美術館の作品解説を活用しよう。作品についてより深く知る方法8選

2019.05.04

美術館に行った時、その作品を見てより感動する為には、作品解説を活用するのがおすすめ。この記事では、美術をもっと楽しむために、作品解説の見方や美術作品を予習・復習する方法をご紹介します。

作品解説ってなに?必要あるの?

作品の背景(誰がいつどこで)がわかる

作品の背景に関する知識をまったく持たずに絵を鑑賞するのは、いわば字幕のない外国の映画を観ているようなものであると考えられます。

作品解説などをあらかじめ読んでから鑑賞することで初めて、その絵の物語の持つ意味が伝わり理解も深まるのです。

「名画は見るものではなく、読むもの」だと考えられています。その絵を正しく理解するには、絵の中に隠されている意味や、背景にある歴史や宗教に関する知識を知っておくことが大切なのです。

一般的に西洋絵画は見る人にメッセージを伝えるために描かれているケースがほとんど。古典的な作品の場合は、宗教的な教えや物語、倫理観・思想などについてが多いです。

その絵が書かれた時代背景や作者の意図などを理解しないことには、真の意味で西洋絵画を楽しめるとは言えないでしょう。少し背景知識を知るだけで、西洋絵画を見た時の楽しさや感動の程度は大きく変わってきます。

芸術を見る時に「感性」は重要であると考えられていますが、西洋絵画などの名画にいたってはむしろ「理性」をもってその意味を考察することこそが至高なのです。

作品の内容(何が表現されている)がわかる

作品背景もそうですが、作品を見る角度を意識するのも大切なポイントです。ちょっとだけ見方を変えるだけで、同じ西洋美術であってもその作品の持つ意味が大きく変わってきます。

一般的に日本の美術品解説は技法説明などの「造形する際のポイント」に偏りすぎているところがありますが、西洋絵画の場合はそれ以外にも見るべきポイントが多く設定されています。

ここでルーベンスの作品「セネカの死」を例に挙げてみましょう。「セネカの死」は、皇帝ネロから陰謀の罪を着せられて自害を命じられたセネカの死にゆく姿を描いた作品です。

自ら血管を切り毒を入れたものの死にきれなかったセネカ。しかし周囲の人たちが温かい風呂に入れることで熱気により息を引き取る…というのが本来の意味ではありますが、作者ルーベンスはこの絵に別の意味も込めています。

ルーベンスはカトリック信者だった為に、キリスト教で禁止されている自殺シーンを描けなかったのです。よく見てみるとわかりますが、セネカの血管は医師により切られています。

これは「自殺の罪からセネカを救いたい」というルーベンスの気持ちが表現されたものであるとの事。このように、様々な側面から作品を見て初めてわかることが多いのが「名画」というものなのです。

美術館に行く前に作品を予習する方法

美術館のホームページをチェックする

行きたい美術館が決まっている場合は、事前にその美術館の公式ホームページをチェックするのは忘れないようにしたいですね。美術館には単に絵や作品を観にいくだけではなく、多くの楽しみ方があります。

カフェ、ショップ、庭園だけを目的に美術館へ行く方も増えているそうです。公式ホームページを見れば、作品の見所やオススメの館内施設なども記載されていることが多いです。

気になる画家・作家について調べる

気になる画家や作家については事前にネットや書籍などで調べておくのもオススメ。たとえば「どうしても作品に興味がわかない…」という場合であっても、その作家のことをあらかじめよく学んでおくことで、その作品について考察することはできます。

また無理に好きな作品を見つける必要は無く、色々考察してみてもやっぱりその作品に興味がわかない、作品自体が好きになれないと感じた時は、「なぜ自分はそう思ったのか?を考えてみるのも良いですね。

これにより自分自身の隠れた嗜好を発見できることもあります。様々な作家のことを深く知り、興味の無い作品にも意識を向けてみるのは、己の新たな好み開拓の為にもってこいです。

西欧の歴史と宗教を勉強する

西欧絵画の隠れた意味合いとして、その時代の歴史や宗教が反映されていることがよくあります。特に西欧の文化や芸術、文学作品に関しては根底にキリスト教や聖書の価値観が隠れているケースが多いです。

聖書やキリスト教などに触れていなければその深い意味に気付けない絵画や彫刻もあります。好きな作品を見つけた時はその時代の歴史や作者の信仰していた宗教について学んでみることで、その作品への見方もまた変わってきますよ。

美術館で作品をより深く知る方法

作品解説パネル(キャプション)

ほとんどの美術館では作品の隣に解説パネルを用意しています。本来ならこの作品解説パネルが、その名画を読み解く為の重要なファクターとなります。

あらかじめ作品背景や、その作品が描かれた時代の歴史を知って、その上で作品解説パネルを見ることで、よりその絵に対する理解が深まるでしょう。

音声ガイドを借りる

自分のペースで作品の解説を聞くことができる音声ガイドは便利です。気になる作品だけ聞いてみるのもオススメ。

作品によっては、解説パネルに書いていなかった情報を手に入れられることも。ただ、美術館によって料金や台数制限の有無が変わってくる点には要注意です。

作品の解説会に参加する

美術館によっては、指定の日時に解説スタッフや学芸員が作品の解説してくれるイベントも行われています。

基本的には参加費無料・事前申込み不要である所が多く、特に重要な作品や人気の作品を解説している傾向があるので、メジャーな作品について深く知りたい人にはオススメ。

終わった後に、学芸員の方に作品に関する質問ができるのもポイントです。美の世界への理解がより深まることは間違いないでしょう。

また美術館によってさまざまなワークシート(副教材)が用意されている場合もあり、作品をクイズ形式で解説したり、作品に対する自分の印象・考えを書き込むタイプなど様々なワークシートがあります。

主に子供向けとして作られているものが多いのですが、その芸術についてのあらゆる見方ができたり、考察のヒントになったりするので大人にもオススメです。

美術館に行ったあと作品を復習する方法

図録を購入する

美術館に行った後でも名画を見直せる方法として、その作品の画集や資料集を買うのがオススメです。予備知識を得るにはうってつけですし、何なら美術館に行くことができなかった場合の代替案としても使えます。

中には詳しい解説がじっくり書かれた濃厚な内容のものもあれば、展示会の興奮が蘇る素晴らしい内容のものも。好きな名画を見つけたら、ぜひ書籍も一緒に購入してほしいですね。その作品を手元に置いておけるような気持ちになれます。

SNSでいろんな解釈にふれる

国内ではこれまで館内の撮影禁止ルールが一般的だったのですが、近年ではSNSの普及によって状況が変わってきています。

マーケティング効果を狙って撮影OKにシフトした美術館や、鑑賞より撮影をメインとした展覧会の開催が増えてきているのです。

これにより過去の伝統的な作品がSNSを通じて再び評価される場面も増えましたし、現代のアーティストはSNSやHPなど自身のメディアを活用した美術活動に取り組むようになってきています。

それがそのままアーティストの作品ブランディングおよび認知度向上に繋がります。現代のアーティスト活動や名画を普及させる為に、もはやSNSは欠かせない媒体であると言えるでしょう。

文脈を知ったうえで、作品をただ感じよう

美術館で作品を鑑賞するとき、その作品がどういう経緯で作られたのか、またどんな場面を表現しているのかという文脈を知っておくと、より鑑賞が深くおもしろくなります。

ただ芸術鑑賞や作品の解釈というのは最終的に人それぞれ。いろいろ得た知識をひとまず空っぽにして、あなただけの感性で作品に向き合ってみてください。それが最も楽しくおもしろい美術館の活用方法かもしれません。

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