッドベースの特徴を継ぐような、ふくよかで丸みのあるサウンドが特徴となっています。それをよりクセのないサウンドに仕上げ、幅広いジャンルに対応できるように、と開発されたのがジャズベースでした。
現代では、よりクラシカルなサウンドや太く力強いサウンドを求めるときにはプレシジョンベースを、より繊細で細やかなサウンドを求めるときにはジャズベースを、と使い分けられることが多くなっています。
ジャズベースの選び方
ジャズベースを選ぶときにどんなところに注目すればいいか、というのも初心者にとっては悩んでしまうポイントですよね。初めて手にするベースの選び方を解説していきます。
大事な見た目でジャズベースを選ぶ
自分のパートナーとなるベースを選ぶ上で特に大切なのは、色や模様、木目などの「見た目」です。
機能やブランドでなく見た目が重要、ということを意外に思う方も多いかもしれませんが、ベースの見た目は練習のモチベーションや演奏者としてのアイデンティティに直結します。
ベースを選ぶときは、「長い時間弾いていたくなるようなベースか」「パートナーとして一緒にステージに立ちたくなるベースか」という見た目の要素も重要視しましょう。
重さでジャズベースを選ぶ
ベースは木材となる木の部位や作られたときの環境などによって、大きな個体差があります。そのため、同じブランド・同じ素材・同じ価格帯の製品でも、1本ずつ重さや重心が違います。
ボディが重いベースは演奏時の取り回しが安定したり、音の鳴りがよくなったりするメリットがあるものの、自分の体に対してあまりにも重すぎると演奏のときに体力を奪われる、というデメリットもあります。
ジャズベースを選ぶときは、実際にストラップを付けて抱えて、重すぎないか、自分の体にしっくりくるかも確認するようにしましょう。
素材でジャズベースを選ぶ
ジャズベースのボディやネックの素材にはいくつか定番のものがあり、それぞれ見た目やサウンドの特徴が違います。
代表的なボディの素材には、オーソドックスでクセのない音が特徴のアルダー、それより重量があって耐久性にも優れたアッシュ、軽くて鳴りがよく、安価なことで知られるバスウッドなどがあります。
また、ネックの素材には、倍音豊かなサウンドで定番となっているマホガニーや、淡く優しい色味でデザイン的な人気の高いメイプルなどがあります。
「素材の違いで音が極端に変わる」ということはあまりありませんが、色や重さなどは素材に大きく影響されるので、選ぶときのひとつのポイントとして押さえておきましょう。
初心者にもおすすめのジャズベース3選
ジャズベースの特徴や選び方が分かったら、いよいよ具体的なジャズベース選びに進みましょう。
ジャズベースを製造しているブランドはいくつもありますが、その中から価格や性能面で初心者におすすめのベースブランドを解説していきます。
Fujigen(フジゲン)
Fujigen(フジゲン)は、日本を代表する楽器ブランドのひとつです。フェンダーやギブソン、アイバニーズなどのライセンス生産を行い、現在は自社ブランドであるFujigen製の楽器で好評を集めています。
Fujigenのジャズベースは価格が50,000円前後とリーズナブルで、それでいて日本製の信頼できる完成度を誇っているのが特徴です。初心者でも手が届く価格で長く使えるベースとして、ぴったりでしょう。
Bacchus(バッカス)
Bacchus(バッカス)も、代表的な国内ギター・ベースブランドです。日本では、フェンダーなどのトップブランドに次ぐ人気と知名度を持っています。
Bacchus製のジャズベースは20,000円以内のエントリーモデルから100,000円以上の本格的なものまで幅広くあるので、予算や目標に合わせた選択肢が多いのも嬉しいポイントです。
国内外のプロにもBacchusの愛用者は多く、日本が世界に誇るブランドと言えます。
Squier(スクワイヤー)
Squier(スクワイヤー)は、フェンダー製品をより安価にしたシリーズとして作られました。元々は先に紹介したFujigenとフェンダー社が提携して生み出され、現在ではフェンダーの正式な安価版シリーズとして世界的に知られています。
初心者のはじめてのベースとしても十分に手が届く価格ながら、フェンダー傘下のブランドということで、上級モデルにも負けない仕上がりになっています。初心者向けの格安ジャズベースで信頼性の高いものが欲しいなら、間違いなしのブランドです。
音色に影響するジャズベースのピックアップ
ジャズベースは、一部のパーツを他のメーカーのものに取りかえることで、より自分好みのサウンドを追求することができます。
その中でも、弦の振動音を拾う「ピックアップ」は、最重要のパーツです。その特徴を紹介します。
ジャズベースのピックアップの特徴
ベースでは、ピックアップ(弦の下になるようにボディに埋め込まれている黒いパーツ)で弦の振動音を拾い、それが電気信号としてアンプに伝えられることで音が発生します。
ピックアップはベースの種類ごとに特徴があり、ジャズベースのピックアップは、フロント(ネック側)とリア(ボディの下側)にそれぞれ付いているのが一般的です。
2つのピックアップのボリュームは別々に調整することができ、ジャズベースのサウンドも硬さや粒立ちを変えることができます。
ジャズベースのおすすめピックアップ5選
ジャズベースのピックアップにはいくつもの種類がありますが、その中でも特におすすめのものを紹介していきます。
まずおすすめしたいのが、「Fender(フェンダー)Custom Shop ‘60s Jazz Bass Pickup Set」です。
フェンダーの中でも特に上級ブランドとして知られるモデルのピックアップで、中低域がより強まり、パワフルなサウンドが生まれます。
また、日本産のピックアップ「Freedom Custom Guitar」もおすすめです。
サウンドによりドライブ感が出るのが特徴で、バンド全体のバランスは崩さないまま、歯切れのいい音を鳴らすことができます。
よりインパクトのあるサウンドを目指すときは、「SEYMOUR DUNCAN Apollo Jazz Bass」がおすすめです。
指先のアタックをより強烈に伝えて攻撃的なサウンドを鳴らしつつ、ジャズベースの要となる中域を盛り上げてくれるのが特徴です。
やや変わり種のピックアップとしては、「BARTOLINI」のジャズベース用ピックアップ「9S L/S」があります。
奥深いトーンを生み出すのが特徴で、アンサンブルの土台を支える芯はしっかり残しつつ、より深みのあるサウンドを生んでくれます。
また、ジャズベース用ピックアップの最高峰のひとつと言われているのが、「LINDY FRALIN」のピックアップです。
より重厚で力強い、ベースらしいサウンドを生み出してくれるのが特徴で、高級感のある低音を鳴らすことができます。
「もっとジャズベースの音を追求したい」と思った方は、ここで紹介した5種類のピックアップから検討してみましょう。
ジャズベースで演奏者としてのスタートを切ろう
クセのないサウンドやシンプルな構造など、エレキベースの中でも特に初心者向けのモデルとしておすすめのジャズベース。初めてでも扱いやすく、それでいて幅広いジャンルで長く使える万能のベースです。
まずは自分にぴったりの1本を探して、演奏者としてのスタートを切る相棒になるジャズベースを見つけましょう。