自宅でできる時計のメンテナンス。専用工具の使い方や購入方法とは?

2019.04.25

時計の修理やメンテナンスのために時計店へ行く時間がない、費用をあまりかけたくない場合は、専用工具を購入しておけば、自宅でメンテナンスを行えます。自分で時計を調整するために、専用工具の使い方や購入方法を知っておきましょう。

時計用の工具とは

時計をメンテナンスするためのアイテムとして、専用工具が市販されています。時計用の工具とは具体的にどのようなものなのか、どんな用途で使用するかについて、詳しく解説します。

精密な時計には専用工具が必須

時計はとても精密な構造なので、メンテナンスには時計専用の工具が必須アイテムです。例えば、電池式のクオーツ時計やベルトの交換・調整では、専用工具を使う必要が出てきます。

工具セットがあれば自宅で作業可能

時計の修理やメンテナンスは、時計店へ依頼すればプロが行ってくれるものですが、専用工具を持っていれば、時計店へ行くことなくいつでも『自宅で作業ができる』メリットがあります。

忙しい人や節約したい人におすすめ

上記のように、時計店へ行けば時計の修理やメンテナンスが可能です。しかし、時計店は営業時間に限りがあり、定休日を設けている場合もあるため、忙しくて開店時間になかなか出向けない人も多いでしょう。

来店時に混雑していると、修理完了まで長い待ち時間が発生することもあります。また、当然ながらプロに時計の修理やメンテナンスを依頼すると費用が発生します。

このことから、多忙な人や時計のメンテナンス代をできるだけ節約したいのであれば、専用工具を準備して自分で作業を行うのがベストでしょう。

時計の各作業に必要な基本の工具

時計の修理・メンテナンスで使用する工具は、作業内容によって異なります。時計を持っていると行う機会が多い各作業で必要な工具は、以下の通りです。

ベルト調整時

腕時計に欠かせないベルトは、サイズ調整や交換が必要になることがあります。そんなときには、以下の工具を使います。

  • 精密ドライバー 時計の修理で必要不可欠で、さまざまな場面で使用します。ベルト調整時は、本体とベルトを外すときに用います
  • ベルトポンチ 革製のベルトに穴を開けるための工具です。ベルト穴を新たに開けたいときに使うと、きれいに穴を開けられます
  • ピン抜き棒 ピン式の金属製ベルトを調整するときに使うもので、つながっている一つ一つのブロックを分解するために用います
  • ベルト固定バイス こちらも金属製ベルトの調整に必要で、分解した後の金属製ベルトを分解したり組み立てたりするときに使用します
  • ハンマー ベルトポンチで穴を開けるとき、または金属製ベルトの取り外しや組み立てのときに、ハンマーを使用してピンを打ち込みます
  • バネ棒外し バンドを時計ケースから取り外すときに使用します。ケースに付いている穴をバネ棒外しで押し込むと、バネ棒が外れる仕組みです

はめ込みタイプの電池交換

クオーツ時計の電池交換では、蓋のタイプにより使用する工具が異なります。『はめ込みタイプ』と呼ばれる方式の蓋の時計で電池交換を行う際に必要なのは、以下の工具です。

  • こじ開け 時計の裏蓋を開けるためのもので、時計の修理で最も重要な工具の一つです。先端部分をはめ込みタイプの開け口に差し込んで、蓋を開けます
  • キズミ 時計にキズがあるかどうかをチェックするルーペのような工具で、まぶたに挟むように装着したりメガネに引っ掛けたりすることで両手での作業を可能としています。時計修理を行う人にとっては必需品と言われるほど、大事な工具です
  • ピンセット 時計内部に使われている部品は非常に小さいものが多いため、素手で持たずにピンセットで扱う必要があります
  • 裏蓋プレス機 名称からわかるように、外した蓋を元に戻すためのものです。工具そのものに高い精度が求められる他、使用する人も技術を必要とされるので、慣れない人が使用すると時計にキズがつく恐れがあります

スクリューバックタイプの電池交換

『ねじ込み式』と呼ばれることもあるスクリューバックタイプとは、裏蓋そのものがネジになっており、裏蓋を回してねじ込むタイプです。はめ込み式よりも気密性が高いため、防水機能の高い時計に用いられています。

以下の工具は、スクリューバックタイプの時計の電池交換で使用されるものです。

  • オープナー これがないとスクリューバックタイプの蓋を開けられないので、必要不可欠な工具です。蓋に付いている穴2カ所を掴む2点式、穴3カ所を掴む3点式などの種類があります
  • ラバーオープナー こちらも上記と同じオープナーですが、ラバーが用いられています。穴を掴んで開ける普通のオープナーとは異なり、ラバーの吸着力を利用し、ラバー部分を蓋に押し付けて開閉を行います
  • 固定バイス ベルト調整時とは別の腕時計用固定バイスを使用します。蓋を開ける際に、バイスに時計を固定して使います

時計用工具選びのポイント

時計用の工具は多数の商品が販売されています。中には激安の工具セットなどもありますが、値段だけに惑わされず、必要なものを選ぶことが大事です。以下のポイントを参考にして、工具を選んでみましょう。

作業したい内容に対応しているか

時計工具として販売される商品は、さまざまなものがあります。しかし、すべての工具が必要となる場合はあまりなく、行いたい作業には必要ないものも少なくありません。

時計用の工具を購入するときは、これから行う作業に対応するものをチェックして選びましょう。

時計に合わせて価格帯を選ぶ

工具の価格帯はとても幅広く、100円均一ショップで見つけることもできる安価なものもある一方、プロが使用するような高価な工具もあります。

価格の幅が広いため、どの工具を選べばいいか迷うこともあるでしょう。そんなときは、作業を行う時計のランクに応じた価格帯のものを目安にしましょう。

特に高級時計のメンテナンスには、それなりの予算をかけて購入した工具を使用することをおすすめします。

仮に安いけれど精度の低い工具で高級時計のメンテナンスを行い、逆にキズを増やすリスクが高くなることを考えると、見合った品質と精度を持つ工具を使用する方が安心でしょう。

初心者は工具セットがおすすめ

時計の修理やメンテナンス初心者が工具を購入するなら、最初は一通りの基本工具が入った『時計工具セット』がおすすめです。しかし、時計工具セットも商品によりセット内容や点数、工具の品質は異なります。

例えば、電池交換をしたいときにベルト交換程度しかできない内容のセットでは意味がありません。そのため、時計工具セットを購入する際は、セットされた工具の数よりもセット内容で何ができるのかをまず確認しましょう。

セット内容によっては必要なものが少なく、不要なものばかり揃っていることもあります。そのようなときはセットを買わず、必要な工具だけピックアップして購入する方が効率的でしょう。

ベルト調整時の工具の使い方

ここまで紹介してきたように、時計の修理・メンテナンスに使う工具には多くの種類があり、用途によって使う工具も異なります。

金属製ベルト調整を行うときは、ベルトの種類によって方法が異なります。以下では、時計用工具の使用方法を種類別に紹介します。

いずれの方法にも共通するのは、最初にベルトをどの程度の長さにするかを決め、あらかじめ外すコマの数を決めておくことです。それから、以下の作業を開始します。

ピン式ベルトの調整

『ピン式ベルト』とは、ピンを打ってベルトのコマをつなげるタイプの金属製ベルトです。

ベルトの内側を確認すると、ピンを抜く方向が示されています。その方向を下にして、調整したい時計をしっかり固定します。

実際の作業に入る前に、作業中に他の部分に誤ってキズをつけることがあるため、ベルトに透明ビニールシートを挟んでおくと、時計の保護に役立つでしょう。

調整方法は、固定した時計のベルトにピン抜き棒を差し込み、優しく少しずつハンマーで叩いてピンとコマを外します。外すコマの数が偶数の場合は両側から同じ数ずつ、奇数の場合は文字盤の6時の部分を一つ多く外します。

こうすることで、調整後の時計が手前に傾くため、文字盤が見やすくなります。

ピンは完全にベルトから外します。外したピンは、戻す前にキレイに拭き掃除をしておけば、ベルトのサビを予防できます。

Cリングタイプの場合、ピンを外すときにCリングが一緒に外れ、落下することがあります。ピンを戻すときに必ず使う非常に小さいパーツなので、なくさないように注意しましょう。

また、ピンだけ抜けてCリングが残っている場合もあります。ピンとともに、Cリングも外れているかどうかをチェックしましょう。

コマを外したら、指でピンを戻します。このとき、必ず示された方向の逆からピンを差し込むことに注意が必要です。Cリングタイプのベルトの場合は、穴の中に必ずCリングを戻してからピンを戻しましょう。

固定に使用した台などを使ってピンを押し込んだ後、ピンを上にしてから再度固定し、ハンマーで叩いて調整します。さらにピン抜き棒を添えてハンマーで再度叩いて微調整を行えば、ピン式ベルトの調整完了です。

ネジ式ベルトの調整

ネジ式ベルトの調整方法は、ピン式よりもシンプルです。

まず、コマの側面にあるネジを専用ドライバーで回して外します。両面がネジで固定されている場合は、両方を外します。調整したいコマを外した後は、元のベルトと連結させてからネジで固定します。

作業時の注意ポイント

いずれの方式でも、作業をするときは『必ず時計を専用台などに固定』して行いましょう。ピン式のベルトの場合、使用されているピンの強度が高いため、不安定な場で作業中をしていて時計が動いてしまうとキズがつくことがあります。

また、調整でピンを押し込む際に使用するハンマーも、キズを予防するために片側がプラスチック製になっているものがおすすめです。

ネジ式ベルトは、新品の場合はネジが接着剤などで固定されていることもあります。その場合はドライバーでネジを回せず、自分での調整が難しいため、時計店などへ依頼するのがおすすめです。

電池交換時の工具の使い方

腕時計の電池交換に使う工具は、ベルト調整で使用したものとはまったく異なります。

さらに、電池交換でも『蓋のタイプ』によって使用する工具や使い方が異なります。はめ込みタイプとスクリューバックタイプの2種類の電池交換方法をまとめました。

こじ開けを使用 はめ込みタイプの交換

はめ込みタイプの蓋に使う工具は、『こじ開け』です。時計の裏面を確認すると、このこじ開けを差し込む場所があるはずです。できるだけ裏蓋と水平にこじ開けを差し込み、押し込みながら蓋を持ち上げましょう。

ピンセットを使って古い電池を取り出し、新しい電池と交換した後は、裏蓋プレス機に時計をセットして裏蓋を閉じます。

専用オープナーでスクリューバックタイプの交換

スクリューバックタイプでは、『専用のオープナー』を使います。オープナーの先端部分を裏蓋に引っ掛け、しっかりと固定したら反時計回りに裏蓋を回して取り外します。このとき、固定バイスがあると開けやすいでしょう。

電池交換後は、裏蓋を戻します。途中までは手を使って回し、最後に再びオープナーを使ってしっかりと裏蓋のネジを締めます。

時計用工具はどこで購入できる?

時計用の工具は、さまざまな場所で購入可能です。購入を希望する工具や予算に応じて、購入場所を選択できます。

自宅近くのホームセンター

『ホームセンター』では、さまざまな時計用の工具を取り扱っています。工具セットのほか、単品でも販売しているので、必要な工具だけ買いたいときは、自宅の近くにホームセンターがあれば、すぐに購入できるメリットがあります。

ヨドバシなどの家電量販店

『ヨドバシカメラ』などの大手家電量販店では、時計コーナーを設けており、時計修理に対応している以外にも、工具の取り扱いもあります。

ダイソーなどの100円均一ショップ

便利なアイテムが格安で入手できる『100円均一ショップ』でも、時計用の工具を販売しています。上記のような店舗で取り扱う工具と比較すると簡易的なものも多いですが、何より格安で手に入るのが大きなメリットです。

使用する時計やメンテナンス内容に対応するアイテムが見つかれば、かかる費用を最小限に抑えることも可能でしょう。

ネット販売店

自宅にいながらにしてショッピングができる便利なネット販売店でも、時計用の工具が購入できます。総合オンラインショップをはじめとして、時計専門店や家電量販店の公式オンラインショップでも、購入できる場合があります。

ただし、ネット販売店では実物を確認しての購入ができないため、手持ちの時計に対応する工具かどうかをしっかり確認しておく必要があります。

おすすめの工具セット

選択肢が多い時計用の工具セットの中で、一つあれば特定の作業が可能という便利なセットを3種類紹介します。

JOBSON 時計工具セット PRO

15種類の工具がセットになったこちらの製品は、ベルトの交換や長さ調整、電池交換などに対応する充実した内容です。すべての工具を収納できる専用ケースと説明書が付属しているので、初めて工具を使用する人にも使いやすいでしょう。

各工具は専門スタッフにより1年以上かけて開発されたもので、品質と耐久性に優れていながらリーズナブルな価格で、コストパフォーマンスにも優れた工具セットです。

正規メーカーによる1年保証も付いているので、安心して使えます。

  • 商品名:JOBSON 時計工具セット PRO
  • 価格:3480円(税込)
  • Amazon:商品ページ

Ronmar 時計ベルト サイズ調整工具セット

こちらの工具セットには、ハンマーや3サイズのピン抜き棒、固定用台座などピン式金属製バンドのサイズ調整をしたいときに必要な11点の工具が揃っています。

非常にリーズナブルな価格ながら、これが一つあるだけでピン式の金属製ベルトの調整が自宅で行えます。

  • 商品名:Ronmar 時計ベルト サイズ調整工具セット
  • 価格:1180円(税込)
  • Amazon:商品ページ

MKS 電池交換工具セット

老舗の時計工具メーカーとしてさまざまな製品を製造している『明工舎製作所(MKS)』のセットは、電池交換に必要な工具が揃っています。プロも使用するこちらの工具はすべて国産なので、信頼性の高いアイテムです。

セット内容は、時計を固定するための強力保持器、2爪式のオープナー、キズミ、ドライバー、ピンセットの5点です。

数年で電池が切れるクオーツ式時計を持っている場合、こちらの電池交換工具セットがあれば、時計店へ電池交換へ行く手間なく自分で電池交換もできるようになるでしょう。

  • 商品名:MKS 電池交換工具セット
  • 価格:9180円(税込)
  • Amazon:商品ページ

時計用に専用工具を揃えよう

時計を長く愛用していると、メンテナンスの必要性を感じてくるでしょう。複数の時計を使っているなら、修理や調整、メンテナンスの回数も増えてきます。

専用工具を購入していれば、時計店などへ持ち込むよりも費用を抑えながら時計の調整やメンテナンスが可能です。時計愛用者なら、専門工具を自宅に常備してみてはいかがでしょうか。

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