最近ビールを美味しく飲めるようになり、色々なビールに挑戦したいけど、ビールの知識そのものはあまりないという方へ。この記事ではビールの基本的な知識や、クラフトビール、その他オススメのビールなどについてご紹介します。
ビールは何から作られる?
まずは、基本中の基本。ビールの原料や発泡酒との違いについてご説明します。
ビールの4大原料
ビールの4大原料とは、モルト(麦芽)・ホップ・酵母・水のこと。それぞれもう少し詳しく説明すると、このようになります。
- モルト(麦芽)…発酵させた大麦。主にビールの色や風味を決定します。
- ホップ…ビールに苦味や香りを付けることができる、ハーブの一種。
- 酵母…糖質をアルコールと炭酸ガスに分解する、発酵に欠かせない「生きた菌」。
- 水…我々の生活に欠かせないもので、ビールの約9割は水でできています。
基本原料のみで造られたビールや、その国の食文化を反映した原料が一緒に使われているビールも多いです。上記の基本原料以外の原料はまとめて「副原料」と呼ばれています。
ビールの副原料と発泡酒の関係
副原料は、原料の1つ「大麦麦芽」の代わりとして使用するものと、単なる味・風味・香り付けのために使用するものに分かれます。
どんな副原料を使ってビールを味付けしているのかを気にしながら飲むことで、ビールの味わい方もまた少し変わりますよね。
今度ビールを飲むときは原料だけでなく、瓶や缶などのパッケージや公式サイトなどに表示されている副原料も確認してみてください。
ちなみにビールに使われる副原料で、日本の酒税法で定められているものは、「麦・米・ばれいしょ・とうもろこし・でんぷん・糖類・着色料・こうりゃん」などです。
一般的に上記の副原料と4大原料のみを使って作られているビールは「ビールである」と定義されています。
しかしこれ以外の、チョコレート・ハーブ・フルーツ・スパイス・お茶など、日本の酒税法が定める副原料以外のものを使用した場合、それはビールではなく「発泡酒」に分類されます。
ビールの種類による違い
次は、ビールの種類と種類によってどのような違いがあるのかご説明します。
ビールは酵母によって3種類
ビールの種類は、使用する酵母によりエール・ラガー・ランビックの3種類に分けられます。それぞれどういう特徴があるか見ていきましょう。
- エールタイプ…発酵が終わると上の面に酵母が溜まる「上面発酵」で作られるビールです。20度前後の高温で発酵し、1〜数週間の熟成により完成します。
- ラガータイプ…発酵が終わると酵母が底に沈殿する「下面発酵」で作られるビールです。10度前後の低温で発酵し、1〜2ヶ月熟成させて完成します。
- ランビックタイプ…空気中に浮遊している野生の酵母を使い発酵する「自然発酵」で作られるビールです。ベルギーのフルーツランビック、グーズランビックなどが人気。
細かく分類されるビールの種類は100以上
エール・ラガー・ランビック、それぞれのビールをさらに細かく分けたビールの種類を「スタイル」と呼びます。ビールのスタイルは使用する醸造方法や原料によってなんと100種類以上にも分けられ、たとえば以下のような種類があります。
- ピルスナー…ホップのフレッシュな風味と軽い喉ごしが人気。淡色タイプで、日本のビールはほぼこれにあたります。
- アメリカンラガー…ホップの香り・苦味が少し抑えられていて、スイスイ飲めるのが魅力。
- ペールエール…淡色と濃色の中間くらいのビールとされ、強めの苦味とホップの香りが特徴。
- スコッチエール…濃厚でアルコール度数も高い、ベルギー向けに改良されたビール。
- ホワイトエール…やや白く濁った見た目が特徴で、大麦麦芽の他に、小麦・コリアンダー・オレンジピールなどを用いて作られるビール。
- フルーツランビック…ランビックにフルーツを漬け込んで作られたビールで、チェリー・カシス・アップルなどが使用されます。
- グーズランビック…古いランビックと新しいランビックを混ぜて飲みやすくしたビールですが、酸味は比較的強いのが特徴です。
最近話題のクラフトビールとは?
ビールの原料や種類についてご紹介したところで、次は個性溢れるクラフトビールについてご説明します。
小規模の醸造所が作った個性のあるビール
クラフトビールとは、訳すると「職人技のビール」や「手作りのビール」を意味するもの。小さい規模のビール醸造所で作られたオリジナルのビールをさします。
4大原料の麦芽・ホップ・酵母・水を基本に作られるのですが、この4大原料も多種多様な種類がある為、その組み合わせ次第で出来上がるビールの特性が大きく変わります。
また各種クラフトビールにそれぞれマッチする料理の組み合わせもあり、それを探すのが楽しいというビールマニアの人も多いのです。
世界にも日本にも様々なクラフトビールがある
クラフトビールにもまた、100を超える種類と、一つ一つに開発背景があります。
たとえば、日本ではクラフトビールのことを元々は「地ビール」と呼んでいましたが、まだまだ発展途上の文化だったことと、お土産色が強く値段が高い傾向があったことから、あまり流行らず廃れてしまったとされています。
それでも、一部のビール職人達は地ビールのスキルやノウハウを磨き続け、次第に世界で評価されるクオリティの高いビールを生み出しました。
そして2000年代に入り、アメリカでクラフトビールが流行りだした頃に、日本の地ビールも「クラフトビール」と改名。これをきっかけに多くのビールファンの支持を得られるようになりました。
ビールを飲むと気になるのがカロリーや糖質
ビールの基礎知識についてご紹介したところで、気になるカロリーや糖質についてご紹介します。
ビールのカロリー
ビールはアルコールの中でも太りやすいと言われるお酒の代表格です。
本来ならアルコールのカロリーは熱エネルギーに変わるため脂肪には変換されないのですが、ビールのカロリーは1/3が糖質なので、これが脂肪に変わってしまうのです。
参考までに、他のお酒とビールのカロリーを比較すると、このようになります。
- ビール(中ジョッキ1杯)…200kcal
- 日本酒(コップ1杯)…200kcal
- 焼酎(コップ1杯)…250kcal
- グラスワイン(120mg)…100kcal
- ウイスキー(ダブル1杯)…150kcal
- ウーロンハイ(コップ1杯)…90kcal
ビールの糖質
ビールはカロリーも高いことに加えて、糖質も比較的高いことから、飲み過ぎると脂肪として身に付きやすい性質を持っています。
ビール以外のお酒の糖質はさほど高くありません。たとえばウイスキー・ブランデー・ウォッカなどの蒸留酒や、それを割った水割り・お湯割り・ハイボールなどは糖質0g。ぶどうを原料とするワインでも約1.8〜4.8g、お米を原料とする日本酒でも3~5g程度と、比較的低めの数値のものばかりです。
これに対して、ビールは中ジョッキ程度の量の淡色ビールで糖質9.9g、スタウトビールの場合はなんと約15gもの糖質が含まれています。
絶対値で見るとあまり差がないように見えますが、ビールはアルコール度数が低く、のどごしがよいためごくごく飲みすぎてしまいがち。
そのため、一回の飲酒機会でたくさんのビールを飲むことになり、トータルのカロリーや糖質は高くなります。これが、『ビール腹』などと揶揄されるように、ビールが太りやすい原因になるのです。
カロリーや糖質が気になる人向けのビールも
いくらビールが大好きでも、ダイエット中や健康志向の人からは、カロリー・糖質が高すぎて、たくさん飲むのは躊躇してしまうという意見もあります。
そんな人にオススメなのが、カロリーや糖質の量を比較的少なめにしているビールです。普通にスーパー等で購入できるものであれば、パッケージに糖質ゼロ・カロリーオフなどと記載されているものがほとんどなので見分けはつきやすいと思います。
初心者でも飲みやすいビール4選
最後に、初心者の方でも飲みやすいおすすめのビールをご紹介します。
黒ラベル
サッパリとした爽やさが特徴で、かつ苦すぎず淡白すぎずといった味わいが、初心者の人でも飲みやすいと評判のビールです。
どんな料理にもしっくりくるオールマイティさがメリットで、脂っこい洋食からサッパリ系の和食までどんなものには合わせやすく、来客用のビールに迷った時にもおすすめ。
水曜日のネコ
一見ビールとはわかりづらいネコのパッケージが可愛いビールで、その名の通り週の真ん中・水曜日の疲れやすい夜に飲みたいと、社会人から絶大な支持を得ています。
フルーティな味わいかつ深いコクと香りが特徴で、ビールが苦手な人でも飲みやすく仕上がっています。一見女性向けに見えますが、実は性別問わず人気が高い銘柄です。
バドワイザー
世界85カ国で味わうことができるプレミアムラガービールで、海外産ビールとしては昔ながらの定番銘柄です。フルーティでトロピカルな味わいが特徴で、爽やかでグイグイ飲める喉ごしなので初心者にも人気があります。
売っているお店がさほど多くなく、通販でまとめ買いしているというファンも多多数。とはいえ価格もリーズナブルで、海外では非常に人気の高い定番ビールになります。
ホワイトベルグ
上面発酵製法による洗練された華やかな香り、爽やかな味わいが特徴のサッポロ「第3のビール」です。
ベルギーのホワイトビールをベンチマークに作り上げられたこちらの製品は、上質な旨味が詰まったベルギー産麦芽、フローラルな香りのコリアンダーシード、味を引き締める為のオレンジピールなど、こだわり抜いて選んだ原料で作られています。フルーツビールのような味わいが初心者にも人気です。
ビールの世界は奥が深い
ビールの基本的な知識について紹介してきましたが、ビールは100を超える様々なテイスティング・スタイルがある奥の深い世界です。ぜひ色々なビールと出会って、ビールの世界を深めていってくださいね。