料理が趣味という男性が増えています。趣味として始めるからこそ、道具にはこだわりたいものです。まずは料理に欠かせない包丁選びから始めましょう。おすすめの包丁はもちろん、包丁についての基礎知識やメンテンスの方法までわかりやすく解説します。
まずは包丁の種類を知ろう
包丁は大きく分けると『和包丁』と『洋包丁』の2種類があります。用途によって使い分けるだけでなく、刃の付き方の違いも知っておきましょう。
左右どちらにも刃のある両刃
包丁の刃の付き方に注目してみましょう。家庭料理の場面で広く使われている包丁は、左右どちらにも刃のある『両刃』であることがわかります。
三徳包丁・牛刀・菜切包丁などは、すべて両刃になっています。それぞれの特徴を見ていきましょう。
- 三徳包丁:肉・魚・野菜が切れるので『万能包丁』とも呼ばれている
- 牛刀:もともとは牛肉を切り裂くための包丁。肉・魚・パンなどにも
- 菜切り包丁:野菜を切ったり、皮を剥くための『和包丁』
どこの家庭にもある、一般的な包丁というイメージの『三徳包丁』は、まさに牛刀と菜切り包丁のよいとこどりの包丁と言えます。
利き手関係なく使える
先に述べたように、左右に付いている刃の『角度』が同じなのが両刃包丁です。そのため右利き左利きに関わらず食材を垂直に、まっすぐ切ることができるという特徴があります。
出刃包丁など片刃の特徴とは
『片刃』と呼ばれる包丁は一般的に、出刃包丁・薄刃包丁・刺身包丁の3種類がよく知られています。これらはすべて『和包丁』の分類になります。
- 出刃包丁:魚や獣肉をおろしたり、下ごしらえしたりする。
- 薄刃包丁:刃の先から中央で刻み、根本で剥く。伝統的な野菜包丁。
- 刺身(柳刃・蛸引)包丁:刺身を作るための包丁。先端の尖った関西型の柳刃と角ばった関東型の蛸引があり、いずれも刃渡りは長い。
これらの片刃包丁は『刃が片側についている』ため、切れる方向が決まっています。そのため右利き用と左利き用に分かれています。
持っておきたい包丁の種類
包丁に種類があるのはわかったけれど、どれを買ったらよいか迷ってしまう場合には、まず『三徳包丁』の購入をおすすめします。
三徳包丁は、利き手に関係なく使えて、肉も魚も野菜も切ることができる万能包丁だからです。
その上で、刺身を作る、大きなかたまり肉を自分で切って料理する、小さな包丁で繊細な作業したいなど、必要に応じて買い足すのがよいでしょう。
魚は『切り身を買って調理することがほとんど』という人なら、刺身包丁はなかなか出番がないかもしれません。
包丁の材質
包丁に使われている素材は、大きく分けて『ステンレス・セラミック・鋼(ハガネ)』の3つがあります。
それぞれにメリットとデメリットがあるので、チェックしておきましょう。
家庭用に一般的なステンレス
100均に売られている包丁から数万円もする高級包丁まで、一般的なのがステンレス素材の包丁です。
包丁を取り扱うお店ならどこでも売られているため、手軽に使い始められることや、切る素材を選ばないことなどから広く普及しています。『家庭用包丁と言えばステンレス』という人も多いです。
価格帯の幅が広いですが、安価なものだとすぐに切れなくなってしまいます。頻繁に研がなければならないというデメリットがあるため、5000円から2万円程度のものがおすすめです。
研ぐ頻度が少なく済むだけでなく、長く使い続けられるからです。
錆びにくく丈夫
なんといってもステンレスには錆びにくいというメリットがあります。鉄にクロムという金属を添加しているためです。
以前は、ステンレスの包丁は薄くペラペラで、全然切れないものが多くありました。ですが、近年は改善され、丈夫さも切れ味も鋼やセラミックに引けを取りません。
ざっと水を切って包丁差しにしまっても、まず錆びることはないのが大きな特徴ですが、衛生面を考えて水気はしっかり取ってから収納しましょう。
セラミックはお手入れいらず?
セラミックも人気の素材です。テレビ通販などでもよく見かける、錆知らずで切れ味がしっかり続く便利な包丁です。
セラミック素材はお手入れが楽で、酸・アルカリともに強いため、柑橘類のスライスに適しています。
素材の性質上、包丁特有の金属臭がありません。刺身などの金気を嫌う食材を切るのにも適しています。
また、包丁に食材がくっつきにくいので、野菜の薄切りや千切りをするときにも便利です。
しかし、研ぐ際には『セラミック専用の砥石(といし)』を使う必要があったり、刀身が薄くて硬いため衝撃に弱く、欠けやすいというデメリットもあります。
鋼はメンテナンスが必要
鋼は優れた切れ味を持ち、その切れ味も持続しやすく、さらにステンレスよりも比較的安価です。しかし、とても『錆やすい』というデメリットがあります。
そのため、定期的にしっかりとしたメンテナンスが必要です。
鋼は研ぎやすく、比較的簡単に『刃』が付きます。また、頻繁に研ぐ必要はなく、錆がついたときには『磨いて錆を落とす』ことを優先的に行いましょう。
定期的にメンテナンスを受け付けている包丁のメーカーもあります。
初めての包丁の選び方
初めて包丁を購入する場合、自分にとって使いやすいサイズ、形、素材のものをまず1本選びましょう。握ってみて手にしっくりとくるものがベストです。
また、よく作るメニューを作りやすい形状かどうかや、研ぎなどのメンテナンスを、どれくらいの頻度で自分で行うのかによっても変わります。
まずは標準サイズから購入
まだ包丁を買ったことがない人であれば『三徳包丁』がおすすめです。
三徳包丁の刃渡りは、16.5cm前後が『標準的なサイズ』で、台所用品売り場などで最も多く売られている大きさです。
大きめサイズの18cm前後、小三徳と呼ばれる15cm前後のものもありますが、初めて包丁を購入するなら、まずは標準サイズを1本選ぶことをおすすめします。
用途に合わせて形やサイズを選んでいく
ファースト包丁が三徳包丁ならば、あとは用途に合わせた包丁を揃えていきましょう。次の3本があればかなり料理に役立つハズです。
- 牛刀:カーブが強く先が尖っている。まな板よりも小さいサイズを選びましょう。
- 出刃包丁:魚をおろすのに欠かせない。15cm前後の小出刃がおすすめ。
- ペティナイフ:小回りが効くのでぜひ1本。13.5cm前後のもの。
牛刀は大まかな形としては三徳包丁に似ていますが、三徳包丁より肉厚な刃と鋭い先端が特徴です。刃渡りは18~30cmとかなり幅があります。
三徳包丁を買わず、上記の3本からスタートするという人もいるくらい、とても便利な3本です。
迷う人はステンレス製がおすすめ
包丁と一口に言っても、様々な素材から作られたものが販売されています。素材選びに迷ったら『手入れが楽なステンレス製で決まり』です。
ステンレスはとにかく錆びにくく、丈夫でおすすめですが、使っていくうちに切れ味は悪くなっていきます。
そして、『切れ味と価格は比例』しています。100均のステンレス包丁は半年もしないうちに切れなくなってくると言われています。
しかも、硬いステンレスを頻繁に研ぐのはとても大変な作業なので、コストや長く使うことを考え、包丁専門メーカーの包丁を選ぶことが大切です。
柄は使いやすさと握りやすさで選ぶ
包丁は柄を握って使うものですが、昔からある木製だけではなく、ステンレス製のものも多くなりました。
鋲(びょう)が打ってある木製であっても、抗菌仕様になっているなど機能性はかなり上がっています。
形も曲線を描くものから、六角形、持つ指に合わせて窪んだものなどもあります。手の大きさによっても『握りやすい』と感じる太さは人それぞれです。
刃の切れ味だけでなく、柄の形状や素材にもこだわって自分の手にしっくりとくるものを選びましょう。
包丁を研いで切れ味をキープしよう
どんなに切れ味のよい包丁を購入しても、繰り返し食材を切っていくうちに切れ味は落ちていきます。
包丁は研ぐことで切れ味がキープできるので、昔から使われている定番の砥石はもしろん、便利な電動砥石、サっと研げる簡易砥石までチェックしておけば安心です。
砥石で研ぐ場合は角度がポイント
中砥(800~2000番)を用意し、使う前に10~20分水に浸けておきます。
平らな場所に濡らした布巾を敷き、上に砥石を置いて表面から研ぎ始めます。研いでいるうちに、砥石の表面が乾いてくるので、その都度水で濡らしましょう。
- 刃を手前側に向け、包丁は研ぎ石に対して約45度の角度に置く
- 人差し指と薬指を刀身に添えて、包丁を砥石に押し付けるようにして研ぐ
- 砥石に対して包丁を立てる角度は約15度
- 研ぐ場所を刃先・刃中・アゴ(※1)近くとずらし各20回研ぐ。
ここまで両刃・片刃共通ですが、裏面の研ぎ方には違いがあります。
- 両刃:直角に置き、砥石に包丁を立てる角度は表面と同じ15度
- 片刃:直角に置き、砥石に対して包丁はまったく立てず0度で研ぐ
『カエリ(※2)』が確認できるまで行い、研ぎ終わったら丸めた新聞紙を引くように3回程度切り、カエリを取って終了です。
※1:刃の一番下の角の部分 ※2:削った分、刃のめくれ部分
電動や簡易タイプの砥石もある
包丁を研ぐのは、砥石だけではありません。手軽に使える電動式のものや、包丁を使う前にちょっと研いでおける簡易タイプのものもあります。
メインの研ぎなおしは砥石を使いますが、素早く包丁を研ぎたいときに電動タイプはとても便利です。カエシの処理まで行えるので手を汚さずに研ぐことができます。
簡易タイプの砥石は、工程を2~3段階に分けたものが多く、番号順に行えば短い時間で仕上げまで完了する優れものです。
包丁研ぎが面倒で、なかなかマメに砥石で研ぐことはできない人は、簡易タイプの砥石も1つ持っておくことをおすすめします。
包丁の収納方法
料理道具としての包丁は、鋭利な刃先がとても危険です。誤って落としてしまったり扱いを一歩間違えれば凶器にもなってしまいます。
しっかり安全に保管し、小さな子どものいる家庭では絶対に手の届かない場所に収納しておくのは大人として当然の務めです。
包丁の収納方法を確認してみましょう。
お洒落な包丁立てに収納
まずはキッチン上に据え置きできるタイプの包丁立てをご紹介します。料理をマメに行う人なら、すぐに取り出せてとても便利でしょう。
『ヴォストフ 木製 ナイフブロック』は、シンプルでスタイリッシュなデザインが特徴です。
キッチンにしっくりとなじむだけでなく、たっぷりの収納力(包丁8本)で作業効率がアップするでしょう。
- 商品名:ヴォストフ 木製 ナイフブロック ブラック 7237
- 価格:10,188円(税込)
- Amazon:商品ページ
引き出しにスマートに収納
包丁は包丁差しに立てて収納するというイメージを持つ人が多いものの、引き出しにきっちり仕舞うのも、なかなかスマートで良いでしょう。
『トトノ 引き出し包丁差し』なら、キッチンを見渡しても包丁がない!?と思わせるほど、ミニマムな印象のキッチンにしたい人におすすめです。
システムキッチンの浅い引き出しにも収納でき、重ねることもできるので場所を取りません。全長36cmの包丁まで対応できます。
万が一小さな子どもが引き出しを開けてしまった時のために『チャイルドロック』機能も付いているので安心です。
- 商品名:トトノ 引き出し用 包丁差し
- 価格:1,620円(税込)
- 楽天:商品ページ
グローバル包丁の魅力とは
グローバルは日本が世界に誇れる包丁のブランドです。オールステンレス一体型で、見た目のスタイリッシュさはもちろん、一度使うと他には戻れなくなってしまう使い勝手の良さを併せ持っています。
世界で人気のおすすめの包丁ブランド
グローバル包丁は、新潟県に位置する吉田金属工業の『GLOBAL』というブランドの包丁です。
イタリア製品のようなデザイン、ドイツ製品のような頑丈さ、新潟県燕三条の鍛冶技術による群を抜く切れ味から、世界中の人に愛されています。
すっかり人気の定着したグローバル包丁ですが、最初は日本市場で受け入れられず、1988年にドイツ・フランクフルト見本市に初出展されました。
日本的なデザインと曲線美が認められ、その使用感は、ヨーロッパのシェフたちから称賛を受けました。その後、一般家庭に広まり、現在は逆輸入という形で、日本でも人気を集めています。
デザイン性と機能性に優れる
グローバル包丁の魅力は『デザイン性』と『機能性』の共存です。刃身から柄までがオールステンレスの一体型になっており、その柄は滑りにくいドット柄になっています。
今では他のメーカーも、一体型のステンレス包丁は販売されていますが、このグローバル包丁がさきがけです。
グローバル包丁は国内外から高い評価を受け、『グッドデザイン賞』や『ロングライフデザイン賞』、フランクフルト国際見本市『デザインプラス賞』などを獲得しています。
- 商品名:グローバル 三徳18cm
- 価格:9,720円
- Amazon:商品ページ
切れ味抜群 藤次郎
1953年に刃物の町、新潟県燕市で創業した藤次郎(創業当時は藤寅農機)は、日本のみならず海外のプロにも愛されている包丁『藤次郎シリーズ』を生み出した企業です。
プロの料理人も愛用
優れた切れ味の秘密は、日本刀や和包丁に受け継がれる伝統的な『割り込み技術』と呼ばれるものです。
割り込みは、3枚の材質を使用した3層構造の包丁を作る技術の1つで、刀身となる2枚の金属を伸ばし、その間に刃となる高硬度の金属を挟み込みます。
鋼などの切れ味の優れた素材を、丈夫で錆びにくい素材で挟むため、高い耐久性と切れ味を兼ね備えた包丁を作ることが可能です。
藤次郎では、この技術をダマスカス鋼・コバルト合金・ステンレスなど、加工の難しい素材で実現させています。
藤次郎シリーズの中では特に『牛刀』が料理人から人気がありますが、一般の人もキャベツなどの大き目のものを切るなら牛刀と、藤次郎の牛刀を使う人が増えているようです。
種類豊富なこだわりの包丁
藤次郎シリーズは種類がとても豊富です。洋包丁も和包丁もそれぞれ12種類あります。さらに、サイズや柄のタイプなどの違いから多岐に及び、洋包丁の牛刀だけで108種類、和・洋すべての合計はなんと416種類もあります!
つまり、プロでもアマでも『欲しいタイプの包丁がきっと見つかる』のが藤次郎シリーズと言えるでしょう。こだわりをもって包丁を選びたいなら藤次郎シリーズがおすすめです。
- 商品名:藤次郎 DPコバルト合金鋼割込 (口金付) 牛刀 210mm
- 価格:8,316円(税込)
- Amazon:商品ページ
関虎徹のV金10号の包丁
岐阜県の包丁メーカーである安田刃物の『関虎徹(せきこてつ)』も人気包丁の1つです。刃先にはさびにくく、硬さもあり、切れ味抜群で研ぐのも難しくないというV金10号(※)を使用しています。
鋼を1050℃に熱した後、マイナス70℃で冷却する『焼き入れ』という処理をほどこした、薄く丈夫で使い勝手のよい包丁です。
高級包丁に負けない切りやすさ
関虎徹は実勢価格で5000円程度ですが、1万円以上する高級包丁にもまったく引けと取らない切りやすさで人気です。
主に刃先に使われているV金10号という素材は、コバルト・モリブデン・バナジウムを含んでいるため丈夫で長持ちします。
- 商品名:関虎徹 V金10号 鍔付 三徳包丁 180mm YG300
- 価格:5,404円(税込)
- Amazon:商品ページ
握りやすさも魅力
関虎徹と言えば切れ味のよさだけではなく、柄の握りやすさでも注目されています。刃の重さとグリップのバランスが絶妙で、関虎徹は長時間使っていても疲れ知らずです。
少し丸みを帯びた関虎徹のグリップは、とても手になじみやすく、男性、女性ともに握りやすいと高評価を受けています。
料理が楽しくなる自慢の包丁を見つけよう
料理を存分に楽しむためには、切れ味のよい包丁は必須です。思わず自慢したくなるような、相棒とも呼べる包丁が見つかれば、趣味から本当の料理自慢になれる日も遠くはないかもしれません。