コーヒーは生豆からトコトンこだわる。特徴や選び方、焙煎方法など

2019.04.28

豆のクオリティやお湯の注ぎ方など、コーヒーの美味しさを決めるポイントは多々ありますが、全ての土台になっているのが『生豆』です。生豆の選び方・焙煎方法・管理方法によって、コーヒーの味わいや風味が決まると言っても過言ではありません。

コーヒーの生豆とは?

コーヒー豆というと、ツヤのあるブラウンを思い浮かべる人が多いですが、もともとはツヤのない青みがかった実をしています。焙煎前の乾燥した豆を『生豆』とよび、その選び方や保存状態がコーヒーのおいしさを左右するのです。

コーヒーの実から採れるコーヒー豆の元

コーヒの木になった実は、赤色または褐色をしており『コーヒーチェリー』とも呼ばれます。

コーヒーチェリーは北半球では10月頃、南半球では3月頃に収穫を迎え、摘み取られた後は、脱穀機で果肉や皮が取り除かれます。つまり、コーヒー豆の元である『生豆』は、コーヒーチェリーの種子にあたる部分なのです。

収穫直後の生豆は青みがかった色をしていますが、これは内部に水分を含んでいる証拠です。1年、また1年と時間が経過していくにつれ、色は黄色~灰色に近くなっていきます。

生豆はコーヒーのおいしさを決める

コーヒーのおいしさを決める要素はたくさんありますが、その1つが、生豆の状態です。

具体的には、生豆の産地・収穫時期・グレード・精製方法・保管方法・選定方法などが挙げられ、「コーヒーの美味しさの約8割は生豆で決まる」という人もいます。

まずは生豆の特徴を知り、自分の好みに合ったものを選ぶのが最初のステップです。慣れてきたら、数種類のものをブレンドしてみるのもよいでしょう。

後ほど詳しく説明しますが、同じ産地・ブランドの生豆でも『収穫時期』や『熟成具合(エイジング)によって、ニュークロップ・パーストクロップ・オールドクロップに分類されます。

生豆の性質や分類をもとに良質な豆を選定できるようになると、技術抜きでもおいしい1杯が作れるようになるでしょう。

自家焙煎で自分のこだわりコーヒーに

焙煎の方法や技術もコーヒーの味わいに直接的にかかわる重要な要素です。

『焙煎』は生豆を加熱しこんがりと焼き上げるプロセスですが、自家焙煎には、『自分好みにコントロールできる』『焙煎コーヒーを買うより安い』『味のバリエーションが楽しめる』などのメリットがあります。

豆の焙煎度は主に以下のように分類され、一般的には、焙煎が浅ければ酸味が強く、長くなれば苦みが強くなる傾向があります。焙煎具合による味の変化(苦味、酸味、甘み)をぜひ楽しんでみてください。

  • ライトロースト
  • シナモンロースト
  • ミディアムロースト
  • ハイロースト
  • シティロースト
  • フルシティロースト
  • フレンチロースト
  • イタリアンロースト

コーヒーの生豆選びのポイント

美味しいコーヒーを淹れる最初のステップが『生豆選び』です。焙煎やコーヒーの淹れ方にはある程度の熟練が必要ですが、生豆選びを間違わなければ初心者でもおいしいコーヒーに仕上がる可能性は高くなります。

豆の産地から選ぶ

コーヒーの生産国は、地球上の赤道付近(南回帰線と北回帰線の間の地域)に集中しており『コーヒーベルト』と呼ばれています。朝夜の日中の温度差が大きいほど豆は旨み・香りを増すため、良質なコーヒーは山岳地帯で育てられる傾向があります。

生育環境は豆のクオリティを決める重要な要素です。地域ごとに個性が表れるので、好みにあったものを探してみましょう。

  • 南米(ブラジルなど):酸味・コク・苦みは軽めで、甘さが強い。バランスがよく安価なのでコーヒーのベースに使われることが多い。
  • 中米(コロンビアなど):柔らかな酸味と芳醇な甘みが特徴のマイルドコーヒーで、香りとコクのバランスは抜群。
  • アフリカ(ケニア・エチオピアなど):エチオピアはコーヒー豆本来の美味しさが味わえるはっきりとした味わい。ケニアは焙煎度合いによって違った風味が楽しめる。

焙煎がしやすい豆から選ぶ

焙煎がしやすい豆の特徴として、『肉薄である』『水分量が少ない』などが挙げられます。こうした豆にはムラなく火が通りやすいため、初心者でも比較的簡単に焙煎ができるでしょう。

その年に収穫されたばかりの豆(ニュークロップ)は水分量が多い傾向があります。1~2年経った豆(パーストクロップ)や3年以上経過した豆(オールドクロップ)は水分が少なくなるので、より焙煎しやすいかもしれません。

精製方法をチェックする

コーヒーチェリーは果肉を剥がれ、種子のまわりについた『ミューシレージ』という粘着質が除去されます。乾燥までの一連のプロセスを『精製』といい、主に4つの方法があります。

  • 水洗処理方式(ウォッシュド):汚れやミューシレージを水で洗い流して除去する。欠点豆が少なく、味もクリーンになりやすい。
  • 非水洗処理方式(ナチュラル):収穫したコーヒーチェリーを乾燥させ、水を使わずに種子を取り除く。異物や欠点豆が混入しやすいが、ミューレージが残るため、独特の甘い風味が表れる。
  • パルプドナチュラル:ウォッシュドとナチュラルの中間で、果肉は除去するが、ミューシレージを残したまま乾燥させるのが特徴。ミューシレージの残存率により味わいや糖度が変わる。
  • スマトラ式:果肉除去後に半乾きの状態まで乾燥させて脱穀、脱穀後に再度乾燥させる。穏やかな酸味・濃厚なコク・芳醇な香りが生まれるが、形がいびつになりやすい。

生豆の賞味期限は?

生豆には賞味期限がありますが、焙煎豆と相対して長く、扱い方も簡単です。コーヒー豆をまとめ買いしてコストを下げたいという人は、生豆の状態で購入した方がよいでしょう。

生豆ならば長期保存が可能

生豆は焙煎前の乾燥した状態なので、環境がよければ3年は問題なく保存できます。焙煎豆の保存期間は2~3週間と言われていますが、その差はどこにあるのでしょうか?

焙煎をすると、コーヒーの旨み成分である『コーヒーオイル』が豆の表面に付着します。オイルは空気に触れると酸化する性質があるので、蓋をせずに放置しておくと、どんどん豆の質が低下するのです。

生豆は乾燥状態なのでそれほど酸化することはありません。しかし、種子にはわずかな水分が含まれており、高温多湿の環境に放置するとカビが生える可能性はあるでしょう。

保存方法は通気性のよい場所で

生豆は、直射日光を避けた風通しのよい場所で保管しましょう。冷蔵庫に入れる必要はありませんが、24時間を通して温度差が少なく、じめじめしていない場所が理想です。

もともと生豆が入っていた『麻袋』は丈夫で通気性がよいため、捨てずに生豆保存用袋として使用しましょう。

1つだけ注意する点といえば、真夏や真冬の温度・湿度管理です。窓やドア付近は温度差・湿度差ができやすいので、くれぐれも長く放置しないようにしてください。

保存期間によって生豆の分類が異なる

前述したように、生豆は保存期間の長さ(収穫時期)によって以下のように分類されます。

  • ニュークロップ:当年度に収穫され出荷された新豆
  • カレントクロップ:収穫後数カ月が経過した豆
  • パーストクロップ:前年度に収穫されたコーヒー豆(1~2年以内)
  • オールドクロップ:3年以上経過したコーヒー豆

『ニュークロップ』は焙煎すると豆の味・香りが強く出やすいのが特徴です。水分量が多いため、焙煎時間は長めにする必要があるでしょう。

『カレントクロップ』はニュークロップの荒々しさや尖った感じが薄くなり、まろやかな味わいが楽しめます。カフェや店頭で流通しているものは、ニュークロップからカレントクロップあたりが多いようです。

『パーストクロップ』や『オールドクロップ』は個性が薄くなり、角がぐっと抑えられます。熟成に見合うだけの生豆を選ぶ必要があり、選び方を間違えるとコーヒーの旨みが感じられない可能性もあるでしょう。

自宅でできる手網焙煎に挑戦

生豆が手に入ったら、さっそく自家焙煎に挑戦してみましょう。お店で使うような大型の焙煎機は必要なく、身近にあるもので気軽に行うことができます。

手網焙煎の特徴

自家焙煎の道具は多岐にわたりますが、最もポピュラーなのが『手網』を使った焙煎です。手網焙煎は、手網に生豆を入れてコンロで煎る方法で、自分好みの煎り加減に仕上げられるのがメリットでしょう。

しかし、熱量のコントロールがすべて手作業のため、全体にまんべんなく火が通るようにひたすら手網を振り続けなければならないのがネックです。焙煎工程では煙が充満するため、換気扇や窓がないと厳しいでしょう。

準備するもの

手網焙煎に必要な道具はごくシンプルで、特にお金をかけてそろえなければならないものはありません。手網は銀杏や大豆を煎るときの物でOKですが、頻繁に焙煎をする人は、専用のものを用意するのをおすすめします。

  • 手網
  • クリップ(豆が飛び出さないように蓋の左右を留める)
  • ざる
  • 軍手
  • ドライヤー・うちわ

焙煎のやり方

生豆は使用する前に50℃前後のお湯で擦り洗いをし、表面の薄皮や汚れを綺麗に取り除いておきます。水気が残ったまま手網内に投入し、一定の高さ(10~15cm)を保ちながら、中火でまんべんなく煎っていきましょう。

3分ほどするとほのかに色づき、10分ほどすると『バチッバチッ』という音がしてきます。1回目の音を『1ハゼ』といい、1ハゼ終了後は中炒り程度になります。

さらに数分後に聞こえる『パチパチパチ』という音は『2ハゼ』で、豆が中~深煎りになった合図です。2ハゼ以降は焙煎の進行速度が速まるため、この煎り加減に達したら、すぐに火から下して冷ましましょう。

焙煎時の注意点

焙煎の技術がそれほど高くなくても、ちょっとした下準備や仕上げがコーヒーの味わいをぐっと引き出します。逆に、これらのひと手間をおざなりにすると、せっかくの風味や品質が損なわれてしまいます。

焙煎前にハンドピックを行う

『ハンドピック』は悪い豆や異物を取り除き、よい豆だけを選定する作業で、雑味やえぐみのないコーヒーに仕上げるためには欠かせません。

特に、悪臭を発する『発酵豆』『カビ豆』『未成熟豆』『黒豆(完全に発酵した黒い豆)』は、コーヒーの香味を台無しにしてしまいます。

正常な豆よりも色が濃いので分かりやすいですが、焙煎後は見分けがつかなくなるので、必ず事前に取り除きましょう。焙煎のムラの原因になる『欠豆(形が欠けた豆)』も不要です。

ハンドピックすると大体15~20%ほどが目減りするので、生豆は必要な量よりも少し多めに購入することをおすすめします。

焙煎後はしっかり冷ます

焙煎が終わり火から下した後は、『豆をいかに早く冷やすか』がポイントです。

焙煎直後のコーヒー豆は熱を持っており、そのまま放置しておくとどんどん焙煎が進み、『ちょうどよいロースト加減』が台無しになってしまいます。くれぐれも熱を帯びたまま密閉容器に入れないようにして下さい。

金属のざるに移した後は、ドライヤーまたはうちわで一気に冷ましていきましょう。ドライヤーを使えば、表面についた薄皮も取り除けます。

好みに応じて数日間寝かす

焙煎直後の豆は表面が多孔質状になっており、ここに多くの『炭酸ガス』を含んでいます。焙煎直後の豆でコーヒーを淹れると、お湯を注いだ瞬間に大きく膨らみますが、これはガスが一気に放出されている証拠です。

ガスの多いコーヒーはお湯と馴染みにくく、フレーバーに影響する場合があるため、2~3日おいてから挽くのもよいでしょう。

コーヒーの生豆、自分で輸入できる?

コーヒー上級者ともなると、「生豆を店舗で買わず、自分で直接輸入したい」「たくさん仕入れて販売してみたい」という思いが浮かぶものです。実際問題、生豆の個人輸入は可能なのでしょうか?メリットやデメリットも考えてみましょう。

個人輸入は可能、ただし手続きが大変

コーヒーの輸入に関わる日本の法律は『植物防疫法』と『食品衛生法(販売時)』で、安全性を証明する書類を作成し、関連機関で許可を取得しなければなりません。

生豆の輸入先は主にコーヒーベルトと呼ばれる赤道付近の国々です。輸入に必要な書類を提供してくれる『仕入れ先』を自ら選定するところがファーストステップになるでしょう。また、各国における関税率や優遇政策なども調べておく必要があります。

以上を考えると、『個人輸入は可能だが、手続きに時間と労力がかかる』と言えるでしょう。

卸業者かネット通販での購入がベター

生豆の個人輸入をするのは難易度が高く、あまりおすすめできる方法ではありません。現地の出荷~日本への入荷を一括するコーヒー専門の卸業者や輸入業者を使うのがベターです。

ある程度規模のある専門業者は、現地や倉庫にスタッフを配し、出荷から入荷までが適切に行われているかをチェックしています。

個人輸入ではこうした品質チェックがなかなかできないため、せっかく手続きがうまくいっても思うような豆が手に入らないこともあるのです。

ネットでは、生豆を安く購入できる卸業者の通販サイトや、世界中のコーヒー豆を扱う業者が数多く存在します。個人でたしなむ程度であれば、通販サイトを利用するのも一つの手でしょう。

生豆のおすすめ仕入れサイト

「少量の生豆を手に入れたい」「できるだけいろいろな種類を試したい」という人にぴったりの仕入れサイトを紹介します。生豆は保存がきくので、まとめ買いをするのもいいでしょう。

まずは手軽にお試し Amazon

Amazonの強みは、さまざまな店舗・メーカーの生豆が少量から手に入ることでしょう。生豆は1kg・1000円台からあり、さまざまな種類を試すのに最適です。

他の通販サイトでは、数百円~数千円の送料がかかりますが、Amazonでは、プライム会員は一部の商品で送料が優遇されます。口コミや評価が参考にできる点もポイントでしょう。

アマゾン: Amazon | 本, ファッション, 家電から食品まで

世界中のコーヒー豆が集結 World Beans Shop

『World Beans Shop』は生豆と注文焙煎を行う通販サイトで、世界24カ国の厳選されたコーヒーを低価格で販売しています。

コーヒーのランクはプレミアムとスタンダードに大別されており、少量入荷の希少な豆なども数量限定で扱っています。3240円の購入で送料・代引き手数料が無料になるのも嬉しいですね。

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少量から購入可能 生豆本舗

生豆・焙煎豆の計量販売を専門とする通販サイトで、各商品には、コクや香り、甘みなどをグラフ化した商品画像が付いています。

初心者でも好みのコーヒーが選びやすく、かつ100gから購入可能なので、リーズナブルにいろいろなコーヒーが味わえるでしょう。梱包後の総重量が0.8kg以内であれば、送料は一律280円(ゆうパケット)です。

コーヒー生豆・焙煎豆の計量販売, 極上珈琲 生豆本舗

生豆からこだわりコーヒーを淹れよう

生豆からの自家焙煎は時間も手間もかかりますが、自分好みに仕上げた豆の味は格別です。道具は身近なものでまかなえるので、キッチンの基本的な設備さえ整っていれば、今すぐにでも始められるでしょう。

コーヒーのおいしさは、豆の産地やグレードはもちろん、『ハンドピックをいかに丁寧にやったか』にも大きく関わってきます。一つ一つの作業をしっかりと行うことが、感動の一杯につながるのです。

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