独特の香りの良さとすっきりとした飲みやすさで、男女問わず世界中で様々な形で楽しまれているジン。しかし、日本ではまだまだ「カクテルベースが主流のお酒」というイメージが強いのではないでしょうか?本記事ではジンというお酒の魅力を引き出す飲み方や、家庭で楽しめるカクテルレシピ、周りに自慢できる豆知識などを紹介していきます。
ジンというお酒とは
ジンは、テキーラ、ウォッカ、ラムと並んで世界4大スピリッツと呼ばれる蒸留酒です。大麦やジャガイモを元に作られ、アルコール度数は40度~50度程度。最大の特徴として、独特の強い香りがあり、この香りづけこそがジンをジン足らしめている重要な要素となります。
元々フランス語でジュニエール(GENIEVRE)と呼ばれていたものが縮まり、ジン(GIN)と呼ばれるようになりました。
ジンの歴史
ジンの歴史は古く、元々は1550年にオランダで薬用酒として薬局で販売されたと言われています。当時の蒸留法は今ほど精密なものではなく、雑味の多いお酒でしたが人気を博し、ポピュラーに楽しまれるようになりました。
その後イギリスへと伝わった時に、今のジンという名前へと変わります。19世紀になると新たな蒸留機が誕生し、より洗練された味となりました。これが今でいうドライ・ジンです。
その後アメリカへと伝わり、カクテルベースのお酒として広く認知されるようになります。現在では世界4大スピリッツと呼ばれる存在となりました。
ジンの香りの秘密
ジンは、数多くあるお酒の中でもっとも香り高いとも言われており、「飲む香水」と呼ばれるほどです。その秘密が多くの植物(ハーブ、スパイス、果皮)です。主な植物は下記のものです。
- ジュニパーベリー
- コリアンダー・シード
- レモンピール
商品によって様々な植物が使用され、独自のアレンジもされています。
4種類のジン
ジンは、大きく分けて4種類に大別されます。
- ドライ・ジン
- オールド・トム・ジン
- シュタインヘーガー
- ジェネヴァ
ドライ・ジンは、現在もっとも飲まれているジンです。雑味が少ないクリアな味わいで、辛口なのが特徴です。
オールドトムジンは、ドライ・ジンができる前に飲まれていたジンです。雑味を抑えるために加糖しているのが特徴です。
シュタインヘーガーは、ドイツで作られたジンです。生のジュニパーベリーを発酵させて作るのが特徴です。
ジェネヴァは、作られた当初の原型のジンに近いと言われています。大麦麦芽を多く入れているため、麦芽の香りが強いのが特徴です。
自宅でも試せるジンの簡単レシピ
ジンの基礎知識がわかったところで、さっそく素晴らしきジンの世界を味わうための飲み方を学んでいきましょう。
そのままで味わう飲み方/ストレート
ジンが持つボタニカルのフレーバーを最大限味わいたいなら、やはりストレートがおすすめです。銘柄によって異なるフレーバーの違いを感じ取りながら、ゆったりとジンを味わってみてください。
また、一晩冷凍庫で保存してから飲むと、角がとれて丸い味わいとなり、より飲みやすくなります。ジンは元の度数が高いため、冷凍庫で冷やしても凍ることがありません。冷凍庫に入れることでトロトロとしたなめらかな口当たりになり、また違ったジンの表情が楽しめます。
ただし先述の通り、ジンのアルコール度数は40~50度と非常に強いお酒です。適度にチェイサーを飲むなどしながら、自分のペースで味わってください。
お湯で割る飲み方/ホット・ジン・スリング
寒い気候のイギリスでは、ホットで楽しむこともあります。「ホット・ジン・スリング」と呼ばれ、レシピは以下の通りです。
- 温めたマグカップに砂糖を入れる
- お湯を少量注ぐ
- ジンを入れ、さらにお湯を少量注ぐ
- ゆっくりとステアする
温かくすることで、ジンの香りをより引き立たせて楽しむことができます。レモンスライスやライム、シナモンを振りかけるなど様々なアレンジ方法もあり、冬にほっと一息つけるカクテルです。
シンプルにお湯にジンを注ぐだけの「ホット・ジン」もあり、こちらもジン本来の味を楽しむことができる飲み方として人気です。
ジュースで割る飲み方/オレンジブロッサム
オレンジジュースとジンを割って飲むカクテルを「オレンジブロッサム」と呼びます。レシピは以下の通りです。
- ジンをお好みの量コップに注ぐ
- オレンジジュースをコップに注ぎ、軽くステアする
オレンジジュースとジンさえあれば作れるため、お気軽に楽しめるカクテルです。オレンジジュースの酸味と甘さが、ジンのさわやかさを引出しよりすっきりとした味わいになります。度数や甘さも度数で調整できるため、お酒に弱い方にもおすすめです。
お店で提供される場合も度数は弱めです。甘くて口当たりがいいため、つい飲みすぎてしまわないように注意しましょう。
ライムを使用する飲み方/ジンライム
ライムジュースとジンを割って飲むカクテルを「ジンライム」と呼びます。同じようなカクテルに「ギムレット」があります。「ジンライム」はグラスに氷を入れたロックスタイルなのに対し、「ギムレット」は材料をシェイクしたものです。レシピは以下の通りです。
- ロック用のグラスに氷を入れる
- ジンをお好みの量グラスに注ぐ
- ライムジュースをお好みの量グラスに注ぎ、軽くステアする
- ライムをカットし、グラスに入れる
自宅で作る際はお好みの度数に調整できますが、お店で提供される「ジンライム」は20~30度前後と、比較的高い度数で提供されることが多いです。お酒に弱い方は注意しましょう。
飲みすぎにはご用心/ピンクレディ
ジンとグレナデン・シロップ、レモンジュースと卵白を合わせて割ったものを「ピンクレディ」と呼びます。グレナデン・シロップというザクロの果汁を用いたシロップを用いており、ピンク色の美しい、甘い味わいのカクテルになります。レシピは以下の通りです。
- ジンをお好みの量シェイカーに注ぐ
- グレナデン・シロップをジンの半分程度の量注ぐ
- レモンジュースを適量注ぐ
- 卵白1/2個を入れる
- よくシェイクする
- グラスに注ぐ
度数は約20~25度と若干高め。しかし甘く口当たりが良いため、女性でもついつい飲みすぎてしまうことから「レディキラー・カクテル(女殺し)」と言われるほど。飲みすぎにはご用心ください。
ジンがもたらす健康効果とは?
現在では嗜好品であるお酒の代表格のジンですが、元々は薬用酒ということもあり、様々な健康作用があると言われています。ジンには種類によって様々なハーブが配合されているためその成分によるものです。「酒は百薬の長」という言葉がしっくりくるお酒ですね。
とはいってもお酒であることには変わらないため、飲み過ぎには注意が必要です。
健康効果や病気の予防効果も?
ジンに含まれるさまざまなボタニカルには、以下のような健康効果が期待されています。
【期待される効果】
- アニス・・・食欲不振、消化不良などの消化器系の改善
- アンジェリカ・・・強壮効果、自信回復などのメンタル強化
- コリアンダー・・・頭痛・消化不良の改善、解毒効果
- シナモン・・・消化・発汗促進、風邪の諸症状の改善、生理痛の改善、老廃物の排出
- ナツメグ・・・器官疾患、皮膚炎の改善
- フェンネル・・・消化促進効果
上記の他にも、ジンにはその銘柄ごとに様々なハーブが使用されており、ジンの種類によって異なります。ジンの独特な香りはこのハーブによるものです。
過剰摂取には注意
ジンのアルコール度数は40度前後と高めのため、口当たりのよいカクテルなどでも飲み過ぎには注意が必要です。自分にとっての適量を把握し、2日酔いにならないように飲むのがお酒との上手な付き合い方になります。
また、アルコール度数が高いため、100mlあたりのカロリーが267kcalとかなり高くなっています。一度の飲酒機会で飲む量が異なるので一概にはいえませんが、これは太りやすいお酒の代表格として挙げられるビールや日本酒と比較しても非常に高い数値です。
お酒に強い人であっても、飲みすぎると肥満の原因へと繋がっていくこともあるため、こちらも十分に注意が必要です。
家で自分好みのジンを作ってみよう
全世界で愛され、飲まれているジンは若者からの人気も高いお酒です。 飲み方次第で味わいを変化させるジンは、何度飲んでも飽きません。 当記事で紹介した飲み方も是非試して、自分の好みの飲み方を見つけてみてください。