日本史を彩る稀代の名刀5選。有名な武将やエピソードもご紹介

2019.05.01

日本刀は古来、単なる武器としてだけでなく、美術品やコレクションとしても人々の心を魅了してきました。その中には、誰もが知る偉人たちが愛した『名刀』と呼ばれるものも多数存在します。それぞれの名刀のもつエピソードは、日本刀そのものの美しさと相まって、より一層私たちのロマンを掻き立ててくれます。日本が誇る伝説の名刀を、所有者やエピソードとともにご紹介します。

日本刀とは

日本刀は、いわずとしれた日本古来の武器です。

平安時代後期ごろ、武士と呼ばれる戦闘に特化した階級が出現すると、武器の需要が急速に高まり、多くの刀剣類が作られていきました。そのうちの一つが「刀」すなわち日本刀です。

現代では、日本刀は美術品や歴史的資料としての価値を認められ、多くの博物館や美術館、寺社仏閣などに所蔵されています。

日本刀は武士の魂として、つねに武士のそばにあり、日本史を彩ってきました。その妖しげな魅力は今も昔も人々のロマンを掻き立て、語り継がれるエピソードとともに、現代まで多くの『名刀』が受け継がれてきました。

日本史を彩る。稀代の名刀5選

それではさっそく、伝説的な名刀をエピソードとともにたっぷりご紹介していきます。

圧切長谷部(へしきりはせべ)工・南北朝時代

『圧切長谷部(へしきりはせべ)』は、南北朝時代に制作された日本刀です。無銘(※銘がなく、刀剣の作者がわからない状態)ながら、のちの鑑定により山城の刀工・長谷部国重の作とされています。

圧切長谷部は、かの有名な戦国大名である織田信長が所有していたことで有名です。なぜこのような奇妙な名前がついたかというと、ある茶坊主が織田信長への非礼を働いた際に膳棚の下に逃げ隠れたところ、織田信長がこの刀を圧し当て、そのまま棚ごと坊主を斬り殺したという伝承が由来と言われています。

物騒な話ですが、ただ押し当てるだけで棚ごと人間を斬ってしまうほどの恐ろしい切れ味が、圧切長谷部が名刀と呼ばれるゆえんでしょう。

なお、圧切長谷部は現存しており、国宝にも指定されています。現在では福岡市美術館にてその実際の姿を確認することができます。

物干し竿(ものほしざお)工・鎌倉時代

『物干し竿』は、宮本武蔵の宿敵・佐々木小次郎の愛刀として伝えられる日本刀の通称です。正式名称を『備前長船長光(びぜんおさふねながみつ)』といい、鎌倉時代後期の刀工・長船長光の作といわれています。

なぜこのような通称がついたかというと、この刀の巨大さが所以です。伝えられるところによると、そのサイズは3尺あまり(約1メートル)とされ、平均的な刀のサイズとされる2尺3寸(約70cm)に比べて1.5倍近く長いことがわかります。

巖流の始祖として一刀流の達人であった佐々木小次郎が、どのようにしてこの巨大な刀を操っていたのでしょうか。想像するだけでわくわくしてきませんか?

ちなみに、実物は所在不明となっており、現代で見ることはできません。ただし、熊本の『武蔵博物館』でそのレプリカを見ることができるほか、同じ刀工が打った別の日本刀は現存しているため、おおよその形状は現代でも確認することが可能です。

燭台切光忠(しょくだいきりみつただ)工・鎌倉時代

『燭台切光忠(しょくだいきりみつただ)』は、鎌倉時代の刀工・長船光忠の作とされます。

所有者は、もともとは「独眼竜」の二つ名で有名な伊達政宗でしたが、のちに水戸徳川家に譲渡されています。

名前の由来は、伊達政宗が罪をはたらいた家臣を斬った際、近くにあった燭台ごと切って捨てたためといわれています。圧切長谷部もそうですが、やはり日本刀の真骨頂である『切れ味』に関するエピソードはロマンを掻き立てられるものが多いですね。

現在では茨城県にある徳川ミュージアムが所蔵しており、一般公開もされています。

童子切安綱(どうじきりやすつな)工・平安時代

『童子切安綱(どうじきりやすつな)』は、国宝にも指定されている日本刀で、『天下五剣』のひとつにも数えられています。数ある日本刀の中でも屈指の歴史をもつ、伝説的といっても過言ではない名刀です。

平安時代中期の武士・源頼光(みなもとのよりみつ)が、酒呑童子(しゅてんどうじ)と呼ばれる怪物を退治した時に使用したとされる刀です。もはや神話の世界の産物ですが、なんと今も現存しており、東京国立博物館に所蔵されています。

古刀らしい強い反りと見事な輝きが美しく、つい伝説を信じたくなってしまうような、不思議な魅力をたたえた日本刀です。

菊一文字則宗(きくいちもんじのりむね)工・鎌倉時代

菊一文字則宗は、鎌倉時代の名工・則宗が打った刀のことです。

勘違いされがちですが、菊一文字則宗とは、あくまで則宗が打った一連の刀の総称であって、特定の一本の刀を指す名称ではありません。こうした表現は日本刀の世界では珍しくありません。

このうちの一本を使っていたとされる人物の中で特に有名なのが、新撰組の一番隊組長・沖田総司(おきたそうじ)でしょう。剣術の天才といわれる沖田総司と、幻の名刀と称される菊一文字則宗との取り合わせは、まさに日本刀ロマンの極致と言っても過言ではありません。

もっとも、当時すでに幻の名刀として名を馳せていた菊一文字則宗は、大名ですら所持するのが難しかったといわれています。また、もし所有していたとしても日常使いすることはなかっただろうことから、沖田総司の愛刀が本当に菊一文字則宗だったかについては疑問を呈する向きもあるようです。

名刀にはロマンを掻き立てる魔力がある

日本史を彩る名刀とそのロマンあふれるエピソードをご紹介してきました。昨今は日本刀をテーマにしたゲームやアニメが人気なこともあり、日本刀人気が沸騰中です。

そうした二次創作物を楽しむためにも、まずは本物の日本刀について知ることをおすすめします。エピソードとともに覚える名刀は、さらなる日本刀愛を掻き立て、ロマンを感じさせてくれることでしょう。

お気に入りの一本が現存しているものであれば、直接見に行ってみてもいいかもしれませんね。

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